研究分野

感情

  • OS06-1
    公募発表
    櫃割 仁平 (京都大学大学院教育学研究科)
    上田 祥行 (京都大学人と社会の未来研究院)
    尹 優進 (京都大学大学院教育学研究科)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    本研究では,385名が人間もしくはAIによって創作された俳句の評価と判別を行った。人間とAIの共創俳句の美しさが最も高く評価され,人間作とAI作の美しさは同等であった。また,参加者は人間とAIの作品を判別できなかった。これは人間とAIの共創が優れた創造性を持つことを示している。また,AI俳句の美的評価が高いほど,人間が作ったと誤認される傾向が見られた。これはAI芸術がアルゴリズム嫌悪により過小評価されている可能性を示唆している。
  • O3-004A
    鈴木 友美子 (名古屋大学)
    大平 英樹 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    月経前症候群 (PMS) は、ストレスにより増悪し、月経前特異的に、不快な精神諸症状や身体症状を呈するが、末梢血液中性ホルモン濃度等の臨床研究で、明らかな異常所見は見出されていない。一方、PMSと自律神経系の関連が示唆されており、心拍や内臓状態などのあらゆる内的状態の情報処理に問題が生じていると考えた。本研究では、PMSを有する女性とPMSでない女性を比較し、ストレスによる自律神経系への影響と感情への作用を検証した。
  • P1-008A
    佐藤 幹晃 (岐阜大学)
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    グラッチ ジョナサン (南カリフォルニア大学)
    Win-Winな交渉をするためには,事前にコミュニケーションすることで相手について学ぶことが重要である.人-人の交渉において,感情表現は偽りがなく,信頼できる信号だと考えられているが,人-AIエージェントの交渉結果にどのような影響を与えるかは未知であった.そこで本研究では,交渉前のコミュニケーションで感情表現からAIエージェントの選好を学習することが,Win-Winな交渉結果に寄与するか検討した.
  • P1-010
    山本 寿子 (東京女子大学・立命館大学)
    小川 浩平 (名古屋大学)
    窪田 智徳 (名古屋大学)
    勝間 萌衣 (東京女子大学)
    山﨑 美鈴 (東京女子大学)
    港 隆史 (理化学研究所)
    石黒 浩 (大阪大学)
    田中 章浩 (東京女子大学)
    本研究では,異なる基本感情を視聴覚で組み合わせることで高次感情が知覚されるか,文脈に応じて異なる高次感情が知覚されるかについて,アンドロイドロボットを用いて検討した.対話中にアンドロイドが表現した感情を評定する実験の結果,恐怖の身体表現と悲しみ声の組み合わせから高次感情「恥」が知覚された.一方,文脈の違いで読み取られる高次感情に違いはみられないことが示された.またこの結果からアンドロイドロボットが高次感情をも表現できることも示唆された.
  • P1-017
    能城 沙織 (木更津工業高等専門学校)
    國岡 桃子 (JASM(株))
    似た顔の相手を配偶者として選択するのか, 結婚後に夫婦の顔が似ていくのか, という議論に関しては, 両方の面がありうるという説が広く普及してきたが, 近年白人を対象とした研究で後者を否定する結果が示された.本研究では, 日本人を対象に夫婦の顔の類似性の経年変化を調べた結果, 日本人においても同様に夫婦の顔の類似性の経年変化は認められず,この傾向が人種をこえて普遍的にみられるという可能性が示唆された.
