日程 9月8日(金) 16:30 - 18:30

ポスターセッション2+懇親会 (P2)

会場:プレゼンテーションベイ
  • P2-001
    浅原 正幸 (国立国語研究所)
    加藤 祥 (目白大学)
    高松 純子 (日本経済新聞社)
    本研究では、オープンデータである『日本経済新聞記事オープンコーパス』に対して、言語受容情報を収集した。一般の方が読んで語・文節単位にどのような印象を受けるかをアンケート調査するとともに、テキストの読み時間を収集した。さらに印象評定情報と読み時間を対照し、自然さ・わかりやすさ・古さ・新しさ・比喩性の印象と読み時間の関係について検討を行った。
  • P2-002
    伊藤 毅志 (電気通信大学)
    金泉 則天 (電気通信大学)
    本研究では、招待隠匿型の多人数不完全情報コミュニケーションゲームである「5人人狼」を題材に、プレイヤの熟達過程を調べた。5人人狼では、熟達するにつれて村人が占い師をカミングアウトする「村人CO」と呼ばれるプレイが現れる。このプレイに着目して、どのようにこの村人COが獲得されていくのかを調べた。その結果、村人COのメリットを認識し、それを実践を通して手続き的な知識を獲得することで違和感なくプレイできるようになっていく過程が観察された。
  • P2-003
    田丸 陽稀 (東京大学大学院学際情報学府)
    藤崎 樹 (東北大学大学院情報科学研究科)
    馬場 雪乃 (東京大学大学院総合文化研究科)
    植田 一博 (東京大学)
    人々の意見を適切に集約した結果が時に高い精度を生む現象は集合知と呼ばれ,さまざまな手法が提案されている.中でも,集団内の成績優秀者を推定し,その意見のみを用いる少数選抜は高い精度を誇る.本研究では,少数選抜の一手法であるHyper Questionに注目し,この手法が回答に偏りがある際に精度が落ちることを明らかにした.また,この限界に対し,エントロピーを利用することで回答の偏りを回避する応用手法を提案する.
  • P2-004
    曹 昂 (東京大学総合文化研究科広域科学専攻)
    植田 一博 (東京大学)
    This study retests the "2-step" hypothesis and the "rainbow-like" theory concerning pitch class-color synesthesia, as proposed by Itoh et al. (2017). The findings of this study suggest that the 2-step hypothesis may have limited applicability, as it can only account for a subset of individuals with pitch class-color synesthesia. Additionally, there may exist 1-step synesthetes, whose synesthetic experiences may be governed by a different mechanism. The variation in mechanisms is likely influenced by the different ways in which synesthetes form their associations. Furthermore, the "rainbow-like" theory may only represent the experiences of 2-step synesthetes. The color perception of 1-step synesthetes deviates from the description of a rainbow-like pattern.
  • P2-005
    赤間 啓之 (東京工業大学)
    永嶋 大稔 (東京工業大学)
    大門 優介 (東京工業大学)
    菅原 壱成 (東京工業大学)
    中谷 太河 (東京工業大学大学院 生命理工学院 生命理工学系 ライフエンジニアリングコース)
    四辻 嵩直 (東京工業大学)
    Researches utilizing meta-analytic brain image analysis data as a target for machine learning aim to extract brain image information from the statistical analysis of numerous brain science studies. These approaches allow for encoding brain responses based on extensive psychological experimental data and natural language processing models. Furthermore, such application is expected to advance into functional network-based research. It is crucial to develop intuitive tools that facilitate a better understanding of the relationships among brain regions associated with this information. In our study, we will develop a prototype of an interactive 3D brain viewer and provide an example of its application in meta-analytic data machine learning.
  • P2-006
    清河 幸子 (東京大学)
    西中 美和 (香川大学大学院地域マネジメント研究科)
    難波 優輝 (newQ/立命館大学)
    宮本 道人 (東京大学)
    峯岸 朋弥 (筑波大学)
    宮田 龍 ((株)アラヤ)
    大澤 博隆 (慶応義塾大学/筑波大学)
    本稿では,SFプロトタイピング (SFP) で作られたSF作品が読後の未来社会に対する意識に及ぼす影響を検討した.参加者にはSFPで作られた作品 (SFP作品) と同じ作家が別の方法で作った作品 (非SFP作品) を1篇ずつ読み,社会的影響力に関する質問に答えるよう求めた.その結果,推奨・社会的影響力・実現欲求・発想喚起のいずれの得点もSFP作品が高く,読後の未来社会に対する意識への促進効果が確認された.
  • P2-007
    近藤 秀樹 (神田外語大学)
    遠山 紗矢香 (静岡大学)
    大﨑 理乃 (信州大学)
    山田 雅之 (九州工業大学)
    電子掲示板上での記事投稿タイミングを調節する手法によって,仲間から返信を得ることがどの程度期待できるようになるかを調査した.提案手法で記事投稿タイミングが調整された場合,一部のメンバーでは,実際の記事投稿間隔で示された場合よりも自分の投稿に対する返信が得られる期待感をより向上させたが,一部のメンバーには期待した効果が得られなかった.非同期的なコミュニケーションに関する習熟の違いがタイムシフト手法の効果に影響を与えていることが示唆された.
