研究分野別一覧

コミュニケーションとネットワーク

  • OS03-6
    公募発表
    高梨克也 (京都大学情報学研究科)
    行為主体の行為にとって不確実性は不可避の事実である.この不確実性は少なくとも二つの面での外部性によるものである.一方で,行為主体の意味が他者による理解と応答という二人称的な視点を経由することによって構築される.他方で,行動は全面的に予測可能ではない物質的環境の中で行われる.本稿では,行為主体がこれらの外部性を通じて「自分自身の行為に出会う」という経験を出発点とした認知科学の可能性を模索することを目的とする.
  • OS04-4
    公募発表
    小嶋暁 (静岡大学総合科学技術研究科)
    紅林優友 (静岡大学情報学部)
    森田純哉 (静岡大学情報学部)
    本研究は,コミュニケーションがどのような要因によって成立するかを分析した.特に,コミュニケーションに影響する個人特性として,自閉症スペクトラムに焦点を当てる.単純な人工言語を生成するコミュニケーションゲームを実験環境とし,自閉症スペクトラム指数 (AQ:Autism Spectrum Quotient) とゲームから得られたデータとの対応づけを行う.結果として,自閉症スペクトラム傾向は,コミュニケーションゲームにおいて,有効に働いた.
  • sO1-3
    中村雅子 (東京都市大学)
    渡部宣弥 (NRIデータiテック株式会社)
    竹中慧 (パナソニックシステムソリューションズジャパン株式会社)
    本研究では情報システム開発についてシステムエンジニアらに行ったインタビュー調査から得た事例の検討を行った.システム開発を,使う側(ユーザ、依頼企業)と,それを制作する側(デザイナ、IT企業)という2つのグループの間の境界を越えてシステムをデザインする越境的な活動と捉えることで,システム開発の現場においては規範的なプロセスとは別の越境のための「現場の工夫」が重要な意義を持つことを示した.
  • sO3-5
    壹岐朔巳 (総合研究大学院大学先導科学研究科)
    長谷川寿一 (東京大学総合文化研究科)
    「噛みつき」などの攻撃動作が使用される闘争遊びは、喧嘩にエスカレートしてしまうことがある。闘争遊びを行う動物は、互いに行動を協調させることによって喧嘩の発生を防いでいると考えられる。ニホンザルの闘争遊びを対象とした本研究の分析結果から、(A)相互的な参与枠組みの確立、(B)対称的な行動、(C)インタラクションへの継続的な従事といったメカニズムに基づいて、「攻撃時間の調整-攻撃の受け入れ」という相補的協調が行われている可能性が示唆された。
  • sP1-1
    大塚建太 (芝浦工業大学)
    中村潤 (芝浦工業大学)
    本論文では,会話の中にある埋もれた文脈を発見するため,Keygraphを用いた会話分析をしている.しかし,埋もれた文脈を発見するプロセスは暗黙知化されており,明文化されていない.そのため,暗黙知化された埋もれた文脈を発見するプロセスを明文化することを目指すため,いくつかの埋もれた文脈を発見した.その過程で明文化された発見プロセスを述べる.
  • sP1-59
    岡田真奈 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    阪田真己子 (同志社大学文化情報学部)
    人は,ベビースキーマと呼ばれる,幼い動物が持つ身体的特徴を持つものをかわいいと感じ,また,かわいいものを見ることによって,ポジティブ感情が喚起するなど,様々な効用が生じることが明らかになっている.しかしながら,人はかわいいものに対し,どのような振る舞いをみせるのかということについては,未だ明らかになっていない.そこで,本研究では,行動抽出を行い,人がかわいいものに対して,どのような振る舞いをみせるのかということについて検証した.
  • sP1-77
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    池永将和 (筑波大学人間総合科学研究科)
    コールセンターにおける対話の実音声データを対象とし,高齢者と若年成人の対話におけるターンテイキングの分析を行った.高齢者(顧客)は若年成人(オペレータ)よりも頻繁に,会話へ強制的な割込みを行っていた.割込みは,相手の発話内容が予測できたとした時点,あるいは発話反復をしているときに行われており,会話における「話すと聞くとの二重課題性」が加齢に伴う課題達成低下をもたらしている可能性が示唆された.
  • sP1-82
    河上章太郎 (金沢工業大学工学研究科電気電子工学専攻)
    金野武司 (金沢工業大学工学部電気電子工学科)
    人の記号的なコミュニケーションでは,字義通りの意味だけではなく言外の意味が伝えられる.このため,同じ表現でも言外で異なる意味が伝えられることが頻繁に起こる.しかし人は,過去の意味(記憶)に縛られずにその変化に柔軟に対応できる.我々は記号のやりとりを伴う同調課題に取り組む計算モデルを構築し,その計算機シミュレーションを通じて,言外の意味が変更された場合に,過去の意味の記憶がその伝達の成否に与える影響を調査・議論する.
  • sP2-14
    山本敦 (早稲田大学人間科学研究科)
    古山宣洋 (早稲田大学人間科学学術院)
    熟練者のピアノレッスンでは, 演奏を中断すべき介入と継続すべき介入とが, 教師と生徒の両者によって適切に区別・調整されている. この調整方略を明らかにするために, 音大生のレッスンをビデオ撮影し, 介入‐応答のパターンを分析した. その結果, 介入タイミング(生徒の演奏音と介入発話・演奏の時間的競合の有無)と介入の内容(介入演奏と現在の演奏との関係, 指示詞・呼びかけの使用)が資源として用いられている可能性が示唆された.
  • sP2-28
    石川悟 (北星学園大学文学部)
    説明資料に事前に与えられたタイトルが,説明内容に対し抱かせる期待及び,内容の理解や説明に対する満足をどのように導くのか,探索的に検討を加えた.実験参加者に異なるタイトルを提示した後に説明を聞かせたところ,タイトルの違いにより異なる事前期待が生じた.また,事象の全般にわたった説明が聞ける,という期待は,事後評価や説明内容の理解の程度,あるいは説明に対する満足の程度を促進することが示唆された.
  • sP2-33
    鈴木紀子 (元帝塚山大学)
    正田悠 (立命館大学)
    阪田真己子 (同志社大学文化情報学部)
    伊藤紀子 (同志社大学)
    山本倫也 (関西学院大学)
    今城真由香 (同志社大学)
    人工物を一定期間使い続けることで、人はその人工物に対して愛着を感じたり、アニミズム的思考を持ち、結果として対人的な行動を取ることが知られている。本稿では、小型家具という擬人的な外観を持たない人工物に対し、1時間にも満たない組立作業終了時において表出された作業者の接触行動について、参加人数や行動指標・心理指標・社会的スキルを用いて分析した結果を報告する。