研究分野別一覧

デザイン

  • OS08-7
    公募発表
    田中 みゆき (早稲田大学)
    細馬 宏道 (早稲田大学)
    2019年に発売されたゲーム『The Last of Us: Part II』は、視覚障害者が音だけでプレイできることで世界的話題を呼んだ。本研究では、視覚障害者によるプレイ画面と解説を用いて本ゲームにおける聴覚的な手がかりの役割と効果を分析し、視覚障害者がどのように音からゲーム空間や状況を把握し、次の行為を決定しているか考察する。また、聴取と動作によるゲーム実践がいかなる認知空間を生み出し、それは視覚空間といかに異なるか明らかにする。
  • OS09-2
    公募発表
    宮田 義郎 (中京大学)
    三野宮 定理 (株式会社ソフトディバイス)
    原田 秦 (公立はこだて未来大学)
    人類史における創造性の変遷から,狩猟採集社会から農耕社会への転換に伴う社会のモジュール化により効率性と創造性のバランスが崩れ,さらに産業化社会への転換に伴うモジュール間の共創の困難化と専門家による創造性の独占により,現代社会では創造性が抑制されていることを示す.活動構成型デザイン実践の3つの事例から,デザイナーが現場で関係者と共創して道具をデザインする活動の中で,関係者の潜在的な願いが引き出されて創造性が立ち現れることを示す.
  • O3-2
    佐藤 有理 (東京大学大学院総合文化研究科)
    峯島 宏次 (慶應義塾大学文学部)
    植田 一博 (東京大学)
    視覚表現は否定を描くことができるだろうか.この問題を,写真とコミックイラストの実世界視覚表現のデータ分析を用いて検討する.まず,画像キャプショニング課題を用いた実験により,一部の視覚表現が否定を表現できることを示す.さらに,否定に関連する画像の分類課題を用いた実験を行い,機械学習(深層学習CNN)と人間のパフォーマンスを比較する.その結果,人は画像には直接描かれていない背景知識や常識を利用して否定を認識することを議論する.
  • P1-01
    廣田 章光 (近畿大学)
    小川 亮 (株式会社プラグ)
    黒岩 健一郎 (青山学院大学大学院)
    吉橋 昭夫 (多摩美術大学)
    本研究は、2020年8月~9月にかけ日本企業の組織におけるデザイン思考の導入実態調査と分析結果の一部である。デザイン思考を組織に導入した結果、デザイン思考が組織に浸透・定着したグループと、浸透・定着していないグループにおいて、それぞれの組織のデザイン行動を比較した。その結果、デザイン思考導入における要件として、①デザインの経営への役割、②組織に定着した仕組み、③経営者のデザインの効果認識の3点について明らかにした。
  • P1-05F
    髙瀨 愛理 (筑波大学,産業技術総合研究所)
    若月 大輔 (筑波技術大学)
    中島 佐和子 (秋田大学)
    大山 潤爾 (産業技術総合研究所,筑波大学)
    字幕設計要素について,映画の一部のシーンに字幕を重畳した映像を用いて,健聴者と聴覚障がい者における印象評価を検討した.この結果を,人の認知の時間特性を考慮して情報を設計する時短デザイン研究と比較し,これら研究知見の字幕基準としての一般性や汎用性を検討した.さらに,これらの知見を評価パラメータとして実装し,実際に開発した字幕評価ツールの評価性能を検討した.
  • P1-25
    石川 悟 (北星学園大学)
    クッション型セラピーロボット「Qoobo」に対して「思い入れ」を持てるような「出会い場面」の経験が,2週間の Qoobo とのインタラクションをどのように変えてくのか,Qoobo への印象や愛着の程度を尋ねる質問紙と半構造化インタビューにより調査した.その結果「出会い場面」の影響は明確に現れなかった.それに対し,参加者が 持つ「思い込み」が Qoobo に「投射」され,Qoobo の印象やインタラクションを変えた可能性が示唆された.
  • P1-45
    伊藤 明彦 (東海大学国際文化学部デザイン文化学科)
     2030年のライフスタイルをイメージした知的協創空間のための統合的プラットホームについて構想する.なmental, logical, physicalが統合された人間存在と暮らしの価値観を提案する.
