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意思決定

  • O3-1
    上田竜平 (京都大学大学院文学研究科・日本学術振興会)
    柳澤邦昭 (京都大学こころの未来研究センター)
    蘆田宏 (京都大学大学院文学研究科)
    阿部修士 (京都大学こころの未来研究センター)
    本研究では、交際中の男性を対象としたfMRI実験を通して、浮気行動の能動的抑制を支える前頭葉の関与が、交際段階に応じて変動するという仮説を検討した。結果から、go/no-go課題における反応抑制時の右腹外側前頭前野の活動と、パートナー以外の異性との浮気関係に対する関心の抑制との関与が示された。一方でこの関係は、現在の交際関係が長い個人においてのみ示され、交際関係の初期にある個人では示されないという、仮説を支持する結果が得られた。
  • O3-4
    河端健司 (北九州市立大学マネジメント研究科2年)
    武田諭志 (北九州市立大学マネジメント研究科2年)
    川原大幸 (北九州市立大学マネジメント研究科2年)
    松田憲 (北九州市立大学マネジメント研究科教授)
    現状維持バイアスとは,現状維持できる可能性があるなら,現状を維持しようとすることである.奥田(2004)は,大学生を対象としたアンケート調査によって,二つの選択肢の中から一方を選択する決定場面において,決定が困難になるほど現状維持バイアスが生じやすいことを示した.本研究では,社会人に対して同様の決定場面を用いたアンケート調査を行い,現状維持バイアスが年齢や情動状態,ストレスの程度にどのような影響を受けるかを検討した.
  • OS02-1I
    依頼講演
    服部雅史 (立命館大学総合心理学部)
    従来,タイプ2過程がタイプ1過程のエラーを正すとされてきたが,近年では,タイプ1過程は,規範と適応,いずれの観点からも合理的であるとされることもある。本研究は,課題が複合目標を持つこと,合理性は目標多重性の中でを考える必要があることを主張する。また,タイプ1は習慣限定合理性を満たし,タイプ2は規範的合理性とメタ合理性を持ち合わせていることを指摘する。
  • OS02-2I
    依頼講演
    山祐嗣 (大阪市立大学)
    二重過程理論は、進化的に古いシステムと新しいシステムを想定している。前者は進化的合理性を、後者は規範的合理性を示す。古いシステムの出力が新しいシステムによって修正されるか否かという点で、両者には3種の関係がある。それらは、新しいシステムによる修正、両システムの出力が併存、新しいシステムによる古いシステムからの出力の合理化である。意思決定の歴史的記録の分析がこの問題に示唆を与えることが提案される。
  • OS02-3
    女川亮司 (東京大学総合文化研究科)
    進矢正宏 (東京大学総合文化研究科)
    太田啓示 (東京大学総合文化研究科)
    工藤和俊 (東京大学総合文化研究科)
    近年,運動場面におけるリスク志向選好が報告されている.本研究では,行動の成否が自身の運動で決まるか,自身以外の要因で決まるによってリスク感受性に差異が生じるか検討した.その結果,前者ではリスク志向的な行動が選好され,後者ではリスク中立的な行動が選好された.つまり,自身が運動するという文脈がリスク志向的な行動を引き起こす可能性が示唆された.これらの結果を踏まえて,運動場面でのリスク志向選好が持つ意義について,学習の観点から考察した.
  • OS02-4
    藤崎樹 (東京大学大学院総合文化研究科)
    本田秀仁 (東京大学大学院総合文化研究科)
    植田一博 (東京大学大学院総合文化研究科)
    近年、適応的なヒューリスティックが複数提案されている。これらは同時に一部の問題にはバイアスを生み出し、集団意思決定で用いられた場合、これが集合知の効果を弱めてしまう。この改善のため、本研究では集団内のストラテジーの多様性が集合知の効果を高めるという仮説をたてた。実験では、個人の推論データを基に、計算機上で多様性を操作しつつ集団意思決定を行った。結果、多様性が高い条件でバイアスの解消が多く起き、集合知の効果が高まることが明らかになった。
  • OS04-10
    川端良子 (国立国語研究所、千葉大学)
    伝康晴 (千葉大学、国立国語研究所)
    複数の人々が協力して,特定の目標の達成を目指す共同的活動では,活動を円滑に行うために,将来の行為に関する情報を共有するということがよく行われる.この共有される情報のことを「共有プラン」と呼ぶことにする.本研究では,日常会話コーパス(CEJE)を用いて,共有プランがどのように会話を通じて構築されるか,その構築過程の分析を行う.そして,従来のモデルとは異なる共有プランの構築過程について,その要因を検討する.