  • P2-008A
    松浦 李恵 (宝塚大学東京メディア芸術学部)
    さまざまな環境で創作者をになることができるようになった今日において,創作者を目指す者がどのようなプロセスで評判を獲得しながら,創作活動を可能にしているのかを詳細に明らかにしているものは少ない.そこで本研究は,イラストレーターのSNS上の評判獲得に着目し,イラストの創作プロセスについてケーススタディとして考察する.
  • P2-009A
    多田 由彦 (中央大学)
    本稿は同時手番のgames with unawareness における discovery process について検討する. 本稿は各プレイヤーが他のプレイヤーたちの直前のプレイに対して最適応答を取るような myopic discovery process を定式化し, プレイヤーたちのプレイがある特定のCURB集合の中に収まることを示した.
  • P2-010A
    松林 翔太 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    寺井 仁 (近畿大学)
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    2名すれ違い時の完了時間・操作量から移動行動における利己・利他の個人差を表現した。実験の結果,その利己・利他性は4名すれ違い時にも保持されることが示唆された。また,利己・利他行動と心配性傾向に関連があることが示された。
  • P2-011
    宇野 良子 (東京農工大学)
    古宮 嘉那子 (東京農工大学 大学院 先端情報科学部門)
    浅原 正幸 (国立国語研究所)
    従来の言語学的手法では、データ量の大きさから包括的な新動詞のリストを得ることが困難であるという課題があった。そこで、本研究は複数の大規模アンケートを行うことで、オノマトペ由来の新動詞の包括的なリストを得る方法を構築すること試みた。特に、新動詞とその由来となったオノマトペの類像性の比較が分析に有効であることを示した。
  • P2-012A
    木村 慧一 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    川合 伸幸 (名古屋大学大学院 情報学研究科)
     あおり運転のような攻撃的な運転はしばしば他者の運転をきっかけとした怒りによって喚起される。本研究ではドライビングゲーム上で他者の進路妨害によって怒りは喚起されるか,攻撃性の高まりを示す脳活動はみられるかをそれぞれ質問紙尺度と脳波測定で検討した。その結果,妨害で主観的な怒りが生じた。一方で,前頭部の脳活動は右優勢を示した。これは攻撃を反映する接近動機づけとは逆の回避動機づけの高まりを示し,右側車線での慣れない走行が原因として考えられる。
  • P2-013
    横田 陽生 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学)
    國部 雅大 (筑波大学)
    小井土 正亮 (筑波大学)
    本研究は,サッカーにおける認知的疲労についての 基礎的知見と,適切な測定指標に関する情報を得るこ とを目的として,単一事例により5週間,サッカーの試 合・練習前後様々なタイミングで5つの認知課題と疲 労に関する主観的評価を行った.その結果,特に抑制機 能と視空間ワーキングメモリーにおいてサッカーによ る認知的疲労の影響が見受けられ,その時間変化にも 複数の形態が示された.これらは,練習内容や主観的評 価との関連性もみられた.
  • P2-014A
    髙橋 奈里 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    スライムハンド錯覚は, 主観的には皮膚変形を生起させるが, 過去の行動実験では, 固有感覚ドリフトと皮膚変形を十分に分離できていなかった. 本稿では, 固有感覚ドリフトを抑制するために, 実験として上下方向の実験レイアウトを適用した. 加えて, 引っ張りの強度によって, 錯覚効果に差異があるかを検討するために, 4つの異なるつまみ方を条件とした. 結果は, 固有感覚ドリフトを抑制した状態でも, 皮膚変形感覚が生起することが示された.
  • P2-015
    望月 泰博 (早稲田大学)
    マヤンク アガワル (理化学研究所)
    原澤 寛浩 (理化学研究所)
    陳 冲 (山口大学)
    福田 玄明 (一橋大学)
    近年の研究では,ヒトのリスク選択が効用最大化ではなく,適応度最大化に基づく例が報告されている.しかし,この現象は現在のところ特殊な課題下においてのみ確認されている.本研究では従来からリスク選択研究に用いられてきた繰り返し独立な選択を行う課題において,報酬の得やすさを調節した.その結果,実験参加者のリスク選好に適応度最大化から予測される動的変化が現れた.これはヒトの経済行動が適応度最大化の原理に基づくことを示唆している.
  • P2-016
    犬童 健良 (関東学園大学経済学部)
    本論文は心の多様体モデルを提案し,認知過程を場の量に依存する局所座標系間の変換として解釈した.認知的空間は認知的阻止の影響を受けると仮定される.認知的阻止は閉鎖性と創造性の双対性を有し,同時に,自己検出を抑制する再帰性を有する.ねじれた心は,認知的阻止の力による認知空間の曲がりの埋め込みにおける像である.ねじれた心を解釈するため,フレームシステム,ナッシュの埋め込み定理,双行列ゲームに対するラベリングシステムの適用が考察された.
