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視覚・聴覚・音声

  • O1-1
    齋藤五大 (東北大学大学院文学研究科)
    行場次朗 (東北大学大学院文学研究科)
    これまでの私たちの研究では,単一の運動から二通りの知覚が生じる通過・反発刺激の遭遇点の真下で両手を合わせた時にのみ,他の姿勢に比べて有意に反発知覚が増加することを報告した。本実験では,両手同士の接触がこの効果の生起に重要な役割を果たすかを調べるため,両手で板を挟む条件と両手非接触の条件を設けた結果,両手を合わせた条件のみで有意に反発知覚の促進が示された。この結果から,その姿勢特有に生じる触覚や力覚が事象知覚の変容に重要だと考えられる。
  • O3-3
    中田龍三郎 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    川合伸幸 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
     鏡に映る自分の姿を見ながら食べると、実際には孤食であっても、共食のように食品をおいしく感じ、摂取量は増加する。事前に撮影した食事場面の静止画像を見ながら食べても、鏡を見ながらの食事と同様の効果が生じた。鏡映自己像には食事を行う対象の動的情報が含まれていたが、これらの情報はおいしさの向上や食品摂取量の増加に必ずしも影響するわけではないようだ。「擬似的な共食」は孤食時の食事の質の向上に役立つかもしれない。
  • OS03-1
    鈴木宏昭 (青山学院大学 教育人間科学部教育学科 教授 博士)
    本論文では表象を外の世界に投射するプロセスとメカニズムを探求するプロジェクションサイエンスが必要である理由について論じる.次に,投射を3つに分類(投射,誤投射,虚投射)し,これらに関連する現象をリストアップするとともに,そこでのメカニズム,発生について暫定的な仮説を提出する.そしてこの探求のためには心理学,情報科学,脳科学,社会諸科学の共同が必要であることを主張する.
  • OS03-4
    渡邉翔太 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    川合伸幸 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    前腕CGモデルを操作する際の,参加者とモデルの身体図式の一致が,運動主体感・身体所が有感に及ぼす影響を心理・生理反応の側面から検討した.その結果,参加者とモデルの身体図式の一致は運動主体感を高めることが示された.また,高い運動主体感が誘発された場合においてのみ,高い身体所有感が誘発され,収縮期血圧・一回心拍出量という心臓機能の賦活を中心とした生理反応が示されることが分かった.
  • P1-1
    吉村直己 (大阪府立大学 人間社会学研究科 人間科学専攻)
    牧岡省吾 (大阪府立大学 人間社会学研究科)
    本研究はマインドワンダリング時の眼球運動の特徴を調べ,マインドワンダリングが生じたかどうか判別できるか検討した。アイトラッカーを用いてn-バック課題実行中の眼球運動を測定し判別分析を行ったところ,眼球運動からマインドワンダリングがある程度判別可能であることが示された。またマインドワンダリング中の特徴として,画面の右側を見ている傾向があることが明らかになった。
  • P1-3
    松田剛 (京都府立医科大学)
    山脇正永 (京都府立医科大学)
    本研究では嚥下運動に関するAutomatic imitation(AI)の存在を筋電および嚥下音を測定することで検討した。もし嚥下運動に関するAIが存在すれば、他者の嚥下運動を観察したときに自身の嚥下運動が促進されるはずである。健常な成人16名(平均23.1歳)を対象とした実験の結果、嚥下運動の映像による嚥下の促進効果は見られなかったが、嚥下音を聞いたときに自身の嚥下開始が早くなり、嚥下音が大きくなる効果が見られた。
  • P1-6
    永井聖剛 (立命館大学総合心理学部)
    山田陽平 (奈良教育大学教育学部)
    金谷英俊 (愛知淑徳大学人間情報学部)
    川上直秋 (島根大学人間科学部)
    西崎友規子 (京都工芸繊維大学大学戦略推進機構)
