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オーガナイズドセッション (OS05)

脳・身体・感情
9月5日(木) 17:00 - 19:30
会場:共21
オーガナイザー:大平英樹(名古屋大学),竹内秀明(岡山大学),高橋英之(大坂大学),源河亨(慶應義塾大学),中村靖子(名古屋大学)
  • OS05-1
    内受容感覚の予測的符号化による感情と意思決定の創発
    招待講演
    大平英樹 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    近年の感情科学では、感情の原形であるコア・アフェクト(core affect)は、脳の生成モデルから出力される予測に基づいた身体信号(内受容感覚:interoception)のベイズ的推論により創発されると考えられている。さらにコア・アフェクトは、報酬に関する信号と結びつくことにより学習や意思決定にも影響する。本講演では、こうした理論を紹介し、脳・身体・行動に関わる実証的知見からその妥当性を考える。
  • OS05-2
    性的パートナー選択にバイアスを与える脳の内部状態の神経基盤
    招待講演
    竹内秀明 (岡山大学大学院自然科学研究科)
    「性的パートナー(異性)の選択」に関わる脳の進化的起源はどこまで辿れるのだろうか?またその動作原理は一体何だろうか?私は本問題に答える目的で、最先端の分子遺伝学的手法を利用できるメダカを用いて、その分子神経基盤を解析した。その結果、脳内ホルモン(GnRH3)を合成・分泌する巨大ニューロンが異性の選択に中心的な役割を持つことを発見した。本シンポジウムでは当該ニューロンが脳の内部状態を規定するモデルを提唱したい。
  • OS05-3
    人間にとって“最適な状態”とは何か? -インタラクティブロボットを用いた自発的行動変容-
    招待講演
    高橋英之 (大阪大学大学院基礎工学研究科)
    我々の生体にとって最適な状態とは物理的なパラメータで一意に定義されるものなのであろうか?筆者は、最適とは自己と環境の相互作用のダイナミクスの中に立ち現れるものであり、物理的状態の最適化を目指すアプローチには限界があることを、いくつかの研究事例を紹介しながら論じる。そしてインタラクティブなロボットを用いることで、従来とは異なる“最適”を扱うことを可能にする工学を打ち立てられるのではないか、という問題提起をしたい。
  • OS05-4
    感情と志向性
    招待講演
    源河亨 (慶應義塾大学文学部)
    恐怖が危険を、悲しみが喪失を、喜びが好機対を捉える反応であるように、心は何かを捉える働き(志向性)をもつ。こうした点から哲学では、感情の身体反応よりも認知的要素(思考や判断)が重視される傾向にある。だが、ジェームズが述べたように、身体反応なしの感情というものは想像し難い。そうであるなら、身体も何かしら価値把握に寄与しているはずだ。本発表では、ジェシー・プリンツの理論を中心に、感情の身体性と認知性に関する近年の哲学の動向を説明する。
  • OS05-5
    次元を拓く—文学と感情
    招待講演
    中村靖子 (名古屋大学大学院人文学研究科)
    身体の恒常性を基盤として人間のあらゆる精神的機能が発達したように、慣習化された言語を基盤として、人間精神の時ー空間は劇的に拡大したが、なかでも文学は、現実とは別種の可能世界を自在にデザインする場を提供した。それにより人間の心は新たな次元を拓いていったが、その一つの特殊ケースとして、心は、あらゆる慣習言語の否定としての「美学的主観性」を獲得した。本論では、感情を創発する文学の果たした役割を考える。

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