日程 10月12日(土) 9:30 - 10:50

口頭発表1 意思決定と合理性 (O-1)

会場:国際学術総合研究棟1F 三番大教室
座長:斎藤元幸 (関西国際大学)
  • O-1-1
    中村 國則 (成城大学)
    本研究では.より極端な,よりは高い確率を情報として価値があるとみなすという,“明確な予測の探求原理”に対する情報理論的解釈の妥当性を検討することである.具体的には,近年の確率と結果の負の相関に関する研究成果を踏まえ,同じ確率値であってもその確率が指し示す結果の大きさで確率値に対する情報価がどう変化するかを検討した.分析の結果,結果の大きさに応じて確率表現の情報価に対する評価は変動し,その変動パターンは情報理論的な分析と一致していた.
  • O-1-2A
    白砂 大 (追手門学院大学)
    香川 璃奈 (産業技術総合研究所)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    速さと正確さのトレードオフの文脈では,時間をかけることでよい結果(正確な判断)を得られると考えられている。しかし従来,人の限られた認知資源,特に考えること自体に対するコストが考慮されていなかった。本研究では,資源合理性の枠組みに基づいて,思考コストを抑えつつ高い正確さを維持できるような適度な思考時間が存在するという仮説を立てた。そのうえで,理論(計算機シミュレーション)と実験(行動実験)の双方から,この仮説を検証した。
  • O-1-3
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    白砂 大 (追手門学院大学)
    川口 潤 (名古屋大学・山形大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    植田 一博 (東京大学)
    本研究では、人間が示す記憶に基づく誤った判断の性質について分析を進めた。具体的には、誤った判断は、全知全能ではない人間が記憶に不確実性がある場合に、環境から得られる手がかりに基づいて合理的な推論を行った結果生じているという仮説を立て、計算機シミュレーション、ならびに認知実験を実施して検証を行った。結果として、人間が示す誤った判断のパターンは合理的推論から生み出される誤りのパターンと極めて一致することが示された。
  • O-1-4
    寺尾 敦 (青山学院大学社会情報学部)
    統計学の入門講義を履修している68名の学生が,2週の授業にわたって確率の基礎とベイズの定理を学習し,基本的なベイズ課題と3囚人問題に取り組んだ.基本的なベイズ課題を解決できる学習者にとっても,3囚人問題の解決は難しかった.特に,問題文から尤度に関する情報を読み取ることに大きな困難があった.尤度情報を理解し,正しい問題表象を構築できれば,正解が得られる可能性は高い.