スケジュール順

[OS05] OS05 過剰に意味を創り出す認知:ホモ・クオリタスとしての人間理解へ向けて

9月15日(金) 13:00 - 15:30 会場:101講義室
  • OS05-1I
    依頼講演
    小川奈美 (東京大学)
    本論文は,ラバーハンド錯覚に代表される身体所有感の錯覚現象を,人間を「過剰に意味を創り出す」 存在として捉える「ホモ・クオリタス」という観点から理解することを試みる.特に,自己の正確な同定よりも多感覚運動情報の統合を優先し,感覚情報を世界の中に意味づけようとする人間の性質に着目する.さらに,バーチャルリアリティ技術を用いた身体所有感研究を紹介し,自己身体の変容が知覚や認知にまで影響しうることを示す.
  • OS05-2I
    依頼講演
    西尾慶之 (東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野)
    A substantial proportion of patients with Lewy body disease experience a variety of false perceptions, which include visual hallucinations of persons and animals, a sense of presence, passage hallucinations and various types of visual illusions. My colleagues and I have been conducting behavioral and neuroimaging studies to investigate common mechanisms underlying these phenomenologically diverse misperception symptoms. In this paper, I present the findings obtained from these studies and discuss psychological and neural mechanisms of false perceptions in Lewy body disease with referring to the concept of “sense of veridicality”.
  • OS05-3
    友野貴之 (早稲田大学 大学院)
    古山宣洋 (早稲田大学 人間科学学術院)
    三嶋博之 (早稲田大学 人間科学学術院)
    人混みの中を歩く, 狭い道を自動車で通り抜けるなど, 生活環境には様々な“すき間”が存在し, 私たちはそれらを安全に通り抜けなければならない. そのような空間の中で私たちは, どのようにしてすき間を通り抜けることができる, もしくは, 通り抜けることができないと判断しているのであろうか. 本稿では, 間隙を構成する障害物が“人らしい”形をしている場合に, その“人らしさ”の情報が隙間の通り抜け行為に影響を与えるのかを検証する.
  • OS05-4
    米満文哉 (九州大学大学院人間環境学府)
    佐々木恭志郎 (早稲田大学理工学術院基幹理工学部・九州大学基幹教育院・日本学術振興会特別研究員(SPD) )
    郷原皓彦 (九州大学大学院人間環境学府・日本学術振興会特別研究員(DC1) )
    山田祐樹 (九州大学基幹教育院)
    ある空間内に全く同じ顔の人物が多数存在する状況は現実では生じない。本研究は,そのような状況において人がどのような感情を抱くのか検討した。日本人と白人を対象に,6人が同じ顔 (多重重複),6人が違う顔 (非重複),または1人だけが写っている画像 (単体) について複数の印象評定を求めた。その結果,人種を問わず多重重複は単体と非重複よりも強く不気味さや不快感情を喚起した (クローン減価効果)。この現象を文脈的な分類困難性の観点から議論する。
  • OS05-5
    日高昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    我々は、ものごとを個々の特徴の断片のリストとしてではなく、一体としての“オブジェクト”としてみることが多い。こうした認知過程を説明するためには、特徴の統合の情報処理を明確に定式化する必要がある。本研究では、特徴の統合によって構成される“オブジェクト”認知の計算理論を目指し、その基礎理論の構築を行う。情報理論を拡張して情報の合成を扱う理論の定式化を行い、その応用により身体運動など複雑な力学系から“オブジェクト”を同定する方法を論じる。