日程 9月10日(土) 13:00 - 15:00

オーガナイズドセッション05 (OS05)

認知科学のモデル論―モデルからみる認知の多様性―
オーガナイザー:
林勇吾(立命館大学)
大森隆司(玉川大学)
竹内勇剛(静岡大学)
森田純哉(静岡大学)
寺田和憲(岐阜大学)
  • OS05-1
    マルチモーダルな予測と推論に基づく実世界認知アーキテクチャ: 記号創発ロボティクスから全脳確率的生成モデルまで
    招待講演
    谷口 忠大 (立命館大学)
    認知の構成的なモデルを考える時、計算論的なモデルの存在が不可欠である。また実世界適応に基づいて進化・発達してきた認知システムを捉えるためには身体の存在が重要である。講演者らは記号創発ロボティクスの研究を通して、マルチモーダル情報に基づく認知システムの構成を行ってきた。本講演では自由エネルギー原理等の近接的な概念を紹介しながら、確率的生成モデルにより統合的な認知システムの表現を目指す全脳確率的生成モデルの展望に関して述べる。
  • OS05-2
    公募発表
    長島 一真 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    Marrによれば個々の認知モデルは複数の水準からなる階層に位置づけられる.同一の対象に対して,複数の階層のモデルを統合することで,対象の総合的な理解が導かれる.そこで本研究では,好奇心を対象とした複数の階層のモデルを比較検討する研究を行った.下層の実装水準のモデルとして深層強化学習,中層のアルゴリズム水準のモデルとしてACT-Rモデルを選択した.その結果,これらのモデル間で整合する特徴が現れた.
  • OS05-3
    公募発表
    中川 渉 (東京医科歯科大学)
    山下 祐一 (国立精神・神経医療研究センター)
    谷口 忠大 (立命館大学)
    岡田 幸之 (東京医科歯科大学)
    高橋 英彦 (東京医科歯科大学)
    本研究では、混合ガウスモデルから生成した画像を用いてカテゴリー学習課題を行った。変分推論を用いて最適な行動をモデル化し、課題における行動と精神疾患傾向との関連を調査したところ、モデルとの乖離度と注意欠陥多動性障害の傾向との間に有意な負の相関を認めたほか、自閉症スペクトラム障害の傾向との間にも有意な負の相関が存在する傾向を認めた。
  • OS05-4
    公募発表
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    不可能立体とは、立体的な構成が不可能と判断される平面図形である。しかし、実際には立体として構成可能な不可能立体が存在する。こうした知見は、平面図が持つ制約条件より、強い条件下で立体知覚が成立することを示唆する。本研究は、その条件の一つとして知覚的な構造補完があり得ることを示す。具体的に、ある平面上の線画を射影として持つ任意の立体像を構成する方法を用い、ある種の知覚的補完にあたる制約を加えることで、立体的構造が構成不可能になる例を示す。