日程 10月12日(土) 16:50 - 18:50

ポスター1 (P-1)

会場:福武ホールB1 ラーニングスタジオ
  • P-1-1
    山田 雅敏 (常葉大学)
    高田 亮介 (東京大学)
    本研究は,動作中の認知的な発話行為により知覚対象を弁別することが,身体動作に及ぼす影響について前頭前野の脳活動に注目し,Go/No-go課題を用いて実証的検証を行った.結果から,認知的な発話行為による知覚対象の弁別によって,身体動作の反応時間が遅くなることが明らかとなった.また,認知的発話が前頭局部の脳活動の賦活と関連していることが示され,動作中の言語使用によって動作の反応に影響を及ぼす可能性が示唆された.
  • P-1-2
    松林 翔太 (名古屋大学)
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    寺井 仁 (近畿大学)
    交通におけるすれ違い状況において,相手からの注視時間の長さが,その相手にどれほど思いやりを感じるか,その動きをどれほど予測・説明できたかの各評定に与える影響を検証した。その結果,注視時間が長くなるほど思いやりは高く評定された。相手の行動に対する予測・説明に関しては,相手が道を譲ってくれた場合は注視時間が長くなるにつれて評定が高くなったが,相手が先に通過した場合は評定が低下した。
  • P-1-3
    千田 真緒 (千葉大学大学院)
    伝 康晴 (千葉大学)
    本稿では,日常会話場面において,スマホを持ち替えることがどのような相互行為の機能を果たしているのかを考察した.スマホの持ち替えは頻繁に行なわれるものではないが,持ち替え直後の行為としてジェスチャーや画面の共有がよく行なわれていることが分かった.スマホの持ち替えによって,関与や相互行為空間を調整していることが観察された.
  • P-1-4
    稲葉 みどり (愛知教育大学)
    本研究では、3歳から11歳、大人の発話資料を縦断的に分析し、言語発達や物語談話を構成する能力等について考察した。発話データはKH Coder 3を用いてテキストマイニングにより解析し、物語文の使用語彙の変化、内容的特徴、言語的特徴に焦点を当てた。11歳以降の発達の特徴として、情報を加えて描写を豊かにして話を面白くする工夫等、子どもの創造性の発達と物語を独自のものにしたいという希求が示唆された。
  • P-1-5
    廣田 章光 (近畿大学 経営学部/デザイン・クリエイティブ研究所)
    空間近接、遠方探索、対話促進の要件を備えた場を設定し、その場が「遠方探索」が実現することを確認した。そして対話によって生成される情報について、「今まで気づかなかった」5タイプの情報に対して、①有用情報の獲得との関連、②有用情報の獲得にする開発者の対話時の「態度」、「状況」との関連について調査を実施した。その結果、開発者がそれまで気づかなかった(プロトタイプの)「価値」および、「提案先」の創造について有効であることが確認された。
  • P-1-6
    孟 憲巍 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    小國 龍治 (立命館大学総合心理学部)
    仁科 国之 (大阪大学大学院人間科学研究科)
    村上 太郎 (常葉大学保育学部)
    水野 佑佳 (名古屋大学情報学部)
    ここ十年の間に一般の人々がヒトのこころをどのように捉えているかについて検討されるようになり,その重要性が国際的に強調されてきた。しかし,こころの発達的起源に関する検討やそこにジェンダーステレオタイプがみられるかどうかについては未だ不明な点が多い。本研究では,成人を対象とし,様々な認知能力の出現時期に関する信念にジェンダーバイアスが存在するかどうか,また,その傾向が回答文脈により異なるかどうか検討した。
  • P-1-7A
    宮野 修平 (セコム株式会社 IS研究所)
    金 慧隣 (北海道大学大学院農学研究院)
    愛甲 哲也 (北海道大学大学院農学研究院)
    群衆制御による誘導効果を予測するためには,群衆中における個人ごとの経路選択傾向の分布を知る必要がある.本研究では,VR実験によって経路ごとの移動時間や混雑度合い,誘導の有無が経路選択に与える影響を測定し,クラスタリングによって経路選択傾向の分布を分析した.さらに,フォーカスグループインタビューによって得られた仮想の混雑緩和施策に対する意見との整合性を分析することで,VR実験結果の妥当性を評価した.
  • P-1-8A
    丹羽 晴香 (大阪公立大学大学院)
    月元 敬 (岐阜大学)
    本研究は,利き手の拘束が,利き手側に持ち手のある物体の長期記憶に与える影響を検証した.実験の結果,右利きの参加者では,利き手拘束条件において,利き手側に持ち手のある物体が,非利き手側に持ち手のある物体よりも多く想起できることが示された.これは不十分な手の拘束によるものだと考えられ,運動による記憶干渉効果を検証する実験において,適切な運動妨害や認知負荷を与えることの重要性について考察した.
  • P-1-9
    尾関 智恵 (岐阜大学)
    小笠原 秀美 (中京大学)
    毛利 哲也 (岐阜大学)
    数独は代表的な制約充足問題の一つである. 各マス目で候補となる値を探索的に確定させて解いていく際,人は網羅的に探索するわけではなく,部分的回答方法を用いた「解き筋」と呼ばれる概念(解き方の癖)が現れることがわかっている.本研究では,解き筋がどのように発生し,繰り返し練習する過程でパフォーマンスを向上させていくような熟達化過程にどのように影響を与えるのかを参加者1名分の学習データから追跡を試みる.