  • P1-028A
    今泉 拓 (東京大学学際情報学府)
    李 璐 (東京大学学際情報学府)
    植田 一博 (東京大学)
    機械学習による顔認識を用いて,人と同様に不気味の谷を再現できるのだろうか。FaceNetを用いて検討した。結果,ヒトらしい形状の評価についてFaceNetと人間で強い相関が見られたものの,一部の対象で評価が著しく異なったため,不気味の谷の一部のみが再現された。さらに,FaceNetでは口やあごの領域に注目していることが示唆された。本研究は,人間と機械学習で注目領域が異なる可能性,および不気味の谷における分類曖昧性仮説を支持している。
  • P1-043
    西垣 勇我 (関西大学)
    内川 乃天 (関西大学)
    岡村 敬 (関西大学)
    郭 雯 (九州大学)
    池田 鮎美 (北海道大学)
    高嶋 魁人 (九州大学)
    佐々木 恭志郎 (関西大学)
    山田 祐樹 (九州大学)
    自分と他者の持ち物の間にもパーソナルスペース(personal space: PS)の様なものが存在する(拡張的PS).本研究では手指消毒によって拡張的PSが変調されるかを検討した.実験では,サクラと参加者に長机に荷物を置くように求めた.サクラが参加者の前で手指消毒を行う条件と手指消毒を行わない条件を設けた.荷物間の最短距離を測定したところ,条件間で有意な差は見られなかった.ゆえに,手指消毒が拡張的PSに顕著な影響を与えるとは言えない.
  • P1-045
    伊東 俊輔 (電気通信大学大学院情報理工学研究科情報学専攻)
    鈴木 雄登 (電気通信大学大学院情報理工学研究科情報学専攻)
    松倉 悠 (電気通信大学大学院情報理工学研究科情報学専攻)
    坂本 真樹 (電気通信大学大学院情報理工学研究科情報学専攻)
    近年,照明の光源の種類や照度と雰囲気の関係を調べた研究や色と人間の感情状態の変化に関する研究が行われている.一方で,照明の色の違いと雰囲気を紐づけた研究はまだ少ない.本研究では,照明が雰囲気に及ぼす影響について研究する.トークテーマと照明を各4種類,計16パターンにちて約24時間分の会話データを取得し,各データについて形容詞対4尺度を用いて評価付けを行った.評価データを分析したところ,雰囲気に大きく影響を与える照明が確認できた.
  • P1-046A
    野崎 優樹 (甲南大学)
    本研究では,情動への信念と他者の情動を調整する際の方略選択との関連を検討した。実験では,参加者は,ネガティブ情動を感じた出来事と気持ちが書かれた文章を読み,「気晴らし」か「再評価」のどちらを用いて相手のネガティブ情動を和らげるかを選択した。分析の結果,相手のネガティブ情動の強度が相対的に低いとき,情動への信念のうち「ポジティブ情動に対する有用性の信念」が高いほど,有意に「再評価」を選ぶ傾向が示された。
  • P1-057A
    晴木 祐助 (北海道大学)
    金子 景 (北海道大学 文学部)
    小川 健二 (北海道大学 文学研究院)
    Interoception refers to the perceptions arising from the internal body's physiological processes. Researchers have suggested a gender difference in interoception, with women more likely to report somatic symptoms in association with mental disorders. This study examined gender differences in three aspects of interoception and individual tendencies regarding bodily feeling. Results showed no significant gender differences in perceptual accuracy, confidence, or metacognitive ability. However, women who strongly linked bodily sensations to emotions had reduced interoceptive metacognition, not seen in men. These findings empirically support women's vulnerability to impaired interoceptive metacognition related to bodily and emotional feelings.
  • P1-061A
    小池 光 (京都大学大学院教育学研究科)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    身体内部から生じる感覚を内受容感覚と呼ぶ. 内受容感覚の正確さに関する信念の測定法として,Interoceptive Accuracy Scale(IAS)がある. 本研究は日本語版IASの開発・検証を目的とした. 調査の結果,日本語版IASについて,良好な内的整合性が示された. また既存の尺度のうち,身体感覚への気づき高さを示すものとは正の,気づきの困難さを示すものとは負の相関が示され,本尺度は十分な妥当性を有することも示唆された.
  • P1-062
    渡邊 元樹 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    中村 紘子 (日本学術振興会,東京電機大学)
    本研究は,反実仮想条件文「もしpだったらqだっただろう」のもっともらしさの評価について, Petrocelli et al.(2011) と Over et al.(2007) の二つのモデルのどちらが予測力が高いかを頻度事例を用いて検討した.また,もっともらしさの評価の際の計算式の自由記述式を用いることで,計算結果だけではなく計算過程からもモデルの検討を行った.
