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視覚・聴覚・音声
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O2-2発話末の予測にかかわる音響的特徴を明らかにするために,自発発話の韻律情報の時間的な変化の分析を行ない,韻律変化が発話末予測の手がかりとなりうるかどうかを検討した.その結果,日本語において話者移行適格場を表す統語要素とされている発話末要素の存在が韻律変化に関連していることがわかった.さらに,発話末要素を除去した音声を被験者に聴かせ,発話末予測の度合いを測る知覚実験を行った結果について報告する.
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OS01-1I依頼講演絵画の色相回転,照明色温度操作に対して,日本人とポルトガル人の類似性と相違点について調査した.その結果,色相回転のように平均色度が変わらない場合,両者は共通した特徴量に基づいて選好を決定している可能性があること,また照明色温度は絵画の平均色温度を変化させることから,絵画全体の平均色(アンサンブル色)に対する選好は文化的影響を受けている可能性があることが示唆された.
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OS01-2本研究では,硬軟感、乾湿感などの多様な質感認知において聴覚と触覚の間に相関関係がみられるかどうかを調べるため,素材とそれらを”なぞる”ことによって生成される接触音を用いて質感評定実験を行った.その結果,「粗い-滑らかな」,「凸凹な-平らな」,「冷たい-温かい」,「粘つく-滑る」の4尺度については触覚による評価値と聴覚による評価値の間に高い正の相関がみられ,これらの尺度について触覚,聴覚ともに同じ認知特性を持つ可能性が示唆された.
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OS01-4オノマトペ (擬音語・擬態語) は身体の行動や体験に根ざした豊富なイメージ喚起力を有する語として,多くの分野で注目されている。しかしながら,オノマトペの認知処理が人の視覚処理とどのように関連しているかについては未だ解明されていない。本発表では発表者のグループが行った,オノマトペと運動事象知覚,空間定位,視覚的嫌悪感に関する研究について述べ,それらの研究成果からオノマトペと視覚処理とを結びつける心的メカニズムについて議論する。
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OS03-5人工物や想像上の存在を自身の身体や他者,自身の置かれた場とみなし,環境との相互作用を行う人間の認知過程を投射と呼ぶが,科学としての投射研究の方向性はまだ模索の段階にある.本稿では,この投射の認知過程について,認知過程の相対的な高次性と自身・他者・場という投射の元の違いという2つの軸に着目する.そしてこれらの投射に関わる現象について関連する研究や事例をこれらの軸に沿って振り返りながら,今後の研究の展望を述べる.
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OS04-4本発表は,プロおよびアマチュア音楽家による練習活動におけるメタファー表現について考察する.音楽の理論的・分析的言説に照準した先行研究や,指導の場を対象とした逸話的研究とは異なり,本研究は,室内楽集団の相互行為に特有のメタファーを明らかにする.5団体による約33時間の録画データに基づき,慣用的なものを除くメタファー表現の事例候補を240件集め,ターゲット領域・ソース領域および身体動作の傾向を特定した.
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OS08-6I依頼講演図的表現を用いて効果的に判断をおこなうためには,図的表現を構成する要素間の目標に関連した空間関係に対して注意を向ける必要がある.図的表現の理解におけるトップダウンおよびボトムアップ処理についてこれまで多くのモデルが提案されてきたが,両処理の相互作用についてはあまり十分な実験的検討がされてこなかった.この点に関して階層図を用いた視覚認知実験をおこない,図的表現の慣習的知識が視覚的注意の割り当てにどのように影響しているかについて検討した.
