研究分野
臨床
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P-1-24A軽度認知障害(MCI)の認知機能が低下している項目を健常群と比較検討した.また,手順記憶と実演を組み合わせた手順記憶実演課題を作成し,MCIスクリーニングへの活用可能性について検討した結果,MCI群では記憶項目だけではなく実行機能の項目でも低下を認めた.MoCA-J による分類結果を正解としたときの評価指標(AUC)は,手順記憶実演課題の「条件」で高い値が得られることから,この課題がMCIのスクリーニングに活用できる可能性が示された.
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P-1-39本研究では安静時fMRIデータにおける脳活動の個人的特徴が、アルツハイマー病の進行に伴いどのように変化するかを検証した。症状の進行レベルの異なる3つの参加者グループを対象に、個人単位の個人差特徴分析、および集団レベルでのネットワーク部分状態の滞留時間解析を行った。結果、いずれも同様な関心領域ネットワークをシェアしていることが明らかになり、fMRIが将来臨床利用される際、こうした解析が個別の診断や治療に活かされる可能性を垣間見させた。
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P-1-48筋萎縮性側索硬化症を有する人を発信者,透明文字盤に慣れていない初学者を受信者として,単語特性と2種類の文字盤形式の違いを組み合わせた読み取り課題を実施した.その結果,無意味語よりも有意味語の方が,50音式よりもフリック式文字盤の方が読み取り易い傾向を得た.初学者はフリック式の文字盤から用い,自身の既知情報をもとに選言質問などのclosed questionから会話を開始することで技術習得が円滑に進む可能性が示唆された.
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P-1-54障害者職業総合センター職業センターが開発した実行機能概念を用いた作業管理支援プログラムにおける受講者のパフォーマンス評価の方法検討のため,9ケースの結果を分析した.ベースライン期と介入期の効果量分析では,必ずしも一貫した結果は得られなかった.実行機能の下位項目分析では,①ネガティブな結果のままか,ネガティブな変化をするグループと,②ポジティブな結果のままか,ポジティブな変化をするグループ,③そのいずれでもないグループが見出された.
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P-3-12A現在,日本では高齢者の孤独が問題となりメンタルヘルス支援のシステム化が求められている.そこで,本研究ではVRを用いた会話エージェントによる解決志向アプローチの有効性を検討した.その結果,ポジティブ情動において改善がみられた.また,ネガティブ情動では,会話エージェントに対する印象における擬人化と知性の知覚との間に負の相関があった.VRを用いた会話エージェントによる解決志向アプローチの有用性と印象の重要性が示唆された.
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P-3-28本研究ではVR曝露療法中の注意誘導が,プレゼン中の不安,スピーチ不安,社交不安に及ぼす影響について検討した.VR要因(あり対なし)と注意誘導要因(あり対なし)の2×2の参加者間計画で行った.結果,各指標について練習前後での変化量に条件間で差は見られなかった.練習中の不安の高さとプレゼン中の不安の減少量に正の相関が見られた.今後,スピーチ不安に対するVRETの効果の要因を明らかにするため,様々な練習環境や練習方法を比較検討する必要がある.