研究分野別一覧

感情

  • OS09-2
    公募発表
    宮田 義郎 (中京大学)
    三野宮 定理 (株式会社ソフトディバイス)
    原田 秦 (公立はこだて未来大学)
    人類史における創造性の変遷から,狩猟採集社会から農耕社会への転換に伴う社会のモジュール化により効率性と創造性のバランスが崩れ,さらに産業化社会への転換に伴うモジュール間の共創の困難化と専門家による創造性の独占により,現代社会では創造性が抑制されていることを示す.活動構成型デザイン実践の3つの事例から,デザイナーが現場で関係者と共創して道具をデザインする活動の中で,関係者の潜在的な願いが引き出されて創造性が立ち現れることを示す.
  • OS14-1
    公募発表
    櫃割 仁平 (京都大学)
    野村 理朗 (京都大学 大学院教育学研究科)
    Ambiguity was divided into semantic and affective ambiguity, and their effects on the aesthetic evaluation of haiku were examined for Japanese and German speakers. 450 Japanese and 373 German speakers evaluated 36 haiku for 10 items. The results showed that as semantic ambiguity increased, the aesthetic evaluation of haiku decreased. As a measure of affective ambiguity, we focused on awe and nostalgia, which encompass both positive and negative emotions, and the more they felt these emotions, the higher the aesthetic evaluation. These tendencies were greater for German speakers than Japanese. The reasons for the effects of two kinds of ambiguity on aesthetic evaluation of haiku and the cultural differences will be discussed.
  • OS14-2
    公募発表
    松本 一樹 (東京大学)
    岡田 猛 (東京大学教育学研究科)
    これまで、芸術作品鑑賞時の認知過程についていくつかのモデルが提案されてきた。中でも作品の背後にある作品が創作されたプロセスなどに鑑賞者がいかに注意を向けているかについて着目した諸研究が近年登場してきており、関心が高まっている。本論では、こうした作品創作プロセスの認識に関して今後精緻なモデルを提案していく上で必要とされる実証的知見について、情報の収集、内的処理過程、感情等の他の心理的側面への寄与という三要素に整理しながら議論を行う。
  • O4-1
    粟津 俊二 (実践女子大学教育学部)
    金谷 春佳 (実践女子大学)
    加藤 奈々 (実践女子大学)
    オンライン上での二次創作物への嗜好と、本人の恋愛観や恋愛経験の関係を調べた。二次創作物の嗜好は、自身の恋愛観や恋愛経験を反映していた。特に、非オタク、実在しない人物を好むオタク、実在人物を好むオタクで、恋愛の捉え方が大きく異なった。オンライン上での非現実的で馴染みのないコンテンツも、現実と同じ認知システムで処理されている。二次創作物の理解の身体性について、考察を試みた。
  • P1-12
    正田 悠 (立命館大学スポーツ健康科学部)
    山下 瑛司 (神戸大学国際人間科学部)
    本研究では,演劇作品に対する評価を定量的に評価するための尺度を構築した。Twitterによる語彙収集,インターネット調査による尺度構築,および演劇の動画視聴による尺度の妥当性と内的一貫性の検証を行った。その結果,5因子26項目からなる演劇評価尺度を構築した。今後,実際の舞台作品を鑑賞直後に演劇評価尺度を評価してもらうことで,本尺度の舞台鑑賞への適用可能性を探る必要がある。
  • P1-16
    野村 理朗 (京都大学 大学院教育学研究科)
    河原 大輔 (早稲田大学 基幹理工学部)
    松尾 正信 (京都テキストラボ,京都情報大学院大学)
    自然言語処理により,新聞記事に対する読み手の感情と重要性を自動推定するシステムを構築した。はじめに新聞記事の重要性ならびに感情指標に関し,各々2000記事,40000記事からなるオリジナルのデータセットを構築した。続いて深層ニューラルネットワークの先端モデルの一種であるBERTをベースに,記事に対する各心理指標の分類課題を行った結果,重要性推定の精度は65%とおおよそに実用可能な水準に達した。
  • P1-17
    中村 太戯留 (武蔵野大学)
    扁桃体の関連性感知は,主体にとって意味ある情報を「見いだす」ことである.その際に「保護されている」という認識の枠組みを伴った遊び状態であるときにユーモアが生じると考えられている.この理論は,優越理論における攻撃性を見いだすとき,エネルギー理論における抑圧された暴力的ないし性的な要因を見いだすとき,そして不調和解消理論における新たな関係性や間違いを見いだすとき,ユーモアが生じると捉えると,これらの先行理論と整合するように見える.
