日程

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ポスターセッション2 (P2)

9月6日(金) 16:10 - 18:10
会場:共11, 情報学部2号館ホール
  • P2-1
    牧岡省吾 (大阪府立大学 人間社会システム科学研究科)
    空間的配列共感覚を持つ人は,数や曜日が特定の配列で並ぶ視覚的イメージをもつ.配列の形状は多様であり円環やジグザグなど様々な形状がみられる. 本研究では,非共感覚者における曜日の空間的配列について検討した.曜日の前後判断課題の反応時間に対する8方向の空間配置の効果を個人ごとに分析したところ,非共感覚者においても曜日の空間配置は個人間で多様であり,不規則な形状もみられることが分かった.
  • P2-2
    原田康也 (早稲田大学)
    森下美和 (神戸学院大学)
    平松裕子 (中央大学経済学部)
    英単語に由来するカタカナで表記される外来語は日本語で広く使われ、英単語に対するなじみ・親密度を高めるなど英語学習に良い影響もあるが、覚えてしまった日本語のカタカナ語としての発音を忘れて英語として正しい発音を身に付けることは、大学生となると極めて難しい。「チョイスする」という日本語から choice (名詞)を動詞のように捉えて、choiced と過去形にして英語の文を構成するなど、カタカナ語の影響と思われる英語の誤用は多い。
  • P2-3
    赤間啓之 (東京工業大学)
    Seohui  Bae (Korea Advanced Institute of Science and Technology)
    Miaomei Lei (日立製作所)
    本研究は、バイリンガル脳を明らかにしたLeiらの実験結果を、さらに機能的連結性の観点から再解析したものである。朝鮮族のバイリンガルは、2つのfMRIセッションを通じ、「状況に即した翻訳なし言語切替」 (SnT)、「集中的な同時翻訳つき言語切替」(FST)のタスクを行った。その結果、自然な状況下での言語切替(SnT)には、脳の両側の言語野と、認知状態を考える上で重要な皮質領域の連携が関与していることがわかった。
  • P2-4
    福本理恵 (東京大学先端科学技術研究センター)
    高橋麻衣子 (東京大学先端科学技術研究センター)
    中邑賢龍 (東京大学先端科学技術研究センター)
    急速な変化に対応しながらイノベーションを生み出していくには,学習者たちが能動的に学び,知識を活用していくサイクルに誘うような学びの環境が不可欠である。そのためには教科の知識をリアルの場に繋げ、活動を通して知識の活用を学ぶ方法が有効である。本研究ではそのような学び方をActivity Based Subject Learningと名付け,日常生活に紐づく活動から教科横断的に学ぶことで知識の習得から活用へと展開する学び方を新たに提案したい。
  • P2-5
    吉沢栄貴 (東京電機大学 大学院)
    高橋達二 (東京電機大学 理工学部)
    「pならばq」という形式をとる条件文を人間が解釈する際,論理学上の古典的な定義と人間の直感的解釈に相違があることが知られており,加えて近年新たなアプローチの真理値表としてJeffrey tableが提唱されている.また条件文の確率的判断についての先行研究ではOver らによる研究がある.この研究での実験を参考に日本語条件文で実験を行い,日本語での条件文の確率的解釈の分析および, Jeffrey tableの妥当性を検証を行なった.
  • P2-6
    佐藤彩子 (東京電機大学)
    吉沢栄貴 (東京電機大学 大学院)
    高橋達二 (東京電機大学 理工学部)
    「pならばq」という形式をとる条件文の真理値について人間が解釈する際,「真」,「偽」だけでなく「不確実」をとることが知られている.この「不確実」の取りうる値について, Jeffreyは真を1,偽を0としたとき0から1の確率値P(q|p)をとるとし, Wang & Zhuがその検証を行った.しかし実験の設計や方法には議論の余地も見られた.そこで本研究ではWang & Zhuの実験を改善して日本語での追試を実施し,結果の比較を行なった.
  • P2-7
    佐藤優太郎 (情報科学芸術大学院大学)
    前林明次 (情報科学芸術大学院大学)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    本研究で提案する「芋虫の錯覚」は, 指が掌の内側にくるように左右の指を交差する姿勢によって自らの掌と指とが分離されたような感覚が得られる錯覚である. また, 「芋虫の錯覚」の姿勢を二人組でそれぞれの片手を用いて構成し, もう一方の空いている手で, 組まれた自身の指と相手の指に同時に触れることで, 指が麻痺したかのような感覚が得られた. ひとつの錯覚から質の異なる2種類の錯覚体験が得られたため報告する.
  • P2-8
    石原由貴 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    本研究ではMirror Visual Feedback下で見られる鏡面裏側の手の仮想的な移動感覚(KMI)の誘起に対し, 左右の持ち手のグリップ感の一致/不一致, 及び鏡像の提示/不提示の条件の効果がどの程度あるかについて比較した. 結果, KMI及び身体所有感の誘起には手を提示することによる影響が大きいものの, 鏡面裏側と同じ持ち手を鏡像に提示することでも, ある程度のKMIが誘発されることが分かった.
