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[OS13] OS13 異質な集団の相互理解の認知科学:研究のすそ野を拡げる方法論を求めて

9月14日(木) 15:40 - 18:10 会場:302講義室
  • OS13-1I
    依頼講演
    國藤進 (北陸先端科学技術大学院大学)
    この講演では住民、行政のファシリテーション役を大学の学生・教員が担ってウィンウィン関係を構築する、野外科学の立場から高齢化社会で様々の課題を抱える町の地域創生をめざすプロジェクト「ミニ移動大学」の方法論を紹介する。住民、行政、学生という異質の集団のワークショップから、三者間の相互理解が深まり、町おこし企画や地産地消のNPOが動きだしている。さらに参加した学生のマインド・イノベーションも促進された。
  • OS13-2
    田中孝治 (北陸先端科学技術大学院大学知識科学系)
    尹明睿 (北陸先端科学技術大学院大学知識科学系)
    堀雅洋 (関西大学総合情報学部)
    浜崎優子 (佛教大学保健医療技術学部)
    殿山範子 (金沢医科大学看護学部(現 純真学園大学保健医療学部))
    池田満 (北陸先端科学技術大学院大学知識科学系)
    超高齢化社会の日本において,高齢住民はサポート受容者であると同時に,サポート提供者としての役割を担うことを求められる.本研究では, 住民同士が見守りを行うための地図を作る現行のコミュニティ活動と親和性の高い高齢者共助マップ共創システムを開発し,高齢者コミュニティに導入・運用することで,共助意識の啓発支援を目指している.本稿では,現行の紙地図から電子機器への媒体の変化が,参加者のどのような共助意識を明確化したのかについて検討を加える.
  • OS13-3
    田中伸之輔 (筑波大学大学院人間総合科学研究科)
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    新奇な人工物の利用をためらう行動である“怖がり”が,加齢に伴い増大し,高齢者の人工物利用困難を招くことが指摘されてきた(田中・原田2015;2017).本研究では,怖がりの発生が人工物の特性によって異なるか否かを検討するため,新たに調理機器2種で怖がりを分析,比較を試みた.その結果,身体的リスクならびに自動性は怖がり発生に寄与せず,先行研究で示されたブラックボックス性,利用目的の複数性こそが怖がり発生に関わっていると示唆された。
  • OS13-4
    水津功 (愛知県立芸術大学美術学部デザイン・工芸科デザイン専攻)
    斎藤洋典 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    適切なデザインの達成に不可欠なユーザーの要求の確定プロセスは様々な要因によって困難に陥る。余白のデザインではユーザーが不確定のまま行われるデザインの問題に取り組んだ。本研究では改修を予定している高齢者施設の調査をもとにユーザーが確定しても要求が確定しない諸要因について考察するとともに、医療分野におけるSDMを参照しデザイナーとユーザーが意思決定を共有するための支援者の必要性を指摘した。
  • OS13-5I
    依頼講演
    亀田達也 (東京大学大学院人文社会系研究科)
    年金や医療費負担に関わる世代間衡平の問題は、高齢者と若年者の対立として捉えられやすい。現在、社会科学では「フューチャーデザイン」という考え方が生まれている。私たち現世代は、市場や民主主義のシステムのもと、高齢者・若年者の別なく、将来世代から資源を奪うエゴイストになりやすい。本講演では、世代間衡平の問題を高齢者−若年者間の局所的葛藤から、現世代と将来世代との大きな衡平性をめぐる問題に止揚し、高齢者が担い得る役割の可能性について考えたい。