  • P1-21
    橋本 直美 (明治大学)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    マインドフルネス瞑想の実践は、ストレス社会の中で精神的健康を保つために、有益な効果をもたらすと考えられる。本研究では4週間のオンライン瞑想トレーニングコースを作成し、その効果を検証した。アンケート調査の結果、トレーニングコースは参加者のマインドフルネスの程度と自尊感情を高める効果があり、トレーニング終了後1か月経過時でもその効果が持続している可能性が示唆された。また、マインドフルネスの程度と自尊感情の高さに相関関係があることも示された。
  • P1-25
    石川 悟 (北星学園大学)
    クッション型セラピーロボット「Qoobo」に対して「思い入れ」を持てるような「出会い場面」の経験が,2週間の Qoobo とのインタラクションをどのように変えてくのか,Qoobo への印象や愛着の程度を尋ねる質問紙と半構造化インタビューにより調査した.その結果「出会い場面」の影響は明確に現れなかった.それに対し,参加者が 持つ「思い込み」が Qoobo に「投射」され,Qoobo の印象やインタラクションを変えた可能性が示唆された.
  • P1-52F
    大屋 里佳 (東京女子大学大学院人間科学研究科・日本学術振興会)
    田中 章浩 (東京女子大学現代教養学部)
    触覚による感情表出には個人間で共通する部分(共通性)と個人間で表現が異なる部分(個別性)の両方が存在するとの仮定のもと,共通性を満たすと感情が伝わりやすいのか検討した.触覚感情表出は複数のパラメータから構成されるが,本研究では動作に着目した.実験の結果,意図感情を最も知覚しやすい動作(典型動作)で接触して伝えると,意図感情の表出として最も適さない動作(非典型動作)を用いて伝えたときよりも感情が伝わりやすいことが示された.
  • P1-53
    花房 柚祐 (明治大学理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    小川 有希子 (法政大学社会学部)
    ハンセン病で人々の差別的な態度を受けていた主人公を描いた映画『あん』を鑑賞することで、病気に対する潜在的差別意識は変化するのかIATで調べると同時に、映画鑑賞中の脳活動をNIRSで計測し、脳活動をISC 解析することで潜在的差別意識の変化に関与する脳メカニズムを検討した。その結果、病気に対する潜在的差別意識が低減した群は左半球のTPJで増加した群のISC値と有意な差が見られ、TPJのISC値と潜在的差別意識の変化量に相関が見られた。
  • P1-56
    大森 隆司 (玉川大学脳科学研究所)
    宮田 真宏 (玉川大学脳科学研究所)
    人の知的能力の特徴が論理的推論である.これは他の動物にはなかなか見られない.しかし人の脳は進化的な連続性に基づき他の動物の脳と大きくは変わらない.ヒト脳の何が他の動物と異なって論理的な思考を可能としているのか?その解明は認知科学に限らず科学の大きな問いであると同時に,社会的にもインパクトが大きいであろう.本稿では,この現象に対する一つの仮説を提示して,その仮説の可能性と検証の方法について議論する.
  • P1-63
    中澤 悠 (静岡大学)
    大本 義正 (静岡大学情報学部)
    様々な体験の提供の場として仮想空間への注目が高まっている。本研究では、体験者と操作アバターの間で動きとストレス状態の随伴的表現とフィードバックの繰り返しによって生じる体験者の操作アバターに対する同調認知が体験理解の深化に寄与するのかを検討するため、ストーリー性をもったシミュレーション実験を行った。結果として、体験者の操作アバターに対する同調認知が体験理解に寄与していた可能性が示唆された。
  • P2-16
    三輪 恒士 (関西学院大学 理工学部 人間システム工学科)
    工藤 卓 (関西学院大学 工学部 知能・機械工学課程)
    機能的近赤外線分光法を用いて映像コンテンツ受容時の脳活動を解析し,情動に相関のある活動への人称視点の影響を検証した. 右前側頭部の脳活動は「怒り」の動画視聴時に増大,「悲しみ」の動画視聴時に減少し,その変化は怒りの場合では 1 人称コ ンテンツでより大きく,悲しみの場合は 3 人称コンテンツにおいて大きかった.動画により誘発された情動関連脳活動は,情動の種類や動画の見え方,特にコンテンツの人称に依存して変化することが示唆された.
