研究分野

相互作用

  • OS01-4
    公募発表
    田坂 逸朗 (青山学院大学)
    会合のプログラム「ワールドカフェ」において,その特徴である成員の途中組み替え(“席替え”)が,どのように対話過程に影響を与えるのかを分析した.結果,席替えで,前の談話の体験を伝える機会がもたらされ,そのことが主張を後退させ,創発的な応答を増さしめるということがわかった.また,社会実践としてのワールドカフェの検討では,終盤までに「意見共存」の状態がつくられることで,さまざまな目的に合致した成果が得られると考察した.
  • OS04-4
    公募発表
    菊地 浩平 (筑波技術大学)
    本研究は,手話通訳場面と対象とした研究であり,従来のアクセシビリティ概念を相互行為的観点から検討し,その領域を拡張しようとするものである.本研究で扱う事例は従来の会話研究で指摘されてきた現象と共通する要素を持つ一方で,モダリティの輻輳による複雑かつ通訳場面に特有であると考えられる現象が多く見られる.こういった諸現象を相互行為的観点から解きほぐしていくことにより,アクセシビリティ研究の新たな可能性を開くことができると考えられる.
  • OS14-4
    公募発表
    Jingyan Sun (東京大学)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究は、インタラクションを重視した演技訓練を観察対象とし、その中で言葉のやりとりがどのように展開していくかについて統計分析を行い、参加者の変化を明らかにした。また、役柄の設定に基づく訓練セッションにおける発話を比較することで、専門家と初心者のインタラクション・パターンの違いを説明した。専門家は状況を重視しインタラクションに没入できることに対して、初心者は直観的推論に依拠して相手の状態を推測しやすいことが分かった。
  • OS14-6
    公募発表
    荷方 邦夫 (金沢美術工芸大学)
    参加者の協働による共創的活動の中で,メンバー同士の共愉的な関与によって積極的に活動に関与し,相互のリソースを提供しながら目標の達成に向かうと指摘されている. 本研究では共創的な活動を伴うデザイン教育の実践の中で,どのような性質が活動を促進するか検討を行った.結果として(1)コミュニティへの参加を共愉的に促すスキャフォールディング。そして(2)協働による創造を促すスキャフォールディングが観察された.
  • O2-002A
    森 真美 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    木村 真実 (早稲田大学人間科学部)
    野村 亮太 (早稲田大学人間科学学術院)
    対面とオンラインではどちらの舞台が魅力的か.本研究では同じ作品を鑑賞する「他者」に対する認知(“共視者認知”)に影響を受けるとされる自発性瞬目を指標として,視聴環境と観客サイズの間の交互作用を検討した.物語広告の視聴中の瞬目率を比較したところ,対面では観客サイズが大きいほど増加したのに対して,オンラインではむしろ大人数グループにおいて減少した.この結果は,対面状況とオンライン状況で,他者の認知の仕方に違いがあることを示唆している.
  • P1-007A
    安久 絵里子 (筑波大学)
    鷹阪 龍太 (筑波大学)
    目黒 文乃 (筑波大学)
    葛岡 英明 (東京大学)
    原田 悦子 (筑波大学)
    本研究は,アバターと音声変換技術を組み込んだ仮想的2者対話形式のシステムを用いた講話練習で,腹話術形式の講話能力の学習に効果が得られるか否かを,記録された講話ビデオの第三者評価により検討した.その結果,アバターと音声変換の同時利用により,即時的な講話能力の向上(練習段階)と般化した講話能力の向上(事後段階)の両者でパフォーマンス評価の向上が見られた.この結果と講話者の主観評価にはズレがあり,さらなる検討の必要性が示された.
  • P1-015
    大塚  翼 (広島工業大学 情報学部知的情報システム学科)
    牧野 遼作 (早稲田大学)
    本稿は,発達障害児童が参与したトランポリン教室で起こるコミュニケーションを分析した.結果、初心者を含めた熟達度の異なる参加者から構成される運動教室では,指導者だけではなく他参加児童からの「ポジティブな関与」が起こり,この関与は,指導員が行うだけではなく,他参加児童が指導員を模倣することで起こることを明らかにした.この結果は,熟達度の異なる参加者がいることで,運動教室ではコミュニケーションが活性される可能性を示唆するものである.