  • P1-067
    神岡 拓真 (立命館大学)
    布山 美慕 (立命館大学)
    本研究では,恋愛感情の特徴づけの一歩として,自己 肯定感,対人関係など複数の要素を含む感情としての 安心感と恋愛感情の相関を分析した.先行研究の恋愛 感情と安心感に関する尺度を用いてアンケート調査を 実施した.調査の結果,安心感は「他者,社会へのはた らきかけに対する自信」,「自己肯定感と自己受容」「恋 愛に対する感情の安定性」という 3 つの要素で恋愛感 情に関係していることが示唆された.
  • P2-012A
    木村 慧一 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    川合 伸幸 (名古屋大学大学院 情報学研究科)
     あおり運転のような攻撃的な運転はしばしば他者の運転をきっかけとした怒りによって喚起される。本研究ではドライビングゲーム上で他者の進路妨害によって怒りは喚起されるか,攻撃性の高まりを示す脳活動はみられるかをそれぞれ質問紙尺度と脳波測定で検討した。その結果,妨害で主観的な怒りが生じた。一方で,前頭部の脳活動は右優勢を示した。これは攻撃を反映する接近動機づけとは逆の回避動機づけの高まりを示し,右側車線での慣れない走行が原因として考えられる。
  • P2-019A
    酒井 翔伎 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    本研究では,ACT-Rモデルによる回想法の支援を行うモデルベース回想法に音声インタフェースを搭載したシステムの開発とその効果の検討のための予備的な実験を行った.その結果,音声インタフェースの,スライドバー型インタフェースに対する優位性や発話を引き出す可能性が示唆された.
  • P2-020
    中村 太戯留 (武蔵野大学)
    ユーモア理解においては,ヒトの生存と関連性のある事柄の見いだしと,その事柄を見いだしたヒトを保護するフレームの2つが重要であると,ユーモア理解の「見いだし」理論では考えられている.優越理論,エネルギー理論,そして不調和解消理論などの他の理論で提案されてきた概念は,この2つに発展的に統合できる可能性が考えられる.本研究では,ユーモアの事例を参照しつつ,この2つの概念装置を用いた説明可能性について検討する.
  • P2-026A
    河原 美彩子 (東京大学,日本学術振興会,東京女子大学)
    田中 章浩 (東京女子大学)
    コロナ渦において着用が推奨されてきたフェイスマスクは、感情認知の手がかりとなる顔の一部を遮蔽する。本研究では、多感覚感情認知における顔と声の情報の重みづけに顔の部分的な遮蔽がどう影響するか、またその影響の受け方はコロナ渦前後で異なるか検討した。その結果、感情表出者の顔が部分的に遮蔽されると声を重視しやすくなるが、口が遮蔽された相手の声を重視する程度がコロナ前より後に減少しており、多感覚感情認知におけるマスク顔への接触の影響も示唆された。
  • P2-032
    桑原 光輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    我々は他者と経験や感情を共有することで,信頼関係を構築し,集団生活を送っている.他者との関わりの最中には,他者との間に脳波や瞬時心拍数の変化といった生理信号の同期が確認されている.本研究では,2人でお笑い映像を視聴している時に,喚起される感情および瞬時心拍数の変化の同期現象を検証した.その結果,2人で視聴する方が映像はより面白く感じられること,2人での映像視聴中は2者間の瞬時心拍数変化の同期が高まっていることが示された.
  • P2-034A
    澤田 和輝 (京都大学大学院教育学研究科)
    小池 光 (京都大学大学院教育学研究科)
    村山 新 (京都大学教育学部)
    西田 帆花 (京都大学教育学部)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    本研究は,美しさの知覚,畏敬の念,意味生成の観点から,芸術鑑賞においてどのような感動が触発−創造的活動への高い動機づけ−を引き起こすのかを検討した.その結果,絵画に対する畏敬の念や意味生成から生じる感動が触発を促すこと,また,畏敬の念や意味生成の効果を統制した場合に絵画の美しさは触発と関わらないことが新たに示された.
  • P2-046
    内川 乃天 (関西大学)
    佐々木 恭志郎 (関西大学)
    本研究は自律感覚絶頂反応(ASMR)を喚起する刺激がもたらす感情印象がヒトのどのような内的特性と関連するかについて検討した.結果,高い嫌悪感受性や社会不安傾向を持つ人ほどASMR喚起刺激を不快に評価する傾向が示された.これらの結果,他者からの接触に対する回避反応がASMR喚起刺激のもたらす不快感の背景にあるという仮説を生成した.ただし調査方法の限界や刺激の種類による影響も考慮する必要があり,確証的研究に移る前に慎重な議論が必要とされる.