  • P2-9
    白石壮大 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    「この運動は我々が起こしている」と感じる感覚を共同運動主体感という.本研究では,共同作業中の2者の脳波を同時計測し,共同運動主体感と2者の脳波同期の関係から共同運動主体感の生起に関わる脳領域を調査した.実験の結果,相互に協調し合う共同作業課題において,リーダーの右前頭葉とフォロワーの右側頭頭頂接合部(rTPJ)のθ波の活動同期が高まり,共同運動主体感も脳波同期とともに高まることが示された.
  • P2-10
    丸山慎 (駒沢女子大学)
    金箱淳一 (神戸芸術工科大学)
    澤水真央 (ヤマハ音楽振興会)
    本研究の目的は、音楽教室における幼児対象のグループ・レッスンに試験的に導入した創作音具Kiki-Me(キキ・ミ)の効用を検証する基礎的なデータを収集することであった。この音具は、音楽鑑賞すなわち子どもの「音楽を聴く力」を多感覚的かつ協同的な活動のなかで発達させることを目指して開発された。本研究では、レッスン中の子どもの行動観察および音楽講師や子どもの養育者に対するアンケート調査等をもとに創作音具の導入の効果と今後の課題について議論した。
  • P2-11
    林美都子 (北海道教育大学函館校教育学部)
    ウィリアムズ信介 (北海道教育大学函館校教育学部)
    本研究では、ほど良い複雑さが音楽の好ましさをもたらすとするBerlyne(1971)の逆U字仮説を踏まえて、音程が作り出す複雑性が音楽の好ましさに与える影響を、3年以上の楽器演奏経験者である音楽経験者とそれ未満の音楽素人とを対象として検証した。大学生141名の協力を得て、144種類の短いメロディについてその複雑性や好意度等を評定してもらったところ、予想通り、両群ともに逆U字曲線を示した。
  • P2-12
    門田圭祐 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    山本敦 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    古山宣洋 (早稲田大学 人間科学学術院)
    本稿では,人々の身体や物体の配置によって指示対象が遮蔽されている環境においてなされる指差しについて検討した.実際の会話を収録して得た断片について,とくに指差しの軌道に注目して微視的分析を行った.その結果,遮蔽された指示対象への指差しが1)対象が遮蔽されていること,2)仕手にとって指示対象の見えやすさ,3)受け手にとっての指示対象の見えやすさを明らかにするような軌道でなされている可能性が示された.
  • P2-13
    大村勝久 (静岡県立浜松北高等学校)
    遠山紗矢香 (静岡大学)
    学習者の知識の活用を促すには,学習者が深い理解に至ることが重要だと考えられている.そこで本研究では複素数平面の証明問題を解決することを通じて複素数平面の理解を促すことを目指した協調学習型の授業を構築し,授業後の生徒の解答と授業中の生徒の発話から理解過程を分析した.その結果,生徒は「長さ」や「回転」等の日常生活になじみ深いことばと複素数平面の概念とを徐々に結びつけながら問題解決を進めていたことが示された.
  • P2-14
    河野拓未 (千葉工業大学大学院)
    山崎治 (千葉工業大学)
    本研究の目的は,自己調整学習における社会的存在感の検証として,自己調整学習者間で利用できるSNS環境を用意した場合の学習効果を明らかにすることである. 本研究では,2週間の学習期間を設け,学習期間の前後で学習課題に沿った試験を行った.参加者はSNS環境を用いるか否かで2つのグループ(つながりあり群/つながりなし群)に分けられた. 学習期間前後に2回の試験を行った結果,つながりあり群が高い学習効果を得られたことが示された.
  • P2-15
    猪原敬介 (くらしき作陽大学)
    読書が語彙学習に及ぼす効果について,Nagy [1]やCarver [2]の試算がこれまで提案されてきたが,関連する変数間の相互作用を仮定しないなどの点で不十分であった。本研究では,読書時間,未知語率,読み速度,学習率などについて,平均値,想定される個人差,変数間相互作用を実装する関数を,先行研究を参照することで設定し,試算を行った。結果として,標準的な読み手が年間に獲得する語彙数は,延べ数で3,371語であると試算した。
  • P2-16
    大槻正伸 (福島工業高等専門学校)
    小泉康一 (福島工業高等専門学校)
    大塩智規 (東洋システム株式会社)
    異なる2つの異なる長方形対を両眼立体視すると,傾いた平面が錯視像として得られる。 本研究では,(1)異なる長方形対群を画面表示するプログラム,(2)(1)で得た画面を両眼立体視したときの錯視像を計算するシミュレーションプログラム,(3)曲面を与え,それを錯視像として得るための刺激平面を作成するプログラム の作成を行った。(3)は一部のみ錯視像として得られるが不完全なところもあり,完全にすることが今後の課題として残されている。
  • P2-17
    牧野遼作 (早稲田大学 人間科学学術院)
    友野貴之 (早稲田大学 人間科学学術院/大学院人間科学研究科)
    三嶋博之 (早稲田大学人間科学学術院)
    古山宣洋 (早稲田大学 人間科学学術院)
    本研究の目的は,「自分以外の他者たちがインタラクションに従事していること」に対する人々の観察可能性を検討することである.オブジェクト間の点滅が異なる条件の間隙通過実験とアンケートを実施した.実験・アンケート結果に対して分析を行った.結果より,点滅条件に対してオブジェクト間がコミュニケーションしているか見なすか否かに協力者によって異なること,そしてその違いによって,間隙通過判断に対して点滅条件が与える影響に違いが生じる可能性が示唆された.
