日程
オーガナイズドセッション (OS08)
認知・認識におけるダイバーシティとインクルージョン(D&I):当事者と研究者の共創が切り拓く知のフロンティア
9月5日(日)
16:00 - 18:00
会場:zoom会場No.1
オーガナイザー:伴 睦久(東京大学先端科学技術研究センター)
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OS08-1共同創造の歴史的背景と意義招待講演演者は脳性まひという障害を持ち、小児科医、研究者として仕事をしている。そうした経験をふまえて、研究はマイノリティの生活を豊かに実現する大きな可能性を秘めている一方で、専門家が目指すものと、マイノリティが望むものが時にすれ違うことがあると感じてきた。本講演では、身体障害、自閉スペクトラム症、精神障害、依存症の領域における、専門知と当事者の知のすれ違いと共同の歴史を概観し、精神発達障害の領域における共同創造の意義について整理する。
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OS08-2発達障害の理解から支援へ:認知ミラーリング研究の展開招待講演CREST「認知ミラーリング」では,認知機能とその変容の機序理解が発達障害者の支援につながると提案し,計算モデル研究と当事者研究による学際融合研究を推進してきた.脳の一般原理である予測符号化理論に基づき,予測情報処理の変調が感覚過敏や学習・適応の困難さを生じるという仮説を提案し,人を対象とした認知心理実験と神経回路モデルを用いたロボット実験をとおして,本仮説を検証してきた.本講演ではその成果を総括し,今後の課題について議論する.
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OS08-3科学研究のダイバーシティとインクルージョン招待講演科学研究においてジェンダー、エスニシティなどの多様性を重視する動きが加速している。障害も多様性の要素のひとつとして認識されているが、科学研究に参加する障害者の数は少ない。本発表では、①科学研究の多様性を促すための取り組みと、②障害のある科学者がどのような工夫をすることで実際に研究を行っているか、その事例を紹介する。
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OS08-4当事者の知と拓く共同研究の課題招待講演当事者研究は、当事者の生きやすさや共感、社会変革をもたらす日本固有の実践であり、演者は、自閉スペクトラム症の当事者研究を行ってきた。最近では、既存のアカデミアと当事者研究が連携することで、自閉スペクトラム症研究の共同研究を行ってきた。本発表では、演者自身の経験をもとに、当事者にとっての当事者研究の意義と、共同研究を実現する上で必要なアカデミアの文化的な変革について考える。
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OS08-5発達障害当事者への理解促進のための実践招待講演アブストラクト:発達障害当事者への理解を深め、当事者へのスティグマを低減するため、障害児者の家族・学校教職員・少年院職員・障害者支援員・企業人事など、当事者を取り巻く周囲の人々を主な対象として、ワークショップを実施してきた。科学的な知見・技術を社会実装するためには、それぞれの現場に則した柔軟な対応が求められる。本講演では、CREST「認知ミラーリング」の社会実装の取り組みを総括し、得られた知見について報告する。
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OS08-6認識におけるダイバーシティとインクルージョン招待講演認識におけるダイバーシティ,そしてそのインクルージョンのあり方に関する方法論的イノベーションの探求は,認知科学のフロンティアの一つと言えるだろう。 本OSでは,認知ミラーリング・プロジェクトやインクルーシブ・アカデミア・プロジェクトなど,斬新なアプローチで新たなパラダイムを牽引する気鋭の研究者が,当事者性や個別性に着目した知と理解のあり方について議論し,認識におけるダイバーシティ&インクルージョンを可能とするための方法論を検討する。
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OS08-7公募発表2019年に発売されたゲーム『The Last of Us: Part II』は、視覚障害者が音だけでプレイできることで世界的話題を呼んだ。本研究では、視覚障害者によるプレイ画面と解説を用いて本ゲームにおける聴覚的な手がかりの役割と効果を分析し、視覚障害者がどのように音からゲーム空間や状況を把握し、次の行為を決定しているか考察する。また、聴取と動作によるゲーム実践がいかなる認知空間を生み出し、それは視覚空間といかに異なるか明らかにする。