研究分野

発達

  • OS05-6
    公募発表
    馬塚 れい子 (理研脳神経研究センター、早稲田大学)
    仲 真紀子 (理化学研究所)
    本稿では,出産や育児に関わる母親達の生きづらさも「当事者」の概念を用いて見える化することで理解を深めることができ, 父親も「当事者」視点から見直してみることで父親としての役割りや, 母親との関係についても理解が深めることができる.又 父親も「妊娠・出産・育児」当事者であるという認識が社会に広まり, 少子化対策の政策や企業の経営方針に反映されるようになれば, 子育てもしやすいインクルーシブな社会につながるのではないかと提案する.
  • O2-003A
    髙木 利輝 (東京電機大学 大学院 理工学研究科 情報学専攻)
    小林 春美 (東京電機大学)
    安田 哲也 (東京大学)
    本研究では,部分名称の教示を大人の実験者1が行い、子どもがそれを見たあとで、それについて知らない別の大人の実験者2に子どもが教えるという実験において取得された映像データを解析した。結果から、5歳児では、実験者が子どもの顔を見続けて教示を行うよりも、事物と子どもを交互に見て教示を行う方が、子どもの部分名称の理解はより正しくなり、かつ子ども自身が他者に教える場合でも、指さしを適切に行なって部分名称箇所を示すことがわかった。
  • P1-003A
    孟 憲巍 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    千々岩 眸 (大阪大学大学院人間科学研究科)
    鹿子木 康弘 (大阪大学大学院人間科学研究科)
    近年,社会的地位の階層性を維持する心理的基盤として,ヒトが高い能力の持ち主に社会的優位性を帰属する認知バイアスを持っているという「能力・地位仮説」が注目されつつある.本研究は,事前登録された3 つの実験を通して,この認知バイアスが前言語期の乳児にみられることを示した.また,「能力・地位仮説」における能力の必要条件として,潜在能力と結果の両方が必要ということを提示した.
  • P1-024
    本多 明子 (神戸女子大学)
    言語獲得初期の子どもの発話には,動詞letを含む使役構文(ここではLet使役構文と呼ぶ)が観察される.本研究では,Let使役構文の中でも出現頻度が高い表現形式について調査結果を示し,認知言語学、構文文法の観点から他の関連する使役構文との比較を行い、Let 使役構文の特性を提示する.本研究は、原因と結果の二つの事象を子どもがどのような表現形式を用いて発話しているのかを調べ,認知発達と言語獲得の関連性を探究することを目的とする.
  • P1-031
    中田 龍三郎 (北星学園大学)
    鏡を見ながら茶やコーヒーを試飲するとおいしくなるだろうか。食事環境を鏡のありなしで変化させ、飲料のおいしさや現在の気分について評定させた。その結果、鏡を見ながら嗜好性飲料を試飲すると、鏡がない条件に比べて飲料をおいしく感じることがわかった。栄養摂取的観点の強い食品摂取場面ではなく、より嗜好性が強い飲料でもおいしく感じたことは、味や匂いを楽しむといった必ずしも「多く摂取する」ことが求められない食行動でも鏡の効果が生じるためと考えられる。
  • P2-022A
    初田 響子 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    清水 大地 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    野中 哲士 (神戸大学人間発達環境学研究科)
     ラテンアメリカンダンス特有の一貫した滑らかで安定した動作は,どのような身体運動により行われているのだろうか.本研究では,ラテンアメリカンダンスの基本動作であるCuban Motionを用いたフィガーについて,三次元運動協調解析を行った.最も重要な水平面の骨盤の軌道は,プロフェッショナルとアマチュアで近似しており,一般的な指導内容との相違が見られた.一方,姿勢の安定性や身体部位間の協調については熟達差があることが示唆された.
  • P2-024
    奥田 祥司 (宝塚医療大学)
    松㟢 由莉 (宝塚医療大学)
     学習方略については, 深い処理の学習方略をおこなうことで成績が向上することが明らかになっている. 現状では, 学習方略に関する研究において視線の動きに着目しておこなわれているものは少ない.  そこで本研究では, 視線入力装置を用いて暗記課題時の視線の動きを測定し, 視線の動きと課題の合計点数から浅い処理の方略と深い処理の方略時の視線の動きを可視化することができた. 最後に視線について評価していくことの重要性について述べる.
  • P2-031
    越智 景子 (京都大学)
    酒井 奈緒美 (国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
    角田 航平 (国立障害者リハビリテーションセンター病院)
    発話の流暢性の障害である吃音の生起について、発症が多い年代である幼児を対象に、発症メカニズムを説明するモデルの観点から、語彙の分散表現に関して定量的に分析した。吃音児10名の親子の遊戯場面の会話の分析の結果、親の発話の直後に子どもが発話する場合、その語彙の距離が遠い、すなわち類似単語の繰り返しでない発話が起こるときに、幼児にとっての負荷が高く吃音が生じやすいことが示唆された。
  • P2-040
    伊藤 崇 (北海道大学大学院教育学研究院)
    家庭に普及し始めているスマートスピーカーに対して幼児期から児童期の子どもがどのように関与しているのかを明らかにする。スマートスピーカーを所持する4つの調査協力家庭において撮影された室内での生活の様子を観察したところ,少なくとも次の4つの使用目的が見られた。①家庭内での活動を支えるため,②情報検索のため,③家族に代わっての使用,④スピーカーを介した会話そのものをするため。この結果に基づき,子どもとテクノロジーの関係について議論された。
  • P2-064
    福井 麻紀 (香川大学大学院地域マネジメント研究科)
    西中 美和 (香川大学大学院地域マネジメント研究科)
    幼児教育の現場において知的発達の遅れよりも,落ち着きがない,集団に適応できないなどの行動特徴を持つ「気になる子」が増加し,保育者は対応に困難を抱えている.本研究では,保育現場においてどのような行動特徴を有する子どもを保育者が気になる子と認識し,どのような問題があるのかを明らかにする.それにより,対象児に合った支援策や方向性の契機とし,保育者の悩みの改善,また,早期発見・支援の実現に繋げる.
