研究分野

コミュニケーションとネットワーク

  • OS07-3
    公募発表
    田中 吉史 (金沢工業大学心理科学科)
    越田 恵斗 (金沢工業大学心理科学科)
    非専門家による文化的実践への参与過程にアプローチするために、ボーカロイド・ファンを対象としたインタビューを行った。その結果、「ハマる」前の準備段階として、対象に接触するための物理的環境の整備と、興味のきっかけとなる外部刺激があること、また深化の過程では、初期には個人的な活動が主となるが、深化とともに他者との共有などより社会的な活動が行われることがわかった。また対象への興味の変遷には、個人内での一貫した軸が存在する可能性も示唆された。
  • O2-004A
    山本 敦 (早稲田大学人間科学学術院)
    牧野 遼作 (早稲田大学人間科学学術院)
    本発表では、マルチモーダルな相互行為研究をその黎明期から牽引し続けた相互行為分析者C. Goodwinの分析手法および概念の検討を行う。彼の分析概念は、人間の認知的・社会的な実践を構成する具体的行為の一般的かつ重要な相互行為的特徴を記述するものだが、独創的かつ難解なうえに数が多く、その妥当性や必要性に関して批判がなされることがある。本研究では、彼の分析手法をその基盤にある相互行為観から整理し、大まかな全体像を呈示することを目指す。
  • P1-005
    山﨑 敏正 (九州工業大学 情報工学研究院)
    赤迫 健太 (九州工業大学大学院情報工学研究院)
    伊藤 智恵子 (九州工業大学大学院情報工学研究院)
    本研究では、頭皮脳波を利用したSSIとして、日本語単語SS時の単一試行脳波をTransformerとHMMによって解読する.日本語がmora言語なので、SSされた単語を構成する拍の系列として解読する.本手法は単一試行脳波からノイズ下で信号を復元するRNN、RNN出力と拍ERPsの内積値から単語を構成する拍の確率値の算出、拍確率値、言語モデル、HMMによる拍系列の生成、から成る.2~7拍から成る単語の解読結果を示す.
  • P1-007
    堀野 康輔 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では、仮想環境でのスピーチ練習がスピーチに対する不安感に与える影響とその要因について検討した。VR練習条件と非VR練習条件の2条件で、参加者間計画で行った。それぞれ本番に向けてスピーチの練習をしてもらった。従属変数は練習中の心理的負担、本番前の心理的負担、練習での出来、本番への自信である。心理的負担は心拍と状態不安尺度で測定した。結果、VR練習条件の方が本番に対する自信が下がり、その他の項目では統計的に有意な差が見られなかった。
  • P1-018
    大井 京 (近畿大学)
    小野 奨太 (近畿大学)
    本研究では,フェイクニュースの真偽判断に関連する要因として,1. 常識,2. 実現可能性,3. 信念,4. 画像のリアリティを取り上げた.実際のニュースとフェイクニュースに対して「真実」か「フェイク」かの真偽判断を求める調査を実施した結果,「常識」と「実現可能性」が,それぞれ「信念」と「画像のリアリティ」よりも,「画像のリアリティ」が「信念」よりも判断の根拠とされる傾向が確認された.
  • P1-023A
    韓 旼池 (京都大学大学院)
    日常のコミュニケーションでは標準的な発話音声から逸脱した発話音声が現れうる.本発表では,母音の(非語彙的な)延伸を題材に,逸脱した発話音声の規則性を追究する.音声・音韻・統語的な要因による延伸の生起位置の傾向を観察する.観察対象は,生起位置のパターンが目立つ強度強調の母音の延伸である.母音の延伸の生起パターンの存在,声の高低と独立した母音の延伸,統語的な要因に左右される延伸の位置について述べる.
  • P1-034
    藤本 和則 (近畿大学)
    田中 優子 (名古屋工業大学)
    犬塚 美輪 (東京学芸大学)
    経時に伴うCOVID-19関連記事の正確さの識別力(真の記事を正しいと、偽の記事を誤りと判断する能力)の変化について分析した結果を報告する。分析には、異なる時期に実施された二つの再現実験のデータを利用した。分析の結果、正確さの識別力は経時とともに低下することを確認した。また、識別力の低下は、COVID-19への関心が薄れたことや、被験者の政治的偏りの変化だけでは十分に説明されないことを確認した。
  • P1-056
    坂井 萌々子 (金沢工業大学)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学)
    本研究では,テレプレゼンスロボットの特徴である,動き回れる「身体」を持っていることが,コミュニケーション相手との社会的関係構築に与える影響を明らかにすることを目的とした.実験では,テレプレゼンスロボットまたはビデオ会議システムを用いた10分間の会話後に,会話相手の顔画像を手がかり刺激とした共同注意課題を実施した.その結果,共同注意課題における手がかりの効果は見られたが,デバイスによる違いはなかった.
  • P2-007
    近藤 秀樹 (神田外語大学)
    遠山 紗矢香 (静岡大学)
    大﨑 理乃 (信州大学)
    山田 雅之 (九州工業大学)
    電子掲示板上での記事投稿タイミングを調節する手法によって,仲間から返信を得ることがどの程度期待できるようになるかを調査した.提案手法で記事投稿タイミングが調整された場合,一部のメンバーでは,実際の記事投稿間隔で示された場合よりも自分の投稿に対する返信が得られる期待感をより向上させたが,一部のメンバーには期待した効果が得られなかった.非同期的なコミュニケーションに関する習熟の違いがタイムシフト手法の効果に影響を与えていることが示唆された.