  • P2-017
    廣田 章光 (近畿大学)
    本研究は問題発見と解決についてプロトタイプの社会に広く公開することの効果を対話の枠組みで考察をする。そして、開発者のデザイン行動のみならず、社会実験における「非開発者」のデザイン行動の存在と影響を示す。さらに非開発者のデザイン行動を開発者が観察することによって、新たなデザイン行動を生み出す場合があることを示す。この2つのデザイン行動について、開発者の気づかない問題の発見に向けて2つ対話の存在を明らかにした。
  • P2-018A
    宮本 真希 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    近年,マンガはその高い情報伝達性から,情報伝達の手段としても利用されている.マンガは,言語情報と視覚情報の両方を併存させる独特の表現形式によって製作される.マンガの構成要素の中でも,装飾文字「描き文字」は,その特徴を顕著に有している.本研究では,描き文字が付加された場面の情報伝達性にかかわる要因を実験的に検討することで,マンガの高情報伝達性を実現する要因を明らかにすることを目指す.
  • P2-019A
    酒井 翔伎 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    本研究では,ACT-Rモデルによる回想法の支援を行うモデルベース回想法に音声インタフェースを搭載したシステムの開発とその効果の検討のための予備的な実験を行った.その結果,音声インタフェースの,スライドバー型インタフェースに対する優位性や発話を引き出す可能性が示唆された.
  • P2-020
    中村 太戯留 (武蔵野大学)
    ユーモア理解においては,ヒトの生存と関連性のある事柄の見いだしと,その事柄を見いだしたヒトを保護するフレームの2つが重要であると,ユーモア理解の「見いだし」理論では考えられている.優越理論,エネルギー理論,そして不調和解消理論などの他の理論で提案されてきた概念は,この2つに発展的に統合できる可能性が考えられる.本研究では,ユーモアの事例を参照しつつ,この2つの概念装置を用いた説明可能性について検討する.
  • P2-021
    久保(川合) 南海子 (愛知淑徳大学心理学部)
    河野 瑞歩 (愛知淑徳大学心理学部)
    ライブで観客が曲に合わせて動いている光景は定番である.しかし,ライブを鑑賞するファンの行動を定量化した研究は少ない.本研究は,ライブ映像鑑賞時の行動について,「ノリのいい曲」と「じっくり聴く曲」で生起する動きの違いを検討した.「ノリ」では上下方向への速い動きが,「じっくり」では左右方向への遅い動きが多かった.鑑賞者は曲種によって自発的に身体の動きを変化させていることが示唆され,それが曲種に合わせた鑑賞行動として効果的であると考えられる.
  • P2-022A
    初田 響子 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    清水 大地 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    野中 哲士 (神戸大学人間発達環境学研究科)
     ラテンアメリカンダンス特有の一貫した滑らかで安定した動作は,どのような身体運動により行われているのだろうか.本研究では,ラテンアメリカンダンスの基本動作であるCuban Motionを用いたフィガーについて,三次元運動協調解析を行った.最も重要な水平面の骨盤の軌道は,プロフェッショナルとアマチュアで近似しており,一般的な指導内容との相違が見られた.一方,姿勢の安定性や身体部位間の協調については熟達差があることが示唆された.
  • P2-023A
    JIAN ZHU (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    運動残効(Motion After Effect; MAE)は,ある方向に動く刺激を長時間観察した後,静止している物体が直前に提示された動きとは逆方向に動いているように見えるというものである.本研究では順応運動刺激の速度とMAEの持続時間の関係を予測する計算モデルを構築し,MAEに関する心理物理学実験の結果を,計算論的に説明することである.
  • P2-024
    奥田 祥司 (宝塚医療大学)
    松㟢 由莉 (宝塚医療大学)
     学習方略については, 深い処理の学習方略をおこなうことで成績が向上することが明らかになっている. 現状では, 学習方略に関する研究において視線の動きに着目しておこなわれているものは少ない.  そこで本研究では, 視線入力装置を用いて暗記課題時の視線の動きを測定し, 視線の動きと課題の合計点数から浅い処理の方略と深い処理の方略時の視線の動きを可視化することができた. 最後に視線について評価していくことの重要性について述べる.
  • P2-025
    東 美由紀 (明治大学研究・知財戦略機構)
    島田 真希 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    近年,応援に関連する言葉として「推し」という概念が一般的に受け入れられるようになってきた.両者はどちらもプロジェクションのプロセスを含むが,その関連については検討の余地がある.本研究では,個人の応援傾向による分類を元に,「推し」の有無と応援行動の調査を行った.その結果,個人の応援傾向によって「推し」の有無および応援行動の特徴が異なり,応援傾向の高さと「推し」が必ずしも同一のものではない可能性が示された.
