研究分野

記憶

  • P1-021
    髙橋 麻衣子 (東京大学先端科学技術研究センター)
    近藤 武夫 (東京大学先端科学技術研究センター)
    教科書には本文情報だけでなく,それを補足する情報が本文周辺に配置されている。本研究では,これらの補足情報を本文中に挿入することで,特に読みスキルの低い読み手の理解が促進されるかを検討した。56名の中学生を対象として,補足情報が本文周辺にあるレイアウトAと本文内に挿入されているレイアウトBの理解度や読みやすさを測定した。その結果,特に読みに苦手感のある参加者に限ってレイアウトBの理解成績が高いことが示された。
  • P1-036
    大石 充希 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    再認課題において実験条件がどの認知過程に影響を与えるかについて議論がなされている.本研究は定着度の高い再認課題を、実験条件(干渉・新旧性・直感性)に対する瞳孔反応の主成分分析(PCA)がこの議論に新たな視点を与えると考えた.PCAからどの成分でも干渉の効果は示されなかった.また、新旧性は主効果と直感性との交互作用が確認された.以上の結果に対して定着度の高さが関連していることが考えられるため、今後は定着度の変化から原因を明らかにしていく.
  • P1-039A
    Mujun QIN (北陸先端科学技術大学院大学)
    橋本 敬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    個人と集団のアンマッチで生じる疎外感は,個性や創造性の顕れと見ることもできるため,疎外感の受容は個人に肯定的な影響を持つ可能性がある.本研究は,疎外感に連なる個人の性質に関わる自己肯定感が疎外感とその受容に影響するかを検証する.予備実験では,先行研究で示された自伝的記憶の想起による自己肯定感の上昇が再現できなかった.また,想起前後で疎外感に有意差が生じたが,疎外感受容度に有意な変化がなかった.自伝的記憶の想起課題を再検討する必要がある.
  • P1-042
    山川 真由 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    小島 一晃 (帝京大学)
    本実践では,系列位置効果を題材として,実験とシミュレーションを組み合わせた授業を行った.受講者は,自身が実験参加者となることで得られた実験結果と認知モデルをベースとしたシミュレータを使って生成された結果を対比した.実験とシミュレーションの結果を対比することにより,考察がどのように変化するかを検討した.シミュレーション結果との対比後には,実験結果の考察として,認知処理過程に基づく説明の記述が増加することが示された.
  • P1-054
    山本 博暉 (静岡大学総合科学技術研究科)
    大本 義正 (静岡大学)
    ユーザーの周囲のランドマークを経路案内に組みこみ、行動変容を促さない非決定点においても逐次的に情報提示を行うことによって情報マッチングを行うインタラクションモデルを提案した。実験の結果、「情報整理」や「都市空間の把握」の項目で有意差がみられた。これより、提案手法がマップや音声案内から得られる情報を現実世界に対応付けることを容易にすると考えられ、地理的空間把握が助長され経路探索をスムーズに行えるようになる可能性が示唆された。
  • P1-066
    中村 脩人 (立命館大学)
    服部 雅史 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では,類推において,検索に伴う意識的な努力が,想起されやすいベースにどのように影響を与えるのか検討した.ターゲットからベースを検索するときの意識的な努力が,想起されるベースに与える影響を検討した結果,意識的な努力と想起されやすいベースの種類の間に関係がみられなかった.実験参加者に意識的な努力を伴わない検索を促すことができなかったため,検索に伴う意識的な努力と想起されやすいベースの種類に関係がみられなかったと考えられる.
  • P2-024
    奥田 祥司 (宝塚医療大学)
    松㟢 由莉 (宝塚医療大学)
     学習方略については, 深い処理の学習方略をおこなうことで成績が向上することが明らかになっている. 現状では, 学習方略に関する研究において視線の動きに着目しておこなわれているものは少ない.  そこで本研究では, 視線入力装置を用いて暗記課題時の視線の動きを測定し, 視線の動きと課題の合計点数から浅い処理の方略と深い処理の方略時の視線の動きを可視化することができた. 最後に視線について評価していくことの重要性について述べる.