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OS09-5I依頼講演現象学的な観点から、「同じさ」を「差異」によって定義することを試みる。われわれは、差異を基盤としてはじめて何かを「同じもの」としてつかむことができる。「同じもの」とは、差異に満ちた現実から差異が部分的に相殺された結果であると考えることができる。それゆえ、同一性は差異に還元可能である。さらに、同一性に対する差異の根源性を、固視微動、カエルの視覚、神経適応、ニューロンの生理学的特性といった経験的・実験科学的知見から裏付けることをも試みたい。
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OS15-3物の質感を自在に決定できることはモノづくりにおいて有用であると考えられる。我々は将来訪れるであろう、3Dプリンタなどによる個人の自由なモノづくりにおいて所望の質感を実現する支援システムの構築を目指した研究を行っている。対象物の質感を評価する心理実験と物理特性の計測を行い、両者の結果を定式化することでモノと質感の関係を明らかにし、さらには所望の質感を実現する物理特性を推定し、モノを合成するアルゴリズムを開発するための研究を紹介する。
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P1-35F多人数インタラクションの心理的・生理的基盤を探究するため,1人,2人,3人でドラムを叩きあう実験を実施し,そのときの心拍を測定した。その結果,1人条件にくらべ3人条件において,心拍数ならびに交感神経-副交感神経バランスが高くなることが示された。さらに,参与者のコミュニケーション能力やチーム志向能力が,3人でのセッションにおける心理的・生理的反応に影響を及ぼすことが示された。
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P1-41本研究は、コンピュータサイエンスおよび、マテリアルサイエンスの融合研究を遂行するこ とで、新しい材料による質感創出を目指すとともに、プロダクトデザインへの応用により ユーザ経験をより豊かにすることを目的としている。この目的に対し、新材料開発プロジェ クトの基盤として、質感認知に焦点を絞り、認知科学の議論を踏まえた新しい質感創出への展開を目標とする
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P2-5本研究では,不随意な運動により引き起こされる聴覚フィードバックに遅延を挿入した際の脳活動を測定し,遅延検出の知覚特性を検討した.随意運動で同様の実験を行った先行研究では,遅延検出に関する事象関連電位(EP2)が100,200 ㎳遅延条件で生起したのに対し,不随意運動の場合は200,300 ㎳遅延条件で生起した.この結果は、不随意運動時には遠心性コピーを利用できないためにフィードバック予測の内部生成が遅れることを示唆している.
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P2-18本研究の目的はHMDのヘッドトラッキング技術に着目し,映像が観察者の視点の位置によって変わる視覚の能動性によってVR体験がどのような影響を受けるか検討することであった.これまで,受動的に視覚するより,能動的に視覚した方が認識能力は高くなることが報告されている.実験の結果,視覚の能動性が観察者の感覚や記憶成績に影響を与えることが明らかとなった.VRがどの程度人の学習や記憶などの認知処理に影響を及ぼすか議論する.
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P2-21一定周期で、その都度ランダムに配置されたドット群を提示すると、観察者はドットを流れ(落下、上昇等)と認知する。本論文では、提示画面の左20%の領域を実際に落下(上昇)するように制御し、観察者が、この領域の落下(上昇)速度を上げて行き、ランダムドット提示領域と区別がつかなくすることで、ランダムドット群の流れ認知速度を計測した。認知速度は、個人によって異なるが、ランダムドットの最近点移動平均速度と認知速度には強い相関があることがわかった。
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P2-24視野周辺部で提示された情報が中心部に提示される情報の処理に影響を与えるとされているが,影響の要因について不明な点は多い.本研究では,周辺部の情報に対して生じる違和感に着目し,周辺部の情報が中心部の情報の処理へ与える影響を検討した.実験は風景画像,風景画像にモザイク加工した画像,黒塗り加工した画像を用いた画像観察を行った後,記憶再生課題と再認課題を実施した.再生課題の結果から,黒塗り加工による違和感が記憶成績に影響を与えたことが示された.
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P2-40本研究では,視線計測機器を利用して,第一著者の視線情報から得た注視個所を「見どころ箇所」として記録し,その視線情報を視線マーカーとして重畳表示することで,動画コンテンツの見逃しを防止し,視覚的にも分かりやすい動画視聴支援システムを提案した.検証実験では,実験参加者の視線位置はマーカーが非表示の場合に比べて,サンプルの視線との距離が縮まっていることが分かったため,注目箇所に誘導する手段としては有効であることがうかがえた.
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P2-41本研究は、「知覚的母音挿入 (perceptual vowel epenthesis, Dupoux et al. 1999, 2011)」の妥当性を、エレクトロパラトグラフィを用いた生理実験および知覚実験によって検討した。結論として、日本語には摩擦母音というべき母音変異音があり、これが一見子音連続に見える音響情報から母音を知覚する原因になっていることを導く。
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P2-45我々の先行研究では他者の嚥下音を聞くことで嚥下の開始が早くなることが確認されたが、その効果が嚥下音に特有の効果なのか、音刺激全般による効果なのかは不明であった。そこで本研究では18名(平均25.4歳)を対象に音刺激として嚥下音とノイズ音を用いた嚥下反応課題を実施し、嚥下運動の開始を早める効果はいずれの音刺激にもあるものの、その効果は嚥下音の方が強く、また嚥下時の筋活動は嚥下音提示時の方が小さくなることを明らかにした。
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P2-53パレイドリア、アニマシー知覚、身体所有感・行為主体感など、人の認知には「過剰に意味を創り出す」という性質が備わっているようである。本稿では知覚から思考、推論に至るまでこれまではバラバラに捉えられてきたさまざまな現象を、「過剰に意味を創り出す」という一貫した枠組みの中で理解すること、そしてこの人間観を「ホモ・クオリタス」と呼び、認知の基本的な原理として位置づけることを提案したい。