研究分野

学習

  • OS07-2
    公募発表
    横山 拓 (株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・ユニバーシティ)
    本稿では不確実な環境下に置かれたIT企業のマネジャーの事例研究を通じて,マネジャーと周囲のネットワークや人工物との経路依存的な相互作用によりゴールが構成されることを論じる.
  • O1-003
    福田 大年 (札幌市立大学)
    本研究では,学習過程を図的に表現する「学び展開図」と,学習ポイントを協働的に気づき合う「学び展開ディスカッション」を組み合わせた協創学習プログラムを開発した.本稿では,学び展開図と学び展開ディスカッションの開発の経緯と実践を解説する. 学び展開図と学び展開ディスカッションを繰り返すことで,学習者は自身の思考の変化に気づく.つまり,経験の図化と対話を往還する学習は,学習者の学習過程を再構成させる可能性がある.
  • P1-002
    齊藤 萌木 (共立女子大学)
    岩城 奈津 (共立女子大学ビジネス学部)
    森 理宇子 (共立女子大学ビジネス学部)
    本稿は,共立女子大学1年生前期科目「リーダーシップ開発入門演習Ⅰ」の学習記録をもとに,Project Based Learningに先行して理論やスキルを学ぶリーダーシップ開発の初期段階の学習効果把握を試みた.「リーダーシップ最小三要素」及び「具体性」の2観点から受講者の提出物を分析した結果,授業をとおして「率先垂範」「相互支援」の二要素について理解が深まること,目標の具体性が向上することが明らかになった.
  • P1-004
    ギエム ゴック チャム (法政大学大学院)
    川﨑 貴子 (法政大学)
    田中 邦佳 (法政大学)
    本研究ではベトナム人日本語L2学習者が日本語の歯擦音を学習する際、母語の方言と習得レベルがどのように影響するかを調査するため、発話実験を行った.北部・南部方言話者の両方で日本語の歯擦音は区別されていた.しかし、南部方言の初級学習者の一部では、区別が獲得できていないケースも見られた.実験の結果、上級学習者は習得レベルが高まるにつれて、日本語の歯擦音を明確に区別することができるようになることが示された.
  • P1-012
    美馬 のゆり (公立はこだて未来大学)
    学習環境デザイン研究では,新たな教育理論と方法の開発が求められている.本研究では,拡張的学習論,パフォーマンス心理学,社会的に共有された調整学習などの理論を用い,学習者がエージェンシーを発揮する新たな教育アプローチを検討した.その過程でELSIの視点を組み込み,社会的公正教育からPBLを発展させた. ELSI志向PBLと名付けたこの方法で,学習者が現代社会の問題を理解し,対処するための知識とスキル,態度を養うことを目指す.
  • P1-017
    能城 沙織 (木更津工業高等専門学校)
    國岡 桃子 (JASM(株))
    似た顔の相手を配偶者として選択するのか, 結婚後に夫婦の顔が似ていくのか, という議論に関しては, 両方の面がありうるという説が広く普及してきたが, 近年白人を対象とした研究で後者を否定する結果が示された.本研究では, 日本人を対象に夫婦の顔の類似性の経年変化を調べた結果, 日本人においても同様に夫婦の顔の類似性の経年変化は認められず,この傾向が人種をこえて普遍的にみられるという可能性が示唆された.
  • P1-021
    髙橋 麻衣子 (東京大学先端科学技術研究センター)
    近藤 武夫 (東京大学先端科学技術研究センター)
    教科書には本文情報だけでなく,それを補足する情報が本文周辺に配置されている。本研究では,これらの補足情報を本文中に挿入することで,特に読みスキルの低い読み手の理解が促進されるかを検討した。56名の中学生を対象として,補足情報が本文周辺にあるレイアウトAと本文内に挿入されているレイアウトBの理解度や読みやすさを測定した。その結果,特に読みに苦手感のある参加者に限ってレイアウトBの理解成績が高いことが示された。
  • P1-040
    阿部 詩織 (北陸先端科学技術大学院大学)
    髙宗 楓 (北陸先端科学技術大学院大学)
    西本 一志 (北陸先端科学技術大学院大学)
    現在、様々な場で文章を作成する機会が多く存在する。本論文ではその際に起こる「何を書いたら良いかわからなくなってきた」といった現象の解決に自作文章の書き写しが有効であると示すことを目的とした。そこで、文章作成が不得意または得意である大学院生を対象に実験を行った。その結果、文章作成が苦手な方には書き写しの有効性がみられたが、執筆が得意な方には効果がみられなかった。これの結果は執筆能力が関係すると考えられる。
  • P1-042
    山川 真由 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    小島 一晃 (帝京大学)
    本実践では,系列位置効果を題材として,実験とシミュレーションを組み合わせた授業を行った.受講者は,自身が実験参加者となることで得られた実験結果と認知モデルをベースとしたシミュレータを使って生成された結果を対比した.実験とシミュレーションの結果を対比することにより,考察がどのように変化するかを検討した.シミュレーション結果との対比後には,実験結果の考察として,認知処理過程に基づく説明の記述が増加することが示された.