  • P1-46
    南部 美砂子 (公立はこだて未来大学)
    工藤 華 (株式会社森川組)
    本研究では,居住空間のかたづけという活動に注目し,モノを所有する・整理する・手放すという一連の行為に関わる認知的な特性について,フィールド調査(研究1)とインタビュー調査(研究2)により探索的に検討を行った.その結果,他者が関わるような経験や思い出を重視する外的統制型と,現在の自分自身を基準とする内的統制型という2つの選別方略があることが明らかになった.前者では認知的負荷が大きく,後者では素早い意志決定が行われる可能性が示された.
  • P1-51
    美馬 義亮 (公立はこだて未来大学)
    知識概念は,「表現の対象」を表わす複数の言葉(キーワード)間の関係(概念マップ)として表現されると考えてみる.記号間の関係にすぎない形式知も,学習者がそれらを解釈する活動(グラウンディング,接地)を通して,概念理解を促すことができる.本稿では「圏論」の考え方の一部を援用し,人間の概念獲得プロセスの解釈を試みる.
  • P2-23
    野澤 光 (東京大学総合文化研究科特任研究員)
    本稿は,書家が作品を自己評価した言語データを計量的に分析し,紙面上での文字の造形操作を検証した.書家が全16試行の作品を1文字ずつ自己評価した言語データを用いた.文字の造形操作に関する10種のカテゴリーに属する単語群を定義し,形態素解析を用いて,各カテゴリーに属する単語の生起数を文字ごとに集計した.紙面位置と試行数を要因とする2要因分散分析の結果,試行後半で,文字形態の安定した領域と,調整が続く領域に,紙面が分化した可能性が示唆された.
  • P2-31
    牧野 遼作 (広島工業大学/早稲田大学 人間総合研究センター)
    栗原 勇人 (早稲田大学 大学院 人間科学研究科)
    谷貝 祐介 (早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員)
    門田 圭祐 (早稲田大学 大学院 人間科学研究科)
    臼田 泰如 (国立国語研究所)
    トランスクリプトは,人々のコミュニケーションを収録・録音し,定性的に分析するために欠かせない研究資源である.トランスクリプトの作成には発表媒体などにあわせて調整するなど,研究にとって本質的ではない作業も多く含まれる.本発表で報告するtracrinは,発話の重なりのインデント位置の自動調整を行うシステムである.本システムは,単に便利なツールなだけではなく,定性的研究資源を利用した新たなデータベース研究の第一歩となりうるものである.
  • P2-38F
    岩根 榛花 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学人間系)
    買い物行動のうち,目的の商品を見つけ出す商品探索プロセスに焦点を当て,そこで利用される商品パッケージ情報について検討を行った.高齢者と若年者は,模擬店舗において,サインの呈示を操作した条件下で,4つの商品を探索する課題を行った.発話プロトコルを4商品で比較したところ,商品属性ごとに異なる結果が得られ,パッケージ情報によって,商品属性の誤った推論が行われる可能性が示唆された.今後,認知的加齢との関連性について更なる検討を行う必要がある.
  • P2-61F
    田岡 祐樹 (東京工業大学)
    岡崎 祐樹 (東京工業大学)
    伊藤 鈴 (東京工業大学)
    齊藤 滋規 (東京工業大学)
    本研究の目的は,洞察問題解決過程における固着からの制約緩和に孵化のタイミングが与える影響の検証である. 実験では80名の研究協力者は,それぞれインパスが意識に上る前あるいは後に孵化を行い,孵化のタイミングが制約緩和に与える影響を検証した.結果,孵化のタイミングによって制約緩和までの時間に影響があることが示された.これは今後の創造的課題解決に関する手法の発展に活かせる知見となり得る.
  • P2-62F
    伊藤 鈴 (東京工業大学)
    田岡 祐樹 (東京工業大学)
    岡崎 祐樹 (東京工業大学)
    齊藤 滋規 (東京工業大学)
    本研究の目的は,洞察問題解決過程におけるひらめきや行き詰まりと瞳孔反応の関係を調査することである.6人の被験者にアイトラッカーを装着させ,洞察問題の一つである16点問題に取り組む過程の瞳孔径を計測した.その結果,問題に取り組むことによる認知負荷が瞳孔径に反映されることを確認した.また,ひらめきの前後で瞳孔が散大していく様子が見受けられた.ひらめきや行き詰まりのメカニズムを明らかにすることで,創造的課題解決に関する手法の発展に貢献できる.