スケジュール順
[OS17] OS17 再帰性/志向性ー共通の思考基盤や限界はあるか?
9月13日(水)
16:10 - 18:40
会場:201講義室
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OS17-1I依頼講演本発表では自然言語における再帰性と志向性について,いわゆる思考動詞(think, believeなど)と報告動詞(say, tellなど)の補文構造を多重的に含む文の分析を通じて検討する.伝統的に生成文法ではヒトの言語器官の最も重要な性質は原理的に無限の埋め込みを含んだ構造を再帰的に処理できる点にあると論じてきた.しかし,実際の発話においては,思考・報告動詞の多重的な埋め込みを含む文は容認可能性および解釈可能性の点で問題を生じやすい.そこで本発表では,認知言語学の観点から多重的な思考・報告動詞構文の階層的概念構造を分析し,その展開と抑制がどのようなメカニズムで生じているかを明らかにする.
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OS17-2I依頼講演経済、地震、気象など、自然発生的な時系列に対して知られている物理学上の特性として、長相関がある。長相関は、与えられた時系列の任意の二つの部分が、離れていても類似性を持つという、再帰的な性質を示唆する。本発表では、CHILDESコーパスや音楽、プログラミングといった人間が生成した時系列に長相関が成り立つことを示す。その原因を考えるため、数学的生成過程を複数考え、ある単純な再帰的なふるまいが関わっている可能性を示す。
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OS17-3I依頼講演過去30年にわたり心の理論、特に誤信念課題を用いた膨大な研究がなされてきた。現在では、誤信念課題に誤答する段階(4歳未満)、回答の理由は言えないが正答する段階(4~7歳)、正答した上で回答の理由を説明できる段階(小学生以上)を経て発達していくことがわかっている。こうした段階を経る理由として、志向性に対する直観的な処理に対する実行機能や言語(による思考)の関連が次第に明らかになりつつある。
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OS17-4再帰の解釈には,構造としての「階層的埋め込み」と,操作としての「ある関数の自己参照・自己呼び出し」という二種類が考えられる.言語文における「再帰」論争やヒトと動物との比較認知実験において,二つの再帰は混同や誤解を招いてきた.本発表では,再帰的操作の概念的な本質は,ある階層的埋め込み構造の存在やその生成ではなく,新たな埋め込み構造を無限に創り出せることにあり,ヒトの生態学的環境は後者を適応的にするものであった可能性が高いことを主張する.
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OS17-5建設的な相互作用を促す手段としてのプログラミング活用方法の検討※大会ホームページでの公開が許可されていませんプログラミングが教科に対する理解を深めるとされる主張が注目されてきたが,いかに用いれば理解深化を促すことができるかは不明点が多い. そこで本研究では,プログラミングを用いて小学5年生が算数の正多角形について理解を深めることを目指したワークショップを実施し児童の学習過程を質的に分析した. その結果,プログラミングと協調学習の組み合わせにより,学習者は対象をモデル的に捉えるようになる可能性が示された.
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OS17-6I依頼講演心の状態についての再帰的事象を認識する能力には,論理-数学的知能が関連するだろうか.本研究では,金額当てゲームを開発し,3次および5次の志向意識水準を用いた回答の割合と,論理-数学的課題(for 文)の 5次までの多重ループ課題との正答の割合の関係性を分析した.結果は,論理-数学的課題において,5次までの多重ループ課題を正答するグループは,金額当てゲームにおける3次および5次の志向意識水準を用いた回答においても,正答率が高かった.またこの正答率とマキャベリア二ズム尺度についても関連が見られた.