  • P2-18
    千葉哲志 (千葉工業大学院)
    山崎治 (千葉工業大学)
    本研究では、GUI操作において操作対象の表示属性が自己帰属感に与える影響について検討した。マウスの動きに対応する表示属性が「カーソルの動き」以外の場合の自己帰属感を検証するため、操作対象のオブジェクトの「大きさ」が変化するシステムを用い、当該オブジェクトを特定する実験を行った。得られた実験結果について分析を行った結果、操作による特定はなされていたが、自己帰属感そのものは希薄であることがわかった。
  • P2-19
    石井奏有 (筑波大学人間総合科学研究科)
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    情報機器インタフェースにおける階層的メニュー構造の理解が,内容親和性,および年齢群によりどのように異なるかを明らかにするため,認知地図の形成・利用という観点から検討を行った.高齢者と若年者を対象に,メニュー構造が階層化された情報システムの操作後,機器操作手順を他者に説明する説明課題,メニューに関する認知地図形成の程度を明らかにするためのカード分類課題を実施した.課題成績,発話内容の分析をもとに,考察を行う.
  • P2-20
    川口りほ (東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻)
    柳澤大地 (東京大学先端科学技術研究センター)
    西成活裕 (東京大学先端科学技術研究センター)
    周囲の行動を予測する際, 他人の選好に関する情報を得ようとする. 集団の中で意思決定する場合, 周囲の人の平均的な嗜好を表す情報を参考にすると考えられる. 本研究では, このような曖昧で不確実な情報をもとに意思決定をする状況を再現するために新たなゲームを構築し, 実際の参加者による実験を行い, 参照情報がある場合の人の意思決定方法を分析した.
  • P2-21
    渋谷賢 (杏林大学医学部統合生理学教室)
    畝中智志 (北翔大学生涯スポーツ学部)
    座間拓郎 (理化学研究所 脳神経科学研究センター)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    大木紫 (杏林大学医学部統合生理学教室)
    我々は,ラバーハンド錯覚誘発中の偽の手の運動観察が,感覚運動野を活性化する現象を発見した.本研究は,脳波独立成分クラスタリングにより,この現象の妥当性をさらに検討した.錯覚は,運動観察時の感覚運動野活性を高めたのに対し,後頭葉の活性化には影響を与えなかった.頭頂葉の活動は,逆に錯覚が無い場合により活性化した.本結果は,感覚運動野と頭頂葉の活性化が自己と他者の身体運動認知と関連する可能性を示唆する.
  • P2-22
    井岡裕也 (認知脳科学研究室、明治大学、理工学研究科)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    視覚情報と運動情報の統合によって仮想の手に対して運動主体感および身体保持感を感じるロボットハンド錯覚がある. 本研究では, ロボットハンドの指先と手の平の向きを変化させ, さらに動作に遅延を加えた場合, どのように錯覚が生起するかを調べた. その結果, 実際の手とロボットハンドが, 時間的または空間的に不整合のとき身体保持感は生起しないこと, 一方で、時間的整合性さえ成り立てば運動主体感は生起することが確かめられた.
  • P2-23
    畑野圭佑 (電気通信大学 情報理工学研究科 人間情報学講座)
    阪口豊 (電気通信大学)
    主観的な運動規範が身体運動に与える影響を明らかにするため「仮想的身体知覚に基づく教示」がもたらす効果を実験的に検討した.右上肢の到達課題において,「手先経路が直線になるように動かす」場合と「まるで自分の手が上から引かれているように感じながら動かす」場合における手先軌道,関節軌道,筋活動を解析したところ,2つの条件でほぼ同様の手先直線性が得られる一方で,身体運動のキネマティクスやダイナミクスには違いが生じることが明らかになった.
  • P2-24
    高埜悠斗 (東京電機大学情報環境学部)
    日根恭子 (豊橋技術科学大学情報・知能工学系)
    アスリートは重要な試合で最も良いパフォーマンスを発揮したいと考えるだろう.先行研究より,中程度の緊張状態が最も良いパフォーマンスを発揮できることが示されている.しかし,過度の緊張のため,良いパフォーマンスが発揮できないことがある.そこで本研究では,特別な練習を必要としない緊張緩和方法を検討した.その結果,急激に運動をした後,休息することで,パフォーマンスの低下を防げる可能性が示唆された.
  • P2-25
    宮代こずゑ (宇都宮大学教育学部)
    冨田茉林 (宇都宮大学教育学部卒業生)
    本研究では,他者とのコミュニケーションの中での攻撃的ユーモア使用について,質問紙による検討を行った.結果より,攻撃的ユーモアはすべての使用動機において,親しくない友人よりも親しい友人に対してより多く使われること,攻撃的ユーモア使用頻度と友人得点尺度との相関の出方については,相手との関係性による違いは見られないこと,またそのポジティブな動機の下で用いられる攻撃的ユーモアはより円滑な友人関係と関連があることが示唆された.
