研究分野別一覧

意思決定

  • OS02-3
    公募発表
    本田秀仁 (安田女子大学心理学部ビジネス心理学科)
    白砂大 (東京大学総合文化研究科)
    松香敏彦 (千葉大学文学部)
    植田一博 (東京大学総合文化研究科)
    本研究では、論理的に同一だが異なる2つのフレーム(e.g., グラスの中の水は「半分一杯」、または「半分空」)から1つのフレームを選択する際に参照点が与える影響について3つの行動実験から検証を行った。結果として、参照点は頑健にフレーム選択に影響を与える一方で、その影響を実験参加者が気がつかないケースが存在していた。以上から、話者は顕在的に気がつかない要因の影響を受けてフレーム選択を行なっている可能性が示された。
  • OS03-3
    公募発表
    黒嶋智美 (玉川大学)
    萱場豊 (東京大学)
    小俣貴宣 (ソニー株式会社R&Dプラットフォーム)
    本研究では、会話分析と行動経済学という全く異なる既存の方法論と理論的枠組を用いて,同一の社会的相互行為における現象を検討することで、一見して、購買活動や展示販売活動といった経済的活動の具体的な場面と記述されうるやりとりが、どのような社会的行為によって組織されているのかを明らかにすることを試みる。その際に、行動経済学からの理論的枠組を記述された現象の裏付けとして援用する。
  • OS05-3
    公募発表
    大貫祐大郎 (東京大学総合文化研究科)
    本田秀仁 (安田女子大学心理学部ビジネス心理学科)
    植田一博 (東京大学総合文化研究科)
    属性フレーミング効果を扱った従来の研究では, 評価対象への言語的な表現方法を操作することで, 対象への評価を変化させていた. 本研究では, 非言語的な方法で報酬に対する捉え方 (利得, 損失)を変化させることで, 報酬に対する評価が変化するのかどうかを検証した. その結果, 報酬の受け取り方を変化させることで, 報酬に対する満足度が変化する非言語フレーミング効果が生じることを明らかにした.
  • OS05-4
    公募発表
    白砂大 (東京大学総合文化研究科)
    本田秀仁 (安田女子大学心理学部ビジネス心理学科)
    植田一博 (東京大学総合文化研究科)
    身体性認知の研究において,身体状態と心理的状態との関連は長年,議論されている。本研究では,体勢という身体状態に注目し,前傾の体勢が意思決定に与える影響について,座面が前方に傾いた「前傾椅子」,および傾きのない「通常椅子」を使用し,行動実験により検証した。結果として,座面の重心が前方にかかっていた参加者は,より積極的・寛容的な意思決定を示す傾向にあった。本研究の知見は,望ましい意思決定に向けた環境設計につながる可能性が期待される。
  • OS05-5
    公募発表
    中村國則 (成城大学社会イノベーション研究科)
    今川翔太 (成城大学社会イノベーション学部)
    切りのいい値を基準として行動が変容するという概数効果(round number effect: Pope et al, 2011)を検討するため,2005年から2017年までの日本プロ野球の打率成績を分析し,打率が2割9分9厘の打者の数と3割0分0厘の打者の数を比較した.その結果,前者に比べ後者の比率が不自然に高いことを見出した.
  • sO1-5
    上島淳史 (東京大学人文社会系研究科/日本学術振興会)
    亀田達也 (東京大学人文社会系研究科)
    限られた資源の分配には、平等主義、功利主義、マキシミンなどの諸価値が存在する。本研究では、人々が分配に関する価値を折衷的に支持するかあるいは原理的に支持するかが、社会的インタラクションの予期により調整される可能性を検討した。実験の結果、他者との議論を予期することが、特定の分配価値への一貫した支持を高める可能性が示された。
  • sO2-2
    藤崎樹 (東京大学総合文化研究科)
    本田秀仁 (安田女子大学心理学部ビジネス心理学科)
    植田一博 (東京大学総合文化研究科)
    近年,集合知を個人内で生み出す手法が提案されている.Fujisaki et al. (2017) は,問題に対し,自身の推定に加え,世間一般の考えを想像し再度推定させるという手法を提案している.しかし,最終的な推定の際,この世間一般の推定は殆ど無視されてしまう.そこで本研究では,最終的な推定の際に,この推定もまた自身が生み出したものであることを強調する教示を与えた.結果,世間一般の推定が取り入れられるようになることが明らかになった.
  • sP1-36
    鶴島彰 (セコム株式会社)
    東日本大震災の際、仙台のホテルの会議室で撮影された動画において、避難者による、逃走と退避という避難行動の選択が、出口からの距離によって分かれる現象が観察された。我々は、避難行動における同調行動を表現した避難意思決定モデルにより、この動画で見られたような現象の再現を試みた。シミュレーションにおいて、エージェントは逃走と退避をランダムに選択しているにも関わらず、動画のように、逃走と退避が出口からの距離で分かれる現象が創発した。
  • sP1-43
    下條朝也 (名古屋大学)
    三輪和久 (名古屋大学情報学研究科)
    寺井仁 (近畿大学産業理工学部)
    科学哲学において,説明評価の基準が確率論的か価値論的かという論争がある.先行研究では,他者から与えられた説明を評価する際は,価値論的に判断していることが示唆されている.本研究では,自ら生成した説明を評価する際に,どちらの基準を用いて判断するのか,並びに洞察問題か否かによって用いる基準が変化するのかを検討した.その結果,自ら生成した説明に対しては,洞察問題か否かを問わず,確率論的基準を用いて評価していることが示された.
  • sP1-55
    阿部廣二 (早稲田大学人間科学学術院)
    牧野遼作 (早稲田大学人間科学学術院)
    山本敦 (早稲田大学人間科学研究科)
    門田圭佑 (早稲田大学人間科学研究科)
    古山宣洋 (早稲田大学人間科学学術院)
    会話場面の分析を通して会話中に飲み物を飲む行為の調節が達成される過程を検討した結果、1)発話が宛てられていない受け手になることで飲むことを開始できること、またそうした受け手も、発話の宛てられた受け手になる可能性が高い場所では飲むことを開始しないこと、2)話し手も飲み始めることがあり、それは発話の先延ばしとして理解できることが明らかになった。この点を、会話中に飲み物を飲むことの参与者間の相互調整と、会話と飲み物の関係の観点から考察した。
  • sP2-25
    ヒュース由美 (東京大学学際情報学府)
    工藤和俊 (東京大学情報学環学際情報学府)
    即興演劇は, 事前の相談や決められたセリフがなく, 共演者がどんなアイデアを持ち, 自分に対してどのようなアプローチを仕掛けてくるか全く分からない環境の中で, 即興的に劇を創作する芸術である.本研究では, 実際の即興演劇ライブを撮影したビデオ映像のデータをもとに, セリフと視線行動の関係を分析した結果, 俳優たちは登場人物を演じながら, 劇の重要なポイントで相手のサインを読み取る非言語コミュニケーションを行っていることが明らかになった.