日程 9月7日(木) 16:00 - 18:00

ポスターセッション1+懇親会 (P1)

会場:プレゼンテーションベイ
  • P1-001A
    山縣 芽生 (同志社大学)
    高橋 英之 (ATR / 大阪大学)
    本研究では,既存コミュニティの構成員とコミュニティへの新参者の間で,それぞれがそれまでに有してきた異なる規範が同化していく過程を明らかにするため,このような状況を単純化したコンピュータ上でbotと行う課題を作成し,予備的な実験を行った。その結果,この課題を用いることで,既存コミュニティの構成員と新参者の規範が同化していく過程とその多様性が定量的に分析できることが示唆された。
  • P1-002
    齊藤 萌木 (共立女子大学)
    岩城 奈津 (共立女子大学ビジネス学部)
    森 理宇子 (共立女子大学ビジネス学部)
    本稿は,共立女子大学1年生前期科目「リーダーシップ開発入門演習Ⅰ」の学習記録をもとに,Project Based Learningに先行して理論やスキルを学ぶリーダーシップ開発の初期段階の学習効果把握を試みた.「リーダーシップ最小三要素」及び「具体性」の2観点から受講者の提出物を分析した結果,授業をとおして「率先垂範」「相互支援」の二要素について理解が深まること,目標の具体性が向上することが明らかになった.
  • P1-003A
    孟 憲巍 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    千々岩 眸 (大阪大学大学院人間科学研究科)
    鹿子木 康弘 (大阪大学大学院人間科学研究科)
    近年,社会的地位の階層性を維持する心理的基盤として,ヒトが高い能力の持ち主に社会的優位性を帰属する認知バイアスを持っているという「能力・地位仮説」が注目されつつある.本研究は,事前登録された3 つの実験を通して,この認知バイアスが前言語期の乳児にみられることを示した.また,「能力・地位仮説」における能力の必要条件として,潜在能力と結果の両方が必要ということを提示した.
  • P1-004
    ギエム ゴック チャム (法政大学大学院)
    川﨑 貴子 (法政大学)
    田中 邦佳 (法政大学)
    本研究ではベトナム人日本語L2学習者が日本語の歯擦音を学習する際、母語の方言と習得レベルがどのように影響するかを調査するため、発話実験を行った.北部・南部方言話者の両方で日本語の歯擦音は区別されていた.しかし、南部方言の初級学習者の一部では、区別が獲得できていないケースも見られた.実験の結果、上級学習者は習得レベルが高まるにつれて、日本語の歯擦音を明確に区別することができるようになることが示された.
  • P1-005
    山﨑 敏正 (九州工業大学 情報工学研究院)
    赤迫 健太 (九州工業大学大学院情報工学研究院)
    伊藤 智恵子 (九州工業大学大学院情報工学研究院)
    本研究では、頭皮脳波を利用したSSIとして、日本語単語SS時の単一試行脳波をTransformerとHMMによって解読する.日本語がmora言語なので、SSされた単語を構成する拍の系列として解読する.本手法は単一試行脳波からノイズ下で信号を復元するRNN、RNN出力と拍ERPsの内積値から単語を構成する拍の確率値の算出、拍確率値、言語モデル、HMMによる拍系列の生成、から成る.2~7拍から成る単語の解読結果を示す.
  • P1-006A
    肥後 克己 (明治大学研究・知財戦略機構)
    大塚 一輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    自身の身体が自分のものであるという感覚は身体所有感と呼ばれるが,その生起に関わる神経活動についてはわかっていない。本研究では,視覚的・触覚的に整合性のとれた刺激によってフルボディ錯覚を生起させた後,視覚刺激のみを与えて感覚間に不整合を生じさせた際の脳活動を計測した。結果として感覚間に不整合が生じた際に,左運動前野の活動が認められた。この結果は,運動前野が感覚間のずれを補正し,自己身体とそれ以外を区別する働きを持つ可能性を示唆している。
  • P1-007
    堀野 康輔 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では、仮想環境でのスピーチ練習がスピーチに対する不安感に与える影響とその要因について検討した。VR練習条件と非VR練習条件の2条件で、参加者間計画で行った。それぞれ本番に向けてスピーチの練習をしてもらった。従属変数は練習中の心理的負担、本番前の心理的負担、練習での出来、本番への自信である。心理的負担は心拍と状態不安尺度で測定した。結果、VR練習条件の方が本番に対する自信が下がり、その他の項目では統計的に有意な差が見られなかった。
  • P1-008A
    佐藤 幹晃 (岐阜大学)
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    グラッチ ジョナサン (南カリフォルニア大学)
    Win-Winな交渉をするためには,事前にコミュニケーションすることで相手について学ぶことが重要である.人-人の交渉において,感情表現は偽りがなく,信頼できる信号だと考えられているが,人-AIエージェントの交渉結果にどのような影響を与えるかは未知であった.そこで本研究では,交渉前のコミュニケーションで感情表現からAIエージェントの選好を学習することが,Win-Winな交渉結果に寄与するか検討した.