  • P2-026A
    河原 美彩子 (東京大学,日本学術振興会,東京女子大学)
    田中 章浩 (東京女子大学)
    コロナ渦において着用が推奨されてきたフェイスマスクは、感情認知の手がかりとなる顔の一部を遮蔽する。本研究では、多感覚感情認知における顔と声の情報の重みづけに顔の部分的な遮蔽がどう影響するか、またその影響の受け方はコロナ渦前後で異なるか検討した。その結果、感情表出者の顔が部分的に遮蔽されると声を重視しやすくなるが、口が遮蔽された相手の声を重視する程度がコロナ前より後に減少しており、多感覚感情認知におけるマスク顔への接触の影響も示唆された。
  • P2-027
    安田 朝子 (日本テクトシステムズ株式会社)
    浅野 敬幸 (日本テクトシステムズ株式会社)
    木之下 節夫 (日本テクトシステムズ株式会社)
    田中 俊郎 (日本テクトシステムズ株式会社)
    佐原 徹 (エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)
    田中 淑満 (エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)
    本間 昭 (お多福もの忘れクリニック)
    繁田 雅弘 (東京慈恵会医科大学精神医学講座)
    我々は、AIを活用し、誰もがMCIにおける僅かな認知機能の低下を、発話のみ且つ短時間でセフルチェックできるツールの社会実装を目指している。本研究では、被検者の年齢と性別、設問に対する被検者の回答の採点結果とその音声特徴量を用いて、健常とMCIを判別する機械学習モデルの構築とその性能評価を行った。
  • P2-028
    菅原 壱成 (東京工業大学)
    四辻 嵩直 (東京工業大学)
    赤間 啓之 (東京工業大学)
    fMRIによる脳と心に関した研究は多く行われているが、このような研究では個人差はあまり考慮されていない。本研究では物語聴取タスクにおける脳活動の個人差と物語の影響を2種類の機能的連結性を用いて測定し、予測モデルで重要な領域を特定した。その結果、全ての解析で個人と物語の影響の識別に成功し、情動に関する領域が分類に寄与することが判明した。この結果は意思疎通の困難な特定の個人に対してfMRIを用いて感情を読み解くための新たな手掛かりとなる。
  • P2-029
    梶原 悠 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (東京電機大学)
    帰納推論の理解は, 人の認知過程を解明するために不可欠である. 哲学者Humeは帰納推論にあたり何らかの自然の斉一性を仮定する必要があると指摘した. 本研究は, 帰納推論にあたり仮定される自然の斉一性がどのようなものであるか, という問題への説明を目指す. 具体的には, ハノイの塔と呼ばれる古典的なゲームを題材として, ゲームを解く人や, 解く人を観察してそのゲームのルールを推定する人の推論過程の理論的な説明を検討した.
  • P2-030
    大田 琉生 (金沢工業大学)
    橋本 雅生 (金沢工業大学)
    金野 武司 (金沢工業大学)
    人間が発する言葉には字義通りと言外の二重の意味が込められており,この仕組みを解明するために取り組まれた先行研究では,この二重の意味を学習する計算モデルは,1つの記号に異なる意味が割り当てられた状態を解決できないと考えられた.我々は,リーダーシップを調整する方法を考案し,計算機どうしのシミュレーションでは高いパフォーマンスを発揮することができたが,人を相手にした場合にはうまく機能しないことが実験により確認された.
  • P2-031
    越智 景子 (京都大学)
    酒井 奈緒美 (国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
    角田 航平 (国立障害者リハビリテーションセンター病院)
    発話の流暢性の障害である吃音の生起について、発症が多い年代である幼児を対象に、発症メカニズムを説明するモデルの観点から、語彙の分散表現に関して定量的に分析した。吃音児10名の親子の遊戯場面の会話の分析の結果、親の発話の直後に子どもが発話する場合、その語彙の距離が遠い、すなわち類似単語の繰り返しでない発話が起こるときに、幼児にとっての負荷が高く吃音が生じやすいことが示唆された。
  • P2-032
    桑原 光輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    我々は他者と経験や感情を共有することで,信頼関係を構築し,集団生活を送っている.他者との関わりの最中には,他者との間に脳波や瞬時心拍数の変化といった生理信号の同期が確認されている.本研究では,2人でお笑い映像を視聴している時に,喚起される感情および瞬時心拍数の変化の同期現象を検証した.その結果,2人で視聴する方が映像はより面白く感じられること,2人での映像視聴中は2者間の瞬時心拍数変化の同期が高まっていることが示された.
  • P2-033
    岩橋 直人 (岡山県立大学)
    笹倉 晴景 (岡山県立大学)
    古家 祐介 (岡山県立大学)
    樫本 幸八 (岡山県立大学)
    趙 敏廷 (岡山県立大学)
    坂野 純子 (岡山県立大学)
    他者との協力は人間の最も重要な特徴のひとつである.協力参加者のパーソナリティは自身の行動と認知に影響を与え,認知と行動は互いに影響し合い,行動はインタラクションを通して協力相手の行動と認知にも影響を与える.本研究は,著者らが開発した協力の数理モデルとマルチエージェント行動シミュレータRoCoCoを使用することにより,協力行為におけるパーソナリティと認知および行動の個人内および個人間での顕著な作用関係を明らかにした.
  • P2-034A
    澤田 和輝 (京都大学大学院教育学研究科)
    小池 光 (京都大学大学院教育学研究科)
    村山 新 (京都大学教育学部)
    西田 帆花 (京都大学教育学部)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    本研究は,美しさの知覚,畏敬の念,意味生成の観点から,芸術鑑賞においてどのような感動が触発−創造的活動への高い動機づけ−を引き起こすのかを検討した.その結果,絵画に対する畏敬の念や意味生成から生じる感動が触発を促すこと,また,畏敬の念や意味生成の効果を統制した場合に絵画の美しさは触発と関わらないことが新たに示された.
