研究分野別一覧
意思決定
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OS07-2公募発表近年、人狼は不完全情報ゲームの新たな研究題材として注目されている。本研究では、「人狼において人はなぜ騙されるのか」の理由に対して、認知バイアスの観点から考察した。実験において、バイアスが生じやすいと予想される問題と生じにくいと予想される問題を作成して、それらを参加者に見せることで、意思決定の違いを考察した。結果として、注目する発話内容によって様々な形のバイアスの影響を受けて意思決定を行っていることが明らかとなった。
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O1-1F本研究では, 自動車の速度制限標識を「60」と提示するよりも, 「0」という最低速度も同時に示した「0-60」の表記の方が,「0」を示した影響によって車両速度が減少するのかどうかを検証した. Web実験とドライビングシミュレーターを使用した実験の結果, 走行したいと感じる速度と, 制限速度の超過数が有意に変化した. 本研究は, 上限に通常は明記されない下限を加えるという手法が, 人をより良い行動に導くナッジに活かせる可能性を示している.
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O2-1低頻度の過大評価,高頻度の過小評価は不確実性下の意思決定の古典的知見の1つである.本研究は新型コロナウィルスの感染状況に関する推定についてこの現象が成立するかを検討することを目的とし,100の国・地域について新型コロナウィルスの感染者数の推定を参加者に求めた.その結果,低頻度の過大評価・高頻度の過小評価という現象は再現できたものの,その原因については先行研究の仮説と異なる可能性が示唆された.
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O2-2本研究は,商品の購入対象(自分用,友人用)と購入場所(近所のコンビニ,東京)の操作が選択のオーバーロード現象に及ぼす影響を検討することを目的とした.実験の結果,自分用より友人用の選択時に,さらには近所のコンビニの商品よりも東京で希少性の高い商品を購入する時に,選択肢数の増加によって選択への後悔が高まった.また,自分用では東京での購入時に選択のオーバーロードがより高まり,友人用の選択には購入場所による希少性の効果が見られなかった.
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P1-11F人が行うヒューリスティックの使用について, 従来にない新たな課題構造のもとで, 正確性のみならず使用可能性の両側面から検証した。行動データの分析から, 人は課題構造に応じて, 使用できる機会が多く, かつ正答をより多く導くことのできるヒューリスティックを使っていることが示唆された。本研究の知見は, 人がいかにして正確な判断を行っているかについてより深く理解するための契機になると考えられる。
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P1-31F身体運動には意図・計画などの認知的な性質を持つ情報が内在している.脳活動の効率的な推定による研究や皮膚表面の筋電信号から運動の意図を読み取るといった研究が行われている.しかし,脳波や筋電といった,我々が日常的には得てはいない指標によらずとも,意図・計画は身体運動軌道の視認からも推定可能である.本研究では,力学的不変量の1つであるフラクタル次元を推定することで,次元の変化の検出により身体運動の分節化を行う.
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P1-34人の顔を観察する際,観察者の眼球運動と性格特性間に相関があることは既に知られている.一方,逆の関係である眼球運動による性格特性の推定に関する研究はほとんど行われていない.本研究では,眼球運動の推移過程をモデル化することにより,眼球運動による観察者の性格特性の推定を試みた.その結果,Big-Five性格特性における協調性,外交性,開放性,神経質性と勤勉性の全てを隠れ状態数や着目部位への転移確率によって有意に推定可能であることが示された.
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P1-42F本研究では、合流場面において、他の車両の印象が意思決定にどのように影響するかを検討した。参加者は、合流車線と主要車線をそれぞれ走行し、隣車線を走行する他車を考慮しながら合流した。その際、他車の印象がAggressiveまたはCautiousになるように操作した。その結果、合流車線を走行し、他車に対してAggressiveな印象を抱いた場合にのみ、印象が影響し、他車の後ろに合流する確率が高くなることが明らかとなった。
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P1-452030年のライフスタイルをイメージした知的協創空間のための統合的プラットホームについて構想する.なmental, logical, physicalが統合された人間存在と暮らしの価値観を提案する.
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P1-46本研究では,居住空間のかたづけという活動に注目し,モノを所有する・整理する・手放すという一連の行為に関わる認知的な特性について,フィールド調査(研究1)とインタビュー調査(研究2)により探索的に検討を行った.その結果,他者が関わるような経験や思い出を重視する外的統制型と,現在の自分自身を基準とする内的統制型という2つの選別方略があることが明らかになった.前者では認知的負荷が大きく,後者では素早い意志決定が行われる可能性が示された.
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P1-55F「速度・精度トレードオフ」理論は緊急性と精度低下の因果関係を示している.しかし,緊急性が視覚画像の価値ベース処理における影響かあまり知られていない.この問題を研究するために,社会道徳画像データベースに「非常に道徳的」から 「非常に不道德的」までの範囲の刺激セット画像を作成して,参加者に評価してもらった.データによる結論として,速度は二極化と関連している.また,緊急性は参加者がより極端な評価をする原因ではないことを明確に示している.
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P2-27F高齢者の相手の顔信頼性に基づき信頼性を推測するバイアスは,詐欺被害に繰り返し遭うリスクを高めると指摘されている(Suzuki, 2018)。原田他(2020)では,高齢者が若年成人と相談すると,顔信頼性依存度が低下する可能性を示した。しかし,原田他(2020)は実験デザイン上,若年成人との相談に効果があるのか,相談自体に効果があるのか区別できない。本研究は実験条件を統制して原田他(2020)を追試し,会話内容の側面から分析を行った。
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P2-30本研究では,数値推定の際に,回答フォーマットによって(数値で回答を求める vs. 尺度で回答を求める),回答にどのような違いが生じるかについて認知実験を実施して検討を行った.結果として,数値で回答を求めた際は特定の数値を用いて回答されやすくなることが明らかになった.また,このような回答傾向の違いは,よりよい集合知を達成する上で影響を与えることが計算機シミュレーションによって明らかになった.
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P2-40本研究では反事実がクジ選におけるリスク態度に与える変化として認知的ポテンシャルをモデル化し,仮想的なクジのペアから選択する質問において選ばなかったクジの結果がどの程度気になるかを聞いた実証的データを用いて分析した.
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P2-58東日本大震災時に撮影された動画の分析で発見さ れた,二つの避難行動が出口からの距離によって分れ る現象において,エージェントの個性,同調行動中の エージェント間の関係,さらに避難中のエージェント の動的な行動特性などが群衆避難行動に与える影響に ついて分析した.その結果,個々のエージェントに着 目したアプローチには限界があり,集団のダイナミク ス全体に介入するようなアプローチが求められるとの 示唆を得た.
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P2-59集団の意思決定における、集団のメンバーが持つ自信の程度や協議における意見の表出順序の影響を調べるために、知覚判断課題を用いてペアによる意思決定実験を行った。その結果、判断の自信に関するメタ認知能力が高いほど、判断結果が集団の意思決定に採用される確率が高くなることが示された一方、意見の表出順序の影響は見られなかった
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P2-60F本研究では内的要因を考慮した上で,外的要因による覚醒度と意思決定への影響を調べた. 被験者の内的要因は,二重過程理論に基づいてシステム1とシステム2に設定した. また,覚醒度を操作するための外的要因として視覚刺激,聴覚刺激,社会的刺激を提示した. その結果,システム1ではシステム2よりも覚醒度による意思決定への影響が大きかった. また,覚醒度に影響を与える外的要因の種類や,意思決定の変動も2つのシステムでは異なっていた.