  • P2-26
    武富拓也 (明星大学)
    本稿は,複数の実践共同体(community of practice,以下CoP)の関係構築のあり方が開発されたアプリケーション(以下アプリ)の表現にどのように影響しているかについて,大学のPBL(Project based learning)授業を研究対象とし分析,考察を行った.複数のCoPの関係構築のあり方と関係の変化によって,アプリも変化したことを確認している.
  • P2-27
    加坂渉 (東京電機大学情報環境学部)
    日根恭子 (豊橋技術科学大学情報・知能工学系)
    向社会的行動は意識的に行うだけではなく, 無意識のうちに環境の影響を受ける可能性がある. 本研究の目的は特定の態度に意味的に関係のない課題によって, 態度の1つである向社会的行動に影響が生じるかを明らかにすることである. その結果, 向社会的行動に関する顕在的態度は, 課題で提示された刺激と関連のある態度をとりやすくなる一方,潜在的態度は提示された刺激と関連のある態度と逆の態度をとりやすくなることが示された.
  • P2-28
    山森良枝 (同志社大学)
    本論では、「我々日本人」のように、文中で同じ役割を担い、同じ対象を表す2つの名詞句N1、N2が並列した構造を持つ [N1 N2]型の同格名詞句(nominal apposition) を対象に、Abrusάn (2016)、西山(2003)の前提とコピュラ文に関する研究を踏まえて、これまであまり議論されてこなかった情報構造、即ち、N1とN2の間の前提ー焦点構造が、同格名詞句の形成に及ぼす影響について考察する。
  • P2-29
    佐山公一 (小樽商科大学)
     “読解力”が,事前の音読で向上するかどうかを実験的に検討した.音読あり群の参加者は,リーディングスキルテスト受検前に2回音読を行った.その後,全員がリーディングスキルテストを行った.事前の音読課題の有無を参加者間要因とし,偏差値を分散分析したところ,イメージ同定と具体例同定(辞書)で有意差が認められた.具体的なイメージを想起する必要のある問題を解くとき,彼らのパフォーマンスが音読によって向上した.
  • P2-30
    宇野良子 (東京農工大学)
    大海悠太 (東京工芸大学)
    林淑克 (University of Reading, UK)
    篠原和子 (東京農工大学)
    本研究では、コミュニケーションの有無あるいは個人の特性が、新しいオノマトペの創発にどのように関わるかを分析した。実験では、視覚的に触感覚を表現するテクスチャを提示し、参加者はそれをオノマトペで表現した。一人で表現する条件と二人で表現する条件で行なった。結果、二人で表現した時のオノマトペを一人で表現する時に多く流用する参加者と、ほとんど流用しない参加者がおり、前者と比べると後者は新しいオノマトペを有意に多く用いることが示された。
  • P2-31
    西堀遥輝 (静岡大学大学院 総合科学技術研究科 情報学専攻)
    竹内勇剛 (静岡大学創造科学技術大学院)
    P-Q間のツンデレインタラクション(TDI)にてPがQに対して敵対的態度を表明したりする場合(ツン)と,PがQに対して好意的態度を表明したりする場合(デレ)の背反する2面が存在する.しかしTDIがどのようなメカニズムのもとで2者間のインタラクションを成立させているのかこれまでの議論で明らかになっていない.そこで本研究はTDIの参与者間の内部状態とその変化の過程をコンピュータシミュレーションを通して検証することで,TDIのモデル化を行う.
  • P2-32
    稲葉みどり (愛知教育大学)
    大学の授業におけるグループ活動の教育的効果を探るために、学生が課題達成の過程でどのような相互交流を行ったかについて、協同学習の基本的要素「積極的相互交流」、「肯定的相互依存」、「個人の2つの責任」、「社会的スキルの促進」、「活動の振り返り」に着目して分析した。資料は、授業後に実施した振り返りの自己評価の回答である。結果を踏まえ、グループ活動の活性化に教師はどのように介入していくかが課題となった。
  • P2-33
    山田陽平 (愛知学泉大学)
    相田優希 (岐阜県立岐阜各務野高等学校)
    本研究では,けん玉の技の習得過程を一人称の視点から観察して分析した.学習者は「ふり剣」練習中の身体感覚や問題意識を発話し,その言葉の内容を分析した.43日間の練習によって成功率は50%から100%まで上昇した.練習を開始時は玉に剣を刺すことばかりに注目していたが,次第に膝や手の動きへ,足と床の接触,指と剣の接触など身体の詳細な部位への意識が増加した.さらに膝と玉の連携,頭部と玉の連携,身体全体へと意識が向くようになった.
  • P2-34
    森山信也 (東京電機大学大学院理工学研究科)
    安田哲也 (東京電機大学理工学部)
    小林春美 (東京電機大学大学院理工学研究科)
    過去の多くの空間指示詞の研究は、対象との距離や、話し手と聞き手の位置関係に着目して行われてきたが、近年では対象の可触性や可視性等も影響する可能性が高いとされている。本研究では、指示が明瞭な場合と不明瞭な場合で、話者間の情報共有の程度によって指示詞使用に差が生じる可能性を検討した。実験の結果、指示が明瞭な場合のみ、事前の情報共有の程度によって指示詞使用に差が生じた。指示の明瞭さだけでなく、情報共有の動機の強さも影響を与えた可能性がある。
  • P2-35
    加藤祥 (国立国語研究所)
    浅原正幸 (国語研究所)
    テキストから対象物を認識するにあたり,テキストのどのような内容が重要視されるのか,対象物同定実験を行い,読み手の視線を調査した.用途などの「ヒトとの関係」や外観説明「形態」から対象物は同定されやすく,特に「形態」が注視される傾向にある.これらの他の情報は影響が少なく,辞書に記載のある情報や高頻度で目にしやすい情報など,読み手が重要と考える要素が,必ずしも注視されず,読み手の意識と読み方が一致するのではないことがわかった.
