研究分野

人とコンピュータのインタフェース

  • P1-006A
    肥後 克己 (明治大学研究・知財戦略機構)
    大塚 一輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    自身の身体が自分のものであるという感覚は身体所有感と呼ばれるが,その生起に関わる神経活動についてはわかっていない。本研究では,視覚的・触覚的に整合性のとれた刺激によってフルボディ錯覚を生起させた後,視覚刺激のみを与えて感覚間に不整合を生じさせた際の脳活動を計測した。結果として感覚間に不整合が生じた際に,左運動前野の活動が認められた。この結果は,運動前野が感覚間のずれを補正し,自己身体とそれ以外を区別する働きを持つ可能性を示唆している。
  • P1-008A
    佐藤 幹晃 (岐阜大学)
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    グラッチ ジョナサン (南カリフォルニア大学)
    Win-Winな交渉をするためには,事前にコミュニケーションすることで相手について学ぶことが重要である.人-人の交渉において,感情表現は偽りがなく,信頼できる信号だと考えられているが,人-AIエージェントの交渉結果にどのような影響を与えるかは未知であった.そこで本研究では,交渉前のコミュニケーションで感情表現からAIエージェントの選好を学習することが,Win-Winな交渉結果に寄与するか検討した.
  • P1-009
    小島 隆次 (滋賀医科大学)
    緒方 彩七 (関西学院大学理工学研究科)
    角所 考 (関西学院大学理工学研究科)
    本研究の目的は、俯瞰地図等を併用したアバターによる道案内システムのユーザビリティ向上のための条件を検討することであった。実験結果から、地図は出発地点が下で目的地が上に配置された状態で提示されており、道案内で使用する空間表現には指示語をあまり使用せず、アバターは背面(ユーザーとアバターの前方向が一致)で表示するというのが、ユーザーにとって主観的にわかりやすく、目的地を誤認しにくい条件となることが示唆された。
  • P1-018
    大井 京 (近畿大学)
    小野 奨太 (近畿大学)
    本研究では,フェイクニュースの真偽判断に関連する要因として,1. 常識,2. 実現可能性,3. 信念,4. 画像のリアリティを取り上げた.実際のニュースとフェイクニュースに対して「真実」か「フェイク」かの真偽判断を求める調査を実施した結果,「常識」と「実現可能性」が,それぞれ「信念」と「画像のリアリティ」よりも,「画像のリアリティ」が「信念」よりも判断の根拠とされる傾向が確認された.
  • P1-020A
    北川 浩行 (電気通信大学)
    粕谷 美里 (電気通信大学)
    阿部 香澄 (電気通信大学)
    中村 友昭 (電気通信大学)
    鷲尾 宏太 (トヨタ自動車株式会社)
    真鍋 周平 (トヨタ自動車株式会社)
    自動車事故防止のため,運転者の意識に焦点を当てた対策が考えられる.本研究では,運転者に安全運転の持続的な意識付けを促すリアルタイムフィードバックシステムの実現を目指す.その第一段階として,急ブレーキを対象に,危険運転を指摘する画像の印象を検証した.本発表では,脳活動を指標に,複数の画像間で比較検証した結果を報告する.実験の結果,指摘画像の中で脳が不快感を感じづらい可能性のある画像が明らかとなり,運転気質と関連している可能性が示された.
  • P1-022A
    安陪 梨沙 (立命館大学人間科学研究科)
    服部 雅史 (立命館大学総合心理学部)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では,創造性課題において,ロボットまたは人による実験の進行が,作品の独創性に対してどのように影響するのか比較検討した.実験中に作品が評価されることについて考えたか(状態評価不安)を調整変数とし,独創性に与える影響を検討した結果,ロボット群では状態評価不安が高いほど,独創性が低くなることが明らかになった.作品評価に対する疑問を発言しづらい状況が独創性の発揮に対して不利に働いたことが考えられる.