  • P1-021
    松林 翔太 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    寺井 仁 (近畿大学)
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    下條 朝也 (コニカミノルタ株式会社)
    歩行者や多様なモビリティが同一空間を共有するShared spaceが増えてきている。Shared spaceを模した実験室実験では,思いやりのある移動行動が促された場合と思いやりの程度を評定する場合のいずれにおいても,妨害の程度が重要であることが示されている。そこで本研究では,Shared spaceにおける思いやりの程度を示す指標を新たに開発した。
  • P1-023
    横溝 賢 (札幌市立大学)
    鈴木 葵 (札幌市立大学)
    宮田 義郎 (中京大学)
    原田 泰 (株式会社デザインコンパス)
    過疎化の進む地域では、充実した医療・介護を求めて経済圏に転出する高齢者が増えている。高齢者の転出が進むと、その土地の記憶が消え、いずれは忘れ去られる場所になってしまう。そう考えた筆者らは、北海道浜頓別町に住む共著者・鈴木の祖父の生活世界を描き、往復書簡で祖父を含む道内外の知人に伝達・交流することを試みた。その結果、関係者らは相手の生活世界を受け容れることから、次第に自己を開示する生成的なコミュニケーションをおこなうようになった。
  • P1-032
    中林  由希子 (立命館大学)
    本研究は, 日本語母語話者が初対面の日本語非母語話者と会話の終結を迎える際, どのような非言語行動をとるのかを明らかにすることを目的とし, 本稿では姿勢に着目して分析を行った. その結果, 前終結声明となる発話の前後で姿勢を正していくという傾向が観察された. これは, 授業終わりに姿勢を正して礼をするという, 日本の学校教育が関係しているのではないかと推測する.
  • P1-041
    鷹阪 龍太 (筑波大学)
    安久 絵里子 (筑波大学)
    目黒 文乃 (筑波大学)
    葛岡 英明 (東京大学)
    原田 悦子 (筑波大学)
    本研究では,腹話術形式の講話能力をとりあげ,アバターならびに音声変換技術を組み込んだ仮想的 2 者対話形式のシステムを用いることによる講話支援の可能性について,練習およびその前後の講話パフォーマンスを話者の主観評価から検討した.その結果,アバターの操作スキルについては短時間の練習で習得可能であることが確認でき,アバターによる支援の可能性が示唆された.一方,話者の主観的評価における講話能力の向上は確認されなかった.
  • P1-042
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    今井 健人 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    The wide range of illusions of proprioception produced by hiding one hand behind a mirror and performing operations visible in that mirror have been recognized for some time. We report a similar effect using a putty-like substance, in which we refer to as the Slime Hand. In this setup, a flexible putty is manipulated by pinching and stretching from the center or an edge while the same pinching and stretching motion is performed on the hand behind the mirror. This operation has a quite high rate of success in causing the mapping of the participant's skin of the hand onto the putty.
  • P1-043
    須藤 智 (静岡大学 大学教育センター)
    前東 晃礼 (静岡大学 全学入試センター)
    祝原  豊 (静岡大学 地域創造学環)
    竹下  正敏 (ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社 PP開発部)
    金沢  敦 (ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社 PP開発部)
    田内 武史 (ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社 PP開発部)
    エンジン付きの小型除雪機を用いて身体スキルの学習が要求される人工物のメンタルモデルの構築に対する加齢の影響を検討した。大学生と高齢者を対象としたユーザビリティテストを実施した結果,旋回方法のメンタルモデル構築において,大学生は操作によって生じる身体への不快なフィードバックをメンタルモデル構築に利用し精緻化できるが,高齢者は十分に利用できない可能性が示唆され,メンタルモデルの構築に加齢の影響が認められる可能性が示唆された。
  • P1-055
    都地 裕樹 (中央大学文学部・日本学術振興会特別研究員(PD))
    金沢 創 (日本女子大学人間社会学部)
    山口 真美 (中央大学文学部)
    social touchとdirect gazeは、それぞれ2者間の脳活動同期を強めることが報告されているが、同時に扱った実験研究はなされていない。本研究ではsocial touchとdirect gazeにおける母子間の脳活動同期を計測するため、機能的近赤外分光法(functional Near-Infrared Spectroscopy: fNIRS)を用いて、母親が乳児に話しかけている時の母子間脳活動ハイパースキャニングを行った。
  • P2-002
    福永 征夫 (アブダクション研究会)
    中間の世界の論理とは,時間の情報が主成分の演繹による貫く推論(XorY)と,空間の情報が主成分の帰納による連ねる推論(XandY)が,互いに相補的に接合し合って,時空間の情報をアブダクションという高次の推論で統合し,世界の今ここにおいて存在し生起する事物や事象の情報を,高深度・広域・高次のストーリー線として自己完結的に自己組織化していく,自然や社会のシステムの循環と融合の論理のことである.