  • P2-36
    関根和生 (慶應義塾大学)
    児玉謙太郎 (神奈川大学)
    清水大地 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究では,ラップ中の手の運動がラップの音響特性にどのような影響を与えているかを検討した.プロのラッパーに参加してもらい,手の動きを抑制したり,自由に動かせたりする条件下でラップをしてもらった. 手の動きを抑制すると,ラッパーは大きい声を出すようになること,手が動かせる条件下ではピッチが高まることが示された.以上の結果から,ラッパーの手の動きは,単なる視覚的効果だけではなく,ラップの音楽・言語活動を促進させる効果もあることがわかった.
  • P2-37
    川﨑貴子 (法政大学)
    田中邦佳 (法政大学)
    竹内雅樹 (東京大学大学院)
    マシューズジョン (中央大学)
    本論文では, L2音声習得が進むことで, 無声摩擦音の音声知覚マップがどのように変化するのか, そして既にあるL1音間の距離はどのように変化するのかを, ノイズ下での音声混同実験により調査した。混同傾向のMDSによる分析,および選択肢の選択率の比較により, 習得が進むことにより, [i] が後続する環境で, s, shが区別される, t,sの距離が近くなるなど, 知覚マップに変化が見られた。
  • P2-38
    髙木幸子 (常磐大学人間科学部コミュニケーション学科)
    坂本暁彦 (東京電機大学理工学部共通教育群)
    対格WH語を伴う修辞疑問文では発話時に聞き手を非難する解釈が生じうる.非難の解釈には,指示的解釈と非指示的解釈の2種類があるとされ,それぞれに対して異なる統語・韻律構造が想定できる.当該構造から,指示的解釈ではWH語に,非指示的解釈では動詞に強調アクセントが置かれるとの予測が成り立ち,その妥当性が検証されてきた.本研究ではさらに,上記のように予測される音声情報と視線情報を同時に呈示した場合の聞き手による指示性解釈の変化を検証した.
  • P2-39
    遠山和杜 (早稲田理工学術院 基幹理工学研究科 表現工学専攻 渡邊克巳研究室)
    北村美穂 (早稲田大学 高等研究所)
    渡邊克巳 (早稲田理工学術院 基幹理工学研究科)
    本研究では椅子画像に対する価格推定課題によって,アドバイスの距離と方向性(ベクトル)がアドバイス受容に与える影響を検討した.実験参加者は呈示された椅子画像から価格を推定し(初期判断),初期判断を±75%,±50%,±25%いずれかの割合で増減させた価格をアドバイスとして与えられた上で再度価格推定を行った.試行毎にアドバイス受容の程度を算出した結果,初期判断に対するアドバイスのベクトルがアドバイス受容に有意な影響を与えることが認められた.
  • P2-40
    大久保光 (東京電機大学情報環境学部)
    日根恭子 (豊橋技術科学大学情報・知能工学系)
    インターネットショッピング(ネットショップ)が急速に普及している。ネットショップでは背景色が容易に変えられるが、背景色が購買にどのような影響を与えるか不明な点が多い。実験では、同一商品で5種類の背景色について一対比較法により、どちらを買いたいかを問う課題を行った。その結果、赤・青・緑より白・黒の方が商品の選択順位が高かった。ネットショップには、白や黒を背景色に用いると,購買を促進する可能性がある。
  • P2-41
    福岡未紗 (名古屋大学大学院 情報学研究科)
    三輪和久 (名古屋大学)
    本研究は,先行研究と同一の課題を用い,判断表明後のグラフ理解のプロセスに対する提示グラフからのボトムアップ処理と印象および態度に基づくトップダウン処理の影響を検討した。結果,印象の影響は見られず,判断を表明したことにより排除された。一方で,態度の影響は判断にのみ見られ,判断は態度に強く影響された。情報の理解に様々な要因が影響することを客観的に把握することは,より良い情報理解や判断の教育に繋がると考える。
  • P2-42
    黒田航 (杏林大学)
    阿部慶賀 (岐阜聖徳学園大学)
    横野光 (富士通研究所)
    土屋智行 (九州大学)
    小林雄一郎 (日本大学)
    浅尾仁彦 (情報通信研究機構 (NICT))
    金丸敏幸 (京都大学)
    田川拓海 (筑波大学)
    日本語の282種の文の容認度評定と共に11種類の社会属性の値を1880名分取得した.層別解析で有意差が生じた事例数はQ1,Q7,Q4,Q9,Q2,Q10,Q5,Q3,Q6,Q8,Q11[影響力の順]でそれぞれ34(11.3%),22(7.3%),21(7.0%),21(7.0%),20(6.7%),19(6.3%),17(5.7%),16(5.3%),13(4.3%),13(4.3%),11(3.7%)だった.