  • P2-038
    寒川 留衣 (宝塚医療大学)
    奥田 祥司 (宝塚医療大学)
    松㟢 由莉 (宝塚医療大学)
    音楽には,作業効率やパフォーマンスを向上させたり,作業量を減少させ誤謬率を増加させるなど,作業に対して様々な影響をもたらすことが分かっている.そこで,本研究では,好みの音楽聴取が,記憶課題の成績に与える影響を明らかにすることを目的とした.結果,音楽聴取による記憶課題への影響に有意差はみられなかったが,普段の音楽聴取の習慣や聴取した音楽のBPMは,音楽聴取時の記憶課題に影響を与えることが明らかとなった.
  • P2-056
    光田 基郎 (ノースアジア大学経済学部)
    絵本に描かれた「欺かれた振り」での2次的誤信念内容を大学生に理解させた際の後知恵効果の実験である。4肢選択のサリーアン型誤信念理解での後知恵条件では, 後知恵の干渉に対処する作業記憶負荷増に伴って2次的誤信念理解の下位技能の柔軟な運用が制約され, 技能のクラスタ分析で「欺いかれた振りで報復」や筋立ての再帰性理解のクラスターも得難い傾向を指摘。 キーワード:誤信念理解,欺かれた振り,文法、類推
  • P3-002
    新堀 耕平 (静岡大学情報学部)
    西川 純平 (静岡大学)
    長島 一真 (静岡大学創造科学技術大学院)
    森田 純哉 (静岡大学)
    記憶のエラーは個人属性や感情状態など様々な要因により生じる.エラーは,想起されるべきでない情報が思い出されるコミッションエラー,想起すべき情報を思い出すことができないオミッションエラーの2種類に大別される.本研究では,これらのエラーをクラウドソーシングにより取得し,それらとACT-Rモデルとの整合を検討した.結果,感情評価項目とモデルパラメータとの間に相関がみられ,個人傾向を推定可能であることが示された.
  • P3-006
    塚田 瑛介 (静岡大学情報学部)
    西川 純平 (静岡大学)
    長島 一真 (静岡大学創造科学技術大学院)
    森田 純哉 (静岡大学)
    SNS(Social Network Service)の急速な発達に伴い,フェイクニュースやデマの拡散が問題になっている.これらの背景として,先行研究ではユーザの感情的反応が指摘されている.情報伝播において,感情を揺さぶる言葉が含まれるツイートほど,より拡散されやすいとされる.しかし、感情的反応がツイートの拡散に結び付くメカニズムは明らかになっていない.本研究では,ACT-Rを用いた人間の認知プロセスのモデリングによりこれを検討する.
  • P3-018
    藤井 佑実子 (筑波大学図書館情報メディア系)
    森田 ひろみ (筑波大学図書館情報メディア系)
    携帯型情報端末の限られた画面に表示されたものの視覚情報処理は,全体視とは異なる特徴を持つ.本研究では心理学実験を用いて,小さな画面でのスクロール表示が画像内の物体位置の記憶の正確性に与える影響を明らかにすることを目的とした.実験の結果,スクロール表示では窓を通して観察することにより,また画像の絶対位置を移動して観察することにより物体位置の符号化及び遅延後記憶の正確性が低下することが示唆された.
  • P3-051A
    岩根 榛花 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学)
    意味的に関連した刺激が時空間的に近接した場合に記憶されやすいことが知られているが,探索行動との関係は検討されていない.そこで本研究では,高齢者と若年者を対象に,意味的に関連した刺激が近接する体制化地図と,分散する非体制化地図上で,ターゲットを探索する課題を実施し,その探索行動について分析した.その結果,体制化条件間で探索時間に差が見られない一方で,生成される記憶が異なる可能性が示唆された.
  • P3-061A
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    著者らは認知モデルを活用した音韻意識形成支援システムの開発に取り組んできた.ユーザの音韻意識は,システムに搭載された複数のモデルへの選好として推定される.本稿では,この推定手法の評価のための実験デザインを検討する.システム出力に音声フィルタをかけることで,未成熟な音韻意識を模擬する.2名を対象とした予備実験の結果として,フィルタ間でユーザのモデル選好が異なる可能性が示された.今後は,参加者数を増やした実験による検証が必要である.