  • P-1-10
    川島 和流 (米子工業高等専門学校)
    林 侑輝 (米子工業高等専門学校)
    対人コミュニケーションにおいて、第一印象はその後の人間関係に大きな影響を及ぼすが、既存の会話練習システムはビジネスシーン向けのものが多い。本研究では、日常会話の場面で第一印象の改善を目的とした会話練習システムを提案する。人間の「話し方」に着目し、「抑揚」、「話す速さ」、「間」、「母音の明瞭性」の4観点から評価を行う。結果はユーザにフィードバックし、繰り返し会話の練習をしてもらうことで、第一印象の改善を図る。
  • P-1-11
    和田 丈太郎 (米子工業高等専門学校)
    林 侑輝 (米子工業高等専門学校)
    本論文では、運転中の「いねむり事故」防止とストレス軽減を目的として、「ボケてくる対話型AI」を提案する。プロトタイプを用いた実験を行ったところ、対話型AIは正常に動作することが確認できた。更に、あらかじめ想定していた「ボケ」による笑いは少なかった一方で、合成音声による何気ない返答が笑いを誘うことが示唆された。
  • P-1-12A
    山口 星香 (放送大学大学院文化科学研究科)
    小野 貴史 (信州大学学術研究院教育学系)
    大西 仁 (放送大学教養学部)
    音楽を聴いている際の主観的時間と音楽の楽曲構造との関連を探求することを目的とし,2つの楽曲セット(4/4拍子ハ長調,3/4拍子ニ長調)を用いて一対比較法による主観時間測定を行った.オリジナルの楽曲に対し,リズムや音高などを変化させた16の変奏を比較聴取し,より主観的曲長が長く感じる方を選択する課題を実施した.Bradley-Terryモデルによる分析の結果,主観的曲長に伸縮が見られたのは3/4拍子ニ長調の楽曲セットのみであった.
  • P-1-13A
    橋本 拓磨 (大阪公立大学)
    森本 優洸聖 (大阪公立大学)
    牧岡 省吾 (大阪公立大学)
    系列依存性は,ある時点の知覚が直前の知覚に類似する現象である.本研究は,空間的に表現された数(ドット配列)と時間的に表現された数(点滅刺激)の間で数の系列依存性が生じるかを検討した.その結果,ドット配列と点滅刺激の間で双方向に数の系列依存性が確認された.これは,大小判断課題において点滅刺激からドット配列への系列依存性を明らかにした先行研究と一致する結果であるだけでなく,数推定課題において双方向に効果が生じることを示すものである.
  • P-1-14
    森高 楓 (千葉大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    インターネット検索において,検索者が自身の必要とする情報やその入手方法を適切に把握していない(情報要求が曖昧な)場合がある.本研究では,Yahoo!知恵袋に投稿された質問文を,質問者の情報要求が言語化されたものと捉えて分析し,曖昧な情報要求が言語化されたときの特徴を探索した.外部のwebページを参照する回答が寄せられた質問文中で出現頻度が高くなる語を発見したが,情報要求の曖昧さとの関係性は今後検討する必要がある.
  • P-1-15A
    門田 圭祐 (早稲田大学人間科学学術院)
    関根 和生 (早稲田大学人間科学学術院 人間科学部)
    本発表では,指示詞を産出させる実験課題を用いて,日本語指示詞の選択に話者から指示対象までの距離と,聞き手位置が及ぼす影響を調べた.多項ロジスティック回帰モデルの推定をおこなった結果,(1)距離は聞き手位置にかかわらず指示詞選択に影響し,(2)聞き手位置の影響は距離によって異なっていた.この結果は日本語の指示詞は聞き手を考慮した基準を用いて選択されるという,先行研究の主張を補完するものであった.
  • P-1-16
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    阿部 真人 (同志社大学)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    ヒトの集団では、知らず知らずのうちに個々の行動が他者に伝染し、集団レベルでのバースト現象が生じ得る。こうした現象では、どのような知覚的相互作用が働いでいるのだろうか。本研究では、大規模な集団において空間的位置関係を考慮しつつ、自発的行為が周囲から受ける影響を調べた。結果として空間を共有する者同士による知覚的相互作用による顕著なバースト現象が確認し、またこの相互作用は近距離ではなく遠距離であることが示唆された。
  • P-1-17A
    金子 祐二 (東北大学大学院教育学研究科)
    本研究は,網膜色素変性症患者の視野狭窄をリアルタイムで再現するARシステムを開発し,その有効性を評価するものである.ARヘッドセットとステレオカメラを用いて視野狭窄シミュレーションを実現した.主観的視覚的体験はボトムアップ的な知覚とトップダウン的な予測が統合されたものであると考えられ,主観的視覚的体験の再現には両者の考慮が必要であろう.視覚再現性の精度,処理速度向上,ユーザビリティーなど,今後の改良点について議論する.
