プログラム順
[O1] 口頭発表1
9月17日(土)
9:00 - 10:20
会場:レクチャーホール(フロンティア応用科学研究棟2階)
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O1-1両手の接触による双安定性をもつ事象知覚の変容※大会ホームページでの公開が許可されていませんこれまでの私たちの研究では,単一の運動から二通りの知覚が生じる通過・反発刺激の遭遇点の真下で両手を合わせた時にのみ,他の姿勢に比べて有意に反発知覚が増加することを報告した。本実験では,両手同士の接触がこの効果の生起に重要な役割を果たすかを調べるため,両手で板を挟む条件と両手非接触の条件を設けた結果,両手を合わせた条件のみで有意に反発知覚の促進が示された。この結果から,その姿勢特有に生じる触覚や力覚が事象知覚の変容に重要だと考えられる。
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O1-2本研究では,身体的な同調運動が他者に対する意識的,無意識的な態度に与える影響を検討することを目的とした。サクラと同調/非同調運動をさせた後,サクラに対する態度を質問紙ならびに対人距離を用いて測定した。その結果,質問紙では類似感および囚人のジレンマの協力行動に条件間の有意な差が見られた。対人距離については,同調条件の方が非同調条件よりも有意に短い傾向にあった。この結果は身体的な同調運動が無意識的な他者への態度に影響を及ぼすことを示唆する。
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O1-3ジェットコースターのような興奮や恐怖を伴いながら複雑な空間情報を探索できるような環境での,覚醒状態と景観の記憶の関係を調べるために,ヴァーチャルリアリティ映像を刺激として用いて記憶の再認課題を行った.その結果,ジェットコースターから見た景観の記憶は,単純に速度の高さ成分の絶対値や覚醒水準に対応するものではなく,相対的に低い覚醒度の場面の中でも特に頂上での景色,つまり落下恐怖を伴う高覚醒の直前で見た景色を記憶しやすいということが分かった.
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O1-4人工知能(AI)の研究のひとつの到達目標は、自律的にものごとを「理解」する”強いAI”を作ることである。Searle(1980)は、こうした強いAIに対して懐疑的な立場をとり、「中国語の部屋」と呼ばれる思考実験によりその実現可能性への疑義を示した。本稿は、中国語の部屋を再考し、それが情報伝達と同型であることを示す。すなわち、理解を定式化する鍵は、情報伝達の本質的な拡張にあると本研究は主張し、これを軸として理解の定式化の研究方針を論じる。