研究分野

推論・問題解決

  • OS05-4
    公募発表
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    不可能立体とは、立体的な構成が不可能と判断される平面図形である。しかし、実際には立体として構成可能な不可能立体が存在する。こうした知見は、平面図が持つ制約条件より、強い条件下で立体知覚が成立することを示唆する。本研究は、その条件の一つとして知覚的な構造補完があり得ることを示す。具体的に、ある平面上の線画を射影として持つ任意の立体像を構成する方法を用い、ある種の知覚的補完にあたる制約を加えることで、立体的構造が構成不可能になる例を示す。
  • O1-002A
    塚村 祐希 (東京大学)
    若井 大成 (東京大学)
    下條 朝也 (コニカミノルタ株式会社)
    植田 一博 (東京大学)
    本研究では,潜在スコープバイアスの生起において個人差がどの程度見られるのかを分析した.Web実験で得られたデータを認知モデルに基づいて分析した結果,すべての参加者の推論にバイアスが生じているわけではなく,規範的な推論を行っている者も相当数存在することが示唆された.回答の生成過程を数理的に表現し,パラメータの解釈やモデル比較を行ったことではじめて,潜在スコープバイアスの個人差について検討できた点が本研究の意義である.
  • O1-003
    服部 雅史 (立命館大学)
    モンティ・ホール問題の難しさには複数の要因が関係している.本研究では,認知的要因として,課題の因果構造が明快でない点に注目した.「ハズレ」や「ドアを開ける(オプションの除去)」ではなく,「当たり」や「オプションの保持」に焦点を当てるように(図地反転)することにより正解率が高まった.この結果は,困難さの原因が,ベイズ推論自体の本質的困難さではなく材料の提示方法にあり,従来認識されていなかった因果構造の不明快性も大きな要因であることを示す.
  • O2-004A
    五味 渡海 (東京電機大学大学院理工学研究科)
    安田 哲也 (東京電機大学)
    小林 春美 (東京電機大学)
    本研究では、指さしの指示対象となる事物を聞き手に見せずに話し手が教示行為を行った場合、意図共有にどのような影響があるかを、映像刺激を利用し調べた。結果、話し手が小さく旋回しながら指さした場合と、矢印で指し示した場合で、聞き手は指示対象を事物の部分だと解釈した。聞き手は指示対象物を見なくても、話し手の教示行為によって推測を行うことができること、この解釈は指と矢印では異なる点があることが示唆された。
  • O3-001A
    白砂 大 (追手門学院大学)
    香川 璃奈 (筑波大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    本研究では,二者択一課題中におけるマウスカーソルの軌跡,特にマウスの最大速度時点(衝動性の指標)を,drift diffusion modelにおけるドリフト率(証拠蓄積の速さ)や閾値幅(慎重さ)との相関から定量的に評価した。行動実験の結果,最大速度時点が,ドリフト率と負の相関を示し,閾値幅と正の相関を示した。よって,マウスカーソルの軌跡に基づく分析が,一定程度の妥当性を持つことが示唆された。
  • P1-003
    平田 瑞貴 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    人は,加算的解決策を選好し,減算的解決策を見過ごすことが多くあると言われている。本研究ではこの関係を,評価の側面から分析した.実験では両解決策が同じ意味を持つ実験刺激を3つ用意し,それぞれの解決策に関し評価課題を実施した。結果,複数の実験刺激について両解決策の評価の差がみられなかった。実験刺激には,加算的解決策のほうが減算的解決策より選好される文章を用いており,加算的解決策に対する選好は,評価を原因とせず発生することが明らかになった。
  • P1-024
    前田 晃弘 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    単語の意味を分散的に表現する単語ベクトルが四項類推課題を解くことはよく知られているが,そのメカニズムについては必ずしも明らかではない.本研究は,人工的なトイコーパスを用いて,文型や意味関係による言語構造上の制約に加え,文の出現頻度が四項類推課題を解くための平行四辺形の出現条件に関わっていることを示す.また,実コーパスを用いて共起行列の部分空間に平行関係が埋め込まれることを検証し,単語共起自体に内在する自然言語の構造を捉えることを試みる.
  • P1-034A
    横須賀 天臣 (東京電機大学)
    渡邊 元樹 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    中村 紘子 (東京電機大学)
    条件推論において,一般知能により真偽判断には個人差がある(Evans et al., 2007).また,推論の成績は,どのように思考することを好むかという思考スタイルの個人差が影響する(Evans & Stanovich, 2013). そこで,本研究は条件推論の真偽判断において,思考スタイルの個人差による影響を検討するため,2つの実験を行った. その結果,思考スタイルの個人差は条件推論へと限定的に影響を及ぼすことがわかった.
  • P1-048
    髙木 紀久子 (東京大学大学院総合文化研究科)
    王 詩雋 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    We developed the following design principles for a STEAM program for higher education which is considered to be insufficient in research and practice based on previous studies on artistic creation: 1) teach the knowledge about the creative process of art; 2) teach the method of PROBE, which focuses on physical activity; and 3) let the students spontaneously use this knowledge to create artworks. By implementing those design principles, we taught a STEAM course combining art and psychology at our university. We collected data on the students' coursework and conducted a follow-up interview one year after the course finished. The analysis of interview data showed that this course positively influenced students' creative activities.
