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注意

  • O1-4
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    浅野昭祐 ((株)イデアラボ)
    Lynn Hasher (トロント大学心理学部)
    認知的加齢の現象とされるディストラクタの記憶と,文化的情報処理様式の相違による「より広範な文脈処理の記憶」との関係性を明らかにするため,日本人サンプルを対象として,ディストラクタ記憶の年齢群間比較を行う4つの実験を実施した.その結果は英語圏での先行研究の結果と大きく異なり,文化的処理様式の効果と加齢の効果の独立性と,そこに関与する言語の効果を含め,複雑な関係性について考察を行った.
  • OS03-5
    鈴木聡 (大阪経済法科大学)
    人工物や想像上の存在を自身の身体や他者,自身の置かれた場とみなし,環境との相互作用を行う人間の認知過程を投射と呼ぶが,科学としての投射研究の方向性はまだ模索の段階にある.本稿では,この投射の認知過程について,認知過程の相対的な高次性と自身・他者・場という投射の元の違いという2つの軸に着目する.そしてこれらの投射に関わる現象について関連する研究や事例をこれらの軸に沿って振り返りながら,今後の研究の展望を述べる.
  • OS08-6I
    依頼講演
    杉尾武志 (同志社大学文化情報学部)
    図的表現を用いて効果的に判断をおこなうためには,図的表現を構成する要素間の目標に関連した空間関係に対して注意を向ける必要がある.図的表現の理解におけるトップダウンおよびボトムアップ処理についてこれまで多くのモデルが提案されてきたが,両処理の相互作用についてはあまり十分な実験的検討がされてこなかった.この点に関して階層図を用いた視覚認知実験をおこない,図的表現の慣習的知識が視覚的注意の割り当てにどのように影響しているかについて検討した.
  • OS11-4
    大北碧 (専修大学,日本学術振興会)
    澤幸祐 (専修大学)
    運動同期によって,コミュニケーションと関連しない(実験1)もしくは関連する注意(実験2)が影響されるのかを検討する。ある刺激が参加者の動きに合わせて動く課題を行った後に,その同期刺激と,同期しなかった刺激を標的刺激とする探索課題を実験1では行う。実験2では,同期刺激と非同期刺激を手がかり刺激とする,視線手がかり課題を行う。運動同期が注意に影響するならば,いずれの実験でも,同期刺激において標的刺激の検出が促進されると考えられる。
  • OS16-4
    天谷晴香 (国立国語研究所)
    他者への化粧行為において,行為者は予想外の出来の悪さに悩まされる.素人の行為者が自分の母親に化粧をしているデータから,試行錯誤や偶然のチャンスを通じて,望ましくない出来を回復していく事例を分析する.途中,出来について被行為者に伝達できない様子や,あるきっかけで回復への糸口が見つかる瞬間が分析によって明らかにされた.この事例を用いて,複合活動における会話と行為の境界の不一致と,行為者による境界の調整について論じる.
  • P1-28F
    西崎友規子 (京都工芸繊維大学)
    永井聖剛 (立命館大学)
    マルチタスク遂行における個人差のメカニズム解明を目的とし,「自動車運転中に会話を行う」状況を想定し,認知的リソース容量が少ないと仮定される実験参加者群が,マルチタスク遂行においてどのような行動を見せるか検討を行った。認知的リソース容量が少ない人達は,運転走行課題遂行中に計算課題や数カウント課題が課された方が,より高い運転パフォーマンスを示すことが明らかになった。
  • P1-46
    犬童健良 (関東学園大学経済学部)
    プロスペクト理論に代表されるリスク選択の記述的意思決定モデルの問題点は,参照点に依拠していながら,「参照する」という認知過程の理解が貧弱であることにあると思われる.このためアレの背理のような古典的アノマリーについても実は系統的に説明できていない.本論文は,クジの結果ペアの気になる程度を数値化したポテンシャル値に基づき,参照点を推論する手続きを提案し,アレの背理にかんする先行研究のアンケート調査実験データを用いて検証する.
  • P1-51
    藤木大介 (広島大学大学院教育学研究科)
    二宮由樹 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    堀井順平 (愛知教育大学大学院教育学研究科)
    外尾恵美子 (愛知教育大学大学院教育学研究科)
    課題への集中はパフォーマンスに影響する。一方,注意に問題があっても自己評価が正確な場合パフォーマンスが低下しないことも示されている。したがって,集中力の劣る者でもそれを自覚化させた場合,補償的に思考状態を変化させ,課題成績が高くなる可能性がある.そこで,持続的注意に関する検査の結果をフィードバックすることが思考状態や読解成績に影響を及ぼすか検討した結果,課題に関連する思考が増え,持続的注意の劣る参加者は読解成績が向上することが示された.
  • P2-3
    林美都子 (北海道教育大学函館校)
    浅野稔也 (北海道教育大学)
    長田・長坂(2001)のシェマティックな顔図形を用いて、大学生を対象に実験を行った。目もとと口もとの表情が異なる(例えば、喜びの目もとと真顔の口もと)場合における部分表情の認知では、「目は口ほどに物を言う」という諺通りになるか検討したところ、諺とは異なり、いずれの条件でも目もとよりも口もとの表情の影響が強いことが明らかになった。今後、他の表情を用いる、目もとの面積を調整するなどの実験を行い、さらなる検討が必要である。
  • P2-24
    茂木航介 (東京電機大学情報環境学部情報環境学科)
    日根恭子 (東京電機大学情報環境学部情報環境学科)
    視野周辺部で提示された情報が中心部に提示される情報の処理に影響を与えるとされているが,影響の要因について不明な点は多い.本研究では,周辺部の情報に対して生じる違和感に着目し,周辺部の情報が中心部の情報の処理へ与える影響を検討した.実験は風景画像,風景画像にモザイク加工した画像,黒塗り加工した画像を用いた画像観察を行った後,記憶再生課題と再認課題を実施した.再生課題の結果から,黒塗り加工による違和感が記憶成績に影響を与えたことが示された.
  • P2-42
    山本敦 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    阿部廣二 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
     “Return Trip Effect”(RTE)とは,往路よりも復路を短く感じる現象である(van de Ven, et al., 2011).筆者らは山本・阿部(2015)において先行研究が前提とする時間経験モデルでは「もうここまで来たのか」という日常経験としてのRTEを捉えられないことを示し,新たな時間経験モデルを提案した。本発表では,最新の研究を含む先行研究の再整理と,新たな時間経験モデルに基づいた実証研究の提案を行う.