プログラム順
[OS09] 創造性のキモをつかむ
9月18日(金)
16:00 - 18:30
会場:総合校舎D号館D43
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OS09-1本論文は洞察問題解決の熟達化におけるメタ学習のプロセスを明らかにする.被験者1名に複数の洞察問題を解かせる実験を行ったところ,被験者が多様な問題群に対する向き合い方,すなわち知覚と行為を協調させながら,外的環境との巧みな相互作用を通じて問題を解決しようとする態勢(disposition)を形成していくことが示された.この過程は学習や発見の起こし方それ自体が学習されるメタ学習の過程であり,定型的熟達化や特定の解決策の学習とは区別される.
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OS09-2洞察問題解決において,潜在処理が重要な役割を担うことが示されてきている。本研究では複数の情報を連続して閾下呈示し,先に呈示された情報が後から呈示された情報によって上書きされる可能性を検証した。実験は洞察問題の正解画像を6秒間呈示したヒント画像呈示群,正解画像と上書き画像を3秒ずつ呈示した上書き画像呈示群,何も呈示しない統制群の3群で成績の比較を行った。結果,閾下呈示を行った両群の解決人数は同程度増加し,上書きは起こらなかった。
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OS09-3本研究では,初期の説明(先行説明)を根本的に覆す事実(キーファクト)が与えられた後,説明の再構築を行う過程を対象に,説明の根本的な転換(説明転換)の成否とキーファクトへの注意との関係について,眼球運動測定を用いた検討を行った.実験の結果,(1)キーファクトが与えられた後,一旦はキーファクトへの注意が抑制されること,(2)説明転換に成功した参加者は,説明転換の直前にキーファクトへの注意が高まっていたことが明らかにされた.
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OS09-4比喩における創発的解釈生成における神経機構の時間動態※大会ホームページでの公開が許可されていません「AはBだ」という形式で表現される比喩の解釈として被喩辞(A)、喩辞(B)のどちらにも由来しない創発的解釈が生成される過程の神経回路に関して検討した。実験では、「AはBだ」という形式の文を被験者に提示し、自由に口頭で文の解釈を回答させ、課題遂行中の脳活動を測定した。その結果から、創発的解釈生成は、腹側内側前頭前野を中心とした大域的神経回路によって実装されており、その回路は右半球に側性化していることが示された。
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OS09-5新奇なアイデアを生み出すには通常とは異なる枠組みで知識を用いることが重要となる。本研究では対象間の共通性を発見することを通じたカテゴリの再構成について検討した。参加者は2つの対象の関連性評定と共通点の発見が求められた。結果として,対象間の関連性が低いほど発見された共通点は少なく,妥当性も低かったが,独自性と面白さは高かった。以上より,離れた対象の共通点を発見することで新奇なアイデアのベースが作られることが示唆された。
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OS09-6本研究はオブジェクトとの相互作用で得られる情報,特に,視覚的入力が創造的なアイデア生成に及ぼす影響を検討した.大学生64名を対象にプラスチック板の使い道を考える課題を実施した結果,オブジェクトと相互作用出来る場合に創造的なアイデアの生成が促されることが明らかになった.また,オブジェクトと相互作用時に視覚的入力を制限した場合には,触覚的情報に着目したアイデアがより多く生成されることが示された.
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OS09-7本研究では、未来に関するアイデア生成手法である未来洞察手法を用いて、この手法のエキスパートとノンエキスパートを比較することにより、洞察力に富むアイデア生成に関わる認知的要因について、心理実験を実施して検討を行った。結果として、エキスパートはノンエキスパートに比べ、多様な視点からアイデアを生成していることが明らかになった。このことから、洞察力に富むアイデアを生成する上で、視点の多様性が重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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OS09-8筆者らは千葉大学の一般教養の科目の中で,アーティストとの協働によるアート・プロジェクトへの参加を通じた,創造性の育成のための実践を行っている.本発表では,この実践の背後にある創造性の考え方やモデル,授業のカリキュラム,そしてインタビューや観察に基づく学生の体験を紹介する.現時点では,実証的な効果の検証は不十分と言わざるを得ないが,多様な創造性の捉え方を比較したり,創造性の育成方法を議論する上での,一つの材料を提供できたらと考えている.