  • P2-065
    山田 歩 (滋賀県立大学)
    木戸 柚果 (滋賀県立大学)
    古木 一朗 (三菱電機株式会社)
    椿 泰範 (三菱電機株式会社)
    橋口 拓弥 (三菱電機株式会社)
    橘温 希 (三菱電機株式会社)
    歩きスマホは事故やトラブルを招く社会問題となっている.しかし,現状の啓発活動では十分に抑止できていない.本研究はナッジ理論に基づき,歩きスマホを防止するパーソナル・ナッジを開発した.デジタルサイネージを用いて「歩きスマホ者」と「非歩きスマホ者」で異なる内容の映像提示を行う介入実験を現実空間で実施し,大きな抑止効果を確認した.
  • P2-067A
    大野 俊尚 (早稲田大学)
    三嶋 博之 (早稲田大学)
    本研究では,模倣可能な「リズム動作」があるパフォーマンスの方が,より「かっこいい」と評価されやすいことを仮説とし,「模倣可能な動作」がパフォーマンスの「かっこよさ」評価に影響を与える可能性について検討する。予備実験の結果から,評価対象のパフォーマンス未経験者であっても「かっこよさ」と「うまさ」を区別して評価すること,また,「模倣可能な動作」が「かっこよさ」評価に与える影響が,熟練者・未熟練者とで異なる可能性が示唆された。
  • P3-002
    新堀 耕平 (静岡大学情報学部)
    西川 純平 (静岡大学)
    長島 一真 (静岡大学創造科学技術大学院)
    森田 純哉 (静岡大学)
    記憶のエラーは個人属性や感情状態など様々な要因により生じる.エラーは,想起されるべきでない情報が思い出されるコミッションエラー,想起すべき情報を思い出すことができないオミッションエラーの2種類に大別される.本研究では,これらのエラーをクラウドソーシングにより取得し,それらとACT-Rモデルとの整合を検討した.結果,感情評価項目とモデルパラメータとの間に相関がみられ,個人傾向を推定可能であることが示された.
  • P3-006
    塚田 瑛介 (静岡大学情報学部)
    西川 純平 (静岡大学)
    長島 一真 (静岡大学創造科学技術大学院)
    森田 純哉 (静岡大学)
    SNS(Social Network Service)の急速な発達に伴い,フェイクニュースやデマの拡散が問題になっている.これらの背景として,先行研究ではユーザの感情的反応が指摘されている.情報伝播において,感情を揺さぶる言葉が含まれるツイートほど,より拡散されやすいとされる.しかし、感情的反応がツイートの拡散に結び付くメカニズムは明らかになっていない.本研究では,ACT-Rを用いた人間の認知プロセスのモデリングによりこれを検討する.
  • P3-020
    松田 憲 (北九州市立大学)
    杉浦 由奈 (北九州市立大学)
    楠見 孝 (京都大学)
    本研究は,ブーバ/キキ効果におけるブーバ図形とキキ図形を参加者に繰り返し視覚呈示することで,呈示刺激の外見的特徴が単純接触効果の生起に及ぼす影響を検討した.実験の結果,反復呈示によってブーバとキキの両図形への親近性は上昇した一方で危険度は低下しなかった.キキ図形への危険度認知は一貫してブーバ図形よりも高く,安心感の上昇はブーバ図形のみで見られた.視覚刺激の反復呈示による単純接触効果はブーバ図形のみで生じ,キキ図形では生じなかった.