  • OS11-1
    高橋英之 (大阪大学・ERATO)
    伴碧 (同志社大学)
    大澤博隆 (筑波大学)
    魔女狩りなど,我々の社会は疑心暗鬼が存在しない敵をつくりだし,憎しみを増大させる.このような社会問題を考える実験パラダイムとして人狼がいないかもしれない人狼ゲームを提案する.本発表ではこのゲームの詳細について紹介するとともに,このゲームにおける人間の社会行動をロボットを用いて変容させる試みについて紹介したい.
  • OS13-4
    水津功 (愛知県立芸術大学美術学部デザイン・工芸科デザイン専攻)
    斎藤洋典 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    適切なデザインの達成に不可欠なユーザーの要求の確定プロセスは様々な要因によって困難に陥る。余白のデザインではユーザーが不確定のまま行われるデザインの問題に取り組んだ。本研究では改修を予定している高齢者施設の調査をもとにユーザーが確定しても要求が確定しない諸要因について考察するとともに、医療分野におけるSDMを参照しデザイナーとユーザーが意思決定を共有するための支援者の必要性を指摘した。
  • OS13-5I
    依頼講演
    亀田達也 (東京大学大学院人文社会系研究科)
    年金や医療費負担に関わる世代間衡平の問題は、高齢者と若年者の対立として捉えられやすい。現在、社会科学では「フューチャーデザイン」という考え方が生まれている。私たち現世代は、市場や民主主義のシステムのもと、高齢者・若年者の別なく、将来世代から資源を奪うエゴイストになりやすい。本講演では、世代間衡平の問題を高齢者−若年者間の局所的葛藤から、現世代と将来世代との大きな衡平性をめぐる問題に止揚し、高齢者が担い得る役割の可能性について考えたい。
  • OS16-2
    阿部廣二 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    野沢温泉道祖神祭りの準備活動において問題が発見されていく過程の相互行為を分析した。分析対象は、祭りの「初灯籠」作りにおいて、灯籠の柱を切りするという問題であった。分析の結果、(1)一度問題への気付きが得られた後に、再度問題の確認を行うというシークエンスと、(2)以上のシークエンスを通して参与者らに問題の気付きが共有されたにも関わらず、アジェンダ設定を保留するということが行われていたことが見出された。
  • P1-5F
    鶴島彰 (セコム株式会社 IS研究所)
    鶴島・小松崎[1]は、進化シミュレーションにより、危険な状況下での人間の行動モデルを生成した。本稿では、まず多属性効用理論を使ってこのモデルを分析し、いくつかの性質を抽出し、次に個々の性質について人間を使った実験を行うという二段階の手法によりモデルの検証を試みる。
  • P1-7F
    白砂大 (東京大学大学院総合文化研究科)
    本田秀仁 (東京大学大学院総合文化研究科)
    松香敏彦 (千葉大学文学部認知情報科学講座)
    植田一博 (東京大学大学院総合文化研究科)
    二者択一課題において,問題文で提示された対象と選択肢との双方のfamiliarityの類似性に基づく推論方略「familiarity-matching」,および具体的な知識を利用したと考えられる複数の推論方略について,各推論プロセスをモデル化し,参加者の選択をどの程度予測できるかを検証した。結果,familiarity-matchingが広く利用されること,また主観的困難度の高い問題では多数の属性が考慮されやすいことが示唆された。
  • P1-12F
    中村國則 (成城大学社会イノベーション学部)
    本研究の目的は,最低金額のアンカリング効果が寄付という行為についてもみられるのか、そして画像による感情の操作の影響をどう受けるのかを検討することである.この目的のため,寄付対象に画像を提示して説明する条件とそうでない条件を設定し,条件間で寄付金額がどう変動するか,そして最低金額の値の影響がどう働くかを検討した.分析の結果,画像の有無によらず寄付という状況でも効果はみられた.