  • P2-035
    山田 雅敏 (常葉大学)
    本研究は,一人称なる自我の「わたし」を超越する<わたし>,すなわち無人称の自己に関する認知の解明を目的とする.方法として,呼吸を意識している時と,観念的虚構を想起している場合のそれぞれの脳活動と言語報告を検証した.その結果,呼吸を意識している時に前頭前野の脳活動の低下が示されたことから,呼吸により自我の働きが弱まる可能性が示唆された.また呼吸への意識と観念的虚構との切り替わりの際に,体感に関するクオリアの現出が認められた.
  • P2-036
    山森 良枝 (同志社大学)
    本稿では、 誤謬推論における前提pは新情報qの動因ではなく、別に、当のcommon groundと非整合的な関係にある隠れた前提xがその動因であるとし、xと整合的なuncommon groundと非整合的なcommon groundの二重の背景をもつ誤謬推論の情報構造がその生成に深く関係していることを提案する。
  • P2-037
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    香川 璃奈 (筑波大学)
    白砂 大 (追手門学院大学)
    本研究では、アンカリングバイアスを活用し、集合知を高める方法を提案する。具体的には、十分に異なる2つのアンカーの影響を受けた推定値を平均値で集約するという方法である。この方法について、計算機シミュレーション、ならびに医師が新型コロナウイルスの新規感染者数を予測するという現実的な場面で実験的に検討したところ、有効な方法であることが理論的、実証的に示された。
  • P2-038
    寒川 留衣 (宝塚医療大学)
    奥田 祥司 (宝塚医療大学)
    松㟢 由莉 (宝塚医療大学)
    音楽には,作業効率やパフォーマンスを向上させたり,作業量を減少させ誤謬率を増加させるなど,作業に対して様々な影響をもたらすことが分かっている.そこで,本研究では,好みの音楽聴取が,記憶課題の成績に与える影響を明らかにすることを目的とした.結果,音楽聴取による記憶課題への影響に有意差はみられなかったが,普段の音楽聴取の習慣や聴取した音楽のBPMは,音楽聴取時の記憶課題に影響を与えることが明らかとなった.
  • P2-039
    定延 利之 (京都大学)
    鄭 雅云 (京都大学)
    本発表では、度数がデキゴトの数よりも1つ多く表現される(例:失敗が2つで「失敗が2度重なる」)という現象について、これが日本語だけでなく台湾華語についても認められることを、実例観察とアンケート調査により明らかにした。さらに、話し手が心内で述語を形成する段階が、観察対象となる各要素への属性付与の後でもよいと考えることによって、この現象を、度数がデキゴトの数どおりに表現される現象とともに、先行研究とは異なる形で説明した。
  • P2-040
    伊藤 崇 (北海道大学大学院教育学研究院)
    家庭に普及し始めているスマートスピーカーに対して幼児期から児童期の子どもがどのように関与しているのかを明らかにする。スマートスピーカーを所持する4つの調査協力家庭において撮影された室内での生活の様子を観察したところ,少なくとも次の4つの使用目的が見られた。①家庭内での活動を支えるため,②情報検索のため,③家族に代わっての使用,④スピーカーを介した会話そのものをするため。この結果に基づき,子どもとテクノロジーの関係について議論された。
  • P2-041
    眞嶋 良全 (北星学園大学社会福祉学部)
    鈴木 凜太朗 (北星学園大学・社会福祉学部)
    市原 実夢 (北星学園大学・社会福祉学部)
    岩間 雅 (北星学園大学・社会福祉学部)
    桑原 彩 (北星学園大学・社会福祉学部)
    本間 大貴 (北星学園大学・社会福祉学部)
    吉田 崚人 (北星学園大学・社会福祉学部)
    本研究では,科学の非専門家が学術研究の成果をどのように評価するかについて,刊行形態と,科学に対する全般的な信頼と思考スタイルの影響を検討した。その結果,プレプリントの位置づけを理解している場合は刊行形態が評価を決めるが,プレプリントと査読論文が区別できていない状況では,科学への信頼,あるいは非分析的思考スタイルが影響し,特にプレプリントの評価は分析的思考スタイルに大きく影響されることが示された。
  • P2-042A
    笠野 純基 (国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学系 先端科学技術研究科 博士前期課程 先端科学技術専攻 共創インテリジェンス研究領域 橋本研究室)
    橋本 敬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    言語表現,他者推論,あるいは道具などの多様に生み出される様々な生成物は階層的な構造をしていることが多く,階層的な構造は要素を再帰的に組み合わせていくことで作ることができる.では,要素の再帰的な組み合わせが生成物の多様さに寄与し得る効果があるのだろうか.本研究は,言語表現についてこの効果を確認することを目的とする.具体的には再帰的結合が他者の意図に関する多様な言語表現(意図に関する仮説)を生み出す効果があるかどうかを実験で検証する.