  • P2-43
    清河幸子 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    Zoltan Dienes (University of Sussex)
    本研究では,言語化の宛て先を考慮した上で,思考の言語化が洞察問題解決に及ぼす影響を検討した.具体的には,「他者に向けた言語化を行う際には,メタ認知的モニタリングが促進される」との仮説に基づき,自分自身に向けた言語化を行う場合に比較して,他者に向けた言語化を行った場合に洞察問題解決の成績が高くなると予測した.しかし,言語化の宛て先によって解決成績に差は認められず,仮説を支持する結果は得られなかった.
  • P2-44
    馬田一郎 (株式会社KDDI総合研究所)
    伊集院幸輝 (産業技術総合研究所)
    加藤恒夫 (同志社大学)
    山本誠一 (同志社大学)
    発話ターン制御に注視行動が果たす機能について、発話の基盤化アクト毎に注視行動の分析を行った。言語能力が与える影響を詳細に比較する目的で、母語3人対話と第2言語3人対話の注視行動を比較した結果、両言語条件に共通してack 発話では現話者から次話者への注視量は他の基盤化アクトに比べ低くなることが観察された。これは ack 発話では、基盤化だけを行いそれ以外の新規情報を提示しないため、現話者の次話者の選択権限が低くなるためと考えられる。
  • P2-45
    田中伸之輔 (筑波大学 人間系)
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    須藤智 (静岡大学)
    最新式冷蔵庫を高齢者居住家庭(独居,夫婦のみ,3世代同居世帯)に設置し,3か月間にわたって継続利用する様子を観察する家庭訪問調査を行った.その結果,冷蔵庫という極めて単純な人工物であっても利用困難が生じうることが示された.加えて,新しい冷蔵庫と利用者間の相互作用は家族構成間で異なっており,その差異は「家の中」の人や人工物が構成する,社会-技術的アレンジメントに立ち現れていることが示された.
  • P2-46
    下條志厳 (立命館大学総合心理学部)
    林勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では,knowledge awareness toolsとして知られているコンセプトマップを用いた協同学習におけるターンテイキングと個人・ペアにおけるパフォーマンスとの関係性を検討することを目的とした.そこで,話者交替の回数と個人間のパフォーマンスとペア内のパフォーマンス差との相関分析を行った.その結果,それらの変数間には有意な相関が認められなかったが,後者における差が大きい場合負の相関の傾向がみられた.
  • P2-47
    其田憲明 (東京電機大学大学院)
    高橋達二 (東京電機大学 理工学部)
    本論文では, Risk-sensitive Satisficing (RS)とRSを用いた満足化と記録共有による対抗模倣について, goal-setting theoryとの比較を行うことで人間の学習との関連性を把握することを目的とする. バンディットタスクを用いた確率的なノイズと疎な間隔での情報共有について検証を行なった結果, RSとRSによる対抗模倣にはgoal-setting theoryとの共通する点が見られた.
  • P2-48
    熊谷洋 (北九州市立大学)
    森本泰宏 (北九州市立大学)
    顧是凡 (北九州市立大学)
    松田憲 (北九州市立大学)
    有賀敦紀 (広島大学)
    「選択のオーバーロード現象」には賛否両論あり、必ずしも一致した見解があるわけではない。そこで、今回商品に対する関心度を予め分析し、商品選択肢数の相違に伴う満足度、後悔度及び購入意図の変化と「選択のオーバーロード現象」の発生について検討した。その結果、同一の参加者でも用いたペットボトルの種類と商品への関心度の相違によって「選択のオーバーロード現象」の有無が生じることが確認できた。
  • P2-49
    鶴島彰 (セコム株式会社 IS研究所)
    反応閾値モデルとソーシャルフォースモデルを組み合わせたマルチエージェント・シミュレーションによって、地震避難における「逃げる」と「留まる」の選択が織りなす空間パターンの創発現象に対して、合理的思考、認知バイアス、物理条件の三要素が与える影響について分析した。さらに合理的に振る舞うエージェントの割合を変化させることで,合理的思考の影響について分析した.
  • P2-50
    森山徹 (信州大学)
    園田耕平 (立命館大学)
    右田正夫 (滋賀大学)
    齋藤帆奈 (東京大学)
    心の本質とは何か.それは,我々がヒトや動物と対面する際生じる「何をしだすかわからない」という感覚,すなわち,予測不能性,理解不能性,総じて,他者性であろう.筆者らは,この他者性を生みだす実体を,ヒトや動物に潜在する行動抑制ネットワークであると考えた.発表では,ダンゴムシに他者性としての心を見出す例を紹介し,心は複雑な情報処理機械であるという仮想から抜け出し,心は創発をもたらすネットワークであるという現実の理解へ至るアプローチを紹介する.
