10月13日(日) 10:40 - 12:40
オーガナイズドセッション (OS-2-5)
会場:教育学部109
体験性の認知科学
伊藤崇(北海道大学大学院教育学研究院)
城間祥子(沖縄県立芸術大学)
高木光太郎(青山学院大学)
岡部大介(東京都市大学)
郡司菜津美(国士舘大学)
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OS-2-5-1事象知覚(event cognition)の生態心理学を考える招待講演体験は知覚-行為循環に他ならないが、実世界の知覚対象は物体(object)が複数組み合わり、時間的に持続する事象という形をとることが多いだろう。事象はしばしば入れ子構造をなし、エージェント(自律的な行為体)として特殊な環境であるヒト(他者)やヒトビト(複数の他者)もまたその構成要素として登場する。本発表では、体験の理解とはすなわち事象知覚の理解であるとみなし、その生態心理(物理・生物)学を構想したい。
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OS-2-5-2デジタルツインとAIカラー化による“ストック”された記憶の“フロー”化招待講演戦争や災害などの過去の出来事は多様な視点を包含している。デジタルアーカイブはその「実相」を正確に伝えるために重要な基盤であるものの,その利活用は十分に進んでいない。これを解決するには,アーカイブされた資料の価値を社会にアピールし,適切な情報デザインによってコミュニケーションを促進することが必要である。本発表では,アーカイブに“ストック”された資料を“フロー”化してコミュニケーションを創発し,記憶を未来に継承する取り組みについて解説する。
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OS-2-5-3ネコとハクビシンの間をめぐって招待講演以前、自宅近くで、電線の上を歩く動物を見た。ネコと思ったが、違う。少し凝視して、それがハクビシンだと分かった。「体験」の中核には、この時、一瞬現れた「ネコではない何か」のように、不確定な対象に向かう探索的な時間があるように思われる。こうした対象には、「遮蔽物の向こう」「先の見えなさ」「偶発事」など空間的、時間的な不可視性も含まれるだろう。当日はこのような見方を足場の一つとしながら討論を進めてみたい。