研究分野別一覧
音楽
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P1-9本研究では,プロドラマー3名にテンポの異なる8ビートを演奏してもらい,その際の3次元動作データから,演奏速度による協応構造の変化を検討した.解析の結果,低中速のテンポでは,右手首に対してその他の部位(肘・肩・頸部)が逆位相や90度位相差など,個人間で多様なパターンを示すが,高速テンポでは,全ての参加者が同位相に近い傾向を示した.この結果から,個性を表現できるテンポ(低中速)とそうでないテンポ(高速)が存在する可能性が示唆された.
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P1-10津軽三味線演奏における「巧みさ」とは何か。本稿ではモーションキャプチャを用いて津軽三味線演奏の熟練者から未経験者にかけて叩き動作を比較した。各マーカーの位置情報の時系列変位を基に、撥・三味線を含む全身運動アニメーションを作成、視認した結果、矢状面から見た撥運動軌跡について、熟練者では楕円的, 初心者では直線的となることが観察された。津軽三味線演奏の「巧みさ」の解明には、撥運動軌跡を司る身体協応に関する実証研究の必要が明らかになった。
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P1-23本研究では,ピアノレッスン場面で演奏音がいかにポインティング(以下PTG)されるかを,相互行為的資源の時間的・空間的配置構造に着目して分析した.音楽大学で行われている2台のピアノを用いた1対1のレッスンを収録し,分析の対象とした.分析の結果,演奏とPTGの時間的関係の示し,PTG中の演奏と演奏姿勢の維持の構造,PTGの特定性の粒度の3つの要因によってPTGが構造化されていることが明らかになった.
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P2-10本研究の目的は、音楽教室における幼児対象のグループ・レッスンに試験的に導入した創作音具Kiki-Me(キキ・ミ)の効用を検証する基礎的なデータを収集することであった。この音具は、音楽鑑賞すなわち子どもの「音楽を聴く力」を多感覚的かつ協同的な活動のなかで発達させることを目指して開発された。本研究では、レッスン中の子どもの行動観察および音楽講師や子どもの養育者に対するアンケート調査等をもとに創作音具の導入の効果と今後の課題について議論した。
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P2-11本研究では、ほど良い複雑さが音楽の好ましさをもたらすとするBerlyne(1971)の逆U字仮説を踏まえて、音程が作り出す複雑性が音楽の好ましさに与える影響を、3年以上の楽器演奏経験者である音楽経験者とそれ未満の音楽素人とを対象として検証した。大学生141名の協力を得て、144種類の短いメロディについてその複雑性や好意度等を評定してもらったところ、予想通り、両群ともに逆U字曲線を示した。
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P2-36本研究では,ラップ中の手の運動がラップの音響特性にどのような影響を与えているかを検討した.プロのラッパーに参加してもらい,手の動きを抑制したり,自由に動かせたりする条件下でラップをしてもらった. 手の動きを抑制すると,ラッパーは大きい声を出すようになること,手が動かせる条件下ではピッチが高まることが示された.以上の結果から,ラッパーの手の動きは,単なる視覚的効果だけではなく,ラップの音楽・言語活動を促進させる効果もあることがわかった.