10月12日(土) 11:00 - 12:20
口頭発表2 インタラクションと知覚 (O-2)
会場:国際学術総合研究棟1F 三番大教室
座長:河原美彩子 (東京大学)
-
O-2-1ダイナミック・タッチは従来、個人によるものの形や重さの知覚に関わる動作として研究されてきた。しかし、ものを揺する動作は対面相互行為において視覚情報として相手に伝わり、ものの重さの表出となって立ち現れうる。本発表では、ダイナミック・タッチが発話の随伴動作となって表れ、重さを相互に評定しあう行為に関わる場面を分析した。その上で、個人内の認知に伴う動作は、相互行為に援用され、個人間に開かれうることを示した。
-
O-2-2過去,パフォーマーと観客間で生じる生理的同期の重要性は提案されてきたが,ダンスや音楽等のパフォーマンス場面については十分に検討されていない.我々はダンスバトルを企画し、現実のパフォーマンス時のダンサーと観客の心拍数を測定し,その同期を交差再帰定量化解析により検討した.結果,1)ダンサーと観客間に心拍同期が生じること、2)両者の社会的関係により,その程度が異なること、3)パフォーマンスの進行に伴い,その程度が変化すること,が示唆された.
-
O-2-3映像の訴求力は,表現そのものだけで決まるのではなく,視聴者の情報処理も関与するため,直接観察することはできない.本研究では,瞬目情報だけから瞬目同期を引き起こす共通入力としての訴求力の再構成を試みた.再構成にあたって,パラメータの影響は大きくはなかったが,再構成された共通入力のピークは必ずしも印象に残ったシーンとは対応していなかった.今後,訴求力の性質に応じた生理指標データに適用していくことが有益である.
-
O-2-4本研究では、他者の指差し行動の解釈の困難さについて、視点の違いという従来の研究で示されてきた要因に加えて、運動の主体性という観点から検討した。一人称視点と三人称視点において、自己運動と他者運動の指差し行動から指差し位置を推定する課題を行ったところ、どちらの視点でも自己運動時の推定がより安定しており、視点によって正確性が異なった。つまり、指差しコミュニケーションの困難さが複合的な要因から生じていることが示唆された。