プログラム順

[OS11] 前衛表現の理論・実装・認知

9月18日(金) 13:10 - 15:40 会場:総合校舎D号館D34
  • OS11-1
    小川有希子 (法政大学社会学部)
    昨今は,表現の自由を主張することによって「表現すること」の敷居が低くなり,いわゆるアートというものが大衆化してきている一方で,真にプロフェッショナルな表現者たちは,素人の追随を許さない表現の高みに舞い昇っていくという,両極化した状況が広がっている.本セッションでは,後者に該当する淘汰されない異彩を放つ表現を「前衛表現」と呼び,「真の芸とは何か」,「人を魅了し豊かにする芸とは何か」を議論する.
  • OS11-2
    阿部明典 (千葉大学)
    本OSでは、「前衛」を「異彩を放つ・際立つ、表現の受け手の知識構造や情動が極めて大きく揺り動かされる」と定義している。その定義に従って、「前衛」としての書きことばに就いて議論を行う。特に、小説や、詩、広告などに於いて、どのように書きことばが洗錬されているか、どう受容されるか等に就いて議論を行い、更に、「前衛」としての書きことばの機械的生成に就いても議論したいと思う。
  • OS11-3
    高橋範行 (愛知県立大学)
    社会的ステータスの象徴性や認知上の適度な複雑性などを失った前衛音楽は、徐々に終焉へ向かっているように思われる.これからの前衛音楽では、過去の語法の新規な組み合わせや他の領域とのコラボなどによる未知なる体験の提供が、その主たる目的となっていくと予想される.また、前衛音楽の終焉は“調性”や“拍節”のもつ強い魅力に対する疑問を呈示する.この議論において認知科学が果たす役割は大きいと考えられる.
  • OS11-4
    安藤花恵 (西南学院大学)
    即興劇においてはセリフもストーリーも決まっておらず,俳優は共演者の演技が提示された後,その演技に呼応した演技を即座におこなわなければならない。相手の演技やその裏の意図に敏感な感性,相手の演技に即座に反応できる柔軟性,創造性,協調性といった能力を駆使し,俳優たちは本人たちにも先のわからないストーリーをその場で創造していく。この能力は,脚本に基づいた劇を演じる際や,私たちが日常生活を送る際にも共通する,普遍的な能力であると考えられる。
  • OS11-5
    助詞の「は」は「主題を表す」とか「関心の対象をピックアップする」と説明されるが,言語の表層情報で言語変換する自然言語処理的には「主語」であったり「目的語」であったりする他に「副詞句」で対応しなければならない場合がある.これを援用して,詩人語を自分語に変換して中原中也の「一つのメルヘン」を勝手読みしてみる.
  • OS11-6
    小方孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
    筆者が平成22(2010)年2月に歌舞伎座で観た,十八代目中村勘三郎と五代目坂東玉三郎の共演による,三世河竹新七作『籠釣瓶花街酔醒』の舞台を題材として取り上げる.歌舞伎の特徴が,過去を賛美することにあり,過去からの多重構造の縛めと柵に好んで従属することにあると考え,それを反/非・前衛的,後衛的な芸術(芸能)と捉える.筆者が研究する物語生成システムは,歌舞伎的な多重構造に基づく仕組みを手本とする.
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