  • P-1-18
    宇野 良子 (東京農工大学大学院 言語文化科学部門)
    石塚 政行 (東京農工大学大学院 言語文化科学部門)
    言語の本質は思考かコミュニケーションかという議論は現在でも続いている。また,文という単位の本質について思考的側面(判断)とコミュニーション的側面(報告)があるとする立場が日本語研究にはある。本稿は,認知類型論的な立場から,日本語の文の解釈についてのアンケート調査を行い,一つの文に判断的(物的)解釈と報告的(事態・場所的)解釈がどのように共存しているかを,属性を指す文を中心に明らかにした。
  • P-1-19
    牧野 遼作 (早稲田大学人間科学学術院)
    山本 敦 (早稲田大学人間科学学術院)
    友野 貴之 (札幌学院大学 心理学部)
    古山 宣洋 (早稲田大学人間科学学術院)
    花田 愛 (株式会社オカムラ ワークデザイン研究所)
    オフィスで生起する「事前に予定されていない会話」の開始場面について3つの事例に対して、身体動作と発話開始箇所について定性的検討を行った。分析の結果から、話者は聞き手候補のコミュニケーション意図のない振る舞いから、他者の関与状態を推察し,話しかけ方を調整や話しかける相手の選択をしている可能性が示唆された.
  • P-1-20
    劉 栓栓 ((研究実施当時)筑波大学)
    緒方 思源 (兵庫教育大学)
    本稿では,21世紀型の美術鑑賞教育の在り方に着目し,まず美術鑑賞における省察的思考の育成の重要性について検討する.次に,文献調査に基づいて,対話型AIと画像生成AIという2種類の生成AIを美術鑑賞における省察的思考の育成に如何に活用できるのかについて理論的な検討を行う.さらに,生成AIが美術鑑賞の場面で提供できる情報と,人間的な他者から取得される視点とを比較することで,生成AIの活用が省察的思考の指導において持つ利点について検討する.
  • P-1-21
    山川 真由 (名古屋大学)
    島田 彩乃 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    本研究では、道徳基盤理論に着目し、社会問題に対する意見との関連を検討した。5つの社会問題に対し、賛否意見および、道徳基盤の志向を考慮した理由を含んだ項目を作成した。各項目への同意の程度と道徳基盤尺度との関連を検討した結果、自身の道徳的志向と、理由における道徳的志向とが一致する項目に対して、より同意する傾向が見られた。ただし、社会問題によって関連がみられる志向が異なっており、それらについて考察した。
  • P-1-22
    金野 武司 (金沢工業大学)
    堀ノ 文汰 (金沢工業大学)
    長滝 祥司 (中京大学)
    柏端 達也 (慶應義塾大学)
    大平 英樹 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    橋本 敬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    柴田 正良 (金沢大学)
    三浦 俊彦 (東京大学)
    加藤 樹里 (金沢工業大学)
    本研究では,人間のロボットに対する道徳性の帰属意識の違いを明らかにすることを目的に,トロッコ問題において一人の命を犠牲にするという道徳的なジレンマを引き起こす行為の是非について,人–ロボット間の対話がどのような影響を与えるのかを調べた.この結果として我々は,ロボットとの対話によってロボットを非常に理性的で感情のない存在として認知するようになったことを報告する.
  • P-1-23
    畠田 優衣 (東京大学)
    岡田 猛 (東京大学)
    書において筆は定められた正しいやり方で扱い,文字は整えて書かなければならないという固定観念は日本の書教育でよく見られるものであり,これに捉われることは書の美的な側面への理解を妨げていると考えられる.そこで,本研究では探索行為を積極的に行いながら書作品を制作するワークショップを設計し,それを通して書に対する態度を変化させることができるという仮説の検証を試みる.
  • P-1-24A
    渡辺 裕生 (大和大学保健医療学部)
    瀬川 大 (大和大学保健医療学部)
    服部 雅史 (立命館大学総合心理学部)
    軽度認知障害(MCI)の認知機能が低下している項目を健常群と比較検討した.また,手順記憶と実演を組み合わせた手順記憶実演課題を作成し,MCIスクリーニングへの活用可能性について検討した結果,MCI群では記憶項目だけではなく実行機能の項目でも低下を認めた.MoCA-J による分類結果を正解としたときの評価指標(AUC)は,手順記憶実演課題の「条件」で高い値が得られることから,この課題がMCIのスクリーニングに活用できる可能性が示された.
  • P-1-25
    豊田 将也 (金沢工業大学)
    金野 武司 (金沢工業大学)
    本研究では,AIによる短時間育児支援について,幼児が飽きない対話方法および内容を検討するために,ロボットをアバターにした保育士と園児の対話環境を構築した.結果,園児たちは普段よりも大きく緊張した状態になり,ほとんど対話できないことが確認された.他方,保育士の対話方法と内容は,ある一定の傾向を持ちながらも多岐に渡ることがわかった.保育士の対話方法と内容をAIが再現する場合に,どういった難しさがあると考えられるのかを議論する.
