研究分野

神経生理

  • O3-003
    土居 裕和 (長岡技術科学大学)
    小俣 貴宣 (ソニーグループ株式会社)
    栗原 貴之 (ソニー株式会社)
    山岸 和子 (ソニーグループ株式会社)
    柏井 美貴子 (長岡技術科学大学)
    植田 一博 (東京大学)
    行為者は, 実物体に働きかけ, それを操作することができる. 本研究では, このような実物体の「行為可能性」の認知と自律神経活動との関連性を, フランカー課題と ECG計測を併用して検証した. その結果, 呈示刺激の「行為可能性」が高い条件でのみ, 刺激物体に対する反応と自律神経活動との間に関連性がみられた. この結果は, 実物体認知と, その表象(二次元画像等)の認知には, 異なる処理過程が関与する可能性を示唆している.
  • O3-004A
    鈴木 友美子 (名古屋大学)
    大平 英樹 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    月経前症候群 (PMS) は、ストレスにより増悪し、月経前特異的に、不快な精神諸症状や身体症状を呈するが、末梢血液中性ホルモン濃度等の臨床研究で、明らかな異常所見は見出されていない。一方、PMSと自律神経系の関連が示唆されており、心拍や内臓状態などのあらゆる内的状態の情報処理に問題が生じていると考えた。本研究では、PMSを有する女性とPMSでない女性を比較し、ストレスによる自律神経系への影響と感情への作用を検証した。
  • P1-006A
    肥後 克己 (明治大学研究・知財戦略機構)
    大塚 一輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    自身の身体が自分のものであるという感覚は身体所有感と呼ばれるが,その生起に関わる神経活動についてはわかっていない。本研究では,視覚的・触覚的に整合性のとれた刺激によってフルボディ錯覚を生起させた後,視覚刺激のみを与えて感覚間に不整合を生じさせた際の脳活動を計測した。結果として感覚間に不整合が生じた際に,左運動前野の活動が認められた。この結果は,運動前野が感覚間のずれを補正し,自己身体とそれ以外を区別する働きを持つ可能性を示唆している。
  • P1-011
    内海 英夏 (京都電子)
    篠原 修二 (東京電機大学)
    正角 隆治 (エプソン)
    森山 徹 (信州大学)
    交差点間距離が10,16,32cmの多重T字迷路装置を用い,ダンゴムシに対しT字迷路を連続で約6時間与えた.その結果,交替性転向の成功率は,それぞれ64,45,30%と距離の増加に伴い減少した.一方,いずれの条件でも,約半数の被験体において,交替性転向の成功試行数の100試行移動平均が,10から80%程度の範囲で増減する現象が観察された.この結果は,本種の多くは,交替性転向を自発的に動機づける心的過程を備えることを示唆する.
  • P1-031
    中田 龍三郎 (北星学園大学)
    鏡を見ながら茶やコーヒーを試飲するとおいしくなるだろうか。食事環境を鏡のありなしで変化させ、飲料のおいしさや現在の気分について評定させた。その結果、鏡を見ながら嗜好性飲料を試飲すると、鏡がない条件に比べて飲料をおいしく感じることがわかった。栄養摂取的観点の強い食品摂取場面ではなく、より嗜好性が強い飲料でもおいしく感じたことは、味や匂いを楽しむといった必ずしも「多く摂取する」ことが求められない食行動でも鏡の効果が生じるためと考えられる。
  • P1-036
    大石 充希 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    再認課題において実験条件がどの認知過程に影響を与えるかについて議論がなされている.本研究は定着度の高い再認課題を、実験条件(干渉・新旧性・直感性)に対する瞳孔反応の主成分分析(PCA)がこの議論に新たな視点を与えると考えた.PCAからどの成分でも干渉の効果は示されなかった.また、新旧性は主効果と直感性との交互作用が確認された.以上の結果に対して定着度の高さが関連していることが考えられるため、今後は定着度の変化から原因を明らかにしていく.
  • P1-061A
    小池 光 (京都大学大学院教育学研究科)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    身体内部から生じる感覚を内受容感覚と呼ぶ. 内受容感覚の正確さに関する信念の測定法として,Interoceptive Accuracy Scale(IAS)がある. 本研究は日本語版IASの開発・検証を目的とした. 調査の結果,日本語版IASについて,良好な内的整合性が示された. また既存の尺度のうち,身体感覚への気づき高さを示すものとは正の,気づきの困難さを示すものとは負の相関が示され,本尺度は十分な妥当性を有することも示唆された.