  • P1-009
    小島 隆次 (滋賀医科大学)
    緒方 彩七 (関西学院大学理工学研究科)
    角所 考 (関西学院大学理工学研究科)
    本研究の目的は、俯瞰地図等を併用したアバターによる道案内システムのユーザビリティ向上のための条件を検討することであった。実験結果から、地図は出発地点が下で目的地が上に配置された状態で提示されており、道案内で使用する空間表現には指示語をあまり使用せず、アバターは背面(ユーザーとアバターの前方向が一致)で表示するというのが、ユーザーにとって主観的にわかりやすく、目的地を誤認しにくい条件となることが示唆された。
  • P1-010
    山本 寿子 (東京女子大学・立命館大学)
    小川 浩平 (名古屋大学)
    窪田 智徳 (名古屋大学)
    勝間 萌衣 (東京女子大学)
    山﨑 美鈴 (東京女子大学)
    港 隆史 (理化学研究所)
    石黒 浩 (大阪大学)
    田中 章浩 (東京女子大学)
    本研究では,異なる基本感情を視聴覚で組み合わせることで高次感情が知覚されるか,文脈に応じて異なる高次感情が知覚されるかについて,アンドロイドロボットを用いて検討した.対話中にアンドロイドが表現した感情を評定する実験の結果,恐怖の身体表現と悲しみ声の組み合わせから高次感情「恥」が知覚された.一方,文脈の違いで読み取られる高次感情に違いはみられないことが示された.またこの結果からアンドロイドロボットが高次感情をも表現できることも示唆された.
  • P1-011
    内海 英夏 (京都電子)
    篠原 修二 (東京電機大学)
    正角 隆治 (エプソン)
    森山 徹 (信州大学)
    交差点間距離が10,16,32cmの多重T字迷路装置を用い,ダンゴムシに対しT字迷路を連続で約6時間与えた.その結果,交替性転向の成功率は,それぞれ64,45,30%と距離の増加に伴い減少した.一方,いずれの条件でも,約半数の被験体において,交替性転向の成功試行数の100試行移動平均が,10から80%程度の範囲で増減する現象が観察された.この結果は,本種の多くは,交替性転向を自発的に動機づける心的過程を備えることを示唆する.
  • P1-012
    美馬 のゆり (公立はこだて未来大学)
    学習環境デザイン研究では,新たな教育理論と方法の開発が求められている.本研究では,拡張的学習論,パフォーマンス心理学,社会的に共有された調整学習などの理論を用い,学習者がエージェンシーを発揮する新たな教育アプローチを検討した.その過程でELSIの視点を組み込み,社会的公正教育からPBLを発展させた. ELSI志向PBLと名付けたこの方法で,学習者が現代社会の問題を理解し,対処するための知識とスキル,態度を養うことを目指す.
  • P1-013
    小松 孝徳 (明治大学総合数理学部)
    杉田 莉子 (明治大学総合数理学部)
    中村 聡史 (明治大学総合数理学部)
    擬音語,擬態語,擬声語などの総称であるオノマトペは,一般的な語彙と比較すると臨場感にあふれ,繊細な表現を可能としており,コミック作品においても頻繁に使用されている.本研究では,そのようなコミック作品においてオノマトペが使用されていないコマに着目し,その意味とその効果について考察を行った.その結果,コミック作品における重要な場面では,むしろオノマトペが使用されていないという傾向を把握することができた.
  • P1-014
    宮尻 琴実 (公立はこだて未来大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本稿では,LGBT活動に連帯しないと発言している男性同性愛者1名を対象に,「LGBT活動に連帯しない当事者」としての自身の位置づけ方とそのような位置づけをする理由を明らかにした.連帯しない当事者は,自身がLGBT活動の支援を必要とする存在ではなく,むしろそうした活動が自身の生きやすさに影響を与えることから,自らをLGBT活動で使用を避けられているカテゴリーである「ホモ」として位置付けていた.
  • P1-015A
    前田 晃弘 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (東京電機大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    単語分散表現は,そのベクトル演算が単語の類推関係に対応するなどの数理的な性質を示す.この性質は単語共起分布に由来するが,その数理的構造は未解明である.本研究は,二部グラフを用いる分析手法により,バイクリークと呼ばれる完全二部部分グラフが,単語ベクトル間の関係性を数理的に特徴付けるとともに,言語上の意味関係に対応することを示す.さらに共起関係が二項関係であることに起因して,単語共起分布に代数構造が現れる機序を明らかにする.
  • P1-016
    坂中 武蔵 (公立はこだて未来大学)
    寺井 あすか (公立はこだて未来大学)
    本研究では,なぞかけの特性と受け手の個人差がユーモア認知に与える影響について,なぞかけ生成システムにより意味構造に考慮して生成されたなぞかけを用いたアンケート調査により検証した.結果として,自閉症スペクトラム指数と神経症傾向は,なぞかけの前提とオチの関係が異なるなぞかけに対するユーモア認知に対して影響を及ぼすのに対し,外交性はなぞかけのオチの意外性(類似度)が異なるなぞかけに対するユーモア認知に影響することが示唆された.
  • P1-017
    能城 沙織 (木更津工業高等専門学校)
    國岡 桃子 (JASM(株))
    似た顔の相手を配偶者として選択するのか, 結婚後に夫婦の顔が似ていくのか, という議論に関しては, 両方の面がありうるという説が広く普及してきたが, 近年白人を対象とした研究で後者を否定する結果が示された.本研究では, 日本人を対象に夫婦の顔の類似性の経年変化を調べた結果, 日本人においても同様に夫婦の顔の類似性の経年変化は認められず,この傾向が人種をこえて普遍的にみられるという可能性が示唆された.