  • P-1-26
    清水 大地 (神戸大学)
    岡田 猛 (東京大学)
    亀山 淳史郎 (株式会社SIGNIING)
    鷲尾 和彦 (株式会社SIGNIING)
    佐藤 悠 (フリーランス)
    本研究では,複数名による創造活動において生じる相互作用過程を可視化・定量化する解析を提案し,有用性を実際のデータを対象に検討した.提案手法は,交差再帰定量化解析と呼ばれる,力学系の非線形時系列解析である.洞察問題やアイデア生成課題、絵画制作場面を対象に検討を行った結果,提案手法により,1)創作者間の潜在的な相互作用過程を抽出出来る可能性,2)フェイズ間の変化を直接比較出来る可能性,3)多様な場面を対象に適用出来る可能性,が示唆された.
  • P-1-27A
    酒井 美鳥 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士後期課程)
    清河 幸子 (東京大学大学院教育学研究科)
    溝川 藍 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    本研究の目的は,身体感覚の媒介効果に着目して,ダンスをすること自体が不安および抑うつを軽減するメカニズムを明らかにすることである.参加者はダンス動画を見ながら踊る条件 (実施群) と,ダンス動画を視聴するのみの条件 (視聴のみ群) に無作為に割り当てられ,約15分の介入が行われた.その結果,ダンスをすること自体が不安および抑うつを軽減し,そのメカニズムとして身体感覚のひとつである身体感覚受容感が媒介している可能性が示唆された.
  • P-1-28
    大滝 文一 (静岡大学創造科学技術大学院)
    大島 律子 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    大島 純 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    本研究は,AIと人間の教員によるフィードバックに対する学生の認識を,信頼と学びのメタファの観点から検討した.スウェーデンの大学で大学生と大学院生を対象にフォーカス・グループ・インタビューを実施し,再帰的テーマティック分析を行った.結果から,生成AIは獲得メタファに基づく能力信頼を獲得し得るが,人間の教員は参加メタファに紐づく,関係性や時間軸を伴うコミュニケーション信頼を得ている観点を考察した.
  • P-1-29
    岩本 拓也 (株式会社サイバーエージェント)
    岡藤 勇希 (株式会社サイバーエージェント)
    自己推薦ロボットが推薦商品の印象形成に与える影響を検討した.8種類の商品を対象に,静止状態と動作状態での印象評価を行った.動作状態では「高価な」「新しい」「可愛らしい」という印象が強まり,「美味しそう」という印象が弱まることを確認した.さらに動作状態の中でも,飲食経験のある商品では「美味しそう」「飽きなさそう」「好き」の評価が下がり,飲食経験のない商品では「高価な」「個性的な」「好き」「可愛らしい」という評価が上がることが示された.
  • P-1-30
    中田 龍三郎 (北星学園大学社会福祉学部)
    森 優花 (北星学園大学社会福祉学部)
    かわいいというポジティブな感情にも痛みの軽減効果が認められるか明らかにすることを目的として、お笑い、かわいい、あるいは中性の映像を見ながら冷水の冷たさをできるだけ我慢する実験を実施した。お笑い条件とかわいい条件は中性条件よりも有意に耐久時間が長かった。先行研究で指摘されたユーモア映像による笑いの鎮痛効果だけでなく、かわいい映像を見ることで生じる温かく癒されるといったポジティブな気分によっても鎮痛効果が生じると推測された。
  • P-1-31
    牧之内 洋和 (北九州市立大学)
    高橋 建二 (北九州市立大学)
    松田 憲 (北九州市立大学)
    BtoB企業の「営業活動」を技術として捉え,効果的なセールスモデルを探求することを目的とした.米国で行われた先行研究において卓越した成果を上げるとされた「チャレンジャー」と,成果を残せないとされた「リレーションシップ・ビルダー」について,日本で調査を行い,先行研究との比較を行った.その結果,「成約」に関して「チャレンジャー」に対する顧客側の積極的な意思決定(成約意思)が行われる傾向がみられた.
  • P-1-32
    中津 良平 (京都大学)
    土佐 尚子 (京都大学)
    浦岡 泰之 (島津製作所)
    北河 茜 (島津製作所)
    村田 耕一 (島津製作所)
    務中達也 (京都大学)
    上田祥行 (島津製作所)
    アート鑑賞が鑑賞者の創造性の向上に効果があるという仮定を立て,その実証のため没入型の環境を構築し,その環境で被験者を用いたアート鑑賞時の生理データの計測・分析を行っている.本報告では,没入型環境の構成について簡単に述べた後,その環境でアートコンテンツを幾何学図形コンテンツや無コンテンツと比較した際の心電データの計測・分析の結果について報告する.
