研究分野別一覧
音楽
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O1-3演者間の関わり合いは上演芸術の魅力の一つとされる。近年、同期による検証が行われているが、複数の表現チャンネルの協調の検討は十分に行われていない。本研究では、複数チャンネルにおける動的な関わり合いを捉える枠組みを提案し、ダンサーのバトル場面を対象にリズム運動と空間内の移動とに着目し、有用性を検討した。位相解析の結果、各チャンネルにおいて協調が生じること、協調間に高次の対応が見られること、協調・対応関係が文脈に基づき変化することが示された。
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O1-4本研究では,楽器演奏教示場面における,教示に対する理解の提示(デモンストレーション)としての学習者による演奏を指導者が「止める」実践を記述する.その実践には,演奏を「単に止める」場合と「中断する」場合の2つのやり方が見いだされた.それぞれが教師対生徒の教室内相互行為に特徴的なIRE連鎖と同じ構造を持つ行為連鎖に埋め込まれ構造化されることで,学習者の演奏を評価することも実質的に達成していることが明らかになった.
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P-31移調楽器奏者としてクラリネットを用い、実音から移調された音階へ,あるいは移調された音階を実音に音高を変換する場合の,移調する方向における難易度の非対称性について検討した.ピアノとクラリネットを用いて,実音楽譜と移調楽譜の2つの楽譜をそれぞれ演奏させた結果,実音楽譜を見て移調楽器を演奏する場合と移調楽譜を見て実音楽器を演奏する場合を比較すると,前者の方が難易度が高くなった.これは,移調の心的処理の非対称性が見られたということを示している.
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P-32本研究は、教育活動において生徒がどのように聞き手行動を用いてその場の相互行為を構築しているかを明らかにすることを目的とし、楽器レッスンにおける生徒の「はい」と「うん」の使い分けを分析する。楽器レッスンの録画データから「はい」と「うん」の事例を収集して分析した結果、「はい」はどのような演奏が望ましいかを述べる発話に対して反応する際に用いられるのに対し、「うん」は、楽曲についての説明に対する反応として用いられていることが明らかになった。
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P-38本研究では,ヴァイオリン演奏経験者6組12名の頭部動作を用いてグレンジャー因果性分析を行い,演奏中のリード関係の有無と,その決定要因を検討した.その結果,統計的因果性が有意になったデータは,計36データのうち10データであった.また,ペア内のソーシャルスキル得点の高低と関連がみられたデータが7データあった.以上より,同パートの演奏においてもリード関係が存在し,その要因としてソーシャルスキルが影響を及ぼす可能性が示唆された.
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P-61本研究では,師匠と習い手が向かい合い,互いの演奏が観察可能な状況で同時演奏を基調に進められる三味線の稽古を観察し,師匠によるマルチモーダルな指導に焦点を当てた分析を行った.その結果,師匠は自分の演奏から手が離せない状況の中で,指遣いの特徴や定型的な旋律を参照しつつ端的な発話で指示を出し,頭部と視線の動きも活用しながら習い手の演奏を巧みに指導していることがわかった.また,こうした対面・同期形式で行う稽古の意義についても再考した.
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P-73少数の被験者が音楽 (ポップス) を聴いている時の脳活動をEEG (脳波計) で計測し、脳波の被験者間相関 (ISC) 解析によって大衆の曲の好みを予測できるかどうかを検証した。その結果、大衆がより好む年間チャート上位の曲(1~50位)のISC値はやや下位の曲(51~100位)のISC値よりも有意に大きいことが分かった。したがって、脳波の被験者間相関解析より算出したISC値が音楽に対する大衆嗜好性を予測する指標となる可能性が示唆された。
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P-90本研究では,身体技能習得における「気づき」を呼び起こす手段として「付加的情報フィードバック」の手法に着目し,これをピアノ演奏におけるペダリング練習に適用した.演奏中のペダル踏み込み量をオンラインまたはオフラインで学習者に提示することで,学習者はペダリング時の身体感覚と響きの変化との関係性を効果的に習得できることが期待される.本稿では本システムの効果について著者自身の「気づき」に関する経験に基づき議論する.
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P-124オーケストラの奏者たちは,奏者間の物理的な距離によって生じる音速の遅延を克服し,どのようにして楽団全体のタイミングに合わせて演奏しているのであろうか.インタビュー調査を実施した結果,離れた位置の奏者の演奏音は恒常的に遅れて聞こえてきていること,プロはその遅れにはつられないように練習していること,タイミングのずれの検出にはコンサートマスタの動きといった視覚手掛かりを利用していることが明らかとなった.
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P-131本研究は遠隔会議を利用したリモート漫才が通常の対面漫才対話と異なり対話リズムにおいて修復されるべき「トラブル」が生じやすいため,それらを演者が相互に調整しリズムの修復を行っていく過程が観察可能である点に着目し両者の対話音声の分析に基づいてその修復プロセスの解明を目指したものである.分析の結果,対話リズムの修復に対して二種類の修復ストラテジーに基づく演者間の相互調整が寄与していることが明らかとなった