  • P1-026A
    石原 由貴 (金沢工業大学)
    体験者自身の能動的な運動意思が伸縮錯覚の強度にどのような影響を及ぼすのか明らかにするため, 身体部位に対する受動的・能動的伸縮の提示条件を比較した. 結果, 主観評価においては伸縮が能動的/受動的に行われるかどうか, また伸縮を予期させる身体所作による入力であるかに関わらず, 指の伸縮イメージを視覚的に提示することで, 一定程度の伸縮錯覚の誘起が為されることが示唆された.
  • P1-040
    阿部 詩織 (北陸先端科学技術大学院大学)
    髙宗 楓 (北陸先端科学技術大学院大学)
    西本 一志 (北陸先端科学技術大学院大学)
    現在、様々な場で文章を作成する機会が多く存在する。本論文ではその際に起こる「何を書いたら良いかわからなくなってきた」といった現象の解決に自作文章の書き写しが有効であると示すことを目的とした。そこで、文章作成が不得意または得意である大学院生を対象に実験を行った。その結果、文章作成が苦手な方には書き写しの有効性がみられたが、執筆が得意な方には効果がみられなかった。これの結果は執筆能力が関係すると考えられる。
  • P1-048
    山次 善太 (金沢工業大学)
    服部 一宏 (金沢工業大学)
    金野 武司 (金沢工業大学)
    本研究では人工知能が未学習の対象を正しく判断できるようにすることを人工知能にだけ任せるのではなく,人間の順応力を利用して対象を特定することのできるシステムを構築し,その効果を実験により検証することを目指した.結果,人工知能とのインタラクションの有用性を示すことはできなかった.この結果から,人間の順応力を人工知能が活用するためには,対象への名付けのプロセスを人工知能がたどることができるようになる必要があるという示唆を得た.
  • P1-065
    香川 璃奈 (筑波大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    野里 博和 (産業技術総合研究所人工知能研究センター)
    人間が他者からの助言を参照して意思決定を行う際に、助言をそのまま採用するわけではない現象が自己中心的助言割引として知られる。昨今のAIの急速な発展により、AIを助言として人間が意思決定を行う場面が今後増加すると予想される。しかし、AIの精度とAIを利用した人間の意思決定の関係性は明らかでない。本研究ではシミュレーションと行動実験を通じて、AIの予測誤差が小さくなるほど、それを利用した人間の意思決定が正確になるとは限らないことを示した。
  • P2-007
    近藤 秀樹 (神田外語大学)
    遠山 紗矢香 (静岡大学)
    大﨑 理乃 (信州大学)
    山田 雅之 (九州工業大学)
    電子掲示板上での記事投稿タイミングを調節する手法によって,仲間から返信を得ることがどの程度期待できるようになるかを調査した.提案手法で記事投稿タイミングが調整された場合,一部のメンバーでは,実際の記事投稿間隔で示された場合よりも自分の投稿に対する返信が得られる期待感をより向上させたが,一部のメンバーには期待した効果が得られなかった.非同期的なコミュニケーションに関する習熟の違いがタイムシフト手法の効果に影響を与えていることが示唆された.
  • P2-019A
    酒井 翔伎 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    本研究では,ACT-Rモデルによる回想法の支援を行うモデルベース回想法に音声インタフェースを搭載したシステムの開発とその効果の検討のための予備的な実験を行った.その結果,音声インタフェースの,スライドバー型インタフェースに対する優位性や発話を引き出す可能性が示唆された.
  • P3-009
    相馬 あい (関西学院大学 工藤研究室)
    工藤 卓 (関西学院大学 工藤研究室)
    近年,コロナ禍による仮想現実(Virtual Reality,VR)への需要が高まっている.VRは現実の空間から別の世界に入り込んだような没入感が重要であり,そのためにさまざまな研究が行われている.本研究では,自分がここにいるという感覚である自己定位を撹乱することで,自身の身体とは別の場所に意識が定位する現象である体外離脱体験(Out of Body Experience,OBE)を誘導した.