  • P1-15F
    大貫祐大郎 (東京大学 大学院)
    本田秀仁 (東京大学 大学院)
    松香敏彦 (千葉大学)
    植田一博 (東京大学 大学院)
    意思決定時の確率情報に対する主観的な重みづけであるリスク態度が、ギャンブル課題に対して単独評価をするか、あるいは並列評価をするのかの違いで変化するのかを検証した。そして,評価法の違いによって生じる認知プロセスの変化を行動実験データ、“仮想的”な実験参加者シミュレーション、認知モデリングによって検証した。その結果、評価法によりリスク態度は変化し、その変化は不確実性事象に対して人が持つ信念の変化から捉えられる可能性が示された。
  • P1-19F
    本田秀仁 (東京大学大学院総合文化研究科)
    藤崎樹 (東京大学大学院総合文化研究科)
    植田一博 (東京大学大学院総合文化研究科)
    本研究では,日本語の表記法が食品認知に与える影響について検討を行った.具体的には,レモンとキウイの表記を漢字またはカタカナで呈示して, その果物の購買意欲, 高級感, また美味しそうに感じるかを尋ねた. 結果として,日本語の表記は食品認知に影響を与えることが明らかになった.特に表記の希少性と可読性が相互に影響を与え,希少でありかつ可読な表記は商品の購買意欲を高める効果があることを示した.
  • P1-26F
    杉本磨美 (電気通信大学 情報理工学研究科)
    伊藤毅志 (電気通信大学 情報理工学研究科)
    人狼は、近年注目を集める不確定情報ゲームである。しかし、認知科学的にプレイヤの思考過程を調べた研究はまだ少ない。本研究では、5人人狼を対象に、役職としての情報を得られない村人を対象に、どのように意思決定を行っているのかを調べて、その意思決定過程のモデルを提案する。
  • P1-46
    犬童健良 (関東学園大学経済学部)
    プロスペクト理論に代表されるリスク選択の記述的意思決定モデルの問題点は,参照点に依拠していながら,「参照する」という認知過程の理解が貧弱であることにあると思われる.このためアレの背理のような古典的アノマリーについても実は系統的に説明できていない.本論文は,クジの結果ペアの気になる程度を数値化したポテンシャル値に基づき,参照点を推論する手続きを提案し,アレの背理にかんする先行研究のアンケート調査実験データを用いて検証する.
  • P2-6
    近藤健次 (北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科)
    永井由佳里 (北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科)
    mini-cの育成は日常行動を変容させることであると考えられ,本稿ではトランスセオレティカルモデルに着目し,変容ステージ(SoC)と意思決定バランス(DB)の関係を調査するため,尺度を作成し質問票調査を行った.分析の結果,DBには「恩恵」「実施障壁」「悪影響」の3因子が見出され,また,SoCとこれらの因子の関係が明らかになった.結果を踏まえ,mini-cに関するDBの特徴及びmini-c育成の留意点について考察する.
  • P2-46
    石川悟 (北星学園大学文学部)
    向社会的行動をとるとき,行動によって自身が得るであろう利益と,同時に生じるコストや不利益とについて考慮する,ある種の葛藤事態に置かれると考えられる.そこで「貸与行動」をとるか否か,そしてその時考慮する内容について質問紙実験で尋ねた結果,「貸与行動」は親密度が高い相手ほど生起しやすいものの,その時には「ケチだと思われたくない」や「罪悪感を感じたくない」といった利己的な理由も考慮されることが示された.
  • P2-53
    高橋康介 (中京大学)
    日高昇平 (JAIST)
    小川奈美 (東京大学)
    西尾慶之 (東北大学)
    パレイドリア、アニマシー知覚、身体所有感・行為主体感など、人の認知には「過剰に意味を創り出す」という性質が備わっているようである。本稿では知覚から思考、推論に至るまでこれまではバラバラに捉えられてきたさまざまな現象を、「過剰に意味を創り出す」という一貫した枠組みの中で理解すること、そしてこの人間観を「ホモ・クオリタス」と呼び、認知の基本的な原理として位置づけることを提案したい。