研究分野

社会心理

  • O1-001A
    山口 はるな (北九州市立大学)
    石丸 秀樹 (北九州市立大学)
    工藤 政宏 (北九州市立大学)
    髙野 愛美 (北九州市立大学)
    松田 憲 (北九州市立大学)
    本研究は,災害時に一人でも多くの命を救う手がかりを見つけ出すために,ビッグファイブ特性(誠実性,協調性,情緒安定性,開放性,外向性)と認知バイアス(近視眼,忘却,楽観,惰性,単純化,同調)が,平常時・ 災害時の防災意識や防災行動にどのように影響するかの調査を行った.結果,ビッグファイブ特性の高さが認知バイアスを抑制することが期待される一方,防災意識に影響を与えるのは誠実性のみであることが明らかになった.
  • O2-002A
    森 真美 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    木村 真実 (早稲田大学人間科学部)
    野村 亮太 (早稲田大学人間科学学術院)
    対面とオンラインではどちらの舞台が魅力的か.本研究では同じ作品を鑑賞する「他者」に対する認知(“共視者認知”)に影響を受けるとされる自発性瞬目を指標として,視聴環境と観客サイズの間の交互作用を検討した.物語広告の視聴中の瞬目率を比較したところ,対面では観客サイズが大きいほど増加したのに対して,オンラインではむしろ大人数グループにおいて減少した.この結果は,対面状況とオンライン状況で,他者の認知の仕方に違いがあることを示唆している.
  • P1-001A
    藤崎 樹 (東京大学)
    楊 鯤昊 (中央学院大学)
    植田 一博 (東京大学)
    近年、私たちはオンラインサイトを通じて商品への他者の意見を手軽に入手できるようになった。筆者らは既に、商品の購買相手(自分/他者)が他者の意見の捉え方に影響することを示している。ただし、そこでの「他者」の状況は詳しく分析していなかった。本研究では、「他者」の状況として、実質的には強制的な状況と、純粋に贈与する状況を検討した。その結果、両状況で、購買相手が自分の場合に比べて、分散の大きいレイティングを持つ商品を回避することが判明した。
  • P1-006
    城 真範 (産総研)
    木村 健太 (産総研)
    佐藤 洋 (産総研)
    QoLの測定方法に関する三つの分類から主観的幸福感とケイパビリティを中心に先行研究を概観し、Kahnemanの瞬間効用をケイパビリティに類似する可能性価値に置き換える提案をする。アクションとその効果による幸福感をアンケートによって定量するため、二段階のアンケートスキームを提唱する。またその結果の解釈について分類する。
  • P1-009
    浅川 香 (三菱電機 情報技術総合研究所)
    岡 隆之介 (三菱電機 情報技術総合研究所)
    片岡 竜成 (三菱電機 統合デザイン研究所)
    笹山 琴由 (三菱電機 情報技術総合研究所)
    西川 博文 (三菱電機 情報技術総合研究所)
    田内葉子 (三菱電機 情報技術総合研究所)
    駅構内における利用者の経路選択誘導へ向けた基礎的知見の獲得を目的とし,画像刺激・音刺激を用いた場合に,利用者の経路選択意欲がどのように影響を受けるかを机上で評価する実験を実施した。実験の結果,コンテンツにより設定した誘導の強さによって経路選択意欲の強さが変化し,画像コンテンツによる誘導効果が確認された。音の移動感の有無の効果については部分的に確認された。
  • P1-010A
    山本 希 (京都大学大学院文学研究科)
    大東 将 (京都大学大学院文学研究科)
    森口 佑介 (京都大学大学院文学研究科)
    本研究では,学童期の子どもを対象に,あいまいな表情に対する解釈の偏りと敵意帰属バイアス,攻撃性の高さの関連を検討した。その結果,学童期の子どもにおいて,あいまいな表情に対する解釈の偏りは,敵意帰属バイアスと攻撃性のいずれともほとんど関連しないことが示された。このことから,敵意帰属バイアスや攻撃性が高い学童期の子どもにおいて,あいまいな表情に対する解釈は必ずしも偏っているとは言えない可能性が示唆された。
  • P1-014
    能城 沙織 (木更津工業高等専門学校)
    欧米を対象とした、配偶者選択における社会学習に関する実証実験において、魅力的な個体の選択は模倣されやすいという結果が多く出ている。本研究では、配偶者選択における社会学習行動が人類に普遍的な行動なのかを明らかにすることを目的に、これまで実験の対象となっていなかった日本人においても、同様の傾向が見られるのかを調べる実験を行った。実験の結果、日本人においても欧米と同様の傾向が認められ、本行動の普遍性が示唆された。
  • P1-018A
    徐 韵 (同志社大学)
    天野 梨咲 (同志社大学)
    坂本 晶子 (ワコール人間科学研究所)
    正田 悠 (立命館大学)
    阪田 真己子 (同志社大学)
     他者の存在を意識し,他者が自分に対して抱くイメージを操作することを自己呈示という.自己呈示の意図に基づく手段には動作も含まれるにもかかわらず,実際に自己呈示の意図がいかにして動作に反映されるかを定量的に確かめた研究はほとんどなかった.そこで,本研究では「歩容」に着目し,自己呈示の意図の強さが歩容にいかに反映されるかを確かめる実験を行った.実験の結果,自己呈示の意図の強さや承認欲求の強さによって,歩容が変容することが確かめられた.