  • P2-043
    月田 諒弥 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    本研究では,ネッカーキューブをはじめとする平面線画でありながら三次元構造に知覚されやすい図形の立体知覚を調べるために視線追跡型VRを用いた知覚心理学実験をUnityで開発し,実験を実施した.実験中の参加者の眼球運動を計測し視線の奥行方向の推定距離を算出することで,平面線画に対する立体知覚と眼球運動の関係を分析した.その結果,図形に対する主観的な立体評価と図形を観察中の視線から算出されたGaze Depthの中央値の間に相関が確認された.
  • P2-044A
    井坂 匡希 (同志社大学大学院文化情報学研究科)
    谷本 花 (同志社大学文化情報学部)
    坂本 晶子 (ワコール人間科学開発センター)
    阪田 真己子 (同志社大学文化情報学部)
    人が「自己」を評価する際には、それが自己に深く関わるものであるため、自尊感情や性別といった要素に影響され、客観的な評価が困難な可能性がある。本研究では外見的特徴を排除したスティックフィギュアの歩行アニメーションを使用し、その動作主を他者と想定している際と自己と想定している際に評価に差異が生じるかどうかを検証した。結果、同じ歩行アニメーションに対する評価であるにも関わらず、自尊感情の低い人や女性では自己想定の際に評価が低下した。
  • P2-045
    大谷 紀子 (東京都市大学)
    竹屋 桃花 (日本電気株式会社)
    最大体力の40%以下での「ゆっくり歩き」と70%以上での「速歩き」を交互に繰り返すインターバル速歩は,普通歩行より筋力増強や最高酸素摂取量増加に有効であることが示されており,体力向上をはじめとするさまざまな効果が見込まれる.しかし,高い効果を得るためには歩行速度と時間の管理,および継続が必要となる.本研究では,インターバル速歩における運動効率と楽しさの向上を目的とし,効果的なインターバル速歩を誘導する楽曲の生成手法を提案する.
  • P2-046
    内川 乃天 (関西大学)
    佐々木 恭志郎 (関西大学)
    本研究は自律感覚絶頂反応(ASMR)を喚起する刺激がもたらす感情印象がヒトのどのような内的特性と関連するかについて検討した.結果,高い嫌悪感受性や社会不安傾向を持つ人ほどASMR喚起刺激を不快に評価する傾向が示された.これらの結果,他者からの接触に対する回避反応がASMR喚起刺激のもたらす不快感の背景にあるという仮説を生成した.ただし調査方法の限界や刺激の種類による影響も考慮する必要があり,確証的研究に移る前に慎重な議論が必要とされる.
  • P2-047
    城 真範 (産総研)
    浅野 健一郎 (産総研)
    木村 健太 (産総研)
    佐藤 洋 (産総研)
    本報告では、個人によって異なる多様な主観的認知から得られた統計に一定程度の客観性、汎化性を持たせるための、アンケートのデザインと結果の提示方法における一つの指針を提案する。仮想的な例を使って構成したアンケートの例を示す。
  • P2-048A
    阿部 廣二 (東京都立大学人文科学研究科)
    本論では、重いものを受け渡す際に産出される「もらった」という掛け声の相互行為上の機能を検討することを目的として、祭りの準備過程における「ぼや」の受け渡し場面を分析した。その結果、第一にぼやの担い手が二番手に移ったことを示すこと、第二に受け渡しのやり方を理解したことを示すこと、第三に三番手に受け渡し開始を予示すること、第四に活動のリズムを作ることといった相互行為上の機能がある可能性を示唆した。
  • P2-049A
    松本 和紀 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    中村 紘子 (日本学術振興会,東京電機大学)
    本研究では,条件文の話者間の上下関係が条件推論の抑制に影響を及ぼすかをポライトネス理論に基づき検討した.ポライトネス理論によると社会的距離や社会的地位,要求量が曖昧な表現の利用に影響を及ぼすとされている.今回の実験では社会的地位に着目し,社会的地位の上下関係を操作したシナリオを用いて,条件推論の実験を行った.その結果,条件推論の抑制に追加条件文の有無の影響が確認されたが,上下関係による推論の抑制への影響はみられなかった.
  • P2-050A
    金子 晶史 (東京電機大学大学院)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    中村 紘子 (日本学術振興会,東京電機大学)
    本研究では,タイムプレッシャーの有無と視点(書き手・読み手)を操作し,視点やタイムプレッシャーの有無によって論理的な条件推論が促進されるか,抑制されるかを検討した.実験の結果,書き手の視点から推論する場合は推論の結論を受け入れやすく,書き手は自身の主張に強い確信を持っているという解釈が行われている可能性が示された.一方,タイムプレッシャーの有無による条件推論の受け入れやすさの差は見られなかった.
  • P2-051
    稲荷森 輝一 (北海道大学)
    晴木 祐助 (北海道大学)
    宮園 健吾 (北海道大学)
    自由意志の実験哲学における一部研究は、処罰欲求が決定論的行為に対する自由意志・道徳的責任の帰属を増大させる可能性を示唆している。本研究ではこの効果の因果関係を明らかにすることを主目的として新たな大規模なオンライン実験 を設計し、低欲求条件と高欲求条件それぞれで二種類の非道徳的行為に対する責任帰属判断の質問紙調査を実施した。その結果、行為の種類の違いが処罰欲求と責任帰属判断それぞれに影響することが明らかとなった。
  • P2-052A
    服部 エリーン彩矢 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    山川 真由 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    創造的な製品の拒否は,創造性の評価観点の 1 つで ある実用性が過小評価されるために生じるとされる. 本研究は,新奇な製品の実用性過小評価を緩和する要 因として,専門性に着目し,検討を行った.調査の結果, プロダクトデザイナーである専門家は,非専門家であ るノービスに比べ,新奇性が低い製品の実用性評価に 厳しいために,新奇性が高いほど実用性が過小評価さ れる傾向が緩和されることが示された.