  • P1-018
    大井 京 (近畿大学)
    小野 奨太 (近畿大学)
    本研究では,フェイクニュースの真偽判断に関連する要因として,1. 常識,2. 実現可能性,3. 信念,4. 画像のリアリティを取り上げた.実際のニュースとフェイクニュースに対して「真実」か「フェイク」かの真偽判断を求める調査を実施した結果,「常識」と「実現可能性」が,それぞれ「信念」と「画像のリアリティ」よりも,「画像のリアリティ」が「信念」よりも判断の根拠とされる傾向が確認された.
  • P1-019
    川﨑 貴子 (法政大学)
    田中 邦佳 (法政大学)
    ギエム ゴック チャム (法政大学大学院)
    本論文では、2つの無声歯擦音をL1に持つベトナム語話者が、日本語の ɕ を習得する際、母語音との区別はどうなされるのかを音響的に調査した。ベトナム語話者は、2つの歯擦音をCoG により区別するが、日本語にあるɕ はベトナム語の2音とは異なるF2の値を示す。ベトナム語を母語とする学習者の発話を分析したところ、母語にはF2で区別される歯擦音が無いベトナム語母語話者は日本語の歯擦音の発音においても、CoGのみで区別していることが示唆された.
  • P1-020A
    北川 浩行 (電気通信大学)
    粕谷 美里 (電気通信大学)
    阿部 香澄 (電気通信大学)
    中村 友昭 (電気通信大学)
    鷲尾 宏太 (トヨタ自動車株式会社)
    真鍋 周平 (トヨタ自動車株式会社)
    自動車事故防止のため,運転者の意識に焦点を当てた対策が考えられる.本研究では,運転者に安全運転の持続的な意識付けを促すリアルタイムフィードバックシステムの実現を目指す.その第一段階として,急ブレーキを対象に,危険運転を指摘する画像の印象を検証した.本発表では,脳活動を指標に,複数の画像間で比較検証した結果を報告する.実験の結果,指摘画像の中で脳が不快感を感じづらい可能性のある画像が明らかとなり,運転気質と関連している可能性が示された.
  • P1-021
    髙橋 麻衣子 (東京大学先端科学技術研究センター)
    近藤 武夫 (東京大学先端科学技術研究センター)
    教科書には本文情報だけでなく,それを補足する情報が本文周辺に配置されている。本研究では,これらの補足情報を本文中に挿入することで,特に読みスキルの低い読み手の理解が促進されるかを検討した。56名の中学生を対象として,補足情報が本文周辺にあるレイアウトAと本文内に挿入されているレイアウトBの理解度や読みやすさを測定した。その結果,特に読みに苦手感のある参加者に限ってレイアウトBの理解成績が高いことが示された。
  • P1-022A
    安陪 梨沙 (立命館大学人間科学研究科)
    服部 雅史 (立命館大学総合心理学部)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では,創造性課題において,ロボットまたは人による実験の進行が,作品の独創性に対してどのように影響するのか比較検討した.実験中に作品が評価されることについて考えたか(状態評価不安)を調整変数とし,独創性に与える影響を検討した結果,ロボット群では状態評価不安が高いほど,独創性が低くなることが明らかになった.作品評価に対する疑問を発言しづらい状況が独創性の発揮に対して不利に働いたことが考えられる.
  • P1-023A
    韓 旼池 (京都大学大学院)
    日常のコミュニケーションでは標準的な発話音声から逸脱した発話音声が現れうる.本発表では,母音の(非語彙的な)延伸を題材に,逸脱した発話音声の規則性を追究する.音声・音韻・統語的な要因による延伸の生起位置の傾向を観察する.観察対象は,生起位置のパターンが目立つ強度強調の母音の延伸である.母音の延伸の生起パターンの存在,声の高低と独立した母音の延伸,統語的な要因に左右される延伸の位置について述べる.
  • P1-024
    本多 明子 (神戸女子大学)
    言語獲得初期の子どもの発話には,動詞letを含む使役構文(ここではLet使役構文と呼ぶ)が観察される.本研究では,Let使役構文の中でも出現頻度が高い表現形式について調査結果を示し,認知言語学、構文文法の観点から他の関連する使役構文との比較を行い、Let 使役構文の特性を提示する.本研究は、原因と結果の二つの事象を子どもがどのような表現形式を用いて発話しているのかを調べ,認知発達と言語獲得の関連性を探究することを目的とする.
  • P1-025
    篠原 和子 (東京農工大学)
    岡野 一郎 (東京農工大学)
    宇野 良子 (東京農工大学)
    英語学習,英語技能習得を自己拡張のひとつと捉え,メタファー文の評定課題によって探索した.日本語母語話者の大学生が英語学習に関する意識をどのようなメタファーに近いと捉えるか,主体性の拡張や身体所有感の拡張に関連する表現を含む文を用いて調べた結果,英語が「好き」「得意」という主観的自己意識,「習熟度が高い」という客観的英語力のいずれの場合でも,「接近可能な屋外の空間」のメタファー表現に英語学習意識との関連が現れやすいことが示唆された.
