研究分野

人とコンピュータのインタフェース

  • P-1-11
    和田 丈太郎 (米子工業高等専門学校)
    林 侑輝 (米子工業高等専門学校)
    本論文では、運転中の「いねむり事故」防止とストレス軽減を目的として、「ボケてくる対話型AI」を提案する。プロトタイプを用いた実験を行ったところ、対話型AIは正常に動作することが確認できた。更に、あらかじめ想定していた「ボケ」による笑いは少なかった一方で、合成音声による何気ない返答が笑いを誘うことが示唆された。
  • P-1-22
    金野 武司 (金沢工業大学)
    堀ノ 文汰 (金沢工業大学)
    長滝 祥司 (中京大学)
    柏端 達也 (慶應義塾大学)
    大平 英樹 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    橋本 敬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    柴田 正良 (金沢大学)
    三浦 俊彦 (東京大学)
    加藤 樹里 (金沢工業大学)
    本研究では,人間のロボットに対する道徳性の帰属意識の違いを明らかにすることを目的に,トロッコ問題において一人の命を犠牲にするという道徳的なジレンマを引き起こす行為の是非について,人–ロボット間の対話がどのような影響を与えるのかを調べた.この結果として我々は,ロボットとの対話によってロボットを非常に理性的で感情のない存在として認知するようになったことを報告する.
  • P-1-25
    豊田 将也 (金沢工業大学)
    金野 武司 (金沢工業大学)
    本研究では,AIによる短時間育児支援について,幼児が飽きない対話方法および内容を検討するために,ロボットをアバターにした保育士と園児の対話環境を構築した.結果,園児たちは普段よりも大きく緊張した状態になり,ほとんど対話できないことが確認された.他方,保育士の対話方法と内容は,ある一定の傾向を持ちながらも多岐に渡ることがわかった.保育士の対話方法と内容をAIが再現する場合に,どういった難しさがあると考えられるのかを議論する.
  • P-1-32
    中津 良平 (京都大学)
    土佐 尚子 (京都大学)
    浦岡 泰之 (島津製作所)
    北河 茜 (島津製作所)
    村田 耕一 (島津製作所)
    務中達也 (京都大学)
    上田祥行 (島津製作所)
    アート鑑賞が鑑賞者の創造性の向上に効果があるという仮定を立て,その実証のため没入型の環境を構築し,その環境で被験者を用いたアート鑑賞時の生理データの計測・分析を行っている.本報告では,没入型環境の構成について簡単に述べた後,その環境でアートコンテンツを幾何学図形コンテンツや無コンテンツと比較した際の心電データの計測・分析の結果について報告する.
  • P-1-41
    伊藤 崇 (北海道大学)
    電子テクノロジーにより,子どもが自分で自分の身体を計測すること可能となる.新型コロナウィルスの流行にともない,家庭での子どもの日常生活に検温実践が組み込まれた.7歳から9歳の子どものいる3つの家庭の生活を撮影した映像を観察したところ,検温が毎日のルーティンに組み込まれ,円滑に遂行されていた様子が見られた.具体的には,体温計や記録簿のある場所の身体化,および検温をめぐる親子の協働が観察された.
  • P-1-62
    古賀 日南乃 (日本大学文理学部)
    佐藤 匠 (日本大学文理学部)
    大美浪 海晟 (日本大学文理学部)
    飯田 愛結 (日本大学文理学部)
    奥岡 耕平 (日本大学文理学部)
    佐々木 康輔 (NECソリューションイノベータ株式会社)
    野田 尚志 (NECソリューションイノベータ株式会社)
    森口 昌和 (NECソリューションイノベータ株式会社)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    本研究の目的は,探究学習において言外の意味を扱った対話を実現できるメンタリングチャットボットの開発である.著者らは先行研究として,BDIモデルベースの自己/他者モデルと大規模言語モデルを統合することで,大規模言語モデルが言外の意味を扱えるようにするアプローチを提案している.本研究では,このアプローチをメンタリングチャットボットに導入し, 探究学習におけるメンタリングにおいても有効であるか評価するためにケーススタディを実施した.
  • P-2-40
    関 一樹 (日本大学大学院総合基礎科学研究科)
    大西 俊輝 (日本大学大学院総合基礎科学研究科)
    呉 健朗 (日本大学文理学部)
    木下 峻一 (日本大学大学院総合基礎科学研究科)
    福田 聡子 (日本大学文理学部)
    奥岡 耕平 (日本大学文理学部)
    宮田 章裕 (日本大学文理学部)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    本研究の目的は,寄付意思がない対象者に反感を抱かれにくい寄付行動促進エージェントの実現である.先行研究として著者らは,対話者が好意的解釈の傾向がある「準」自然言語に着目し,「準」自然言語エージェントを提案している.本研究では,「準」自然言語エージェントの有用性を検証するため,実際の寄付行動を想定した実空間の実験を行った. 検証の結果,仮説は支持されなかったが,「準」自然言語が持つ曖昧性により広告を注視する等の情報を補う行動を誘発した.