  • P-1-33A
    西東 理花 (早稲田大学)
    堀田 浩司 (早稲田大学)
    関根 和生 (早稲田大学人間科学学術院 人間科学部)
    自分の手で自分自身の身体に触れる行為は,自己接触行動と呼ばれている。本研究は,自己接触行動が語彙検索を促進させるかについて検討した。実験参加者を統制群,自己接触群(課題中手で頬に触れてもらう群),抑制群(ジェスチャーができない群)に分け,語彙検索課題と再生課題を行った。その結果,自己接触行動は語彙検索を促進させることが明らかになったが,TOT 状態に陥った際には,自己接触行動は影響を及ぼしていないことが明らかになった。
  • P-1-34A
    進藤 稜真 (北海道大学 情報科学院)
    飯塚 博幸 (北海道大学 人間知・脳・AI 研究教育センター)
    本研究では,Vision Language Model (VLM)が人間とどの程度類似した音象徴的感性を持つかを分析する. 実験には,人間の評価に沿って画像を進化させるシステムであるCONRADをベースに,新たにVLMの評価も反映可能な進化型画像生成システムを構築して分析を行った. 実験の結果,VLMは新たに作成した疑似単語を対象にした場合も含め,人間と類似した音象徴的感性を示すことが確認された.
  • P-1-35A
    孔 令辰 (東京大学大学院総合文化研究科)
    寺澤 悠理 (慶應義塾大学文学部)
     本研究は呼吸と同期して大きさが変化する視覚刺激を提示し,その同期が呼吸の深さや視覚刺激の大きさに対する推定をどう変容させるかを検討した。同時に,感覚評価の変容の度合いと単感覚の精確性や統合失調型パーソナリティとの関係を調べた。その結果,呼吸を実際よりも小さく反映する視覚刺激によって,大きく息を吸う傾向はみられたが,その反対の影響はみられなかった。結果から,感覚間の相互影響に方向性があることが示唆されている。
  • P-1-36A
    新田 一洋 (青山学院大学)
    本研究では創作ダンスの創造場面における対話や環境などの観点から作品の主題がどのように創造されているか、ダンサーとして熟達していない非熟達者がどのような要因によって創造に主力として参加することができているのかを多層的に検討してきた。その結果、参加者たちは創作ダンスに取り組む共同体としての集合的な主体性(エージェンシー)を構成し、創造活動をしており、その営み自体が熟達者と非熟達者の相互行為を可能とし、創造性を促進させていることが示唆された。
  • P-1-37A
    野中 郁子 (早稲田大学大学院人間科学研究科関根ゼミ)
    関根 和生 (早稲田大学人間科学学術院 人間科学部)
    非対面でのコミュニケーションが増え,また個人が携帯する電話の普及により電話応対の機会が多くなっている。電話応対において,お礼やお詫びなどでお辞儀をしながら発話をすると感じの良い応対になると古くから言われ,企業では指導をしている。しかしそれらは経験則と知識の継承であり,明らかにされてはいない。魅力を高めるお辞儀が電話応対ではどのような働きがあるのかを検証するために,電話応対でのお辞儀がどのような影響を音響特性に及ぼすのかを明らかにする。
  • P-1-38
    平山 陽菜 (東京大学大学院人文社会系研究科)
    清河 幸子 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究では,援助要請に対する他者のふるまいが見知らぬ他者への援助行動に及ぼす影響を検討した.通行人289名を,通行人役がアンケートに協力している協力条件,通行人役がアンケートへの協力を拒否し去る非協力条件,通行人役が存在しない統制条件のいずれかに割り当てアンケート協力への承諾率を条件間で比較した.その結果,協力条件と統制条件で,非協力条件よりも承諾率が高かった.よって,他者が援助要請を拒否することで援助行動が抑制されることが示唆された.
  • P-1-39
    赤間 啓之 (富山大学 医学部 附属病院 データ科学・AI研究推進センター)
    中谷 大河 (元東京工業大学 生命理工学系 ライフエンジニアリングコース)
    染谷 芳明 (富山大学 医学部 附属病院 データ科学・AI研究推進センター)
    高岡 裕 (富山大学 医学部 附属病院 データ科学・AI研究推進センター)
    岩佐 憲一 (島根大学医学部 内科学講座 内科学第三)
    長井 篤 (島根大学医学部 内科学講座 内科学第三)
    山口 修平 (島根県立中央病院 神経内科)
    高村 真広 (藤田医科大学 IR推進センター)
    小野田  慶一 (追手門学院大学 心理学部心理学科 心理学専攻)
    本研究では安静時fMRIデータにおける脳活動の個人的特徴が、アルツハイマー病の進行に伴いどのように変化するかを検証した。症状の進行レベルの異なる3つの参加者グループを対象に、個人単位の個人差特徴分析、および集団レベルでのネットワーク部分状態の滞留時間解析を行った。結果、いずれも同様な関心領域ネットワークをシェアしていることが明らかになり、fMRIが将来臨床利用される際、こうした解析が個別の診断や治療に活かされる可能性を垣間見させた。
  • P-1-40
    島田 英昭 (信州大学)
    長井 惇義 (信州大学)
    田中 江扶 (信州大学)
    本研究は,AI翻訳を用いた英作文プロセスを明らかにすることを目的とした.日本語話者の大学生12名に対して,AI翻訳が使える環境で自由英作文を求め,その操作ログを記録した.操作を分類した結果,英語習熟度にかかわらずAIが一定程度利用されること,英語上級者の方がAI利用が少なくAI利用が補助的であること等を明らかにした.最後に,ヘイズとフラワーのモデルを拡張し,AI利用の英作文プロセスをモデル化した.
