研究分野

運動

  • O1-001A
    市川 淳 (静岡大学)
    筒井 和詩 (名古屋大学)
    藤井 慶輔 (名古屋大学)
    本研究では3者で不均一な役割を分担して集団目標の達成を図る実験タスクを用いて,協調運動で重要な他者を助けて状況の改善を図る役割に着目し,その情報処理についてシミュレーションから検討した.結果,ボトムアップとトップダウン処理に対応する深層強化学習とルールベースから当該役割が行動するモデルでは,ルールベースのみやランダムで行動する場合よりもタスクパフォーマンスが高いことが示された.2種類の処理により,役割が十分に機能する可能性がある.
  • O3-003
    土居 裕和 (長岡技術科学大学)
    小俣 貴宣 (ソニーグループ株式会社)
    栗原 貴之 (ソニー株式会社)
    山岸 和子 (ソニーグループ株式会社)
    柏井 美貴子 (長岡技術科学大学)
    植田 一博 (東京大学)
    行為者は, 実物体に働きかけ, それを操作することができる. 本研究では, このような実物体の「行為可能性」の認知と自律神経活動との関連性を, フランカー課題と ECG計測を併用して検証した. その結果, 呈示刺激の「行為可能性」が高い条件でのみ, 刺激物体に対する反応と自律神経活動との間に関連性がみられた. この結果は, 実物体認知と, その表象(二次元画像等)の認知には, 異なる処理過程が関与する可能性を示唆している.
  • P1-006A
    肥後 克己 (明治大学研究・知財戦略機構)
    大塚 一輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    自身の身体が自分のものであるという感覚は身体所有感と呼ばれるが,その生起に関わる神経活動についてはわかっていない。本研究では,視覚的・触覚的に整合性のとれた刺激によってフルボディ錯覚を生起させた後,視覚刺激のみを与えて感覚間に不整合を生じさせた際の脳活動を計測した。結果として感覚間に不整合が生じた際に,左運動前野の活動が認められた。この結果は,運動前野が感覚間のずれを補正し,自己身体とそれ以外を区別する働きを持つ可能性を示唆している。
  • P2-013
    横田 陽生 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学)
    國部 雅大 (筑波大学)
    小井土 正亮 (筑波大学)
    本研究は,サッカーにおける認知的疲労についての 基礎的知見と,適切な測定指標に関する情報を得るこ とを目的として,単一事例により5週間,サッカーの試 合・練習前後様々なタイミングで5つの認知課題と疲 労に関する主観的評価を行った.その結果,特に抑制機 能と視空間ワーキングメモリーにおいてサッカーによ る認知的疲労の影響が見受けられ,その時間変化にも 複数の形態が示された.これらは,練習内容や主観的評 価との関連性もみられた.
  • P2-021
    久保(川合) 南海子 (愛知淑徳大学心理学部)
    河野 瑞歩 (愛知淑徳大学心理学部)
    ライブで観客が曲に合わせて動いている光景は定番である.しかし,ライブを鑑賞するファンの行動を定量化した研究は少ない.本研究は,ライブ映像鑑賞時の行動について,「ノリのいい曲」と「じっくり聴く曲」で生起する動きの違いを検討した.「ノリ」では上下方向への速い動きが,「じっくり」では左右方向への遅い動きが多かった.鑑賞者は曲種によって自発的に身体の動きを変化させていることが示唆され,それが曲種に合わせた鑑賞行動として効果的であると考えられる.
  • P2-022A
    初田 響子 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    清水 大地 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    野中 哲士 (神戸大学人間発達環境学研究科)
     ラテンアメリカンダンス特有の一貫した滑らかで安定した動作は,どのような身体運動により行われているのだろうか.本研究では,ラテンアメリカンダンスの基本動作であるCuban Motionを用いたフィガーについて,三次元運動協調解析を行った.最も重要な水平面の骨盤の軌道は,プロフェッショナルとアマチュアで近似しており,一般的な指導内容との相違が見られた.一方,姿勢の安定性や身体部位間の協調については熟達差があることが示唆された.
  • P2-044A
    井坂 匡希 (同志社大学大学院文化情報学研究科)
    谷本 花 (同志社大学文化情報学部)
    坂本 晶子 (ワコール人間科学開発センター)
    阪田 真己子 (同志社大学文化情報学部)
    人が「自己」を評価する際には、それが自己に深く関わるものであるため、自尊感情や性別といった要素に影響され、客観的な評価が困難な可能性がある。本研究では外見的特徴を排除したスティックフィギュアの歩行アニメーションを使用し、その動作主を他者と想定している際と自己と想定している際に評価に差異が生じるかどうかを検証した。結果、同じ歩行アニメーションに対する評価であるにも関わらず、自尊感情の低い人や女性では自己想定の際に評価が低下した。
  • P2-045
    大谷 紀子 (東京都市大学)
    竹屋 桃花 (日本電気株式会社)
    最大体力の40%以下での「ゆっくり歩き」と70%以上での「速歩き」を交互に繰り返すインターバル速歩は,普通歩行より筋力増強や最高酸素摂取量増加に有効であることが示されており,体力向上をはじめとするさまざまな効果が見込まれる.しかし,高い効果を得るためには歩行速度と時間の管理,および継続が必要となる.本研究では,インターバル速歩における運動効率と楽しさの向上を目的とし,効果的なインターバル速歩を誘導する楽曲の生成手法を提案する.