  • P1-068A
    南條 啓孝 (自然科学研究機構生理学研究所)
    山本 哲也 (自然科学研究機構生理学研究所)
    David Aguilar-Lleyda (理化学研究所脳神経科学研究センター)
    赤石 れい (理化学研究所脳神経科学研究センター)
    定藤 規弘 (自然科学研究機構生理学研究所)
    本研究は, 機能的磁気共鳴画像法 (fMRI)により, ヒトのメタ認知プロセスの神経基盤を明らかにすることを目的とした. 確信度評定を伴う連続的な知覚意思決定課題を健常成人34名が行い, その間の脳活動を撮像した. その結果, 確信度に応じて前内側前頭前野が, 判断を切り替える制御過程に背側前帯状皮質が関係することを示した. 更に, 前帯状皮質周囲領域に両プロセスに共通する活動が確認でき, メタ認知プロセスに空間的な関連性が示された.
  • P1-069
    渡邊 咲花 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    下條 志厳 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    先行研究では学習によるデカフェコーヒーの覚醒効果やコーヒーの香りのプラシーボ効果が指摘されている.そのため,本研究ではコーヒーの香りが計算課題のパフォーマンスに影響を及ぼすのかどうかを期待と覚醒度の観点から検討した.その結果,課題の進度は変化せず,コーヒーの香りのある条件で課題の正答率が低下した.覚醒度は香りのある条件で低下した.本研究ではコーヒーの香りは課題初期の覚醒度を低下させることで計算課題の正確性を低下させることが示唆された.
  • P2-005
    赤間 啓之 (東京工業大学)
    永嶋 大稔 (東京工業大学)
    大門 優介 (東京工業大学)
    菅原 壱成 (東京工業大学)
    中谷 太河 (東京工業大学大学院 生命理工学院 生命理工学系 ライフエンジニアリングコース)
    四辻 嵩直 (東京工業大学)
    Researches utilizing meta-analytic brain image analysis data as a target for machine learning aim to extract brain image information from the statistical analysis of numerous brain science studies. These approaches allow for encoding brain responses based on extensive psychological experimental data and natural language processing models. Furthermore, such application is expected to advance into functional network-based research. It is crucial to develop intuitive tools that facilitate a better understanding of the relationships among brain regions associated with this information. In our study, we will develop a prototype of an interactive 3D brain viewer and provide an example of its application in meta-analytic data machine learning.
  • P2-023A
    JIAN ZHU (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    運動残効(Motion After Effect; MAE)は,ある方向に動く刺激を長時間観察した後,静止している物体が直前に提示された動きとは逆方向に動いているように見えるというものである.本研究では順応運動刺激の速度とMAEの持続時間の関係を予測する計算モデルを構築し,MAEに関する心理物理学実験の結果を,計算論的に説明することである.
  • P3-009
    相馬 あい (関西学院大学 工藤研究室)
    工藤 卓 (関西学院大学 工藤研究室)
    近年,コロナ禍による仮想現実(Virtual Reality,VR)への需要が高まっている.VRは現実の空間から別の世界に入り込んだような没入感が重要であり,そのためにさまざまな研究が行われている.本研究では,自分がここにいるという感覚である自己定位を撹乱することで,自身の身体とは別の場所に意識が定位する現象である体外離脱体験(Out of Body Experience,OBE)を誘導した.
  • P3-016
    松中 玲子 (東京大学)
    宮内 英里 (筑波大学)
    谷沢 智史 (東京大学)
    岩沢 透 (東京大学)
    開 一夫 (東京大学)
    社会的相互作用場面において協働が成立している際は、お互いの脳活動も同期しやすくなることが近年報告されている。一方で、集団としての創造的思考が求められるような状況下において、互いの脳活動がどのような様相を見せるかについては、まだ明らかでない。そこで本研究は、創造的思考を要する課題をグループで行っている際の脳活動をNIRS(近赤外分光法)で計測し、グループ内の脳活動の同期度合いとグループにおける創造的思考力との関係性について検討した。