研究分野別一覧
人とコンピュータのインタフェース
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O3-4日常において、他者の行動を探り合う状況は頻繁に発生する。しかし、その認知プロセスは十分に明らかになっていない。これを明らかにするには、認知プロセスを詳細に記述するモデルが必要である。本研究では、行動の探り合いが発生するカードゲームで認知アーキテクチャACT-Rによるモデルと人間を対戦させる実験を行った。その結果、自己の行動を模倣するモデルを相手としたときに、参加者はモデルを人と感じる傾向にあった。
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P-22種類の先進的運転支援システムに対して,主観的評定のひとつである自動化システムのユーザビリティテストを適用し,本指標の汎用性について検討した。実験の結果,ACC実験と教習支援実験では全く同じように因子が抽出された。すなわち,満足度と違和感がひとつの因子に,効率と意図の理解がひとつの因子にまとまった。本指標を現実的なシステムに適用する際の争点について議論した。
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P-7掃除ロボット・人型ロボット・ペット型ロボットについての見聞経験の現状およびそれに影響を与える個人要因の探索を目的として、オンラインでの質問紙調査を行った。結果として、ロボットの見聞経験、見聞経験と年齢の関係、主要な情報源と見聞経験の関係がロボットの種類によって異なることが見いだされた。特に、主要な情報をインターネットとするか否かがペット型ロボットの見聞経験において影響を持つことが示唆された。
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P-14本研究では,遠隔地の多数の参加者による大規模オンラインアイデア創造を実現するための手法「アイデア進化」を提案する.アイデア進化では,ユーザがアイデアの提案と同時に他者のアイデアを評価し,進化計算手法がアイデアの評価に基づいて次のユーザがヒントとすべき良案を選択することで,アイデアの質を効率的に高められる.アイデア進化を30人規模でのオンラインアイデア創造に適用した結果,安定してアイデアの質が向上した.
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P-20AIスピーカーのコミュニケーション相手としての実用化を目指し,外見がインタラクションに与える影響を明らかにするため,AIスピーカーと表情のあるロボットを用いて,共同サイモン効果の生起を比較した. 結果として,意思を持って動いていると教示された場合に共同サイモン効果が有意に大きく生じ,それはAIスピーカーでは顕著な傾向が認められた.これより,AIスピーカーのような無機質な外見でもインタラクションパートナーとして有用な可能性が示唆された.
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P-35本研究では,記号的なコミュニケーションの成否が,人間の調和的な性格特徴によって影響されるかどうかを調査した.具体的には,既存の心理尺度による調和性指標に基づき実験群を構成し,二者間で人工的な言語を作る課題の成績との関係性を調べた.結果,両者には有意な関係性は確認されなかった.これは,ことばによるコミュニケーションの成否が,単純に性格特徴によって決定されるものではないことを示していると考えられる.
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P-39現代では,場面に応じた適切な感情のコントロールが課題になっている. 本研究では心拍変動からユーザの内部状態を推定し,その感情とは逆の感情に対応する表情をフィードバックすることで,ユーザの感情をニュートラルな状態に近づけるシステムを開発し,その効果を評価する実験を行った.
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P-76本研究では,ドライバの個人特性として特性不安に焦点を当て,実公道走行データを用いて,特性不安の個人差が運転行動に及ぼす影響を分析した. その結果,高速道路から一般道に合流する際,最低速度,最大ブレーキ圧,隣車線の確認回数に差が認められた.このことから,特性不安が高い人はより慎重に運転することが示唆される.今後は十分な実験参加者人数の確保,運転シーンの統制を行った上でのさらなる検討が必要である.
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P-77具象化としてのソースコードの考察:異なる実践共同体間の交渉とディスコースの観点から発表取り下げ本研究は大学の分野横断型PBL(Project based learning)を対象に,異なる実践共同体の交渉が開発されたアプリケーションのソースコードにどのように影響を与えるかを考察する.2018年度から2019年度にわたるPBL型授業で取得したデータから,ディスコース,実践共同体の具象化の概念を用いて分析を行う.
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P-83分身となるエージェントを介して相手とコミュニケーションする場面において,エージェントの印象と同時に操作者の印象が変化すれば人同士の親密な関係構築にエージェントの存在が有用となる.そこで,対話型スピーカーを介して相手の選好を模倣させ,スピーカー及び操作者の印象変化を検討した.結果,相手の選好を83%の割合で模倣すると,スピーカーと操作者の印象が高くなり,両者を同一視する可能性が示された.