  • P2-053
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    友野 貴之 (札幌学院大学心理学部, 早稲田大学人間総合研究センター)
    本研究では身体性認知の考えに基づいて立位姿勢時に「どこに意識を向けるか」によって,姿勢動揺の複雑さが変わるかを探索的に調べた.特に,内的焦点化(身体に意識を向ける)について身体部位の違いや外的焦点化(環境に意識を向ける)について目の前の地面や障害物の存在,および,身体と環境の関係(アフォーダンス)の影響などを検討した.しかし,いずれの要因の影響も見られなかったため,先行研究の知見を踏まえ多角的に考察した.
  • P2-054
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    長谷川 智大 (岐阜大学)
    Celso M. de Melo (DEVCOM ARL)
    Francisco C. Santos (Universidade de Lisboa)
    非ゼロ和ゲーム的社会においては,搾取者(悪人)を避けながら協力者(善人)と良好な関係を構築することが重要な課題であるが,その認知計算については未知である.本研究では,人が社会的価値志向性を生成モデルとして用い,観察した相手の行動から相手の性格の善悪をベイズ推論し,新規状況で相手の行動の善悪を予測し,合理的な意思決定ができることを実験(n=372)によって確かめた.
  • P2-055A
    高田 亮介 (東京大学)
    坂本 孝丈 (静岡大学)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    スリルを楽しむといった非合理的な遊び行動は,生物が生きていることを自覚するための重要な要素であると考えられている.本研究では,進化計算によって獲得した"危険を避ける"という生得的な状態価値をベースに,相反する報酬関数を用いて強化学習を行うことで"危険を冒す"という経験的な状態価値を実現する.シミュレーション実験により,相反する報酬関数とスリルを求める度合いが,スリルという非合理的な認知過程をモデル化するうえで有効であることが示唆された.
  • P2-056
    光田 基郎 (ノースアジア大学経済学部)
    絵本に描かれた「欺かれた振り」での2次的誤信念内容を大学生に理解させた際の後知恵効果の実験である。4肢選択のサリーアン型誤信念理解での後知恵条件では, 後知恵の干渉に対処する作業記憶負荷増に伴って2次的誤信念理解の下位技能の柔軟な運用が制約され, 技能のクラスタ分析で「欺いかれた振りで報復」や筋立ての再帰性理解のクラスターも得難い傾向を指摘。 キーワード:誤信念理解,欺かれた振り,文法、類推
  • P2-057
    元木 環 (公立はこだて未来大学)
    塩瀬 隆之 (京都大学総合博物館)
    本研究は,筆者らが自ら監修する大学博物館の企画展示においてキャプション解説と対人解説を行った場合,観覧者の反応が異なることに着目した.あらかじめ用意した展示解説と会期中に発信したSNSによる対人的な解説の内容と構成を比較考察したところ,SNSによる解説では,展示監修を通じて得られた気づきや意義,個人的関心が補完されていた.
  • P2-058
    佐々木 康佑 (静岡大学)
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    人間の思考は身体動作と結びつく.この結びつきの詳細を明らかにするために,本研究では,単語分散表現から多次元の数量的意味を抽出する手法を提案する.本手法は,単語分散表現のベクトル空間に,大きさ/速さ/丸さの軸を定義し,その軸に基づいて単語のイメージを生成する.この提案手法を検証するオンライン調査を実施した.その結果,記号と数量の変換機構を持つ人工物の開発可能性が示唆された.
  • P2-059
    Gabriel Rusk (中京大学工学部)
    宮田 義郎 (中京大学工学部)
    淺川 仁都 (中京大学工学部)
    In collaborative efforts with a Bangkok school to make compost with food waste from our respective schools' cafeteria, we found that people seem to cross social boundaries and connect with each other while making compost. From these observations, we suppose that social boundaries make it difficult to see the natural flow of energies in the ecosystem, resulting in social issues like food waste in the food supply against our environmental and economic desire not to waste food. We'd like to suggest that creative collaboration working with biological processes of microbes making compost can help blur these boundaries, see potentials that we don't normally see, and reorganize ourselves more in line within the natural flow of the ecosystem we’re part of.
  • P2-060
    趙 鵬群 (神戸大学)
    巽 智子 (神戸大学)
    本研究では,中国語会話における話題転換の判断に使われる手がかりを心理言語学的な実験により検証した.その結果,先行研究で話題転換部の「手がかり」とされる要因の中には,談話標識,質問表現,情報提供,笑い,沈黙の5つの要因が中国語のリアルタイムの話題転換の判断に正の影響を与えることがわかった.また,話題転換部の「手がかり」が多いほど話題転換が判断されやすくなること,そして異なる談話標識が話題転換の判断に様々な影響を与えることが示された.