  • P2-053
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    友野 貴之 (札幌学院大学心理学部, 早稲田大学人間総合研究センター)
    本研究では身体性認知の考えに基づいて立位姿勢時に「どこに意識を向けるか」によって,姿勢動揺の複雑さが変わるかを探索的に調べた.特に,内的焦点化(身体に意識を向ける)について身体部位の違いや外的焦点化(環境に意識を向ける)について目の前の地面や障害物の存在,および,身体と環境の関係(アフォーダンス)の影響などを検討した.しかし,いずれの要因の影響も見られなかったため,先行研究の知見を踏まえ多角的に考察した.
  • P2-066
    都丸 武宜 (京都工芸繊維大学)
    布施 朋之介 (京都工芸繊維大学)
    西山 雄大 (長岡技術科学大学)
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    他の動物と同様に人の集団での自己組織化も個体間の局所相互作用により駆動される. では, 相互作用の形態は集団のサイズで不変なのだろうか. 本研究では, 一人の歩行者が一人の対向者とすれ違う際に右に避けやすいという選好性が, 対向者が3人になることで消失することを示す. ただし, 視線データ解析から,歩行者は通過方向の選好性を潜在的には有しており, それが歩行軌跡ならびに相互作用に影響している可能性が示唆された.
  • P2-067A
    大野 俊尚 (早稲田大学)
    三嶋 博之 (早稲田大学)
    本研究では,模倣可能な「リズム動作」があるパフォーマンスの方が,より「かっこいい」と評価されやすいことを仮説とし,「模倣可能な動作」がパフォーマンスの「かっこよさ」評価に影響を与える可能性について検討する。予備実験の結果から,評価対象のパフォーマンス未経験者であっても「かっこよさ」と「うまさ」を区別して評価すること,また,「模倣可能な動作」が「かっこよさ」評価に与える影響が,熟練者・未熟練者とで異なる可能性が示唆された。
  • P3-013A
    水野 貴行 (京都工芸繊維大学)
    都丸 武宜 (京都工芸繊維大学)
    西山 雄大 (長岡技術科学大学)
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    錯視を用いた実験から, 知覚のための視覚と運動のための視覚は異なるメカニズムによるとする「知覚対運動仮説」が提唱されているが, 依然として反論も多い.本研究では, 運動への錯視の影響を従来より明確に検証可能と考えられる, 「まわし」動作における指の使用本数に着目した実験を行った. 結果として, 錯視による指の使用本数への影響が観察され, 運動のための視覚も錯視の影響を受けている可能性が示唆された.
  • P3-019
    平田 貴士 (名古屋大学大学院 情報学研究科)
    川合 伸幸 (名古屋大学大学院 情報学研究科)
    ヒトは上昇物体よりも下降物体の運動を正確に推定する.また,上視野よりも下視野で捉えた物体を正確に知覚する.この知見から,下降物体は下降するからではなく,下視野で捉えるから運動の推定が正確だと考えられる.本研究では,視野上下で上昇・下降刺激の到達時刻の推定精度を評価した.下視野下降の到達時刻の推定は上視野上昇よりも正確であり,上視野下降と下視野上昇の精度は同じであったことから,視野の上下も物体の運動推定の精度に影響することが考えられる.
  • P3-037A
    長島 一真 (静岡大学創造科学技術大学院)
    西川 純平 (静岡大学)
    米田 凌 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    人間の運動技能は,外界の変化に対する予測精度を向上させることで獲得される.こういった運動学習の過程について,様々なモデルが構築されてきた.しかし,多数のパラメータが関与する状況での急速な適応を説明するモデルは構築されてこなかった.本研究では,認知アーキテクチャであるACT-Rをベースに,事前に獲得された運動スキーマを適用する学習を提案する.手法を適用した結果,人間と適合する急激な学習過程を確認した.
  • P3-053
    高屋 真絵 (電気通信大学大学院)
    阪口 豊 (電気通信大学大学院)
    本稿では,技能習得課程における注意の働きを検討することを目的として「意識上の働き」を担う系と「意識下の働き」を担う系から構成される階層的な強化学習モデルについて議論する.ここでは,ヒトの運動制御の実態に即した議論を行うため,感覚入力や運動出力,内部表現,情報処理の時間スケール,転移学習などの問題も陽に取り扱い,概念レベルではなくアルゴリズムレベルでのモデル構築をめざす.また,倒立振子問題を題材とした具体的なモデルの実装についても述べる.
  • P3-060
    田中 祐貴 (西日本電信電話株式会社)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学)
    日本舞踊家元による演技評価をもとに評価モデルを作成し、実験1では非専門家による評価と専門家モデルとの適合に、舞踊経験が影響するかを検討した。その結果、経験者のみで適合が見られ、舞踊経験の影響が確認された。続く実験2では、実験1で見られた専門家との適合度の違いに、経験者だけが持っていたと思われる舞踊に関する知識が影響していた可能性を検討したがそれは否定され、演技経験そのものの重要性が示唆された。