研究分野別一覧
コミュニケーションとネットワーク
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O4-1本研究では,コミュニケーション形成における個人特性として,自閉傾向に注目する.この特性は,社会的に不利と考えられている特性である.本研究では,コミュニケーション成立における自閉傾向の影響を分析する.本研究の実験においては,自閉症スペクトラム指数と新規なコミュニケーションの形成に有意な相関が認められた.このことから,自閉傾向は,コミュニケーションシステムの形成において有効に働いたと考察された.
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P1-6個人の共感力を測るEQ(Empathy Quotient)に着目し,それと関連する共感的行動を分析した.共感的行動を引き出す要素としてVRによって導入される身体性も検討した.課題は2人のAgent(Ag1, Ag2)と行うキャッチボールゲームを改変し,Ag1とAg2が参加者とAg1に均等に投げる条件,Ag2が参加者のみに投げる条件を設定した.結果,高EQの参加者はAg1を排斥する傾向があったが,この傾向は身体性の導入によって軽減した.
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P1-13本研究では, 演劇経験者2名ペアが 即興的に演じた劇を20回反復した時に起こるセリフと動きの変化を実験的に検討した. 映像からセリフの変化を, 足圧中心の時系列データから二者の身体的な相互作用を検討した結果, ①セリフの重複が反復開始後に減少した. ②即興時の二者間の相互相関が最も高かった. ③反復により即興時の微細な動きは割愛され, 大きくパターンのあるものに変化した. この結果は, 反復性により即興表現が編集されたことを示唆する.
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P1-16機械学習技術の発展に伴い,人工エージェントと人間との協働の実現が期待されている.協働では参加するメンバ間の相互理解が重要となる.Fukuchi et al.が提案したPublicSelfは,エージェントの目標を人に伝達する動きであるlegible motionを生成することができ, 本研究では情報の非対称性が発生する場面での観測者への影響を検証する実験を行った.結果,人がエージェントの目標を推測する際の精度を向上できることが確認できた.
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P1-17人とエージェントによる協調作業において,エージェントの援助の失敗は信頼関係の破綻に繋がる.これを防ぐ方法として「エージェントに失敗の責任を帰属させない」という手法を検討した.責任の帰属のプロセスをモデル化できればこれに則したインタラクションの設計が可能となる.そこで人がエージェントを社会的存在であると認知していることを検証する予備実験を行い,モデル構築のため責任の判断プロセスを明確にする実験を検討した.
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P1-23本研究では,ピアノレッスン場面で演奏音がいかにポインティング(以下PTG)されるかを,相互行為的資源の時間的・空間的配置構造に着目して分析した.音楽大学で行われている2台のピアノを用いた1対1のレッスンを収録し,分析の対象とした.分析の結果,演奏とPTGの時間的関係の示し,PTG中の演奏と演奏姿勢の維持の構造,PTGの特定性の粒度の3つの要因によってPTGが構造化されていることが明らかになった.
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P1-33意味の創造過程としての動的な比喩理解の分析と実現のために数学の圏論の概念を用いて提案された不定自然変換理論 (TINT: theory of indeterminate natural transformation, Fuyama & Saigo, 2018; 布山 & 西郷, 2019) の計算論的な実現を目す.その実装の過程で現状の諸課題を浮かび上がらせ,その解決案を提案する.
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P2-9「この運動は我々が起こしている」と感じる感覚を共同運動主体感という.本研究では,共同作業中の2者の脳波を同時計測し,共同運動主体感と2者の脳波同期の関係から共同運動主体感の生起に関わる脳領域を調査した.実験の結果,相互に協調し合う共同作業課題において,リーダーの右前頭葉とフォロワーの右側頭頭頂接合部(rTPJ)のθ波の活動同期が高まり,共同運動主体感も脳波同期とともに高まることが示された.
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P2-25本研究では,他者とのコミュニケーションの中での攻撃的ユーモア使用について,質問紙による検討を行った.結果より,攻撃的ユーモアはすべての使用動機において,親しくない友人よりも親しい友人に対してより多く使われること,攻撃的ユーモア使用頻度と友人得点尺度との相関の出方については,相手との関係性による違いは見られないこと,またそのポジティブな動機の下で用いられる攻撃的ユーモアはより円滑な友人関係と関連があることが示唆された.
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P2-46本研究では,knowledge awareness toolsとして知られているコンセプトマップを用いた協同学習におけるターンテイキングと個人・ペアにおけるパフォーマンスとの関係性を検討することを目的とした.そこで,話者交替の回数と個人間のパフォーマンスとペア内のパフォーマンス差との相関分析を行った.その結果,それらの変数間には有意な相関が認められなかったが,後者における差が大きい場合負の相関の傾向がみられた.