    本研究では刺激が示唆するパワーと発揮される握力との関係を調べた。実験では乳幼児画像,レスラー画像,またはブランク画面が提示され,実験参加者には人物が提示されたき,事前に練習した最大筋力の50 %の出力で握力計を握るように求めた。結果から,レスラー画像に対し乳幼児画像よりも大きな握力が発揮されることを明らかにした。したがって,刺激が示唆するパワーに関する情報は知覚および運動反応システムで共通に表現され,相互に影響を与えるものと考えられる。
  • P1-7
    井藤寛志 (愛知大学文学部)
    本研究の目的はジャンケンのような戦略的な文脈において対戦相手の身振りに対する無意識的な模倣が生じるか否かを検討することであった。実験参加者の課題は,2名でジャンケンを行いできるだけ多く勝利することであった。課題中,実験参加者の一方のみが目隠しをする条件(目隠し無)と両方が目隠しをする条件が設けられた。本実験の結果は,目隠し無条件の実験参加者が相手の身振りを無意識的に模倣したために引分の頻度が高くなるという解釈を支持しなかった。
  • P1-8
    方思源 (早稲田大学人間科学研究科)
    松居辰則 (早稲田大学人間科学学術院)
    本研究の心理学実験では、日本語の基本色名における色の中心度とその色に対する短期記憶パフォーマンスとの間に相関関係は認められなかった。一方、色の中心度と弁別度との間に正の相関関係を認めることができた。先行研究の知見を考慮すれば、この結果は「言語別基本色名の中心度効果」が言語により強さが異なる可能性を示唆している。また、「普遍的基本色名の中心度効果」の普遍性ないしは存在に疑問を投げ、この中心度効果は弁別度効果である可能性も示唆している。
  • P1-19
    水野りか (中部大学人文学部心理学科)
    松井孝雄 (中部大学人文学部心理学科)
    視覚呈示された同音異義語の語彙アクセス過程では音韻から形態へのフィードバックが生じるとされる。本研究では同音異義語が聴覚呈示されても同様のフィードバックが生じるか否かを検討した。聴覚呈示で音韻から形態へのフィードバックが生じないなら同音異義語効果は認められないが,生じるなら同音異義語効果が認められると予想された。結果は後者で,聴覚呈示でも音韻から形態へのフィードバックが生じる支持的証拠が得られた。
  • P1-36
    髙木紀久子 (東京大学大学院学際情報学府)
    横地早和子 (東京未来大学こども心理学部)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科・学際情報学環)
    本研究では現代美術家が作品コンセプトの生成を行う初期段階について,実際の創作過程に関わる制約の変更を検討した.結果から,アイデア生成のための概念操作による連続的なドローイング過程で,美術家は何度か「そもそも自分は何をしたいんだろう」といった,制作活動そのものの省察が起きていた.また,創作行為の制約の変更を伴う連続的なドローイング過程では,外化したドローイングのフィードバックを利用し,美術家の内的基準に基づく新しい図像の探索が起きていた.
  • P1-38
    蓮見絵里 (立教大学)
    本研究では,ジャズの即興演奏の課題の一つである快適な音の探索過程を明らかにする.ジャズピアノの教授学習場面における二者間でのフレーズの探索について,発話と演奏の音を記述し分析を行った.その結果,先行する音の利用と変更を通して,演奏の不十分な点を補う,あるいは相手の演奏から,その演奏で注目した箇所の理解を行い,相手の演奏が十分な場合には対照的あるいは新たな方法から再構成を行っていた.
  • P2-5
    大槻正伸 (福島工業高等専門学校)
    遠藤佑哉 (福島工業高等専門学校 )
    蛭田一希 (福島工業高等専門学校)
    小泉康一 (福島工業高等専門学校)
    車田研一 (福島工業高等専門学校)
    コンピュータで全くランダムにドットを配置した画像を周期的に提示すると,人はドット群が一方向に流れているような運動を知覚する.今回は知覚される運動の速度を,空間内ドット数,提示周期を変化させて測定した.ランダムドット画像のv=(各ドットの平均最近点距離/提示周期)と知覚速度との相関を調べたところ,特にドット数一定,提示周期を変化させた場合に,強い相関があることが示唆された.
