日程 10月14日(月) 9:30 - 11:10

口頭発表6 認知の計量的表現 (O-6)

会場:国際学術総合研究棟1F 三番大教室
座長:中村國則 (成城大学)
  • O-6-1A
    宮本 健史 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    小野 誠司 (筑波大学体育系)
    移動物体を追跡する眼球運動(smooth pursuit)と物体運動の知覚との間には,部分的に共通したプロセスが関与することが示唆されている.本研究では,標的速度と独立して網膜像運動を操作可能な視覚刺激により,始動局面のsmooth pursuitと移動物体検出の早さとが,個体間と個体内のいずれにおいても高い相関関係にあることを見出した.これらは,少なくとも網膜像運動処理の段階で,両者に共通したプロセスが存在していることを示唆している.
  • O-6-2
    細川 敦司 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (東京電機大学)
    観察者が観察対象に対して生き物らしさを知覚(アニマシー知覚)の先行研究では,生物性のみならず,意図性や自律性に関する評定も併せて検討されることが多い.しかし,これらの概念の関係は明確ではない.本研究では実験において複数物体の動きを系統的に生成し,生物性・意図性・自律性・随伴性の概念の相互関係を検討した.その結果,グレンジャー因果量と自己共分散比との相関関係の組み合わせから,生物性の評定は他の3つの概念の複合概念である可能性が示唆された.
  • O-6-3
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    人は運動からそれを生成する系の生物性などを知覚できる。しかし、どのような運動がそうした生物性知覚と関連するのか未解明な点が多い。本研究では、生物性や意図性等の運動知覚を検討する枠組みとして、相互作用する2 点運動を生成するベクトル自己回帰(VAR)モデルを提案する。VARモデルの主要な統計量の一つであるグレンジャー因果を統制した時系列を生成する方法を開発するため、本稿では 4 変量 VARモデルの数理を解析した。
  • O-6-4
    亀谷 長太 (電気通信大学)
    宮本 友樹 (電気通信大学)
    内海 彰 (電気通信大学大学院情報理工学研究科)
    詩の鑑賞の認知過程に着目した研究は少なくその過程は明らかになっていない.本研究では,鑑賞の認知過程を明らかにするために,詩的効果の喚起過程を説明するずれの解消理論を計算モデル化する.具体的には,詩の意味処理を活性拡散ネットワークでモデル化し,認知的負荷とずれの解消をネットワークの活性度からモデル化した.また,評定実験の結果を目的変数とする重回帰分析を実施し,モデルを評価した.結果,ずれの解消が詩的効果に有意に影響を与えることが示された.
  • O-6-5
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    阿部 真人 (同志社大学)
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    我々は, 自発行為にかかる背景情報の影響を探る手法として, 前方のスクリーンに呈示された時間表示を含むプログレスバーに向けてカメラのシャッターを自由に押す「フリーシャッター課題」を考案している. 本課題は, 2023年にテレビ番組の企画として実演され, 人を扱う心理実験としては異例のサンプルサイズ(N=23630)のデータを得た. 本稿では, 集団の有無にかかわらずに観測されるシャッターの時系列特性に焦点を当て, 実験結果を報告する.