  • P1-026A
    石原 由貴 (金沢工業大学)
    体験者自身の能動的な運動意思が伸縮錯覚の強度にどのような影響を及ぼすのか明らかにするため, 身体部位に対する受動的・能動的伸縮の提示条件を比較した. 結果, 主観評価においては伸縮が能動的/受動的に行われるかどうか, また伸縮を予期させる身体所作による入力であるかに関わらず, 指の伸縮イメージを視覚的に提示することで, 一定程度の伸縮錯覚の誘起が為されることが示唆された.
  • P1-027
    寺井 仁 (近畿大学)
    甲斐 慎治 (近畿大学・産業理工学部)
    本研究では、匿名性が道徳的ジレンマ状況における自己の判断及び他者の判断に対する許容性に及ぼす影響を実験的に検討した.匿名性の操作のため,実名条件,仮名条件,および無名条件の3条件を設定した.実験の結果,無名条件において,(1)功利主義的な判断が増加する傾向にある一方,(2)他者の功利主義的判断に対しては批判的になる傾向にあることが示された.また,(3)実名条件と仮名条件の間に差異は確認されなかった.
  • P1-028A
    今泉 拓 (東京大学学際情報学府)
    李 璐 (東京大学学際情報学府)
    植田 一博 (東京大学)
    機械学習による顔認識を用いて,人と同様に不気味の谷を再現できるのだろうか。FaceNetを用いて検討した。結果,ヒトらしい形状の評価についてFaceNetと人間で強い相関が見られたものの,一部の対象で評価が著しく異なったため,不気味の谷の一部のみが再現された。さらに,FaceNetでは口やあごの領域に注目していることが示唆された。本研究は,人間と機械学習で注目領域が異なる可能性,および不気味の谷における分類曖昧性仮説を支持している。
  • P1-029
    太田 聖三郎 (早稲田大学)
    河原 大輔 (早稲田大学)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    川柳は日本の伝統文芸の一つである.詩や俳句に関する機械学習を用いた研究は散見されるが,川柳に関するものはない.本研究では,川柳を構成する要素を様々な指標に分解し,それらの予測を組み合わせることで,より高精度な川柳評価を予測する手法を提案する.川柳を使った事前学習モデルやクラウドソーシングを用いた川柳データセットを構築し,BERTのファインチューニング(パラメータの微調整)により川柳の評価を予測する.
  • P1-030A
    池田 由紀 (聖心女子大学大学院 博士後期課程)
    益川 弘如 (聖心女子大学)
    本研究では,学校現場での構成主義に基づく学習環境の実現に向けて,教員候補者の学習観変容を意図した教員養成研修をデザイン・実施し, 研修受講者の研修前後,そして赴任後の変化を追うことを試みた.結果からは,研修前後で学習観が変容した一方, 一部の受講者においては現場赴任後に観が引き戻された可能性があることが示唆された.今後,現場赴任後の状況を調べ,養成のみならず現場赴任後に必要だと考えられる教師の学習環境を明らかにしていくことが課題である.
  • P1-031
    中田 龍三郎 (北星学園大学)
    鏡を見ながら茶やコーヒーを試飲するとおいしくなるだろうか。食事環境を鏡のありなしで変化させ、飲料のおいしさや現在の気分について評定させた。その結果、鏡を見ながら嗜好性飲料を試飲すると、鏡がない条件に比べて飲料をおいしく感じることがわかった。栄養摂取的観点の強い食品摂取場面ではなく、より嗜好性が強い飲料でもおいしく感じたことは、味や匂いを楽しむといった必ずしも「多く摂取する」ことが求められない食行動でも鏡の効果が生じるためと考えられる。
  • P1-032A
    森本 優洸聖 (大阪府立大学 人間社会システム科学研究科)
    牧岡 省吾 (大阪公立大学 現代システム科学研究科)
    系列依存性は,直前の情報によって知覚や判断が変化する現象である.本研究は,系列依存性が形の判別において生じるかを追試した.また従来の刺激の主観的等価点での分析に加えて反応時間分析を行い,系列依存性が反応時間に影響するも検討した. その結果,形の判別の系列依存性が確認された.また反応時間においても系列依存性が確認された.これらは過去の刺激の影響が刺激の判別に関する基準点そのものに影響することを示唆している.
  • P1-033
    望月 正哉 (日本大学)
    太田 直斗 (名古屋大学)
    本研究では,形容詞の情動価と7つの観点に関する感覚強度を収集することで,感覚強度が抽象性にどのように寄与するのかを探索的に検討した.その結果,聴覚の強度と抽象度の間に有意な正の相関がみられたほか,特定の感覚への関与を示す度合いが低い,すなわち複数の感覚への関与度が高い形容詞の抽象度は高かった.本稿では,さらに抽象度と感覚情報の関連について議論する.