  • P1-060
    中村 國則 (成城大学社会イノベーション学部)
    On the basis of findings from the existing studies, this study predicted that infected people would estimate higher frequency of COVID-19 than non-infected people. To test this hypothesis, this study included a total of 226 participants, who were required to: estimate the number of COVID-19 patients in Tokyo; answer whether they had been infected by COVID-19; and state the number of acquaintances they had who had been infected by COVID-19. As a result, this study found that among 226 participants, 24 participants were infected by COVID-19, and their estimates of the number of COVID-19 patients in Tokyo were not significantly different from those of non-infected participants.
  • P1-061
    近藤 大貴 (慶応義塾大学 政策メディア研究科)
    今井 むつみ (慶応義塾大学 環境情報学部)
    本研究は人が他者の主張の論理的妥当性をどのような認知プロセスに基づく推論によって評価しているのかを明らかにするものである。具体的にはCovid-19への主張を題材に文章課題を作成し、それに対する論理的妥当性の評価が論理構造、根拠および結論に対する信念によって予測されるか検証した。結果、評価は論理構造によって予測された。また、根拠や結論に対する信念は妥当ではない論理構造を持つ主張への評価は予測しなかったが、妥当な主張への評価は予測した。
  • P1-062A
    樋口 滉規 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    本研究は,ベイジアン・ネットワークの構造学習の際に行われる条件付き独立性検定を,観察的因果帰納モデル pARIs で代替したアルゴリズムを提案した.pARIs は,人間の因果的直感と高い相関を示すことが明らかになっており,スモールサンプル,事象の生起確率の稀少性などの仮定の下では,非独立性の優れた近似として振る舞うことが明らかになっている.また、提案した指標の性能の評価は計算機シミュレーションによって行った.
  • P2-014A
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    下條 朝也 (コニカミノルタ株式会社)
    寺井 仁 (近畿大学)
    松林 翔太 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    自律エージェントの行動を理解するには,何が入力情報かと,対応する出力が何かを理解する必要がある.本稿は,入力情報の顕著性が,エージェントの行動ルールの推定に与える影響を検討した.結果,顕著性の高い情報と低い情報を入力情報とするエージェントの行動を言語的に推定すると,低い情報が使われにくかった.このことは,入力情報の顕著性によってルール推定の際の利用のされ方が異なることを示すとともに,行動ルールの推定における言語隠蔽効果を示す証拠である.
  • P2-035
    光田 基郎 (ノースアジア大学経済学部)
    大学生が絵本で欺きまたは単なる誤解内容を理解する技能をクラスター分析して,欺きの理解では誤信念内容に他者を従わせる意図の理解に必要な文法と正反応抑制技能のクラスターと内容の類推,再認と作業記憶(別の長文理解)のクラスタとの分離(光田,認知科学会‘21)同様に,欺かれた振りでの報復を述べた二次的な誤信念内容の理解条件下で作業記憶負荷を軽減した際に上記の欺きと誤解を理解する技能が類似のクラスタ―構成を示す可能性を示唆した
  • P2-042
    清水 大地 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    ダンスや音楽等の上演芸術においては,複数の演者が活発に関わり合い魅力的なパフォーマンスを披露する.その興味深さの一方で,上記の関わり合いの特徴の定量的検討や現象を捉える枠組みの提案は,十分になされていない.本研究は,著者の取り組んできた演者間の関わり合いに関する研究や他の関連研究を,特に同期・協調に着目したものを中心に紹介する.そして,以上の知見を踏まえ,演者間の関わり合いの特徴を捉えるための枠組みを整理し,今後の展望も含め考察する.
  • P2-045A
    林 涼太 (東京電機大学)
    市野 弘人 (東京電機大学)
    樋口 滉規 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    本研究では,因果帰納モデルのメタ分析で行われた実験の問題点を指摘し,問題点の大きいと考えられる実験から優先的に追試を実施し,追試データを部分的に組み込み再度メタ分析を実施した. 結果として,記述的因果帰納モデルであるpARIsが人間の因果的直感に関する内部モデルとして合理的であることを示すことができた. また,心理学研究の再現性や線形モデルを用いた個人差分析の観点から実験データやプログラム公開の重要性を説いた.
  • P2-057
    寺井 仁 (近畿大学)
    創造性研究において,プロダクトの創造性がいかに評価されるかは,重要な課題の一つである.本研究では,創造性評価において,評価対象であるプロダクトのカテゴリに対する認知が与える影響を検討した.実験では,プロダクトとカテゴリ名が同時提示される場合を統制条件とし,プロダクトに遅れてカテゴリ名が提示される遅延条件との比較を行った.その結果,カテゴリの遅延提示は,創造性評価を有意に低下させることが示された.