  • P2-51
    三宅英典 (松山東雲女子大学)
    関根和生 (慶應義塾大学)
     発話と身振りの処理過程を明らかにするために視覚的注意に焦点を当て,子どもが話者のどこを見ているかを検討した.6歳児21名,女子大学生21名を対象に,日常的な動作を発話と身振りで伝達するビデオをみせ,その後,4枚の写真からメッセージと最も一致するものを選択させた.課題に取り組む参加者の視線を計測した結果,6歳児は顔や身振りに対する視線に成人と差がみられなかったものの,発話と身振りの統合能力では両者に差があることが明らかになった.
  • P2-52
    安念保昌 (愛知みずほ大学人間科学部)
    29名の実験参加者にアイトラッカーを装着して、18対の肯定・否定刺激への視線行動を記録した。実験終了後、ベックの尺度を用いて抑うつ傾向を探るとともに、平均睡眠時間も聞いた。これら2つの測度とその交互作用が、18対のスライド刺激の肯定・否定刺激への視線行動にどのような影響があるかを探った。視線分析では、初視・注目・注視・瞬目の4つの観点から分析し、刺激によって、これらの分布クラスタに3つのタイプがあることが示された。
  • P2-53
    村越真 (静岡大学教育学部)
    南極地域観測隊を対象に、氷河のリスクに対するイメージについて、南極滞在の前後で活動時の写真を使った聞き取りを行った。また、氷河上で活動する研究者からの聞き取りをおこなった。その結果、滞在前後でリスク評価が低減する傾向に見られたが、その背後にはリスク要因に関する体験的知識や科学的知識の獲得が推測された。リスクに対する認知バイアスの問題について、知識や推論の点からアプローチする重要性が指摘された。
  • P2-54
    山口琢 (フリー)
    大場みち子 (公立はこだて未来大学)
    「考え方」の研究において、Webアプリケーションとして実装した文章やプログラム・コードのジグソー・パズルを題材に、見て並べ替えるUIと聞いて並べ替えるUIとでプレイヤーの考え方が異なるかどうかを比較するとき、2つのUIが備えるべき要件を論ずる。考え方・解き方の違いを比較するためには、測定できるデータから比較したい事象を検出できるようにUIを設計・実装する必要がある。
  • P2-55
    佐藤有理 (京都大学文学研究科)
    唐沢かおり (東京大学人文社会系研究科)
    橋本剛明 (東京大学人文社会系研究科)
    出口康夫 (京都大学文学研究科)
    認識概念の特性を解明するため、認識態度動詞を含む様々な推論課題を用いた実験を実施した。knowを含む人々の推論は、S4-D体系(叙実性のため公理Dを様相論理体系S4から除外)に合致していた。believeとseeとunderstandの人々の推論パターンは、knowといくつかの推論タイプで異なっていた。一方で、be-informedとbe-awareとrememberは、knowとの違いが本実験では検出されなかった。
  • P2-56
    福永征夫 (アブダクション研究会)
    デカルトは難問を,できるだけ多くの小部分に分割することを説いて,要素還元主義という領域学の方法論を確立したが,分割した部分を全体としてまとめる広域学の方法を見出すには至らなかった. 近現代を通じて乗り越えることのできなかったアポリアに挑む道は, 自然や生命・社会の系が相補的なベクトルを持つことに立脚して, 領域学による知識・行動と広域学による知識・行動を,より普遍的な知識・行動に融合する知の統合基盤を確立することである.
  • P2-57
    中村太戯留 (武蔵野大学)
    ユーモアには何らかの不調和が関与することが知られている.しかし,ユーモアを生じない不調和もあり,ユーモアを生じる条件は不明である.本研究では,韻律を有する皮肉的表現を用いて,文脈情報,発話内容,そして発話韻律の組み合わせで,不調和とユーモアの関係を実証的に検討した.結果,ネガティブな文脈とポジティブな内容と韻律の組み合わせの面白さが一番高く,ユーモアは文脈との不調和数と関係する可能性が示唆された.
  • P2-58
    金野武司 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    村上萌美 (NECソリューションイノベータ)
    人間言語には非常に多くの語彙があり,かつその語彙の意味は集団で共有されている.人間は局所的なコミュニケーションを繰り返して共通の語彙を持った言語を創り出すことができる.本研究では,記号のやり取りを通じて協調的な調整課題に取り組むゲーム枠組みを用いてその計算モデルを構築した.結果,記号の意味推定に応じた行動修正の仕組みや他者の記号の使い方と行動の仕方を模倣する仕組みがあれば,集団で同一化した記号システムが形成されることを確認した.
  • P2-59
    長島一真 (静岡大学)
    森田純哉 (静岡大学情報学部)
    竹内勇剛 (静岡大学創造科学技術大学院)
    近年,人間とインタラクションをするエージェントが身近になってきている.これらのエージェントに対し,多くのユーザは当初楽しみを感じるが,動作を予測できてしまうと次第に飽きを感じ,利用をやめてしまう.本研究では,認知モデルを用いたインタラクションを継続するエージェントの構築を目指す.第一段階として,内発的動機を導入した認知モデルを用い、「楽しみ」と「飽き」を表現し,エージェント間のインタラクションの持続条件を明らかにすることを試みる.