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P-91本稿では、VR空間内に多面体を提示しユーザがそれらを仮想的に操作するようなシステムを開発し、実空間上にて観察された身体的な関与がVR空間でも観察されるかどうかを検討する。今回のVRシステム実装では、両手の十本の指で面を押さえるという動作を仮想化することが十分にできなかったため、満足できる結果は観察されなかったが、改良すべきポイントや認知科学的な観点について考察を行うことができたので、そのことを報告する。
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P-95For now, more electronic products are introduced with multiple and high functionality to daily life, often causing unpleasant experiences and mental frustrations, especially for elderly users. To know how well older adults can use the electronic product, a usability testing was conducted in previous research. Krippendorff and Butter argued that users create meanings during interaction with the product. However, how can designers understand how users understand the meaning and promote a desired interpretation? The answer can be found in product semantics. This study aims to give an overview of the theory of product semantics and try to propose a new perspective to clarify how users understand the meaning of electronic products.
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P-99本研究ではロボットと人間の協働を前提に, Fukuchi et al. が提案するPublicSelf モデルが生成する, エージェントの目標を人に伝達する動きである legible motion が, 情報の非対称性が発生する場面において効果的に動作するかを検証した. 結果, 情報の非対称性を考慮することによって人のエージェントに対する主観的評価を向上することができた。
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P-104本研究では、「ポジション」と「アクション」という運動手順の分離が運動主体感や身体所有感の形成にどのような影響を与えるかについて明らかにすることを目的とした。実験では、VR空間上に表示される片手アバタをハンドトラッキング操作によって指定された領域に移動させると共に、指定された手アバタの形を作る課題を行った。その結果、運動手順が分離された場合、運動手順が統合された場合よりも身体所有感が低下することが明らかになった。
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P-105本研究では,身体の視覚的位置変更が身体のメンタルモデルにどのような影響を与えるかを検討した.複合現実感技術を用いて,腕の位置を変更した映像を作成し,その映像を提示しながら単純な動きを繰り返し行わせた.その前後で同じ課題を行わせた結果,課題中の身体の動きが変化した.これより,身体の視覚的位置を操作してトレーニングを行うことにより,身体のメンタルモデルにおける身体の位置関係が変化する可能性が示された.
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P-108道徳的なジレンマ課題として知られるトロッコ問題において,複数人の命を助けるために一人を犠牲にする行為を人間又はロボットが行った場合に,その行為に感じる不快感とパーソナリティとの関係を検討した.また,ロボットの様な存在に対する心理的傾向を測るため,ロボットの内面に固有の主観を認めるかどうかの新しい尺度として「内的世界の見出しやすさ」尺度を作成した.その結果,マキャベリズムと不快感,内的世界の見出しやすさと不快感で有意な関係が見られた.
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P-127Web上でのユーザの行動は多様化している.この多様化している行動は明確な目的を持たないブラウジングと明確な目的を持ったサーチングに分けることができる.本研究では,強化学習における探索と搾取がブラウジングとサーチングに対応すると考え,ACT-Rを用いてそれらを再現する記憶モデルを構築した.この記憶モデルをWeb環境に統合することにより,ユーザの行動に応じた支援を行うための枠組みを提案する.
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P-143目的を共有した複数人での問題解決は,しばしば創造的なブレイクスルーをもたらす.近年では人の代わりに人工的エージェントと協同することの有用性も示唆されている.しかし,人とエージェントが目的を共有し問題解決に取り組む上では,エージェントによる貢献が心理的負担を起こしうるという問題点が考えられる.そこで本稿では,目的を共有しない人-エージェントインタラクションにおいても問題解決の誘発が生じるかどうかについて実験による観察を行うことを検討する.
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P-144慶應義塾大学「博士課程教育リーディングプログラム オールラウンド型 超成熟社会発展のサイエンス」には13研究科から博士課程人材が集まり,異なる文系・理系2つの修士号を取得して博士課程に進み,俯瞰力と独創的な企画力を持つ高度博士人材育成を進めている. 本報では,本プログラムで実施している「フューチャー・デザイン」ゼミ活動を通じ抽出した,「文理融合」型人材による「フューチャー・デザイン」ワークショップ実践の課題と,対策アイデアを検討する
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P-148ソーシャルワークの構造にもとづき決定されるマルチエージェントの振る舞いに,観察者がどのような物語を感じるのか,クラウドソーシングにより調査を行った.独立変数として,エージェントの属する社会的ネットワークのサイズを操作した.その結果,エージェントが属するソーシャルネットワークの規模に応じて,エージェントの動きに物語を感じる度合いや内容が変化することが示された.