  • P-1-41
    伊藤 崇 (北海道大学)
    電子テクノロジーにより,子どもが自分で自分の身体を計測すること可能となる.新型コロナウィルスの流行にともない,家庭での子どもの日常生活に検温実践が組み込まれた.7歳から9歳の子どものいる3つの家庭の生活を撮影した映像を観察したところ,検温が毎日のルーティンに組み込まれ,円滑に遂行されていた様子が見られた.具体的には,体温計や記録簿のある場所の身体化,および検温をめぐる親子の協働が観察された.
  • P-1-42
    成瀬 辰 (明治大学大学院先端数理科学研究科先端メディアサイエンス専攻)
    小松 孝徳 (明治大学総合数理学部)
    本研究では,SNSユーザがSNS利用中に不快に感じる状況についての調査を行った。その結果, XやInstagramの利用頻度が高いユーザは自分の好きなものについてのネガティブなコメントに不快感を覚えることが明らかとなった一方,SNSでの投稿が少ないユーザは根拠のない偏見による投稿に対して不快感を抱くことが明らかとなった。そして多くのユーザが,ある対象を一方的に見下すような表現を含む投稿に不快感を抱いたことがあることが明らかになった。
  • P-1-43A
    竹田 琢 (青山学院大学国際マネジメント研究科 / 早稲田大学人間科学研究科)
    本研究では授業内グループワークにおける個人の意見を表明する活動を開始するやり方について,相互行為分析の方法を用いて検討した.その結果,話し合いを開始するまでに,1)話し合いの開始の提案と承諾,2)話題の限定,3)最初の話し手の決定が行われていた.学生は教員の合図後すぐには話し合いを開始できないこと,話し合いの準備に積極的だが最初の話し手になることには消極的であることが示唆された.
  • P-1-44A
    市川 淳 (静岡大学)
    山田 雅敏 (常葉大学)
    藤井 慶輔 (名古屋大学)
    先行研究では実験室実験から,不均一な役割分担を伴う集団協調で状況に応じた介入判断と調整を行う役割の重要性が示唆されている.本研究では現場応用として,3 on 3バスケットボールを題材に撮影と計測を行い,大学チームでオフェンスにおける当該役割の動きを助言した.結果,助言後にその役割が求められる選手と相手ディフェンスとの距離が相対的に大きい値をとる頻度が高くなり,遂行の基盤となるスペーシングが体現された.
  • P-1-45A
    田中 悠介 (福岡大学)
    人は言語を理解する際に,言語化された物体の色や大きさといった物理的性質を心内でシミュレーションしている。本研究では,認知的共感性が高い言語理解者は好ましい他者の行為を描写している文が呈示された場合に文と画像の内容の一致判断をより素早く行うことを明らかにした。この結果は,物理的性質だけでなく感情価もシミュレーションされること,およびそれが認知共感性の高さと相関することを示している。
  • P-1-46A
    塚村 祐希 (東京大学,日本学術振興会)
    岡田 謙介 (東京大学)
    言語隠蔽効果とは,記銘した顔について言語的に説明することが,後の再認を妨害する効果のことである.本研究では,刺激セットの類似性が言語隠蔽効果に与える影響を調べるため,画像生成モデルを使用して顔画像を作成し,実験を行った.その結果,言語的に類似した刺激セットでのみ言語隠蔽効果が観察された.この結果は,与えられた刺激からの言語隠蔽効果の予測に貢献すると考えられる.
  • P-1-47A
    大貫 祐大郎 (一橋大学)
    大瀧 友里奈 (一橋大学)
    植田 一博 (東京大学)
    Visual Analog Scale (VAS) の回答開始位置が, 回答 (今月, 目標にしたい電気使用量kWh) に与える影響を検討した. 回答を左端 (0kWh) から始める左群, 中央 (138kWh) から始める中央群, VASを使用しない自由回答群の3群で実験を実施した. その結果, 中央群や自由回答群よりも左群の方が, 回答は有意に左端に偏った. この結果は, VASの回答開始位置が回答に影響を与えることを示している.
  • P-1-48
    志村 栄二 (愛知淑徳大学)
    櫻井 優太 (田園調布学園大学)
    稲垣 尚恵 (愛知淑徳大学)
    望月 浩志 (愛知淑徳大学)
    筋萎縮性側索硬化症を有する人を発信者,透明文字盤に慣れていない初学者を受信者として,単語特性と2種類の文字盤形式の違いを組み合わせた読み取り課題を実施した.その結果,無意味語よりも有意味語の方が,50音式よりもフリック式文字盤の方が読み取り易い傾向を得た.初学者はフリック式の文字盤から用い,自身の既知情報をもとに選言質問などのclosed questionから会話を開始することで技術習得が円滑に進む可能性が示唆された.
  • P-1-49
    奥田 祥司 (宝塚医療大学)
    後呂 智成 (紀和病院 リハビリテーション部)
    松㟢​ 由莉 (宝塚医療大学)
     学生は, 対象者が動くなかでどこを視ているのかを客観的に知るすべがなかった. そのため, 指導者から観察するポイントを教授されても実践することが難しくなっていた. そこで, 本研究は, フィードバックの違いによって観察視点の違いを明らかにすることで, 学生の動作観察を効率的に学習する方法を検討することを目的とした.