  • P2-061A
    橋本 拓磨 (大阪公立大学 現代システム科学研究科)
    森本 優洸聖 (大阪府立大学 人間社会システム科学研究科)
    牧岡 省吾 (大阪公立大学 現代システム科学研究科)
    系列依存性は,直前の情報によって知覚が変化する現象である.本研究は,落下音による物体数の推測課題を用いて,数の系列依存性が聴覚において生じるかどうかを検討した.さらに、系列依存性が,直前の刺激と参加者の応答のどちらから生じるかについても検討した.その結果,聴覚においても数の系列依存性が存在することが確認された.さらに,系列依存性が,参加者の反応に起因することが示唆された.これは,系列依存性が高次の処理段階で生じるという見解に合致する.
  • P2-062
    谷口 洋志 (京都大学 )
    本発表は,現代日本語のコピュラ否定文(「-ではない」など)が,現実の発話場面に於て,いつ用いられうるのか検討するものである.コピュラ否定文の使用は,ともするとGriceの「量の格率」に違反しうる.しかし,話し手の心内環境に於て,①肯定/否定のみに関心が向いているとき,②表現や内容の心内検索が完了していないとき,③否定する箇所が聞き手と十分に共有されていないときは,相対的にコピュラ否定文が使用しやすくなる.
  • P2-063
    青井 孝史 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    前提文を満たす名辞の順序が全順序としては1つに定まらない不確定な名辞系列問題の推論では、複数の全順序を暗示する単一のメンタルモデルが構築されるとする説が有力である。本研究では80人の実験参加者の不確定な名辞系列問題に対する回答パタンを分析し、先行研究で提案されたモデルのうち名辞間の対称性を認識しやすい異性体モデルが有力だと示唆する結果を得た。また、名辞の対称性を利用して推論中の認知負荷を下げようとする対称性バイアスの存在も示唆された。
  • P2-064
    福井 麻紀 (香川大学大学院地域マネジメント研究科)
    西中 美和 (香川大学大学院地域マネジメント研究科)
    幼児教育の現場において知的発達の遅れよりも,落ち着きがない,集団に適応できないなどの行動特徴を持つ「気になる子」が増加し,保育者は対応に困難を抱えている.本研究では,保育現場においてどのような行動特徴を有する子どもを保育者が気になる子と認識し,どのような問題があるのかを明らかにする.それにより,対象児に合った支援策や方向性の契機とし,保育者の悩みの改善,また,早期発見・支援の実現に繋げる.
  • P2-065
    山田 歩 (滋賀県立大学)
    木戸 柚果 (滋賀県立大学)
    古木 一朗 (三菱電機株式会社)
    椿 泰範 (三菱電機株式会社)
    橋口 拓弥 (三菱電機株式会社)
    橘温 希 (三菱電機株式会社)
    歩きスマホは事故やトラブルを招く社会問題となっている.しかし,現状の啓発活動では十分に抑止できていない.本研究はナッジ理論に基づき,歩きスマホを防止するパーソナル・ナッジを開発した.デジタルサイネージを用いて「歩きスマホ者」と「非歩きスマホ者」で異なる内容の映像提示を行う介入実験を現実空間で実施し,大きな抑止効果を確認した.
  • P2-066
    都丸 武宜 (京都工芸繊維大学)
    布施 朋之介 (京都工芸繊維大学)
    西山 雄大 (長岡技術科学大学)
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    他の動物と同様に人の集団での自己組織化も個体間の局所相互作用により駆動される. では, 相互作用の形態は集団のサイズで不変なのだろうか. 本研究では, 一人の歩行者が一人の対向者とすれ違う際に右に避けやすいという選好性が, 対向者が3人になることで消失することを示す. ただし, 視線データ解析から,歩行者は通過方向の選好性を潜在的には有しており, それが歩行軌跡ならびに相互作用に影響している可能性が示唆された.
  • P2-067A
    大野 俊尚 (早稲田大学)
    三嶋 博之 (早稲田大学)
    本研究では,模倣可能な「リズム動作」があるパフォーマンスの方が,より「かっこいい」と評価されやすいことを仮説とし,「模倣可能な動作」がパフォーマンスの「かっこよさ」評価に影響を与える可能性について検討する。予備実験の結果から,評価対象のパフォーマンス未経験者であっても「かっこよさ」と「うまさ」を区別して評価すること,また,「模倣可能な動作」が「かっこよさ」評価に与える影響が,熟練者・未熟練者とで異なる可能性が示唆された。
  • P2-068A
    大貫 祐大郎 (一橋大学)
    大瀧 友里奈 (一橋大学)
    植田 一博 (東京大学)
    先行研究では,自己が所有していない物よりも,自己の所有物の方が,より高い価値があると判断する所有効果が確認されている.しかし, 物を手放すか受け取るか (損失と利得) の交絡を除いた状況における他者の所有物への評価は,十分に検討されていない.そこで,本研究では,所有者の違い(自己と他者)が,物の評価に与える影響を検討した.結果,自己の所有物の価値よりも,他者の所有物の価値の方が高いと予想する「隣の芝生は青い」バイアスの存在を示唆できた.