  • P2-21F
    酒井 翔伎 (静岡大学情報学部行動情報学科)
    森田 純哉 (静岡大学)
    本研究では,ユーザの精神状態の安定化に向け,適切な回想を支援する対話インタフェースを提案する.認知モデルをベースとした写真スライドショーを利用した実験で得られた発話データから,実験条件による発話量の違いと感情状態を分析した.その結果,モデルの記憶に活性値を含めない条件でユーザの発話が有意に増加した.また,感情分析とユーザ自身の気分評定に相関が見られ,発話内容からユーザの感情状態を推定できる可能性が示唆された.
  • P2-25
    斉藤 功樹 (日本ユニシス株式会社)
    中川 靖士 (日本ユニシス株式会社)
    基本的な感情に対して普遍的で固有の表情が対応づくと報告されているものの,東洋人での検証は不十分であった.本研究では,加齢を考慮し30代以上の日本人を対象とし,写真条件とシナリオ条件それぞれでの感情と表情の関係を分析した.その結果,写真条件では幸福,驚き,及び悲しみにおいて特定の表情が,シナリオ条件では幸福のみが特定の表情と対応づいた.幸福において,個人差が大きく,感情理解力の自己評価が高い人は特定の表情と対応づかない傾向が示唆された.
  • P2-43
    佐々木 美加 (明治大学商学部)
    本研究では芸術関連ボランティアの心理過程を測定する尺度の開発を試みた。美術館のボランティアと地域芸術祭のボランティアに対するインタビューの内容分析(佐々木,2020ab)を基に尺度項目を作成し,全国の美術館ボランティアと地域芸術祭ボランティアの参加経験者に対して調査を行った。分析の結果,「地域愛着・交流」「非日常的豊かさ」「人生の転機と創造性」の3因子構造が見出され,構造的妥当性が確認された。
  • P2-47F
    金谷 悠太 (名古屋大学情報学研究科)
    川合 伸幸 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    怒りは文化や年齢を問わず, 誰もが経験する情動である一方, 怒りを適切に制御できなければ, 人間関係の悪化や, 循環器系疾患リスクの増大など, 重大な問題を引き起こす。これまで, 数多くの研究が怒りを抑制する手法を検討したが, 各手法の特徴や問題点を網羅的にまとめた研究はこれまでなかった。そこで本研究は, 実験的手続きを用いた怒り抑制手法をレビューし, 現存する手法それぞれの特徴や有効性と問題点を明らかにする。
  • P2-57
    庄野 真紀 (香川大学地域マネジメント研究科)
    西中 美和 (香川大学地域マネジメント研究科)
    女性が自己効力感を高めるための経験を積むには,まずは活躍の場への参加が重要である.本稿では,活躍の場への参加自体に消極的である人が多いことに着目した.事例として,坂出市防災女性チームを取り上げ,参加に際しての阻害要因と促進要因を個人の内面変容から明らかにする.定性的分析の結果,参加に至るまでの心理的障壁が大きいため,個人の内面に作用する外からの働きかけが必要であることが確認できた.
  • P2-60F
    米田 凌 (静岡大学大学院総合科学技術研究科情報学専攻)
    森田 純哉 (静岡大学)
    本研究では内的要因を考慮した上で,外的要因による覚醒度と意思決定への影響を調べた. 被験者の内的要因は,二重過程理論に基づいてシステム1とシステム2に設定した. また,覚醒度を操作するための外的要因として視覚刺激,聴覚刺激,社会的刺激を提示した. その結果,システム1ではシステム2よりも覚醒度による意思決定への影響が大きかった. また,覚醒度に影響を与える外的要因の種類や,意思決定の変動も2つのシステムでは異なっていた.