  • P1-050
    尾関 智恵 (愛知工科大学)
    小笠原 秀美 (中京大学)
    数独はポピュラーなパズルであり,制約充足問題として知られている.これまで問題自体に対する提案は数多くあるが,人がどのように難易度を評価し,解答方略を獲得してパフォーマンスを向上させていく熟達過程に焦点を当てた研究は少ない.本発表では,数独における制約伝播に基づく解決方略を獲得していく過程の追跡をするため,これに適した問題生成とその難易度評価の探索的な試みを報告する.
  • P1-055A
    杉山 昂平 (東京大学大学院情報学環)
    執行 治平 (東京大学大学院学際情報学府)
    中高生向けの地域居場所施設と大学の連携によってデザインされた,オープンスペースにおいて大学院生と中高生が関わる場の相互作用分析を通して,ある高校生が持つ専門的興味がいかにして顕在化するのかを検討した.その結果,大学院生による専門分野の説明を補足する形で高校生自身も自身の専門知識を披露することができ,その過程で高校生が専門分野に関与してきた痕跡を共同注視できる状況が,興味の顕在化を可能にしていたことが明らかになった.
  • P1-060
    猪原 敬介 (北里大学一般教育部)
    上田 紋佳 (北九州市立大学文学部)
    人工文章ではない自然文章からの偶発的語彙学習を捉える方法論として,眼球運動測定と読了後の不意打ち語彙テストを用いたGodfroid et al. (2018) を参考として,日本語・縦書きにて実験を行った。その結果,先行研究の結果を再現し,さらに一般語彙力,内容理解,文章を楽しむことなどの主観的体験の質が語彙学習へ影響する可能性を示唆した。
  • P1-069
    渡邊 咲花 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    下條 志厳 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    先行研究では学習によるデカフェコーヒーの覚醒効果やコーヒーの香りのプラシーボ効果が指摘されている.そのため,本研究ではコーヒーの香りが計算課題のパフォーマンスに影響を及ぼすのかどうかを期待と覚醒度の観点から検討した.その結果,課題の進度は変化せず,コーヒーの香りのある条件で課題の正答率が低下した.覚醒度は香りのある条件で低下した.本研究ではコーヒーの香りは課題初期の覚醒度を低下させることで計算課題の正確性を低下させることが示唆された.
  • P2-002
    伊藤 毅志 (電気通信大学)
    金泉 則天 (電気通信大学)
    本研究では、招待隠匿型の多人数不完全情報コミュニケーションゲームである「5人人狼」を題材に、プレイヤの熟達過程を調べた。5人人狼では、熟達するにつれて村人が占い師をカミングアウトする「村人CO」と呼ばれるプレイが現れる。このプレイに着目して、どのようにこの村人COが獲得されていくのかを調べた。その結果、村人COのメリットを認識し、それを実践を通して手続き的な知識を獲得することで違和感なくプレイできるようになっていく過程が観察された。
  • P2-008A
    松浦 李恵 (宝塚大学東京メディア芸術学部)
    さまざまな環境で創作者をになることができるようになった今日において,創作者を目指す者がどのようなプロセスで評判を獲得しながら,創作活動を可能にしているのかを詳細に明らかにしているものは少ない.そこで本研究は,イラストレーターのSNS上の評判獲得に着目し,イラストの創作プロセスについてケーススタディとして考察する.