  • P1-034
    藤本 和則 (近畿大学)
    田中 優子 (名古屋工業大学)
    犬塚 美輪 (東京学芸大学)
    経時に伴うCOVID-19関連記事の正確さの識別力(真の記事を正しいと、偽の記事を誤りと判断する能力)の変化について分析した結果を報告する。分析には、異なる時期に実施された二つの再現実験のデータを利用した。分析の結果、正確さの識別力は経時とともに低下することを確認した。また、識別力の低下は、COVID-19への関心が薄れたことや、被験者の政治的偏りの変化だけでは十分に説明されないことを確認した。
  • P1-035
    加藤 祥 (目白大学)
    浅原 正幸 (国立国語研究所)
    日本語では,同じ語であっても,様々な表記を選択することが可能であり,表記ゆれが生じる.表記ゆれの原因は文脈や用法において説明される傾向にあるが,表記の違いによる読み手の認識の違いは明らかではない.そこで9語の名詞を調査対象とし,語(名詞)を刺激とした一般的な日本語話者の想起語の異同を調査した.想起される語は表記によって異なる傾向があり,受容や生産の傾向との関係が示唆される.
  • P1-036
    大石 充希 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    再認課題において実験条件がどの認知過程に影響を与えるかについて議論がなされている.本研究は定着度の高い再認課題を、実験条件(干渉・新旧性・直感性)に対する瞳孔反応の主成分分析(PCA)がこの議論に新たな視点を与えると考えた.PCAからどの成分でも干渉の効果は示されなかった.また、新旧性は主効果と直感性との交互作用が確認された.以上の結果に対して定着度の高さが関連していることが考えられるため、今後は定着度の変化から原因を明らかにしていく.
  • P1-037A
    木村 陽菜 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    安田 哲也 (東京大学)
    小林 春美 (東京電機大学)
    本研究では、コミュニケーションタスクにおいて、伝え手により自発的に産出された発話の継続時間が、曖昧な句構造の解釈にどのように寄与するのか、聞き手の正誤を基に検討した。その結果、句構造の違いによって発話継続時間が異なり、またその違いが回答の正誤にも影響することがわかった。最初のチャンクにおいて、発話継続時間が句構造の違いを反映していたこと、またそうした情報が発話を聞いた回答者の解釈に影響を与えていた可能性が示唆された。
  • P1-038A
    畑 美緒 (早稲田大学)
    加藤 麻樹 (早稲田大学人間科学学術院)
    三嶋 博之 (早稲田大学)
    観察者の移動から生じるGOFと対象の移動から生じるLOFが視覚的探索に与える影響について,実験1では一重のリング状のLOFを,実験2では球状のLOFを使用しLOFの肌理の違いの効果を検討した.また実験2でGOFの速度が変化する効果について検討した.その結果,一重のリング状のLOFはその輪郭あるいは外側に,球状のLOFはその輪郭に視線を誘導する可能性が示唆され,GOFの速度が上がると視覚探索の反応時間が長くなる可能性が示唆された.
  • P1-039A
    Mujun QIN (北陸先端科学技術大学院大学)
    橋本 敬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    個人と集団のアンマッチで生じる疎外感は,個性や創造性の顕れと見ることもできるため,疎外感の受容は個人に肯定的な影響を持つ可能性がある.本研究は,疎外感に連なる個人の性質に関わる自己肯定感が疎外感とその受容に影響するかを検証する.予備実験では,先行研究で示された自伝的記憶の想起による自己肯定感の上昇が再現できなかった.また,想起前後で疎外感に有意差が生じたが,疎外感受容度に有意な変化がなかった.自伝的記憶の想起課題を再検討する必要がある.
  • P1-040
    阿部 詩織 (北陸先端科学技術大学院大学)
    髙宗 楓 (北陸先端科学技術大学院大学)
    西本 一志 (北陸先端科学技術大学院大学)
    現在、様々な場で文章を作成する機会が多く存在する。本論文ではその際に起こる「何を書いたら良いかわからなくなってきた」といった現象の解決に自作文章の書き写しが有効であると示すことを目的とした。そこで、文章作成が不得意または得意である大学院生を対象に実験を行った。その結果、文章作成が苦手な方には書き写しの有効性がみられたが、執筆が得意な方には効果がみられなかった。これの結果は執筆能力が関係すると考えられる。
  • P1-041A
    岩淵 汐音 (千葉大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    自閉スペクトラム症で見られる細部へのこだわりは,カテゴリー学習に対する自閉スペクトラム症の影響を説明しうる.本研究ではドットランダム図形とAQを用いて自閉スペクトラム特性,細部へのこだわりそれぞれとプロトタイプ推論が有効なカテゴリー学習課題における正答率の関係を検討した.自閉スペクトラム特性全体の強さよりも細部へのこだわりの強さのほうが,自閉スペクトラム特性によるカテゴリー学習への影響を説明しうる可能性があることが示唆された.
  • P1-042
    山川 真由 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    小島 一晃 (帝京大学)
    本実践では,系列位置効果を題材として,実験とシミュレーションを組み合わせた授業を行った.受講者は,自身が実験参加者となることで得られた実験結果と認知モデルをベースとしたシミュレータを使って生成された結果を対比した.実験とシミュレーションの結果を対比することにより,考察がどのように変化するかを検討した.シミュレーション結果との対比後には,実験結果の考察として,認知処理過程に基づく説明の記述が増加することが示された.