  • P1-020A
    柴北 春香 (名古屋大学情報学研究科)
    服部 雅史 (立命館大学)
    平田 瑞貴 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    この研究は,存在脅威管理理論の文脈における死の脅威が自己の仮説妥当性評価へもたらす影響についての検討をおこなったものであった.人間は,他者のアイデアや仮説などを懐疑的に評価するのに対して自分の仮説やアイデアを肯定的に見積もる傾向がみられる.本研究ではその原因を存在脅威管理理論における死の脅威にあると仮説を立てて仮説検証課題を用いてこのことを検証した.実験結果は有意な差がみられなかった.
  • P1-025
    中分 遥 (高知工科大学)
    佐藤 浩輔 (株式会社バンダイナムコ研究所)
    五十里 翔吾 (琉球大学,Virtualion株式会社)
    儀式または儀礼的行為とは形式的な構造を持つとされ,強い効果を持つとされるものや,重要な場面で行われるものが存在する.本研究では儀式の効果・重要性とその構造(規則性・複雑性・ランダム性)の間に関連があるか検証した.実験では,2つの動作を組み合わせることで多数の儀式を作成し,実験参加者は各儀式の効果・重要性,そして構造を評定した.実験の結果,儀式の効果・重要性の評定値は複雑であるほど高く,規則的であるほど低くなる傾向が示唆された.
  • P1-026
    島田 真希 (明治大学大学院理工学研究科)
    東 美由紀 (明治大学研究・知財戦略機構)
    嶋田 総太郎 (明治大学)
    応援に関する心理尺度については、特定の応援対象がいる人についての尺度は存在するが、幅広い層を対象とした尺度はまだない。そこで本研究では、他者を応援する傾向性の個人差を計測する「応援傾向尺度」を作成した。調査の結果、「好ましい人への関心」、「ネガティブな状況の打開」、「周囲との同調」、「ポジティブな状況の推進」の4因子で構成され、十分な信頼性と妥当性があることが示された。さらに、クラスタ分析の結果から、4つのクラスタが得られた。
  • P1-034A
    横須賀 天臣 (東京電機大学)
    渡邊 元樹 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    中村 紘子 (東京電機大学)
    条件推論において,一般知能により真偽判断には個人差がある(Evans et al., 2007).また,推論の成績は,どのように思考することを好むかという思考スタイルの個人差が影響する(Evans & Stanovich, 2013). そこで,本研究は条件推論の真偽判断において,思考スタイルの個人差による影響を検討するため,2つの実験を行った. その結果,思考スタイルの個人差は条件推論へと限定的に影響を及ぼすことがわかった.
  • P1-039A
    澤田 和輝 (京都大学大学院教育学研究科)
    今津 慎太郎 (京都大学大学院教育学研究科)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    規範の厳格さは拡散的思考に及ぼす影響とそれを調整する個人差要因を実験的に検討するために,シナリオ課題を用いて規範の厳格さ/寛容さを実験的に導入した後,従来の代替用課題の限界点を踏まえた拡散連合課題を用いてアイディアの生成と抑制の二過程を含む拡散的思考を測定した.その結果,刺激探求の低い個人においては,規範の厳格さが産出される単語ペアの類似度を低下させること,すなわち拡散的思考を促進させることが示された.
  • P1-049
    安念 保昌 (札幌保健医療大学)
    許諾を受けた72名の参加者に、睡眠時間、抑鬱の質問紙を埋めてもらい、10対の肯定・否定語及び、男女日本人の平均顔とその合成された喜び、笑い、怒り、驚き、悲しみの表情を対にしたスライドを5秒間ずつ、アイトラッカーを装着して見てもらった。0.1秒ごとに、どこを見ていたかを文字化して、視線遂構造を比較した。その結果、高鬱群が否定図にこだわるだけでなく、そこからの切り替え(即ち、注意解放)の困難さを示した。
  • P2-004A
    牧 恒平 (早稲田大学人間科学研究科)
    関根 和生 (早稲田大学人間科学学術院)
    本研究では,自己接触行動が聞き手への視線行動に及ぼす影響について検討した.調査参加者(N = 20)は,腕組み条件,頬触り条件,統制条件の3つの条件下で,聞き手に対する説明課題を行った.課題の間,聞き手の目,顔,体に向けられた視線を測定した.また,対人不安傾向を調べるために質問紙によりシャイネス得点を測定した.結果として,シャイネス得点の高い男性において,頬触り条件が腕組み条件や統制条件と比較して顔への注視量が増加したことがわかった.
  • P2-012
    徐 貺哲 (弘前大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    本研究では煩雑なデータ処理をおこなうことなく単純な眼球運動の指標を用いても、先行研究と同様に観察者の性格特性と眼球運動に関係性を示せるか否かを検討した。その結果、眼球運動の平均移動距離や(停留時を含む)平均移動角度のような単純な指標によっても顔の観察時の眼球運動から観察者の性格特性が推定できることが示された。
  • P2-037
    尾関 智恵 (愛知工科大学)
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    髙木 寿 (岐阜大学大学院)
    上野 将敬 (近畿大学)
    牛乳や乳製品は,健康維持に役立つという知識があっても青年期に摂取率が激減する.この要因を探るアンケート調査が多数実施されているが,先延ばし行動の理由の収集が難しい.そこで牛乳や乳製品を題材に,インタラクティブエージェントによって,言いにくい本音や自覚していない状態の報告内容に変化が起こるか要素ごとに探索的に検討する予定である.