研究分野別一覧

社会心理

  • OS05-5
    公募発表
    中村國則 (成城大学社会イノベーション研究科)
    今川翔太 (成城大学社会イノベーション学部)
    切りのいい値を基準として行動が変容するという概数効果(round number effect: Pope et al, 2011)を検討するため,2005年から2017年までの日本プロ野球の打率成績を分析し,打率が2割9分9厘の打者の数と3割0分0厘の打者の数を比較した.その結果,前者に比べ後者の比率が不自然に高いことを見出した.
  • OS09-5
    公募発表
    徳永弘子 (東京電機大学)
    本稿は食事中の家族の食卓場面において,子どもの振る舞いについて検討した事例を報告する.焼き肉をしながら食事をする家族の食卓は,友達同士の食事とは違い,よりインフォーマルな場であること,食べる/話す振る舞いに対してコミュニケーションを重視した社会的なルールが適用されない場において,子どもが自分の発話権を獲得し,保持するためには,視線や,ハンドジェスチャー,フィラーなどの技法を用いて達成していることが示された.
  • sO1-5
    上島淳史 (東京大学人文社会系研究科/日本学術振興会)
    亀田達也 (東京大学人文社会系研究科)
    限られた資源の分配には、平等主義、功利主義、マキシミンなどの諸価値が存在する。本研究では、人々が分配に関する価値を折衷的に支持するかあるいは原理的に支持するかが、社会的インタラクションの予期により調整される可能性を検討した。実験の結果、他者との議論を予期することが、特定の分配価値への一貫した支持を高める可能性が示された。
  • sP1-17
    長岡千賀 (追手門学院大学)
    本研究の目的は,婚活サイトの広告コピーの特徴,ならびに個人の特性が,婚活サービスに対する好感度に及ぼす影響について検討することであった.まず予備調査では,既存の39件の婚活サイトのコピーを分析した.この結果に基づいて4つの典型的なコピーを作成した.138名の実験参加者は各コピーに対する好感度を評価するとともに,各人のひとめぼれ傾向も測定された.結果から,行動促進型や内面重視型のコピーは好感をもたれやすいことが示された.
  • sP1-18
    井関龍太 (大正大学)
    人は手書き文字に基づいてパーソナリティの印象を評価できる。この評価は実際のパーソナリティとは必ずしも一致しないが,多くの人が共通して一貫した印象を抱くとすれば,その根拠となる文字の特徴があるはずである。本研究では,手書き文字に基づくパーソナリティ評定と画像化した文字の分析に基づいて,パーソナリティを推測させる文字の具体的な特徴を探索的に検討した。ビッグファイブのうち,外向性と調和性の印象に影響すると思われるいくつかの特徴が示唆された。
  • sP1-46
    中田龍三郎 (名古屋大学情報学研究科)
    川合伸幸 (名古屋大学情報学研究科)
    自己の食事中の静止画を見ると食事をおいしく感じる。この効果は正立の静止画で強くなるのか、自己静止画を見ることが食事へのより強い注意をもたらすのか検討した。刺激を正立で呈示するとおいしさの評定値は高くなった。また試食と無関係な音刺激に対する注意を反映するERP(P300)振幅値は正立条件よりも倒立条件と無人条件で増大していた。正立条件では食行動に向けられる注意配分量が相対的に増加したと推測される。
  • sP1-58
    篠原亜佐美 (名古屋大学)
    鹿子木康弘 (追手門学院大学)
    奥村優子 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    小林哲生 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    本研究では,5歳児・7歳児がポジティブ/ネガティブなうわさを基に第三者評価をおこなうかどうかについて,子どもの他者を利する行動・信頼する行動を指標として検討した。結果,7歳児はネガティブ/ポジティブなうわさのどちらとも利用して他者とのかかわり方を決定していたが,5歳児はネガティブなうわさのみを利用していた。これらの結果から,発達初期にはネガティブなうわさに敏感であることが示唆された。
  • sP1-60
    白石壮大 (明治大学理工学研究科)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    集団で運動したときに「この運動は我々が起こしている」と感じる感覚を共同運動主体感という.本研究では,共同作業中の2者の脳波を同時計測し,運動主体感と2者の脳波同期の関係から共同運動主体感の生起に関わる脳領域を調査した.実験の結果,互いに協調し合うほど,共同運動主体感は高まり,β波帯域において頭頂葉の同期が高まった.このことから,共同運動主体感の生起には頭頂葉のβ波帯域の活動が関わると考えられる.
  • sP1-62
    佐藤貞之 (北九州市立大学マネジメント研究科)
    今井優介 (北九州市立大学マネジメント研究科)
    工藤傑 (北九州市立大学マネジメント研究科)
    長戸操 (北九州市立大学マネジメント研究科)
    松田憲 (北九州市立大学マネジメント研究科)
    有賀敦紀 (広島大学総合科学研究科)
    行動経済学者は、多くの選択肢が消費者の選択行動を阻害し、満足度を低下させる「選択過多効果」をもたらす可能性を示唆した。本研究では、北九州市在住の大学生において選択過多効果の再現と購買意図との関係を地元有名企業の商品を用いて調査した。選択過多効果は生じなかったが、購買決定場所からの距離に関係なく、購買経験に応じて選択肢数が少ない場合の購入率が高くなることがわかった。これはIyengerのジャムの実験結果に酷似している。
  • sP1-77
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    池永将和 (筑波大学人間総合科学研究科)
    コールセンターにおける対話の実音声データを対象とし,高齢者と若年成人の対話におけるターンテイキングの分析を行った.高齢者(顧客)は若年成人(オペレータ)よりも頻繁に,会話へ強制的な割込みを行っていた.割込みは,相手の発話内容が予測できたとした時点,あるいは発話反復をしているときに行われており,会話における「話すと聞くとの二重課題性」が加齢に伴う課題達成低下をもたらしている可能性が示唆された.
  • sP1-78
    渡辺謙仁 (北海道大学)
    田邉鉄 (北海道大学)
    本研究の目的は,コミュニティや活動の境界はいかにして構成され,また横断されるのかを,超小型衛星開発プロジェクトのエスノグラフィーを通して活動理論の枠組みから考察することである.本研究の結果,活動拠点という物理的空間に入るための鍵などの分かり易い存在だけでなく,身体の移動や,集合的活動が向かう対象の特質もまた,活動とその境界のあり方を媒介していたことが分かった.
  • sP2-23
    ジョキョウテツ (千葉大学融合理工学府)
    松香敏彦 (千葉大学文学部)
    顔の印象評定に関する先行研究では、顔への観察行動は観察者自身の性格特性に強く影響されていることが示されている。これらの結果から、観察行動を用いて観察者の性格特性を予測することが可能だと考えられる。この可能性を検討するため、先行研究と同様の顔画像への印象評定課題を用いた実験をおこなった。具体的には、アイトラッカーを用いて観察行動である眼球運動データ、および観察者の性格特性を収集し、階層的ベイズモデルを用いたデータ分析をおこなった。
  • sP2-32
    本庄正弥 (東京電機大学)
    日根恭子 (東京電機大学情報認知科学研究室)
    これまでに,他者の好ましい行動について,その原因がその他者本人にあると推測される内的帰属がされることで,印象が向上することが示唆されている.本研究では,悪印象を抱いた他者に対しても,好ましい行動の内的帰属を促進させ情報提示をすれば,印象が向上するか検討した.内的帰属を促進する情報提示方法として,共変モデルを用いた.その結果,社交性と積極性について,内的帰属を促進することで印象が向上することが明らかとなった.