研究分野

文化人類学

  • O1-004
    小林 陽昭 (公立はこだて未来大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本稿は、一人称研究による自分の生きづらさを解消するプロダクトデザイン実践から得た、日常的に身体的な認知・行動を一人称記述する有用性を報告する。筆者が生活における身体的な認知・行動を私秘的視点と公共的視点により記述した二段階フィールドノートによって、自己完結するプロダクトデザインが自己満足に留まらず、本質的な課題の発見と解決を助ける。また、プロトタイプを構成的に作り変えることで生じる目的の変化を許容できるデザインプロセスとなる。
  • P2-040
    伊藤 崇 (北海道大学大学院教育学研究院)
    家庭に普及し始めているスマートスピーカーに対して幼児期から児童期の子どもがどのように関与しているのかを明らかにする。スマートスピーカーを所持する4つの調査協力家庭において撮影された室内での生活の様子を観察したところ,少なくとも次の4つの使用目的が見られた。①家庭内での活動を支えるため,②情報検索のため,③家族に代わっての使用,④スピーカーを介した会話そのものをするため。この結果に基づき,子どもとテクノロジーの関係について議論された。
  • P2-048A
    阿部 廣二 (東京都立大学人文科学研究科)
    本論では、重いものを受け渡す際に産出される「もらった」という掛け声の相互行為上の機能を検討することを目的として、祭りの準備過程における「ぼや」の受け渡し場面を分析した。その結果、第一にぼやの担い手が二番手に移ったことを示すこと、第二に受け渡しのやり方を理解したことを示すこと、第三に三番手に受け渡し開始を予示すること、第四に活動のリズムを作ることといった相互行為上の機能がある可能性を示唆した。
  • P3-064
    齋藤 巴菜 (公立はこだて未来大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本研究では,人が共在している状況で,笑いうる(laughable)出来事が起きた時に,どのようにして笑いの連鎖によってその出来事に対する理解が共有されるのかについて分析する.第一筆者である齋藤が同期学生と大学の校舎内で過ごす様子を収録したビデオを映像分析した結果,共同注意が達成され,互いに笑いうる出来事を笑いうる出来事として認識できたときに,笑いが連鎖されることが明らかになった.