  • P3-023
    徐 きょう哲 (弘前大学)
    新川 広樹 (弘前大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    本研究では、顔の機械学習で一般的に使用されるランドマークで表現された顔の動画刺激を使用し、人がどの程度表情を認識できるか検討した。刺激として、あらかじめ6種類の表情の動画を68個の特徴点に変換したものを使用した。実験では意識的な観察行動を記録するため、マウスのカーソルの周辺の一部しか見えないように設定した。分析の結果、人々はポジティブな表情に対しては機械学習と同様に高い精度で認識できることがわかった。
  • P3-024
    川島 尊之 (帝京平成大学 健康メディカル学部 心理学科)
     前後の方位の違いが、音が喚起する感情に与える影響を研究した。参加者に対して声などの日常的な音を前後から提示し、音が喚起する感情を快・不快、覚醒度、被コントロール感について評定することを求めた。後方に提示した音は、覚醒度をより高める傾向が見られた。別の実験から前後では、定位処理の効率が異ならないことが反応時間を指標として示された。後方で覚醒感が強くなる背景、研究の限界と展望を考察した。
  • P3-029A
    岩城 史享 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    本研究の目的はPlutchikの感情の輪という感情モデルの妥当性を検討することである.実験により感情語順序対の類似性,連想性のデータを収集し,それぞれネットワークを作成した.まず,類似性に比べ連想性の方がより大域的であることを示した.そして,作成したネットワークの構造と元々の感情の輪を比較し,大部分の構造は等しいが,「恐れ」と「驚き」の位置関係が異なるという結果を得た.
  • P3-034
    横溝 賢 (札幌市立大学)
    平尾 実唯 (株式会社ニトリ)
    自己を不在にしたままユーザを客体化して見ようとする人間中心設計アプローチには環世界への志向が伴わず、デザイン行為に関係する当事者間に相互性が生まれにくい。そのように考えた筆者らは,短歌を取り入れた私中心のデザイン実践を試みた.具体的には現場に出向いて詠んだ短歌を題材にモビールを制作し、モビール歌会を通じた社会的なデザイン実践である。本稿では,一連の実践を省察することから,短歌がもたらす社会的なデザイン実践の知の在りどころを明らかにする.
  • P3-050A
    佐々木 一洋 (東京大学大学院教育学研究科)
    清河 幸子 (東京大学)
    学習において,内容に面白さを見出して取り組むことの効果は論じられてきたが,内容のどのような側面に面白さを見出すかである知的選好の詳細は明らかになっていない.本研究では,対象からどのような知的構造を取り出そうとするかが異なる,フレーバー選好とメカニズム選好という2つの知的選好があると想定し,尺度開発を行った.日本の成人400名程度を対象とした2つの調査の結果, 2因子構造が得られた.関連尺度との相関を踏まえ,各選好の特徴について論じた.
  • P3-055A
    笹森 なおみ (北陸先端科学技術大学院大学)
    橋本 敬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    後悔の情動は,その後の意思決定に影響を与えることから,道徳の実践に内的条件付けとして用いられている可能性がある.本研究では,予期的な後悔が道徳的意思決定に影響を与えているか検証するために,道徳ジレンマ課題中の予期的皮膚コンダクタンス反応(SCR)を計測した.予備実験の結果,予期的後悔が予期的SCRに反映されていることは示せなかった.このことから,道徳的意思決定への予期的後悔の影響を検証できる新たな実験設計が必要とされる.
  • P3-062
    奥山 凌伍 (公立はこだて未来大学)
    村井 源 (はこだて未来大学)
    物語の感情状態及び遷移を推定する研究は国内外で積極的に行われている.しかし物語中のどのようなシーンで,読者の感情状態や遷移どのようであるかは,従来の研究において十分に明らかになっていない.そのため本研究では小説の映像化資料である映画が存在する5作品を対象として,物語シーンの機能と読者の感情状態に関する基礎的なデータセット構築を目的とした.本研究は対象作品の各シーンに対し,物語機能と感情のタグを付与することで関係性の抽出を行った.
  • P3-065
    石川 悟 (北星学園大学)
    「怪談」の持つどのような話し方の特徴が「怖さ」を生むのか,怪談師はその特徴をどのように使い分けているのか,オンライン上で公開されている怪談を評価した.その結果,声が大きく高くなる,あるいは声が小さく低くなると,怖さのレベルが大きく評価される傾向が現れた.ただし,声の大きさを小さくしない怪談師も現れた.また,話す速度が速くなり間が長くなるときにも怪談の怖さのレベルが大きく評価される傾向が現れた.