  • P-1-50A
    大髙 愛 (札幌学院大学心理学部臨床心理学科)
    ティッシュ配りの路上観察から、受け手に複数の行為選択が可能な状況において物の受け渡しがどのように達成されるかを分析し、視線や身体を向けるタイミングの調整が受け渡しの成否に関与していることを明らかにした。受け渡しの達成は第一に受け手候補の特定、第二に差し出し行為と受け取り行為の成立を経て実現するが、これは会話における隣接対の形成に似た形で進行し、二者間でコミュニケーション状況が維持されることが重要であることが示唆された。
  • P-1-51A
    前田 晃弘 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (東京電機大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    単語類似度の知覚が単語を提示する順序に影響される現象(順序効果)を説明するため,文脈に対応する部分空間を反映した新たな単語分散表現のモデルを提案する.実験データを用いて部分空間の違いが非対称な類似度評価をもたらすか否か検証する.
  • P-1-52A
    岡 隆之介 (三菱電機株式会社)
    楠見 孝 (京都大学大学院教育学研究科)
    内海 彰 (電気通信大学大学院情報理工学研究科)
    本研究では,Predicationモデルを用いて,知能の個人差と隠喩の解釈過程との関係性を分析する.参加者(N=85)は流動性/結晶性/検索流動性知能の課題と隠喩の解釈課題に取り組んだ.MAP@100が最大となる条件における,モデルのパラメタと個人差指標の相関を求めたところ,検索流動性知能が高い人は主題側の制約を弱めた解釈を,類似に対する感受性が小さい人は主題側の制約を厳しくした解釈を生成する可能性を示唆した.
  • P-1-53A
    安久 絵里子 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学,株式会社イデアラボ)
    澤田 知恭 (筑波大学大学院心理学学位プログラム)
    生活圏で利用されるロボットにきものを着せることにより,ユーザがロボットに対して抱く印象にどのような影響があるかを検討するため,オンラインによるビデオ評価実験を行った.その結果,きもの着装ロボットは通常ロボットに比べて踊りが上手であると評価された.またSD法による印象評価では,きもの着装ロボットは通常ロボットよりも幼いと評価されており,きもの自体の作り方によってロボットの見え方が変化する可能性も示唆された.
  • P-1-54
    渋谷 友紀 (障害者職業総合センター)
    宮澤 史穂 (障害者職業総合センター)
    三浦 卓 (三重障害者職業センター)
    障害者職業総合センター職業センターが開発した実行機能概念を用いた作業管理支援プログラムにおける受講者のパフォーマンス評価の方法検討のため,9ケースの結果を分析した.ベースライン期と介入期の効果量分析では,必ずしも一貫した結果は得られなかった.実行機能の下位項目分析では,①ネガティブな結果のままか,ネガティブな変化をするグループと,②ポジティブな結果のままか,ポジティブな変化をするグループ,③そのいずれでもないグループが見出された.
  • P-1-55A
    畑 美緒 (早稲田大学)
    加藤 麻樹 (早稲田大学)
    三嶋 博之 (早稲田大学)
    対象の移動から生じるLOFが存在する環境下において,観察者の移動から生じるGOFが視覚的探索に与える影響について,GOFの速度の違いによる知覚の変化を検討した.その結果,GOFの速度は,視覚探索の反応時間には干渉しないものの,速いGOFはその外側あるいは周辺への注意を誘導すること,また,視覚探索活動を複雑化させる可能性が示唆された.
  • P-1-56A
    中分 遥 (北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科)
    佐藤 浩輔 (株式会社バンダイナムコ研究所・筑波大学理工情報生命学術院)
    中分・佐藤・五十里(2022)に続き,儀礼的行為における系列長さの効果を検討するための実験を行った.2種類の行動からなる長さ5までの刺激系列を用意し,実験参加者に儀式としての効能や複雑性といった側面を評価させた.結果は,系列の長さは効能・重要度・複雑性に強く影響を与えており,ランレングス長はすべての側面に影響を与えていた.回文や反復といった特徴は複雑性や規則性の評価に関連していた.現実の儀式の分析への応用可能性について議論する.
  • P-1-57
    山下 真愛 (金沢工業大学大学院)
    加藤 樹里 (金沢工業大学)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学情報フロンティア学部心理科学科)
    本研究では,アバターの行為を変えることで社会的望ましさを操作し,空間的視点取得のしやすさに与える影響を調べた.その結果,アバターの行為によって社会的望ましさを下げても空間的視点取得に影響しないことが示唆された.
  • P-1-58A
    高橋 直寛 (木更津工業高等専門学校)
    能城 沙織 (木更津工業高等専門学校)
     人は自身と共通の特徴を持つものを好むことが先行研究より明らかになっており,声に関してもその傾向が示されている.しかし,先行研究では実験参加者の声そのものを実験に使用しており,そのことが評価に影響を与える可能性が否定できない.そこで本研究では,実験参加者の声から作成した自分類似合成音声を用いて実験を行うことを試みた. 実験の結果,信頼の評価には自身の声との類似性は影響を与えず,声自体の信頼性が影響を与える可能性が示唆された.