  • P3-012A
    西畑 千哲 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    安田 哲也 (東京大学)
    小林 春美 (東京電機大学)
    本研究では、エージェントの含意の推論能力を参加者が見積もるとき、操作経験が与える影響について調べた。実験で参加者は、協調経験後にエージェントに文脈を踏まえた要求をされ、未知の乗り物に補給するエネルギー量を決定した。その結果、協調性が変化するエージェントを経験した参加者は、コンフリクトした情報をより利用する含意推論を行った。エージェントとの協調経験は含意推論に影響を与える可能性がある。
  • P3-022A
    小川 裕太 (日本大学 大学院 総合基礎科学研究科)
    小松 孝徳 (明治大学総合数理学部)
    福田 聡子 (日本大学 文理学部)
    大澤 正彦 (日本大学 文理学部)
    近年普及が進んできている家庭用ペットロボットには機体の交換可能性を備えているものが存在する.これにより長期のインタラクションが可能になった一方,機体交換を望まない意見がみられる.その原因の一つとして機体交換前後のロボットを同一視できない問題があると考える.本研究ではアンケート調査を行い同一視できない問題があることを明らかにし,同一視のされ方の特徴を分析する.
  • P3-030A
    笠原 千聖 (同志社大学大学院 文化情報学研究科)
    阪田 真己子 (同志社大学文化情報学部)
    我が国が目指すべき未来社会の姿としてSocity5.0が提唱され,今後アバタを用いたインタラクションが日常として根付くことが予測される.本研究では,他者が自分に対して抱く印象を操作する自己呈示に着目し,各人がアバタを用いて,どのような意図で印象を調整するのか,また,その印象操作の意図は他者に伝達するのかについて検討した.その結果,個人属性によって,アバタを作成する際の印象意図が異なり,他者に印象意図が伝達する要素が明らかになった.
  • P3-032
    市川 雅也 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    本研究は,グラフ構造を用いて参与構造を記号的に記述できる体系を確立し,遠隔対話システムにおける参与構造の設計指針を提案することを目的とする.本研究では参与構造のグラフ化とそれに基づく簡易的な遠隔対話システムの設計・実装を行った.本稿はそれらの手続きについて示しながら,参与構造をグラフで表すことの利点,システムを実装する上で生じた課題について議論した.
  • P3-041
    今井 康智 (静岡大学総合科学技術研究科)
    大本 義正 (静岡大学)
    人間と空間を共有するエージェントの存在は,私たちに緊張感や不安感を与えることがある.そこで我々は,友人同士のような情動的な信頼関係を人間とエージェントとの間に築くことを目指す.本研究ではその一要素として,人間がエージェントのモデルを理解できるように,情報の収集と共有という欲求モデルを提案する.この欲求下の振る舞いによって人間は社会的存在感を知覚・蓄積し,更にエージェントに対する信頼感獲得にまで繋がると示唆された.
  • P3-047
    原田 悦子 (筑波大学)
    安久 絵里子 (筑波大学)
    椎葉 黎 (筑波大学)
    渡部 健 (筑波大学)
    富田 智晶 (沖電気工業(株))
    赤津 裕子 (沖電気工業(株))
    マニュアルを見ながら同一/類似の組立て課題を複数回反復する実験室実験を行い,その結果からどのような学習すなわちマニュアル情報の内在化が生じるか,その結果「マニュアルを見ずに組立てを行うと」どのような問題が発生するかを検討した.結果として,マニュアルなしで十分な課題達成が可能な場合とそうでない場合があること,いずれでも内在化されたマニュアル情報は組立て順序の情報を含まず,意味的構造化がなされていることが示された.
  • P3-049
    川俣 亮悟 (明治大学大学院理工学研究科)
    世良 菜那見 (明治大学大学院理工学研究科)
    肥後 克己 (明治大学研究・知財戦略機構)
    萩原 隆義 (慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
    田中 由浩 (名古屋工業大学)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    私たちは日々の生活の中で他者とインタラクションしながら生活している.その中で,他者と共に何か行った際に,「この運動は,われわれが引き起こした」という感覚を共同運動主体感と呼ぶ. 本研究ではロボットアームを2人で操作した際の共同運動主体感ついて調査した.操作方法としてそれぞれが異なる役割を担う役割分担条件と2人の操作を50%ずつ反映させる操作融合条件を設けた.その結果,役割分担条件と操作融合条件の両方で共同運動主体感の生起が示された.