研究分野別一覧

記憶

  • sO2-3
    松林翔太 (名古屋大学情報科学研究科)
    三輪和久 (名古屋大学情報学研究科)
    寺井仁 (近畿大学産業理工学部)
    システム障害やエージェントの想定外の動作などの変則的挙動を予測するために適用される記憶ベース方略について,心理実験およびACT-Rモデルシミュレーションを行った.実験の結果,記憶ベース方略では正則挙動を見せる事例を記銘しないことにより,複雑さが高い課題において有効に用いられることが示唆された.実験で得られたデータをもとにACT-Rモデルシミュレーションを実施し,変則的挙動の予測において,記憶ベース方略で行われる処理を明らかにする.
  • sO3-3
    神浦駿吾 (大阪府立大学人間社会システム科学研究科)
    佐藤裕 (徳島大学社会産業理工学研究部)
     我々の記憶において実際に起こっていないことを誤って想起することを虚記憶と呼ぶ.本研究では,虚記憶の生起を検証するDRMパラダイム下において視覚イメージ刺激に対して虚記憶が生じるのかどうかを検討した.実験の結果,画像刺激に対する虚再認はほとんど生起せず,文字刺激との比較において生起率がより低いことが確認され,虚再認においても画像優位性が確認されることが示唆された.
  • sO3-4
    田浦秀幸 (立命館大学)
    言語間距離の遠い日本語と英語を対象言語とする通訳になったばかりの新米通訳者を6年間(22〜28歳)追跡し、英語力・ナラティブ力と脳賦活度合いの関連性を調査した。その結果、大学卒業時に既に高い英語力を持つ新米通訳者も6年間の内に語彙密度や流暢さは向上し、脳賦活もより堪能な母語賦活を抑えることで第2言語にリソースを多く割り当てる経済的な賦活様態に変化してきていることが判明した。
  • sP1-9
    于成 (大阪府立大学)
    牧岡省吾 (大阪府立大学)
    本研究では,マインドフルネス瞑想が展望記憶と実行機能にどのような効果を与えるのかについて検討した.展望記憶については,背景課題遂行時の展望記憶の成績を,実行機能は,シフト,更新,抑制に関する課題の成績を測定した. 四日間の瞑想を実験参加者に課し,瞑想前後で成績に向上が見られるかどうかを調べた.検討したところ,いずれについても有意な成績の向上はみられなかった.瞑想の実施が不十分であった可能性があるため,手続きを改善して再検討する必要がある
  • sP1-13
    Sala Giovanni (Osaka University Graduate School of Human Sciences)
    Yasuyuki Gondo (Osaka University Graduate School of Human Sciences)
    To date, the attempt to boost cognitive skills in the general population has failed. However, it is still possible that some cognitive training regimens exert a positive influence on specific populations, such as older adults. In this meta-analysis, we investigated the effects of working memory training on older adults’ cognitive skills. Three meta-analyses were run. While large effects were found for the trained tasks, only moderate and near-zero effects were obtained in the near-transfer and far-transfer meta-analyses, respectively. While confirming the difficulty in obtaining transfer effects with cognitive training, these results cast serious doubts about the practical utility of near-transfer effects for older adults’ everyday life too.
  • sP1-14
    秋元泰介 (九州工業大学情報工学研究院知能情報工学研究系)
    自律的な人工知能を実現するためには,外界と関わり合う中で,世界を物語的に組織化し,それに基づいて他者とコミュニケーションをしたり,筋道のある行動をしたりする仕組みが必要になると考えられる.このような考えに基づく認知アーキテクチャに関する検討の一環として,エージェントが内面に作る世界の表象としてのストーリーが,どのような構造を持つと考えたらよいのかという問題について考察する.