  • P1-043
    西垣 勇我 (関西大学)
    内川 乃天 (関西大学)
    岡村 敬 (関西大学)
    郭 雯 (九州大学)
    池田 鮎美 (北海道大学)
    高嶋 魁人 (九州大学)
    佐々木 恭志郎 (関西大学)
    山田 祐樹 (九州大学)
    自分と他者の持ち物の間にもパーソナルスペース(personal space: PS)の様なものが存在する(拡張的PS).本研究では手指消毒によって拡張的PSが変調されるかを検討した.実験では,サクラと参加者に長机に荷物を置くように求めた.サクラが参加者の前で手指消毒を行う条件と手指消毒を行わない条件を設けた.荷物間の最短距離を測定したところ,条件間で有意な差は見られなかった.ゆえに,手指消毒が拡張的PSに顕著な影響を与えるとは言えない.
  • P1-044
    大槻 大槻 (福島工業高等専門学校)
    小泉 康一 (福島工業高等専門学校)
    縦格子を通して,地面や制御されたドット平面を自然に両眼視すると,波打った地面,立体縞模様,トーラスなどの立体錯視像が得られる. 本研究では,この縦格子による錯視像に近い錯視像を別の方法で脳内に再構成する方法を2つ提案する. 1つは3Dステレオグラムによる方法,もうひとつは色立体視による方法である.
  • P1-045
    伊東 俊輔 (電気通信大学大学院情報理工学研究科情報学専攻)
    鈴木 雄登 (電気通信大学大学院情報理工学研究科情報学専攻)
    松倉 悠 (電気通信大学大学院情報理工学研究科情報学専攻)
    坂本 真樹 (電気通信大学大学院情報理工学研究科情報学専攻)
    近年,照明の光源の種類や照度と雰囲気の関係を調べた研究や色と人間の感情状態の変化に関する研究が行われている.一方で,照明の色の違いと雰囲気を紐づけた研究はまだ少ない.本研究では,照明が雰囲気に及ぼす影響について研究する.トークテーマと照明を各4種類,計16パターンにちて約24時間分の会話データを取得し,各データについて形容詞対4尺度を用いて評価付けを行った.評価データを分析したところ,雰囲気に大きく影響を与える照明が確認できた.
  • P1-046A
    野崎 優樹 (甲南大学)
    本研究では,情動への信念と他者の情動を調整する際の方略選択との関連を検討した。実験では,参加者は,ネガティブ情動を感じた出来事と気持ちが書かれた文章を読み,「気晴らし」か「再評価」のどちらを用いて相手のネガティブ情動を和らげるかを選択した。分析の結果,相手のネガティブ情動の強度が相対的に低いとき,情動への信念のうち「ポジティブ情動に対する有用性の信念」が高いほど,有意に「再評価」を選ぶ傾向が示された。
  • P1-047
    林 美都子 (北海道教育大学教育学部函館校)
    本研究では,「F」並びに「F」に頭部を添えた記号を作成し,大学生 71 名の協力を得て心的回転実験を行った。正答した項目に関する反応時間を,項目(F 文字・F 擬人化記号)×性別(男性・女性)×回転角度(0度から340度まで20度刻み)の三要因混合分散分析の結果,項目と性別間で交互作用が確認された。男性では統計的に有意な差はなかったが,女性では F 文字より F 擬人化記号の反応時間は短いことが有意傾向で示された。
  • P1-048
    山次 善太 (金沢工業大学)
    服部 一宏 (金沢工業大学)
    金野 武司 (金沢工業大学)
    本研究では人工知能が未学習の対象を正しく判断できるようにすることを人工知能にだけ任せるのではなく,人間の順応力を利用して対象を特定することのできるシステムを構築し,その効果を実験により検証することを目指した.結果,人工知能とのインタラクションの有用性を示すことはできなかった.この結果から,人間の順応力を人工知能が活用するためには,対象への名付けのプロセスを人工知能がたどることができるようになる必要があるという示唆を得た.
  • P1-049
    粟津 俊二 (実践女子大学)
    黙読時に主観的に経験される内なる声(以下IRV)について,日本語文のIRVを認識する程度と,抽象性の高い数学概念や数式のIRVを認識する程度の関係を探索した.68名によるアンケートへの回答を分析したところ,日本語文IRVを認識する程度と数学概念・数式のIRVを認識程度には有意な相関がみられた.しかし偏りが見られ,数学概念や数式のIRVを認識するには,その内容に関連する知識や経験が寄与する可能性が示唆された.
  • P1-050
    尾関 智恵 (愛知工科大学)
    小笠原 秀美 (中京大学)
    数独はポピュラーなパズルであり,制約充足問題として知られている.これまで問題自体に対する提案は数多くあるが,人がどのように難易度を評価し,解答方略を獲得してパフォーマンスを向上させていく熟達過程に焦点を当てた研究は少ない.本発表では,数独における制約伝播に基づく解決方略を獲得していく過程の追跡をするため,これに適した問題生成とその難易度評価の探索的な試みを報告する.
  • P1-051A
    大屋 里佳 (東京大学)
    佐藤 有理 (お茶の水女子大学)
    福田 玄明 (一橋大学)
    植田 一博 (東京大学)
    私たちが話し手の言語表現(感想)からその意味(味)について推定するとき,どうすれば推定が成功しやすいのだろうか.本研究では,二者間で味覚言語表現を手がかりに,相手が飲んだコーヒーを推定する実験を実施した.実験では訓練と推定をおこなうが,訓練時に推定者が相手と同じコーヒーを飲用する条件としない条件を設け,味の意味空間のすり合わせができる飲用条件の方が,非飲用条件よりも推定が成功しやすいのか検討した.本発表では現時点での結果を報告する.