  • P2-008A
    松浦 李恵 (宝塚大学東京メディア芸術学部)
    さまざまな環境で創作者をになることができるようになった今日において,創作者を目指す者がどのようなプロセスで評判を獲得しながら,創作活動を可能にしているのかを詳細に明らかにしているものは少ない.そこで本研究は,イラストレーターのSNS上の評判獲得に着目し,イラストの創作プロセスについてケーススタディとして考察する.
  • P2-048A
    阿部 廣二 (東京都立大学人文科学研究科)
    本論では、重いものを受け渡す際に産出される「もらった」という掛け声の相互行為上の機能を検討することを目的として、祭りの準備過程における「ぼや」の受け渡し場面を分析した。その結果、第一にぼやの担い手が二番手に移ったことを示すこと、第二に受け渡しのやり方を理解したことを示すこと、第三に三番手に受け渡し開始を予示すること、第四に活動のリズムを作ることといった相互行為上の機能がある可能性を示唆した。
  • P2-059
    Gabriel Rusk (中京大学工学部)
    宮田 義郎 (中京大学工学部)
    淺川 仁都 (中京大学工学部)
    In collaborative efforts with a Bangkok school to make compost with food waste from our respective schools' cafeteria, we found that people seem to cross social boundaries and connect with each other while making compost. From these observations, we suppose that social boundaries make it difficult to see the natural flow of energies in the ecosystem, resulting in social issues like food waste in the food supply against our environmental and economic desire not to waste food. We'd like to suggest that creative collaboration working with biological processes of microbes making compost can help blur these boundaries, see potentials that we don't normally see, and reorganize ourselves more in line within the natural flow of the ecosystem we’re part of.
  • P3-003A
    下條 志厳 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    Erroneous worked-out example(EWoE)は事前知識に影響を受ける.本研究では,コンセプトマップを用いた協同学習場面において,事前知識の高低に着目した.本実験では,ACT-Rを用いた認知モデルを搭載したシステムによって適応的に実例を提示した.その結果, EWoEの提示が描画パフォーマンスを高め,EWoEの提示効果が事前知識の多い場合と少ない場合にもあることが示唆された.
  • P3-005
    南部 美砂子 (公立はこだて未来大学)
    渡部 太基 (公立はこだて未来大学)
    本研究は,TRPGと呼ばれる即興演劇的な対話ゲームにおいて,プレイヤー自身とは異なるジェンダーのふるまいがどのように表現され,プレイヤー間でどのような相互行為が生じるのかを,探索的に検討したものである.ゲームの序盤ではステレオタイプ的なジェンダー像が表出されていたが,互いのキャラクターを精緻化していく相互行為のなかで,ペアに固有のジェンダー表現が立ち現れ,男女二元論を超越した新たなジェンダーのあり方や表現が共創されていたと考えられる.
  • P3-011
    中谷 太河 (東京工業大学大学院 生命理工学院 生命理工学系 ライフエンジニアリングコース)
    赤間 啓之 (東京工業大学)
    本研究では安静時fMRIデータにおける脳活動の個人的特徴が、アルツハイマー病の進行に伴いどのように変化するかを検証した。症状の進行レベルの異なる3つの参加者グループを対象に、Finn et al., 2014の方法を踏襲しつつ解析を進めた。結果、個人差の現れやすい実行注意ネットワークに加え、デフォルトモード、感覚運動、小脳ネットワークといったアルツハイマー病で機能低下の報告される領域において差が出やすいことが判明した。
  • P3-022A
    小川 裕太 (日本大学 大学院 総合基礎科学研究科)
    小松 孝徳 (明治大学総合数理学部)
    福田 聡子 (日本大学 文理学部)
    大澤 正彦 (日本大学 文理学部)
    近年普及が進んできている家庭用ペットロボットには機体の交換可能性を備えているものが存在する.これにより長期のインタラクションが可能になった一方,機体交換を望まない意見がみられる.その原因の一つとして機体交換前後のロボットを同一視できない問題があると考える.本研究ではアンケート調査を行い同一視できない問題があることを明らかにし,同一視のされ方の特徴を分析する.
  • P3-031
    臼田 泰如 (静岡理工科大学情報学部情報デザイン学科)
    本研究では,日常会話において,それについて話すことに社会的・認知的負担がある困難な話題に対し,会話参加者はどのように対処しているのかということの一端を明らかにする.本研究では,そのひとつの事例として,家族の感染症の予防ということがらが話題にされている場面を取り上げる.当該事例では,当該の困難さが参与者の成員カテゴリーに関連する形で生じている一方,その困難さへの相互行為的対処も,その成員カテゴリーをさらに利用することでなされている.
  • P3-032
    市川 雅也 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    本研究は,グラフ構造を用いて参与構造を記号的に記述できる体系を確立し,遠隔対話システムにおける参与構造の設計指針を提案することを目的とする.本研究では参与構造のグラフ化とそれに基づく簡易的な遠隔対話システムの設計・実装を行った.本稿はそれらの手続きについて示しながら,参与構造をグラフで表すことの利点,システムを実装する上で生じた課題について議論した.
  • P3-065
    石川 悟 (北星学園大学)
    「怪談」の持つどのような話し方の特徴が「怖さ」を生むのか,怪談師はその特徴をどのように使い分けているのか,オンライン上で公開されている怪談を評価した.その結果,声が大きく高くなる,あるいは声が小さく低くなると,怖さのレベルが大きく評価される傾向が現れた.ただし,声の大きさを小さくしない怪談師も現れた.また,話す速度が速くなり間が長くなるときにも怪談の怖さのレベルが大きく評価される傾向が現れた.