  • P2-022A
    初田 響子 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    清水 大地 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    野中 哲士 (神戸大学人間発達環境学研究科)
     ラテンアメリカンダンス特有の一貫した滑らかで安定した動作は,どのような身体運動により行われているのだろうか.本研究では,ラテンアメリカンダンスの基本動作であるCuban Motionを用いたフィガーについて,三次元運動協調解析を行った.最も重要な水平面の骨盤の軌道は,プロフェッショナルとアマチュアで近似しており,一般的な指導内容との相違が見られた.一方,姿勢の安定性や身体部位間の協調については熟達差があることが示唆された.
  • P3-004A
    Ruolan LING (Department of General Systems Studies, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo)
    Reiko MATSUNAKA (Department of General Systems Studies, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo)
    Kazuo HIRAKI (Department of General Systems Studies, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo)
    This study delves into the cognitive abilities of preverbal infants in understanding abstract rules and their capacity to exhibit rule-compliant behavior, employing a novel experimental technique called gaze contingency. Within an environment where stimuli could be interpreted through either numerical or shape matching, providing explicit rule instructions became imperative. Infants were divided into two distinct groups, namely Self-learning and Guided-learning, based on the way that infants gained the instruction and learned the rules. Our results suggest that preverbal infants possess the ability to grasp abstract rules and that guided teaching significantly enhances their aptitude for comprehending and adhering to rules effectively.
  • P3-026
    黒田 航 (杏林大学 医学部)
    CMU Pronouncing Dictionary を使って,単語の綴りと発音の対応が理想的な1対 1対応から外れている程度を,二つの方法で定量評価した.一つは必須度の高い資源中の4,290語にの綴りと発音の対応の定量評価で,もう一つは英語とドイツ語の高頻度語形を同じ条件で比較.これらから,英語での対応が一対一から大きく外れている事がわかった.
  • P3-033
    川村 拓 (公立はこだて未来大学大学院メディアデザイン領域)
    美馬 のゆり (公立はこだて未来大学)
    日本でのシティズンシップ教育の問題は,権力の問題, 個人主義的傾向をはらんでいることである. この問題を解決するために,市民的パフォーマンスと呼ばれる,コミュニティや個人など,いくつかの異なるレベルで見られる,民主的な態度,活動,即興について,社会的,文化的,政治的観点から分析する.これらのことを踏まえ,パフォーマンス心理学における学習によって再解釈された民主主義の学習が,民主的な主体の生成にどのような影響を与えるかを検討する.
  • P3-040
    永田 丈弥 (公立はこだて未来大学大学院メディアデザイン領域)
    美馬 のゆり (公立はこだて未来大学)
    様々な格差が生まれている日本で,社会的公正を実現する必要がある,一方で今後AIリテラシーの有無が格差を生む危険性をはらんでいる.またAIの普及に伴い,誰もがAIリテラシーを獲得し続ける必要がある.そのため本研究では,社会的公正の実現に向けたAIリテラシーを獲得する主体的な学習者を育成するための支援方法を検討する.支援方法として課題提起型学習教材を開発する.そこで,現存するAIリテラシー学習教材を分析し,開発に必要な要素を明らかにする.
  • P3-046A
    安久 絵里子 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学)
    椎葉 黎 (筑波大学)
    渡部 健 (筑波大学)
    富田 智晶 (沖電気工業(株))
    赤津 裕子 (沖電気工業(株))
    マニュアルを見ながら同一あるいは類似の課題を複数回繰り返す実験室実験を行い,「慣れ」の生起の有無,および慣れによる作業者の行動の変化を検討した.その結果,同一の課題を繰り返すほど課題時間が減少し,主観評価が向上し,マニュアルを見なくなるという「慣れ」が確認された.一方で,類似の課題を繰り返し行う場合には,課題時間が減少し,マニュアルを見なくなるという慣れの影響が行動には現れたが,主観評価には反映されないことが示された.
  • P3-047
    原田 悦子 (筑波大学)
    安久 絵里子 (筑波大学)
    椎葉 黎 (筑波大学)
    渡部 健 (筑波大学)
    富田 智晶 (沖電気工業(株))
    赤津 裕子 (沖電気工業(株))
    マニュアルを見ながら同一/類似の組立て課題を複数回反復する実験室実験を行い,その結果からどのような学習すなわちマニュアル情報の内在化が生じるか,その結果「マニュアルを見ずに組立てを行うと」どのような問題が発生するかを検討した.結果として,マニュアルなしで十分な課題達成が可能な場合とそうでない場合があること,いずれでも内在化されたマニュアル情報は組立て順序の情報を含まず,意味的構造化がなされていることが示された.
