10月13日(日) 10:40 - 12:40
オーガナイズドセッション (OS-2-4)
会場:福武ホールB1 ラーニングシアター
多感覚認知科学
田中章浩(東京女子大学)
小川浩平(名古屋大学)
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OS-2-4-1認知科学における「多感覚」の視点招待講演多感覚知覚や多感覚統合というと知覚の実験心理学的研究のイメージがあるかもしれないが、実際にはありとあらゆる認知プロセスの基盤になっていると考えられる。本OSでは、認知科学全体に寄与できる「視点」としての多感覚認知科学を提案し、自己、感情、HAIなどの認知科学における重要なトピックについて多感覚の視点から研究している研究者に話題提供してもらい、今後の展開について討論する。
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OS-2-4-2神経現象学的インタビューを用いたラバーハンド錯覚の生起過程の検討招待講演ラバーハンド錯覚は視覚刺激と触覚刺激を同時に与えることにより、偽物の手を自己身体だと感じる錯覚である。しかし視覚と触覚の単純な統合からどのようにして自己身体感が生起するのかについてはこれまで深く探究されてこなかった。本研究では、神経現象学的インタビューを用いて実験中の被験者の主観的経験をリアルタイムに聞き出し、その状態変化をモデル化する手法を提案する。その中で、従来の実験的手法に加えて質的手法を組み合わせることの意義について議論を行う。
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OS-2-4-3多感覚の視点からみた感情招待講演私たちは顔の表情(視覚)・声色(聴覚)・タッチ(触覚)などを通して他者の感情を知覚しているが、伝わる感情にはチャンネルごとに大きな違いが見られる。また、これら複数の感覚情報を統合することで、より複雑な感情の機微の伝達を実現している。本発表ではこうした多感覚感情知覚の研究を紹介したうえで、これまでアモーダルな存在として扱われることが多かった「感情」について、多感覚の視点から問題提起したい。
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OS-2-4-4半自律型エージェントが操作者の認知に与える影響について招待講演半自律エージェントとは、人と協働して一定のタスクを行う自律エージェントであり、我々の日常の様々な活動を支援する技術として注目されている。この際、2つの異なる自律性を両立させる必要があり、操作者にとってエージェントがどのような対象であると認知されるか、すなわち、「頼りになる相棒」なのか「単なる道具」なのか、不明である。本発表では、これまで実践してきた具体的な取り組みを紹介しながら、これについて議論を行う。
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OS-2-4-5総合討論招待講演3件の話題提供を出発点として、「多感覚」の視点から認知科学を今後どのように展開していくことができるのか、自身の研究成果も交えながら問題提起し、討論する。