  • P1-052
    藤木 大介 (広島大学)
    近年,対話形式を模した文章の利用が増えた。しかし,先行研究の知見から,対話型テキストは内容を理解するための形式として適さないようである。そのため,読み手にとって重要な意思決定につながる情報の提示が対話型テキストでなされてよいか検討すべきである。そこで本研究では「アジア病問題」を対話型テキストで提示した場合の判断の仕方について検討した。その結果,選択肢のフレーミングとは独立にリスクテイクする傾向が強まることがわかった。
  • P1-053A
    塚村 祐希 (東京大学・日本学術振興会)
    植田 一博 (東京大学)
    本発表では,段階反応データに対し,連続的な反応分布を仮定したモデルを適用し,閾値に対称制約を置くことによってモデルを識別可能にする方法を説明する.さらに,この方法を用いた分析の例として,因果的説明における潜在スコープバイアスに関する先行研究のデータをモデリングした結果を報告する.本手法は,モデリングを想定せず取得された段階データをモデルベースで分析しやすくするものであり,二次分析の積極的な実施を促進すると考えられる.
  • P1-054
    山本 博暉 (静岡大学総合科学技術研究科)
    大本 義正 (静岡大学)
    ユーザーの周囲のランドマークを経路案内に組みこみ、行動変容を促さない非決定点においても逐次的に情報提示を行うことによって情報マッチングを行うインタラクションモデルを提案した。実験の結果、「情報整理」や「都市空間の把握」の項目で有意差がみられた。これより、提案手法がマップや音声案内から得られる情報を現実世界に対応付けることを容易にすると考えられ、地理的空間把握が助長され経路探索をスムーズに行えるようになる可能性が示唆された。
  • P1-055A
    杉山 昂平 (東京大学大学院情報学環)
    執行 治平 (東京大学大学院学際情報学府)
    中高生向けの地域居場所施設と大学の連携によってデザインされた,オープンスペースにおいて大学院生と中高生が関わる場の相互作用分析を通して,ある高校生が持つ専門的興味がいかにして顕在化するのかを検討した.その結果,大学院生による専門分野の説明を補足する形で高校生自身も自身の専門知識を披露することができ,その過程で高校生が専門分野に関与してきた痕跡を共同注視できる状況が,興味の顕在化を可能にしていたことが明らかになった.
  • P1-056
    坂井 萌々子 (金沢工業大学)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学)
    本研究では,テレプレゼンスロボットの特徴である,動き回れる「身体」を持っていることが,コミュニケーション相手との社会的関係構築に与える影響を明らかにすることを目的とした.実験では,テレプレゼンスロボットまたはビデオ会議システムを用いた10分間の会話後に,会話相手の顔画像を手がかり刺激とした共同注意課題を実施した.その結果,共同注意課題における手がかりの効果は見られたが,デバイスによる違いはなかった.
  • P1-057A
    晴木 祐助 (北海道大学)
    金子 景 (北海道大学 文学部)
    小川 健二 (北海道大学 文学研究院)
    Interoception refers to the perceptions arising from the internal body's physiological processes. Researchers have suggested a gender difference in interoception, with women more likely to report somatic symptoms in association with mental disorders. This study examined gender differences in three aspects of interoception and individual tendencies regarding bodily feeling. Results showed no significant gender differences in perceptual accuracy, confidence, or metacognitive ability. However, women who strongly linked bodily sensations to emotions had reduced interoceptive metacognition, not seen in men. These findings empirically support women's vulnerability to impaired interoceptive metacognition related to bodily and emotional feelings.
  • P1-058A
    Wenlian Huang (北陸先端科学技術大学院大学 橋本研究室)
    Takashi Hashimoto (北陸先端科学技術大学院大学)
    本研究は人間の身体的な体験が言語表現に反映されるという認知言語学の考え方を基盤として,日中多義語「上がる」「上(shàng)」について,イメージスキーマ・ネットワークの類似点・相違点を明らかにし,その比較から日中言語話者の認知の違いを探求することを試みる.本稿ではそれぞれの意味カテゴリを分析し,「上がる」は9種類,「上(shàng)」は8種類に分類した.そして,その分析を元にイメージスキーマ・ネットワークの一部を描いた.
  • P1-059
    川端 良子 (国立国語研究所)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    コソア指示詞の文脈指示用法に関する研究では,指示対象に対する会話参加者の知識がコソアの各系列の使い分けに影響すると考えられてきた。本発表は条件が異なる指示対象へのソ系指示詞の使用傾向を『日本語地図課題対話コーパス』を用いて定量的に分析した結果について報告する。
  • P1-060
    猪原 敬介 (北里大学一般教育部)
    上田 紋佳 (北九州市立大学文学部)
    人工文章ではない自然文章からの偶発的語彙学習を捉える方法論として,眼球運動測定と読了後の不意打ち語彙テストを用いたGodfroid et al. (2018) を参考として,日本語・縦書きにて実験を行った。その結果,先行研究の結果を再現し,さらに一般語彙力,内容理解,文章を楽しむことなどの主観的体験の質が語彙学習へ影響する可能性を示唆した。
  • P1-061A
    小池 光 (京都大学大学院教育学研究科)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    身体内部から生じる感覚を内受容感覚と呼ぶ. 内受容感覚の正確さに関する信念の測定法として,Interoceptive Accuracy Scale(IAS)がある. 本研究は日本語版IASの開発・検証を目的とした. 調査の結果,日本語版IASについて,良好な内的整合性が示された. また既存の尺度のうち,身体感覚への気づき高さを示すものとは正の,気づきの困難さを示すものとは負の相関が示され,本尺度は十分な妥当性を有することも示唆された.