  • P-1-59
    村瀬 匠 (東京大学教育学研究科)
    清河 幸子 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究の目的は,探究的な学びの一場面である卒業論文指導において,問題設定の支援がどのように行われているかを明らかにすることである.博士課程を修了しており,過去に10名以上の学部生に問題設定の支援をしたことがある大学教員に対して半構造化インタビューを行った.インタビューを分析した結果,問題設定時に「興味」「先行研究」「問題」「既有知識」を対象とした支援が行われていることが明らかとなった.
  • P-1-60
    有江 風人 (金沢大学人間社会環境研究科地域創造学専攻教育支援開発学コース)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学情報フロンティア学部心理科学科)
    本研究は、バレーボール経験者が直面するプレッシャー状況に対する、類推学習の有効性について分析した.実験参加者はバレーボールを3年間以上プレーしており、且つサーブレシーブを苦手としている高校生18名とし、類推学習群と明示的学習群へ振り分け、サーブレシーブ練習を6回行った.その結果、両群共にストレステストでパフォーマンスが低下しなかったため、類推学習の効果により、プレッシャー下でのパフォーマンスが維持できたとは言えない.
  • P-1-61
    安達 龍太郎 (京都工芸繊維大学)
    都丸 武宜 (京都工芸繊維大学)
    西山 雄大 (長岡技術科学大学)
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    人は歩いているとき,知らず知らずのうちに隣の人と足並みを揃えることが知られている.これは集団においても同様だろうか.従来,集団の歩行同期は,歩行者が一列に並んで同じ方向を歩く実験設定で調べられてきた.しかし,空間的に制限されていない,より現実に近い状況で歩行同期の有無や機能は不明である.本研究では,自由歩行する集団でも偶然以上に歩行同期が発生することが明らかになった.こうした歩行同期が集団において機能的利点をもたらすか否か議論する.
  • P-1-62
    古賀 日南乃 (日本大学文理学部)
    佐藤 匠 (日本大学文理学部)
    大美浪 海晟 (日本大学文理学部)
    飯田 愛結 (日本大学文理学部)
    奥岡 耕平 (日本大学文理学部)
    佐々木 康輔 (NECソリューションイノベータ株式会社)
    野田 尚志 (NECソリューションイノベータ株式会社)
    森口 昌和 (NECソリューションイノベータ株式会社)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    本研究の目的は,探究学習において言外の意味を扱った対話を実現できるメンタリングチャットボットの開発である.著者らは先行研究として,BDIモデルベースの自己/他者モデルと大規模言語モデルを統合することで,大規模言語モデルが言外の意味を扱えるようにするアプローチを提案している.本研究では,このアプローチをメンタリングチャットボットに導入し, 探究学習におけるメンタリングにおいても有効であるか評価するためにケーススタディを実施した.
  • P-1-63
    庄野 俊平 (横浜市立もえぎ野小学校)
     本研究では、実験における物質との相互作用から科学的知識が構築される過程を明らかにすることを目的とした。Pickering(1995)の「Mangle of Practice」の視点を援用し小学3年理科「磁石の性質」の実験場面の子どもと物質(磁石や缶)との相互作用を分析した。その結果、自らの科学的知識に反する「物質の抵抗」に対し、現象を再現しようという「子どもの適応」の中で、創発的に科学的知識が構築されることが明らかとなった。
  • P-1-64
    中野 良樹 (秋田大学教育文化学部)
    洞察問題では、定型的な思考や作業では解決できず、発想の転換やひらめきによって解決に至る。本研究は図形パズル“タングラム”を使用して、洞察問題の解決における協働の効果について検討した。実験には大学生22名が参加し、二人一組で「アヒル」のシルエットの完成に取り組んだ。完成したペアは11組中8組(72.7%)だった。本報告では、過去に実験から得られた単独でアヒル課題に取り組んだ結果と比較し、協働問題解決の効果について検討する。
  • P-1-65A
    山縣 芽生 (同志社大学)
    高橋 英之 (大阪大学/国際電気通信基礎技術研究所)
    宮下 敬宏 (国際電気通信基礎技術研究所)
    本研究では,「他者とわかり合う」上で,従来注目されていた個体間の類似性ではなく,お互いがわかり合おうとするプロセスに注目した新しい実験課題を開発した.この課題は,2名の実験参加者が,表現者と観測者に分かれ,それぞれの相互作用によって,合意を得ることを目指すものである.本稿では,この課題を行ってた1事例を報告し,従来の類似性に注目したアプローチとは異なる「他者とわかり合う」プロセスに注目した新たな実験パラダイムの可能性について議論する.
  • P-1-66
    高橋 麻衣子 (早稲田大学 人間科学学術院)
    読書感想文の作成にかかわる心的活動を「読む」「思考する」「書く」のフェーズに分解し,各フェーズをICTの機能によって支援するプログラムを小中学生に対して実施した。プログラムの結果,参加者の読書感想文作成の,特に「書く(作文)」活動についての効力感が上昇した。「読む」「書く」を代替,補助するタブレット端末の機能は参加者に取り入れられやすかったのに対し,「思考する」を支援するマインドマップや生成AIの機能の活用は慎重である様子がみられた。