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神経生理
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O2-3本研究では,嘘と欺きを含む情報の発信者(Liar)とその受信者(Detector)の脳活動を対面状況で近赤外分光法(NIRS)によって同時計測し,嘘と欺きの生成と検出に関わる認知神経機構を検討した.特に,Liarによる遂行(発話と動作)の真偽の口頭報告が, LiarとDetectorの脳活動に与える影響を検討し,嘘や欺きに関わる特定の脳領野を仮定することなく,動作や発話による虚偽に応じた神経基盤の追求が可能であることを検証した.
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OS05-1我々はどのようにして自己自身を認識し,他者を他者として認識しているだろうか.哲学をはじめとする諸科学の基本問題でもある「自己と他者」の認識の問題は,社会性認知の基礎となる能力であるにも関わらず,そのメカニズムは未だ明らかでない部分が多い.本セッションでは,自己身体認識・他者認識・社会性認知・コミュニケーションなどのトピックに関して,その認知モデルを探るための脳機能イメージング研究、行動・心理実験研究などを通じ議論を行う.
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OS05-2自己を認識する上で、身体運動とそれに伴う感覚フィードバック間の時間的整合性が重要である.本研究では,身体運動に伴う聴覚フィードバックに複数の遅延を挿入し,遅延検出に伴う事象関連電位(N300)と自己主体感(agency)の関係について検討した.実験の結果,遅延が大きくなるに従い主体感が低下し,N300成分の振幅が大きくなる相関関係がみられることが示された.このことからN300成分は,自己主体感の生理指標として有効である可能性が示された.
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OS05-7これまでの非協力ゲームを用いたfMRI研究では,相手の行動を読むことに関わる脳活動が示されてきた.本研究では,非協力ゲームのひとつであるマッチングペニーにおいて,相手が手を読んでくるという認識に関わる脳活動をfMRIにより調べた.fMRIデータをモデルベース解析した結果,右側頭頭頂接合部が,相手が手を読むことと、読んだ結果を利用した行動決定を行うことの推定に関わることを示した.
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OS05-8脳の中で「自己」がどのようにして実現されているか、様々な人が様々な形で興味を持ってきた。しかし脳機能マッピング研究は、単一の「自己」の神経基盤という仮説に対して否定的な結果を示してきた。私はこれらの結果から、自己は少なくとも3つのカテゴリーに区別されるが、それらの間には、順予測モデルとしての共通性があることを指摘し、その統一モデルとしての可能性を提唱してきた。本講演ではその現状と課題を共有したい。
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OS09-4「AはBだ」という形式で表現される比喩の解釈として被喩辞(A)、喩辞(B)のどちらにも由来しない創発的解釈が生成される過程の神経回路に関して検討した。実験では、「AはBだ」という形式の文を被験者に提示し、自由に口頭で文の解釈を回答させ、課題遂行中の脳活動を測定した。その結果から、創発的解釈生成は、腹側内側前頭前野を中心とした大域的神経回路によって実装されており、その回路は右半球に側性化していることが示された。
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OS13-3ヒトは自分の行動に相手が反応する社会的随伴性に,すなわちコミュニケーションがオンラインであることに非常に敏感である.しかしどの脳領域が,コミュニケーションのオンライン性を検出する役割を果たしているかについては,明らかになっているとは言いがたい.本研究では,二者同時計測fMRI装置を利用して,オンラインコミュニケーション時には,小脳が選択的に反応することを明らかにした.
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P1-30外界の事象を知覚処理する上で,事象に伴う感覚刺激の時間的整合性は極めて重要である.そこで,本研究では,周期的に呈示される聴覚刺激列中に遅延を挿入した際の脳波計測から,遅延検出の知覚特性を検討した.実験の結果,挿入する遅延が大きくなるに従い,事象関連電位(N300成分)の振幅が増大し,更に,遅延の検出回数と相関関係がみられた.このことから,N300成分は聴覚刺激列中の遅延を検出する神経活動を反映した成分である可能性が示された.
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P2-22本研究は日本映画『Dolls』を用いてフィクション映画の鑑賞過程における情動的共感を検証するとともに,非説明的な映像表現がどのような内的プロセスを活性化させるのか探ることを目的とし,鑑賞中の受け手の脳活動をNIRSで計測した.実験の結果,受け手の運動前野の活動量は登場人物の行為の経緯が提示されるに従い有意に上昇した.鑑賞中のMNSの活動を測定することで,映画のストーリーと演出がいかに受け手の共感を引き起こすか検証できることが示唆された.
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P3-28被験者は右手を動かして,実際の手の左側に呈示される仮想手もしくは矢印の前後運動を行った.右手の前後方向の動きのみがオブジェクトの動きに反映された.前後運動中の左右方向のドリフト運動を検討した.オブジェクトの回転方向に依存したドリフト運動の変調が観察され,方向が左向きの時,仮想手の方が矢印よりも有意に大きなドリフト運動量を示した.このようなドリフト運動は,固有感覚と視覚に基づく手の位置情報の不一致に対する脳の補償作用であると推測される.
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P3-29ラバーハンド錯覚(RHI)は視触覚刺激の時間的同期により生じる身体保持感の錯覚である.本研究では,左半球の側頭頭頂接合部(TPJ)へ経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を加えたときのRHIの錯覚強度の変化と統合失調症型パーソナリティの関連性を調査した.その結果,TPJへの陽極刺激によって視触覚刺激が非同期状態でも錯覚を感じやすくなり,統合失調症の陰性症状の傾向が高いほど顕著に出ることが示された.
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P3-30本研究では,ラバーハンドイリュージョンを起こす視触覚刺激呈示後300msまでに,感覚皮質間、および感覚皮質と頭頂皮質および前運動野にどのような関連があるかを、皮質間位相同期を指標に検討した。結果、刺激呈示後100 ms程度までに各感覚領域間で皮質間位相同期に、またそれ以降は、刺激した手の対側である右体性感覚野と、左右頭頂連合野、前運動野との皮質間位相同期に、視触覚刺激の空間位置の一致条件・不一致条件の有意差が見られた。