研究分野別一覧

発達

  • P-8
    稲葉 みどり (愛知教育大学)
    本研究では、物語文の萌芽期の発達の特徴を内容面に着目して考察した。日本語を母語とする3歳前半と後半の幼児の物語文をKH Coder 3を使用したテキストマイニングの手法により、頻出語、共起ネットワークを検出して分析した。その結果、絵本の各場面における主人公や登場動物の行動の絵描写的な内容から、行動の背景となる場面についても空間的、時間的な視点から言及し、主人公の心情にも触れる発達過程が明らかになった。
  • P-19
    本多 明子 (神戸女子大学)
    本研究では,英語の結果構文の獲得について,子どもの発話データベースCHILDESに基づき調査を行い,その結果を踏まえ,形容詞を伴う結果構文(RC-Adj)と前置詞句を伴う結果構文(RC-PP)との関係について明らかにする.言語獲得の初期段階では,RC-Adjに比べるとRC-PPの発話頻度が高い.その理由についても,子どもの発達過程を考慮に入れつつ,構文文法論の観点から両者の構文特性が関係していることを示す.
  • P-47
    山本 尚樹 (立教大学 武蔵野美術大学)
    本研究では,ろくろ挽きという同じ木の加工技術を用いつつも,異なる作風をもつ木工作家2名の制作過程について,道具に着目しながら制作の様子を分析した。その結果,制作物に応じて,作家が道具を設えていること,また制作プロセスに質的に異なる変動が見られた。
  • P-49
    西尾 千尋 (中京大学心理学部)
    1名の乳児の歩行開始前後の行為を縦断的に観察し、日常環境において物と関わる行為と、運搬行動の変化について検討した。歩行開始前に比べるとそれ以降では、複数の物の組み合わせと運搬が増加した。歩行を始めることで自ら物に触る機会が増え、複数の物の組み合わせも増加していくと考えられる。
  • P-52
    木﨑 圭介 (神戸大学大学院)
    野中 哲士 (神戸大学)
    匠の技において技能を継承することは非常に困難である.また, 匠の技術がどこまで繊細であり, 自然と身につけた技能はどこを意識しているのかを解明することは難しい.今回の研究では, 扇子の骨組みを30年以上製作している匠の視線を計測した.この計測データから, 匠と呼ばれる職人が見せる視線の動きと, 特徴を分析する.
  • P-69
    中野 綾香 (東京大学大学院教育学研究科)
    本稿は,学校地域間連携活動における境界の重層的な横断によるボランティア間の相互作用に着目する.分析の結果,ボランティアは,活動への十全的な参加度合いを境界として実践的知識をやり取りし,外部からの異質な視点を用いて,他者からの知識を解釈,調整して自らの実践へと適用していた.また,協働的な実践を通じたボランティア間の関係性構築により,企業生活などの外部活動に関する視点交流が行われ,世代性という新たな境界の生成という境界の動態性が示された.
  • P-75
    山本 希 (京都大学大学院)
    今井 むつみ (慶應義塾大学)
    本研究では,仮説形成に関わる類推能力の発達を扱った。4-6歳児を対象に作成した課題を用いて,この能力は幼児期に存在するのか,存在するとすれば,具体的に,どのような関係性の類推が可能になり,何が発達するのか検討した。その結果,①仮説形成に関わる類推能力は幼児期から発達がみられること,②特に「大小に注目した関係」を扱った類推が,年中から年長にかけて発達が見られることが示唆された。