  • sP1-48
    野村亮太 (東京大学教育学研究科)
    森田賢治 (東京大学教育学研究科)
    丸野俊一 (九州大学)
    学習者は自分自身の理解状態をうまく説明できないことが多い.本研究では学習者の理解を推定する非言語的手がかりとして自発性瞬目の群発に注目した.観察された個人の瞬目間間隔(IBI)から瞬目群発を定義する手法を新たに提案した.提案手法に基づいた瞬目群発は,連続した複数のIBIの情報を用いた場合に数III履修者と非履修者を弁別可能であった.非履修者に多く見られた瞬目群発は,学生が「理解が難しい」と感じたことの指標になることが示唆された.
  • sP1-65
    寺澤孝文 (岡山大学教育学研究科)
    津田真吾 (岡山大学)
    益岡都萌 (岡山大学)
    佐久間康之 (福島大学)
    鈴木渉 (宮城教育大学)
    上田紋佳 (福山平成大学)
    西山めぐみ (国際環境大学)
    田中優貴 (岡山大学)
    牛司策 (岡山大学)
    羊忻怡 (岡山大学)
    学習者の学習の進捗レベルに対応させて学習コンテンツを提供するアダプティブなe-learningの実現は,効率的に知識を習得する上で重要な課題といえる。本発表は,英単語等の学習内容の一つ一つについて,反復してなされる学習とテストのタイミングを年単位で制御する技術を実装したe-learningにより収集される膨大な縦断的学習データから,問題の一つ一つの到達度を高精度で推定することを可能にした成果を発表する。
  • sP1-72
    舟岡滋悟 (成城大学)
    新垣紀子 (成城大学社会イノベーション研究科)
    戸田薫子 (成城大学)
    本研究は、年代間で都市の位置関係の把握に違いがあるのか明らかにすることを目的とした。 本研究では二つの分析を行った、(1)実際の地図上の位置と参加者が示した位置を比較する分析(絶対的な位置関係)、(2)参加者が示した各地点間の距離を比較する分析(相対的な位置関係)。 その結果、学生の位置関係の把握は中高年より絶対的、相対的そのどちらも低かった。
  • sP2-1
    髙橋麻衣子 (東京大学)
    石川実佳 (名古屋大学)
    清河幸子 (名古屋大学)
    本研究では,背景音の提示が学習成績に干渉を及ぼす程度が学習者のワーキングメモリ容量によって異なるのかを検討した。器楽音と歌詞の有無を操作した背景音が,読解課題(実験1),系列再生課題(実験2),見本照合課題(実験3)に及ぼす影響を検討したところ,読解課題において,ワーキングメモリ容量の小さい学習者は背景音の提示によって成績が低下するが,他の課題においてはワーキングメモリ容量と背景音提示の干渉の程度に関連がないことが示された。
  • sP2-3
    後藤靖宏 (北星学園大学文学部 心理・応用コミュニケーション学科)
    プルースト現象の特徴を調べるために,生起率,自伝的記憶,におい手がかり,および想起状況に着目し,においによって想起された記憶を幅広く収集した.大学生の1週間分の記憶199ケースを分類したところ,35%強に当たる70ケースがプルースト現象に分類され,半数の人が1週間に1回以上体験していた.内容は11カテゴリに分類され,より快で重要性の高い,鮮明な思い出が多く手がかりとなったにおいは6カテゴリに分類され,快でかつ強いにおいであった.
  • sP2-38
    田中大介 (鳥取大学地域学部)
    水姓由薫 (鳥取大学地域学部)
    課題遂行時における経過時間の主観的ゆがみを実験的に検討した。具体的には計算課題の難易度を操作して課題の認知負荷を変えるのとともに,実験協力者が遂行した課題を面白いと感じたかどうかを参加者間要因の独立変数とした.結果,課題の難易度が高まる事で時間は速く流れるように感じられる事が明らかとなり,難しい課題の場合はそれを面白いと感じた人はより時間の流れを速く感じること,一方で簡単な課題の場合は,それと反対に感じられている可能性が示唆された.