プログラム順
[OS05] 自己・他者認識の脳メカニズム
9月18日(金)
13:10 - 15:40
会場:総合校舎D号館D44
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OS05-1我々はどのようにして自己自身を認識し,他者を他者として認識しているだろうか.哲学をはじめとする諸科学の基本問題でもある「自己と他者」の認識の問題は,社会性認知の基礎となる能力であるにも関わらず,そのメカニズムは未だ明らかでない部分が多い.本セッションでは,自己身体認識・他者認識・社会性認知・コミュニケーションなどのトピックに関して,その認知モデルを探るための脳機能イメージング研究、行動・心理実験研究などを通じ議論を行う.
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OS05-2自己主体感に関連する事象関連電位成分 –身体運動に伴う聴覚フィードバックの遅延検出-※大会ホームページでの公開が許可されていません自己を認識する上で、身体運動とそれに伴う感覚フィードバック間の時間的整合性が重要である.本研究では,身体運動に伴う聴覚フィードバックに複数の遅延を挿入し,遅延検出に伴う事象関連電位(N300)と自己主体感(agency)の関係について検討した.実験の結果,遅延が大きくなるに従い主体感が低下し,N300成分の振幅が大きくなる相関関係がみられることが示された.このことからN300成分は,自己主体感の生理指標として有効である可能性が示された.
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OS05-3身体運動-視覚間時間再較正における視覚的フィードバックの遅延に対する気付きへの依存性の検討※大会ホームページでの公開が許可されていません能動的な身体運動に対して視覚的フィードバックが遅れて提示される状態が持続すると,身体運動-視覚間の時間順序知覚が順応的に変化する。本研究では,身体運動-視覚間時間再較正が視覚的フィードバックの遅延に気付いていなくても生じるのか検討した。実験の結果,遅延に気付いた実験参加者においてのみ時間再較正が生じた。この結果は,身体運動-視覚間時間再較正の成立には高次の認知過程が重要な役割を果たしていることを示唆している。
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OS05-4「行為を自分でおこなっている」という感覚である自己主体感は、予測可能性が高いときに強く、行為結果がネガティブなときに弱い。本研究では、ネガティブな予測を高めればネガティブ事象に対する自己主体感はむしろ強まるとの仮説を立て、実験的に検証した。実験の結果、ネガティブ声での自己主体感が強く、ネガティブ声割合が高いとさらに強くなる傾向が認められた。個人差を検討した結果、統合失調症傾向が高いほどポジティブ声での自己主体感が強まる傾向があった。
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OS05-5自己と他者の歩行観察における脳活動の違いとイメージの鮮明度について調査することを目的とした.自己条件では右背側運動前野と右上頭頂小葉が活動し,他者条件では左腹側運動前野と左下頭頂小葉が活動した.また,観察中のイメージは自己条件が他者条件に比べ鮮明だった.自己条件では自己の身体表象にかかわる脳領域が活動し,より鮮明なイメージが導かれることが明らかとなった.
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OS05-6参加者と操作対象の身体的な動作が同期する場面では,体性感覚と視覚の両感覚から入力される運動情報が時間的に同期していることが重要である。しかし,操作対象の随伴性を操作した研究はなく,時間的に同期していて随伴性が低い場合も,操作対象への身体保持感は生じるかは不明である。本研究では,操作対象の随伴性の程度を操作することで,操作対象への身体保持感に及ぼす影響の検討を心理・生理反応の側面から行った。
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OS05-7Neural correlates of inference of opponent’s belief about self in competitive game※大会ホームページでの公開が許可されていませんこれまでの非協力ゲームを用いたfMRI研究では,相手の行動を読むことに関わる脳活動が示されてきた.本研究では,非協力ゲームのひとつであるマッチングペニーにおいて,相手が手を読んでくるという認識に関わる脳活動をfMRIにより調べた.fMRIデータをモデルベース解析した結果,右側頭頭頂接合部が,相手が手を読むことと、読んだ結果を利用した行動決定を行うことの推定に関わることを示した.
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OS05-8脳の中で「自己」がどのようにして実現されているか、様々な人が様々な形で興味を持ってきた。しかし脳機能マッピング研究は、単一の「自己」の神経基盤という仮説に対して否定的な結果を示してきた。私はこれらの結果から、自己は少なくとも3つのカテゴリーに区別されるが、それらの間には、順予測モデルとしての共通性があることを指摘し、その統一モデルとしての可能性を提唱してきた。本講演ではその現状と課題を共有したい。