  • P2-60
    児玉謙太郎 (神奈川大学)
    山際英男 (東京都立東部療育センター)
    安田和弘 (早稲田大学)
    本研究では,綱渡りのようなバランス・スポーツ“スラックライン”のトレーニング効果の検証を目標にする.本発表では,その効果を評価する方法,課題について検討した予備実験の結果を報告する.予備実験の結果,スラックラインによるトレーニングの効果は,不安定なバランス課題(片脚立ち,支持面が不安定な条件)で,より顕著な変化(姿勢動揺の減少,持続性相関の強化)が観察された.今後,さらにデータを収集し統計的に検証したい.
  • P2-61
    阿部慶賀 (岐阜聖徳学園大学)
    触覚プライミング研究では直前に触れた物の手触りによって、その後の協力ゲーム課題での行動に変化が生じることが報告されている。本研究ではこの効果が拡張された身体への擬似的な触覚刺激であっても生じるのかを明らかにする。具体的には,PC上のマウスポインタを通して擬似的な触覚体験を提示し、その後の協力ゲーム課題での行動を比較した。その結果、提示した刺激の種類によって協力行動の表れやすさが異なることが明らかになった。
  • P2-62
    松本一樹 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    近年,鑑賞者がいかに作品の背景にある作者情報の認識の鑑賞における重要性が示されてきている.本研究はこれに沿い,作者の方に意識を向けながら作品を見ることと,作品自体の表象する意味世界(作品世界)の形成(特に想像の広がりの程度)やその他の美的印象等との関係性を検討した.写真作品を素材とした実験を行った結果,作者に意識を向けることで作品世界の想像が促進され,その想像の促進度と好みや感嘆といった美的印象等が相関することが示された.
  • P2-63
    和田周 (公立はこだて未来大学)
    楠見孝 (京都大学大学院教育学研究科)
    地村弘二 (慶應義塾大学)
    寺井あすか (公立はこだて未来大学)
    本研究は創造的特徴が生成される連想過程について、心理実験・言語データ解析に基づき検討した。2つの単語対が表す特徴を自由に回答する特徴生成課題を用いた心理実験結果に対し、回答された特徴間の”意味的距離”を言語データに基づき推定し、その距離を重みとして持つ連想ネットワークを作成する事で、創造的特徴を含む連想の特性を検討した。その結果、創造的特徴は多数の特徴からなる広範な連想過程において一定程度の連想が進んだ段階で生成されることが示された。
  • P2-64
    宮崎祐 (ヤフー株式会社)
    小林隼人 (ヤフー株式会社)
    菅原晃平 (ヤフー株式会社)
    山崎朋哉 (ヤフー株式会社)
    野口正樹 (ヤフー株式会社)
    自然言語処理の分野で活用されているword2vec により学習された分散表現上では,単語の意味的な変換をベクトル演算として計算できることが知られており,アナロジー操作と呼ばれている.本論文では, アナロジー操作を可能にするベクトル空間が,学習処理でどのように構築されていくのか,圏論を用いて定式化を試みる.層を用いたベクトル空間の構成を示し,導来圏の導入による学習時のベクトル空間の代数構造を捉えるに方法について議論する.
  • P2-65
    田中吉史 (金沢工業大学)
    中野裕太 (金沢工業大学)
    後藤優佳 (金沢工業大学)
    本研究では創造的思考課題の一種であるUnusual Use Test(UUT)に対して、実験参加者のMW傾向と、UUTと同時に実行する副課題が与える影響について検討した。実験の結果、流暢性と独自性に対して、MW傾向、副課題とも影響が見られなかった。柔軟性に関してはMW傾向の高い参加者の方が高い傾向が見られたが、副課題の効果は見られなかった。
  • P2-66
    下條朝也 (名古屋大学)
    三輪和久 (名古屋大学)
    寺井仁 (近畿大学)
    我々はどのような説明を良いと感じるのか.近年,心理学では,科学哲学における「人間は,説明の起こりやすさの推定に,その説明の美しさを用いる」という主張に基づき,様々な実証研究がなされている.特に,説明の美しさの要素であると考えられる「説明の単純さ」や「未観測の事象の数」が説明の選好や事後確率推定に与える効果を独立に検討したものが主である.本研究では,上記2要因を同時に操作することで,効果の程度の比較と,それらの交互作用の有無を検討する.
  • P2-67
    中野良樹 (秋田大学教育文化学部)
    タングラムとはパズルゲームの一種で,解決には定型的な思考を脱し発想を転換する洞察問題である.複数のタングラム課題をくり返し,課題間での難易度の違いや,くり返しに伴う主観的自信度の変化と視線移動などの特徴を検討した.50名が実験に参加し,3つの課題に取り組んだ.自信度,眼球運動,ピース操作のデータから,問題解決に優れた作業者は広範囲に問題空間を検索し,主観的な自信度は低下しても,着実に解へと向かっていることが明らかになった.
  • P2-68
    太田博三 (放送大学 教養学部)
    昨今,ディープラーニングの進展が急速に高まりを見せながらも,人間関係を配慮した対話ではなくなっている。自然な発話だけでなく、対人配慮した会話は、生活する上で必要不可欠である。この中で,本稿は,従来の制御文により対話応答文生成のアプローチを言語学の語用論の視点、とりわけポライトネスと敬語を主とした配慮表現とを用いたものである。縦断的対話データも含め、配慮表現コーパスを作成し、分析手法も提示したものである。

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