  • P1-062
    渡邊 元樹 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    中村 紘子 (日本学術振興会,東京電機大学)
    本研究は,反実仮想条件文「もしpだったらqだっただろう」のもっともらしさの評価について, Petrocelli et al.(2011) と Over et al.(2007) の二つのモデルのどちらが予測力が高いかを頻度事例を用いて検討した.また,もっともらしさの評価の際の計算式の自由記述式を用いることで,計算結果だけではなく計算過程からもモデルの検討を行った.
  • P1-063
    中村 國則 (成城大学)
    確率と価値の負の相関という現象が,言語確率表現についても当てはまるかを検討するため,2つの実証研究を行った.その結果,言語確率表現についても確率が高くなるほどそれに伴う結果の大きさが小さくなることが示され,さらにその結果の大きさは言語確率の持つ方向性という性質とも関連することがあきらかになった.
  • P1-064A
    横須賀 天臣 (東京電機大学)
    石倉 圭悟 (東京電機大学)
    中村 紘子 (日本学術振興会,東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    認知的満足化は,行動の結果として見込まれる価値が満足化基準を満たすかによってリスク態度が異なり,意思決定の探索傾向に影響するというモデルである(高橋ら,2016).満足化基準が満たされない場合はリスク志向的になり,探索的な選択をすることが予測される. 本研究はギャンブル選択課題を用いて,意思決定の探索傾向とリスク態度を検証した.その結果,損失が見込まれるほどリスク志向的になり,探索的な選択をしやすいというモデルの予測が支持された.
  • P1-065
    香川 璃奈 (筑波大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    野里 博和 (産業技術総合研究所人工知能研究センター)
    人間が他者からの助言を参照して意思決定を行う際に、助言をそのまま採用するわけではない現象が自己中心的助言割引として知られる。昨今のAIの急速な発展により、AIを助言として人間が意思決定を行う場面が今後増加すると予想される。しかし、AIの精度とAIを利用した人間の意思決定の関係性は明らかでない。本研究ではシミュレーションと行動実験を通じて、AIの予測誤差が小さくなるほど、それを利用した人間の意思決定が正確になるとは限らないことを示した。
  • P1-066
    中村 脩人 (立命館大学)
    服部 雅史 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では,類推において,検索に伴う意識的な努力が,想起されやすいベースにどのように影響を与えるのか検討した.ターゲットからベースを検索するときの意識的な努力が,想起されるベースに与える影響を検討した結果,意識的な努力と想起されやすいベースの種類の間に関係がみられなかった.実験参加者に意識的な努力を伴わない検索を促すことができなかったため,検索に伴う意識的な努力と想起されやすいベースの種類に関係がみられなかったと考えられる.
  • P1-067
    神岡 拓真 (立命館大学)
    布山 美慕 (立命館大学)
    本研究では,恋愛感情の特徴づけの一歩として,自己 肯定感,対人関係など複数の要素を含む感情としての 安心感と恋愛感情の相関を分析した.先行研究の恋愛 感情と安心感に関する尺度を用いてアンケート調査を 実施した.調査の結果,安心感は「他者,社会へのはた らきかけに対する自信」,「自己肯定感と自己受容」「恋 愛に対する感情の安定性」という 3 つの要素で恋愛感 情に関係していることが示唆された.
  • P1-068A
    南條 啓孝 (自然科学研究機構生理学研究所)
    山本 哲也 (自然科学研究機構生理学研究所)
    David Aguilar-Lleyda (理化学研究所脳神経科学研究センター)
    赤石 れい (理化学研究所脳神経科学研究センター)
    定藤 規弘 (自然科学研究機構生理学研究所)
    本研究は, 機能的磁気共鳴画像法 (fMRI)により, ヒトのメタ認知プロセスの神経基盤を明らかにすることを目的とした. 確信度評定を伴う連続的な知覚意思決定課題を健常成人34名が行い, その間の脳活動を撮像した. その結果, 確信度に応じて前内側前頭前野が, 判断を切り替える制御過程に背側前帯状皮質が関係することを示した. 更に, 前帯状皮質周囲領域に両プロセスに共通する活動が確認でき, メタ認知プロセスに空間的な関連性が示された.
  • P1-069
    渡邊 咲花 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    下條 志厳 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    先行研究では学習によるデカフェコーヒーの覚醒効果やコーヒーの香りのプラシーボ効果が指摘されている.そのため,本研究ではコーヒーの香りが計算課題のパフォーマンスに影響を及ぼすのかどうかを期待と覚醒度の観点から検討した.その結果,課題の進度は変化せず,コーヒーの香りのある条件で課題の正答率が低下した.覚醒度は香りのある条件で低下した.本研究ではコーヒーの香りは課題初期の覚醒度を低下させることで計算課題の正確性を低下させることが示唆された.