  • P3-004A
    Ruolan LING (Department of General Systems Studies, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo)
    Reiko MATSUNAKA (Department of General Systems Studies, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo)
    Kazuo HIRAKI (Department of General Systems Studies, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo)
    This study delves into the cognitive abilities of preverbal infants in understanding abstract rules and their capacity to exhibit rule-compliant behavior, employing a novel experimental technique called gaze contingency. Within an environment where stimuli could be interpreted through either numerical or shape matching, providing explicit rule instructions became imperative. Infants were divided into two distinct groups, namely Self-learning and Guided-learning, based on the way that infants gained the instruction and learned the rules. Our results suggest that preverbal infants possess the ability to grasp abstract rules and that guided teaching significantly enhances their aptitude for comprehending and adhering to rules effectively.
  • P3-033
    川村 拓 (公立はこだて未来大学大学院メディアデザイン領域)
    美馬 のゆり (公立はこだて未来大学)
    日本でのシティズンシップ教育の問題は,権力の問題, 個人主義的傾向をはらんでいることである. この問題を解決するために,市民的パフォーマンスと呼ばれる,コミュニティや個人など,いくつかの異なるレベルで見られる,民主的な態度,活動,即興について,社会的,文化的,政治的観点から分析する.これらのことを踏まえ,パフォーマンス心理学における学習によって再解釈された民主主義の学習が,民主的な主体の生成にどのような影響を与えるかを検討する.
  • P3-040
    永田 丈弥 (公立はこだて未来大学大学院メディアデザイン領域)
    美馬 のゆり (公立はこだて未来大学)
    様々な格差が生まれている日本で,社会的公正を実現する必要がある,一方で今後AIリテラシーの有無が格差を生む危険性をはらんでいる.またAIの普及に伴い,誰もがAIリテラシーを獲得し続ける必要がある.そのため本研究では,社会的公正の実現に向けたAIリテラシーを獲得する主体的な学習者を育成するための支援方法を検討する.支援方法として課題提起型学習教材を開発する.そこで,現存するAIリテラシー学習教材を分析し,開発に必要な要素を明らかにする.
  • P3-052A
    石黒 千晶 (聖心女子大学)
    松本 一樹 (獨協大学)
    縣 拓充 (千葉大学)
    蓬田 息吹 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    近年、創造的自己は創造的行動や成果を生み出すための重要な要因として学校などの教育場面で注目されている。本研究は創造的自己と創造的行動の間の経時的相互関係を検討した。中高生546名のデータを用いて、半年ごとの2年間にわたる縦断調査の結果を自己回帰クロスラグモデルで検討した。その結果、1時点目の創造的自己は半年後の創造的行動を予測し、2時点目の創造的行動は半年後の創造的自己を予測するという双方向の経時的因果関係が示唆された。
  • P3-058A
    藤森 裕紀 (東京学芸大学大学院)
    筆者自身の授業実践における省察記録やスケジュール,特徴的な出来事をもとに,教員の日常的な授業改善を支援する省察手法に求められるデザインについて探索的に検討した.実践の中で省察手法の役割が変化し得ることや省察的実践が中断される場合があること,再開する際は中断以前のねらいや手続きが継承される可能性があることが示唆された.実践の中断が起こりうることを念頭に置いた,省察の再開を支える省察手法のデザインが求められる.
  • P3-060
    田中 祐貴 (西日本電信電話株式会社)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学)
    日本舞踊家元による演技評価をもとに評価モデルを作成し、実験1では非専門家による評価と専門家モデルとの適合に、舞踊経験が影響するかを検討した。その結果、経験者のみで適合が見られ、舞踊経験の影響が確認された。続く実験2では、実験1で見られた専門家との適合度の違いに、経験者だけが持っていたと思われる舞踊に関する知識が影響していた可能性を検討したがそれは否定され、演技経験そのものの重要性が示唆された。
  • P3-061A
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    著者らは認知モデルを活用した音韻意識形成支援システムの開発に取り組んできた.ユーザの音韻意識は,システムに搭載された複数のモデルへの選好として推定される.本稿では,この推定手法の評価のための実験デザインを検討する.システム出力に音声フィルタをかけることで,未成熟な音韻意識を模擬する.2名を対象とした予備実験の結果として,フィルタ間でユーザのモデル選好が異なる可能性が示された.今後は,参加者数を増やした実験による検証が必要である.