  • P2-004A
    牧 恒平 (早稲田大学人間科学研究科)
    関根 和生 (早稲田大学人間科学学術院)
    本研究では,自己接触行動が聞き手への視線行動に及ぼす影響について検討した.調査参加者(N = 20)は,腕組み条件,頬触り条件,統制条件の3つの条件下で,聞き手に対する説明課題を行った.課題の間,聞き手の目,顔,体に向けられた視線を測定した.また,対人不安傾向を調べるために質問紙によりシャイネス得点を測定した.結果として,シャイネス得点の高い男性において,頬触り条件が腕組み条件や統制条件と比較して顔への注視量が増加したことがわかった.
  • P2-007
    廣田 章光 (近畿大学)
    人々が過去に直面したある体験をここでは「原体験(formative experience)」と呼ぶ。リフレクティブ・カンバセーション(Schon 1983)は表現と対話し認知を行い、新たな表現につなげると理解されている。そこで、本研究はデザイン行動(Owen 1997,Norman 2013)における原体験がもたらす効果を「対話」の観点から考察する。そして原体験が対話の対象として存在し、リフレクティブ・カンバセーションとの関係を示す。
  • P2-008A
    竹田 琢 (青山学院大学社会情報学研究科科目等履修生)
    振り返り活動場面において雑談に注目した分析を行った結果, 1)雑談が志向性を共有する余白を生み出し, 全員で新たなトピックに参加することを可能にしていること, 2)雑談を一緒に抜け出すことで志向性を共有して新たなトピックに参加することを可能にしていること, 3)雑談を通じて教員の教示・依頼を無視することで主体的な開始を可能にしていることが明らかになった. 雑談への介入が参加者の主体性を発揮する機会を剥奪する可能性について考察を行った.
  • P2-017
    佐藤 有理 (東京大学)
    福田 玄明 (一橋大学)
    植田 一博 (東京大学)
    意思決定者自身ではなく他者のために行われる代理意思決定は,投資信託など実世界でよく見られるインタラクションである.本研究は,その際に委託エージェント(投資者)がどこまで深くクライアント(出資者)を考えて合わせるのが自然か明らかにする.実験の結果,投資者は,出資者の指示を理解してリスク選択をするものの,その意図を推定して行動調整するまではしなかった.しかし,出資者の満足度は低くなかった. HCIの知見と合わせて結果の要因と示唆を議論する.
  • P2-022A
    岡野 裕仁 (京都大学教育学研究科)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    自他を優劣の観点から比較するような社会的比較志向性の高さが、社交不安の一因である可能性が指摘されている。また、マインドフルネス特性が高い者は、そのような社会的比較を行うことが少ないという仮説が提唱されている。これらの動向を背景に、本研究は質問紙調査を行い、優劣評価を伴うような社会的比較志向性はマインドフルネス特性と負に相関することで、マインドフルネス特性と社交不安の負の関係を媒介することを新たに示した。
  • P2-023
    池ヶ谷 啓伍 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    金野 武司 (金沢工業大学)
    清水 悠生 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    長原 瑛吾 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    人と機械のインタラクションで実現できないことの1つに自然なターンテイキングがある.先行研究で行なわれた単純な視覚的インタラクション実験では,予め用意された確率分布で主従関係を切り替える計算モデルを用いると,それは相手に応じて主従関係を切り替えるようになっていなくとも,参加者は相手が人であるか計算機であるかを区別できなかった.対して我々は,動作的な主従関係を意識できるような手掛かりを示すことで,それが区別できるようになることを報告する.
  • P2-030A
    千田 真緒 (東京都市大学大学院)
    岡部 大介 (東京都市大学)
    市野 順子 (東京都市大学)
    大学生は,どのようにスマートフォン(以下,スマホ)とともに日常会話空間をつくりあげているのかを考察した.その結果,大学生の日常会話空間のひとつである「空きコマ」における2者間の会話は,小刻みなスマホ利用によって「調整」されていることが見いだされた.「スマホいじり」とともになされる雑談は,観察された大学生の相互注視によって,スムーズに行われていた.