  • P2-6
    原田恵 (NTT未来ねっと研究所)
    竹内亨 (NTT未来ねっと研究所)
    筒井章博 (NTT未来ねっと研究所)
    本研究では「目を離す」ことによる事故や事件を防ぐために,保護者の最低知覚域に対応したアラームサービスの実現を目指し,心的負荷の増減による最低知覚域の変化を観察した.二重課題を課した実験の結果,反応時間と聞き逃し率への心的負荷の主効果は見られなかったが,心的負荷が増加すると反応時間は伸び,聞き逃し率は増加する傾向にあった.反応時間と聞き逃し率はともに注意配分戦略に関わっているにも関わらず,相関関係が見られなかった.
  • P2-7
    高橋芳幸 (明治大学大学院 理工学研究科 電気工学専攻)
    座間拓郎 (明治大学)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    本研究では、映像フィードバック遅延によって視覚誘導運動のパフォーマンスが低下したときに自己身体感がどのように変化するかを調査した。実験では、被験者に図形の線路内を逸脱しないように描画させる視覚誘導運動課題を行わせた後、自己身体感に関するアンケートを回答させた。構造方程式モデリングによる解析の結果、運動主体感は視覚誘導運動のパフォーマンスによって影響を受け、さらにその運動主体感の影響を受けて身体保持感が変化するという関係性が示された。
  • P2-28
    定延利之 (神戸大学)
    現代日本語共通語では,アクセントはその語ごとに決まっていると伝統的に考えられてきた.これに対して筆者は,この通説が発話モード次第では不当になることを示している.本発表はアクセントが語ごとに決定されていない場合がさらにあることを主張する.感動詞・コピュラ・格助詞・終助詞のアクセントが語ごとには決まらず,発話構造における位置によって決まる場合があるということを具体的に示す.
  • P2-31
    平田佐智子 (株式会社イデアラボ)
    小松孝徳 (明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科)
    本研究では、文字がもつ形態(直線や曲線)がある印象(やわらかさ・固さ)をもたらす現象を形態象徴(figural symbolism)と呼び、この現象が日本語の文字で見られるかどうかを検討した。丸い・角ばった吹き出しの画像とひらがな・カタカナを刺激とした実験を行い、組み合わせによって反応時間に変化が見られるか確認した。その結果、カタカナと角ばった吹き出しの組みあわせにおいて反応時間が短くなる現象が観察された。
  • P2-33
    松田憲 (北九州市立大学)
    黒田怜佑 (山口大学)
    楠見孝 (京都大学)
    辻正二 (保健医療経営大学)
    本研究では,寺や教会などにある時鐘施設の鐘音を聞く場所や時間帯が聞き手に与える影響について,アンケート調査と実験室実験によって検討した.その結果,時鐘施設の音環境によって時間を共有するという共通の行為が,共にその音を聞いた周囲の住民との仲間意識を高め,街に属しているという実感(帰属意識)を生むことに繋がること,さらにその傾向は夕方における施設近くや街中における寺の音環境において顕著であることが示された.
  • P2-42
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    橋本英奈 (筑波大学心理学類)
    須藤智 (静岡大学)
    案内サインにおけるアイコン(ピクトグラム)と矢印の組合せデザインの良否を検討するため,アイコンの位置関係ならびにアイコン-矢印の組合せにまとまりをもたらすデザインの効果を検証する心理学実験を行った.大学生と高齢者の2年齢群の結果から,デザイン良否のユニバーサルデザイン原理の存在は実証されたが,組合せデザインについては,個別のアイコンの効果が大きく,ルールではなく個々のアイコン,組合せによる総合的なデザインを行うことの必要性が示された.