  • P3-050A
    佐々木 一洋 (東京大学大学院教育学研究科)
    清河 幸子 (東京大学)
    学習において,内容に面白さを見出して取り組むことの効果は論じられてきたが,内容のどのような側面に面白さを見出すかである知的選好の詳細は明らかになっていない.本研究では,対象からどのような知的構造を取り出そうとするかが異なる,フレーバー選好とメカニズム選好という2つの知的選好があると想定し,尺度開発を行った.日本の成人400名程度を対象とした2つの調査の結果, 2因子構造が得られた.関連尺度との相関を踏まえ,各選好の特徴について論じた.
  • P3-051A
    岩根 榛花 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学)
    意味的に関連した刺激が時空間的に近接した場合に記憶されやすいことが知られているが,探索行動との関係は検討されていない.そこで本研究では,高齢者と若年者を対象に,意味的に関連した刺激が近接する体制化地図と,分散する非体制化地図上で,ターゲットを探索する課題を実施し,その探索行動について分析した.その結果,体制化条件間で探索時間に差が見られない一方で,生成される記憶が異なる可能性が示唆された.
  • P3-052A
    石黒 千晶 (聖心女子大学)
    松本 一樹 (獨協大学)
    縣 拓充 (千葉大学)
    蓬田 息吹 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    近年、創造的自己は創造的行動や成果を生み出すための重要な要因として学校などの教育場面で注目されている。本研究は創造的自己と創造的行動の間の経時的相互関係を検討した。中高生546名のデータを用いて、半年ごとの2年間にわたる縦断調査の結果を自己回帰クロスラグモデルで検討した。その結果、1時点目の創造的自己は半年後の創造的行動を予測し、2時点目の創造的行動は半年後の創造的自己を予測するという双方向の経時的因果関係が示唆された。
  • P3-053
    高屋 真絵 (電気通信大学大学院)
    阪口 豊 (電気通信大学大学院)
    本稿では,技能習得課程における注意の働きを検討することを目的として「意識上の働き」を担う系と「意識下の働き」を担う系から構成される階層的な強化学習モデルについて議論する.ここでは,ヒトの運動制御の実態に即した議論を行うため,感覚入力や運動出力,内部表現,情報処理の時間スケール,転移学習などの問題も陽に取り扱い,概念レベルではなくアルゴリズムレベルでのモデル構築をめざす.また,倒立振子問題を題材とした具体的なモデルの実装についても述べる.
  • P3-058A
    藤森 裕紀 (東京学芸大学大学院)
    筆者自身の授業実践における省察記録やスケジュール,特徴的な出来事をもとに,教員の日常的な授業改善を支援する省察手法に求められるデザインについて探索的に検討した.実践の中で省察手法の役割が変化し得ることや省察的実践が中断される場合があること,再開する際は中断以前のねらいや手続きが継承される可能性があることが示唆された.実践の中断が起こりうることを念頭に置いた,省察の再開を支える省察手法のデザインが求められる.
  • P3-060
    田中 祐貴 (西日本電信電話株式会社)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学)
    日本舞踊家元による演技評価をもとに評価モデルを作成し、実験1では非専門家による評価と専門家モデルとの適合に、舞踊経験が影響するかを検討した。その結果、経験者のみで適合が見られ、舞踊経験の影響が確認された。続く実験2では、実験1で見られた専門家との適合度の違いに、経験者だけが持っていたと思われる舞踊に関する知識が影響していた可能性を検討したがそれは否定され、演技経験そのものの重要性が示唆された。
  • P3-063
    縣 拓充 (千葉大学)
    本研究では,文理混合・多分野横断による課題解決型のカリキュラムにおいて,学生たちがどのように卒業研究を進めているかを,特に問題発見や課題設定の段階に着目して検討を行った.質問紙調査,並びにインタビューによる検証の結果,多くの学生たちが,自らがもともと有していた興味・関心をもとに課題を探索・設定していた一方で,特定領域のアプローチに依拠した研究になりがちであることも示唆された.