  • P2-039
    鶴島 彰 (セコム株式会社 IS研究所)
    災害避難の分野では研究者毎に様々なモデルが開発されているが,共通に使われるモデルは見当たらず,分析結果も使用したモデルに依存する傾向が見られる.この大きな原因は客観データの不足による、内部モデル作成の困難さにある。そこで新しいアプローチとして,内部構造には立ち入らず,より低次の生物行動モデルと高次の高次認知モデルの二つの代替モデルにより上下から挟み撃ちすることにより,人間行動のモデルに近づけていくという可能性について考えてみた.
  • P2-042
    清水 大地 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    ダンスや音楽等の上演芸術においては,複数の演者が活発に関わり合い魅力的なパフォーマンスを披露する.その興味深さの一方で,上記の関わり合いの特徴の定量的検討や現象を捉える枠組みの提案は,十分になされていない.本研究は,著者の取り組んできた演者間の関わり合いに関する研究や他の関連研究を,特に同期・協調に着目したものを中心に紹介する.そして,以上の知見を踏まえ,演者間の関わり合いの特徴を捉えるための枠組みを整理し,今後の展望も含め考察する.
  • P2-044
    片桐 恭弘 (公立はこだて未来大学)
    Jokeを形式意味論的に代表される構成的な意味規定と,伝達意図に支持される非自然的意味規定との境界現象と捉え,そのコミュニケーション機構の分析を行った.Jokeの中心となるpunch lineを明示的に発話しない形式のjokeに着目し,明示的・非明示的な並置が間接言及,参照シフト,交換などの技法の基盤となっていることを主張する.
  • P2-046
    七田 麻美子 (埼玉大学)
    菊地 浩平 (筑波技術大学)
    山本 祐子 (名古屋商科大学)
    須永 将史 (小樽商科大学)
    本研究は、オンライン研修で受講者の満足感が何によって規定されるかを考察するものである。対象としたのは、新電力へのスイッチング促進の研修で、2020年以降オンラインで開催されていたものである。アンケート調査の分析の結果、質疑応答がある研修の方が高い満足度を示すことがわかった。質疑の分析から参加者が穏やかな・楽しいやりとり,また自分の質問に正確に応対する回答に満足しているわけではなく質疑があること自体に満足感を覚えている可能性が示唆された.
  • P2-050
    桑原 涼香 (静岡大学情報学部行動情報学科)
    長島 一真 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    川越 敦 (筑波大学)
    大澤 博隆 (慶應義塾大学)
    本研究では,協調行動の分析に適したカードゲーム「Hanabi」を題材としたシミュレーションを行った.ゲーム中にコミュニケーションが成功した際,自他の行為を事例として蓄積し,それを利用することで他者の行為の意図を推定する認知モデルを構築した.2体のモデルが対戦するシミュレーションの結果,試行の進行に伴う事例の蓄積・利用,およびゲーム得点の上昇が確認された.
  • P2-052
    佐野 奈緒子 (東京電機大学)
    秋田 剛 (東京電機大学)
     オンラインによるコミュニケーションでは, 共在感覚が重要であると考えられる. 会話によるコミュニケーションが一般的であるが, 本研究ではモニタ上で互いに擬似的に接触する行為を伴う会話についての共在感覚について検討した. その結果, 接触なしの会話と同等の共在感覚が認められた. 一方, 行動のしにくさはじゃんけんと同等に低く, 接触や運動を伴うコミュニケーションの場合, 現行のシステムでは認知・行動上の不自然さが感じられている.
  • P2-061
    佐藤 萌日 (大阪大学大学院 基礎工学部)
    高橋 英之 (大阪大学大学院 基礎工学研究科)
    昨今のオタク文化では,オタク同士の交流が盛んになった.オタクたちは興味の対象に対する解釈を共有・意見交換することで,様々なミームを生み出してきた.本研究ではオタク集団によるミーム生成プロセスについての数理モデル化を目指す.具体的には,個人とオタク集団,そして推し、そして推しに生まれる人格性について分類をする.その上で,これらの関係性を人工的に創生したエージェントの挙動により推しロボットの人格性をミームとして創発可能かどうかを検討する.