  • P-2-46
    斉藤 有利奈 (成城大学大学院社会イノベーション研究科(修了))
    新垣 紀子 (成城大学)
    遠隔共同作業のパフォーマンス向上を目的とし、ビデオ通話ツールを用いた新しいコミュニケーション方法を検討した。特に、ポジティブな感情が思考に与える影響に着目し、対話者の表情を笑顔に変形させることで創造性や発話量が向上するかを調査した。実験には大学生14名を対象とし、人型3Dアバターを使用して対話実験を実施した。その結果、アバターの表情操作により肯定的感情が高まり、対話課題の成果がわずかに向上することが示唆された。
  • P-2-53A
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    人間は複数の表現を相補的に処理しコミュニケーションを行う.人間と機械の円滑な対話のためには,機械が状況に応じてこれらの媒体を変換する仕組みを持つことが重要になる.本研究では,記号的表現と身体的表現を接続する仕組みをもつ認知モデルベースロボットが,実世界の社会の人々の活動に及ぼす影響について検討する.ロボットの印象を調査するフィールド実験において,ロボットの発話する単語とジェスチャが同期しているとき,いくつかの項目が高得点となった.
  • P-2-54
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    桜井 良太 (東京都健康長寿医療センター研究所)
    友野 貴之 (札幌学院大学 心理学部)
    佐藤 和之 (東京都立大学)
    樋口 貴広 (東京都立大学)
    本研究は,環境の複雑さが歩行に及ぼす影響を検討するため,VR内で人混みを再現し実験を行った.参加者はヘッドマウントディスプレイを装着した状態でトレッドミル上を歩くよう求められ,アバターが少ない単純条件,多い複雑条件が比較された.歩行のステップ間隔データのフラクタル性(スケーリング指数α)を評価した結果,複雑条件でαが有意に低く,歩行時の身体自由度が高くなったと解釈され,VR内の人混みの量が歩行の複雑さや自由度に影響する可能性が示された.
  • P-2-58A
    岩根 榛花 (筑波大学,日本学術振興会)
    椎葉 黎 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学,株式会社イデアラボ)
    現状のオンラインストアでは,カテゴリラベルを用いた探索が求められ,実店舗の商品探索と異なる体験がもたらされる.この体験の異なりは,買い物の楽しさを変化させ,高齢者における商品探索の障壁となりえる.そこで本研究では,実店舗の商品探索に近い買い物体験のために,店舗の俯瞰地図型のオンラインストアを考案し,有効性について検討した.その結果,地図型の有効性は必ずしも確認されなかったが,実店舗での商品探索に類似した行動が観察された.
  • P-2-63A
    楊 文通 (名古屋大学)
    松林 翔太 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    來山 真也 (株式会社デンソー)
    大塚 まなぶ (株式会社デンソー)
    浜田 康司 (株式会社デンソー)
    近年、先進運転支援システム (ADAS) の普及が加速しており、ドライバーへの情報提供が著しく進化している。ADASは適切なタイミングでアラームを行うことが求められている。本研究では、交通弱者に対して発されたアラームの様々なタイミングの有効さを調査した。結果として、交通弱者が検出されにくいタイミングほど、その有効さはより高く評価された。この知見はADASのアラームシステムの最適化に貢献するものと期待される。
  • P-3-2A
    松本 和紀 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    中村 紘子 (日本学術振興会, 東京電機大学)
    本研究では,条件文の発話者の性格や追加情報を提供する主体(人間またはAI)が,条件推論の抑制に与える影響をポライトネス理論に基づき検討した. 先行研究では,気難しい相手に対する曖昧な発言は,訂正を意図したものと解釈されやすく,推論が抑制されることが示されている.本研究では,AIによる曖昧な発言が推論に及ぼす影響を実験的に検討し,AIによる曖昧な発言は相手の性格によらず,人間の場合よりも推論の抑制がされにくいことを示した.
  • P-3-8
    林 賢吾 (明治大学)
    小松 孝徳 (明治大学総合数理学部)
    山中 祥太 (LINEヤフー株式会社)
    コンピュータの処理時間におけるユーザの心理的負担を軽減するために、待機画面に表示するUI要素を変化させることで体感時間を操作する研究が行われている。しかし、先行研究の実験ではUI要素が実際に使用される環境における実験は行われていなかった。そこで本研究では、UI要素がページ遷移の間に表示されるウェブサイトを再現し、ユーザの体感時間への影響を調査した。その結果、UI要素を表示させる環境が異なると、体感時間も異なるということを明らかにした。
  • P-3-9A
    相馬 あい (関西学院大学大学院 理工学研究科 人間システム工学専攻)
    工藤 卓 (関西学院大学 工学部 知能・機械工学課程)
    我々が昨年に発表した結果では,自己位置感覚は視点位置と強い関係があることが示唆された.また,体外離脱体験に伴って「自己所有感及び自己主体感がある自己像」と「自己位置感覚がある場所」に意識が分離して感じている可能性が示唆された.また,従来研究で,擬似自己対象との同期が無くなると自己主体感が低下するとの研究結果があった.そのため,本研究では自己所有感と自己主体感を伴う自己像の視覚情報と自己の動作との同期と自己位置感覚との関係性を検証した.
  • P-3-12A
    下條 志厳 (立命館グローバル・イノベーション研究機構)
    王 凱 (立命館大学)
    木内 敬太 (独立行政法人労働者健康安全機構)
    林  勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    現在,日本では高齢者の孤独が問題となりメンタルヘルス支援のシステム化が求められている.そこで,本研究ではVRを用いた会話エージェントによる解決志向アプローチの有効性を検討した.その結果,ポジティブ情動において改善がみられた.また,ネガティブ情動では,会話エージェントに対する印象における擬人化と知性の知覚との間に負の相関があった.VRを用いた会話エージェントによる解決志向アプローチの有用性と印象の重要性が示唆された.
  • P-3-28
    堀野 康輔 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林  勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    本研究ではVR曝露療法中の注意誘導が,プレゼン中の不安,スピーチ不安,社交不安に及ぼす影響について検討した.VR要因(あり対なし)と注意誘導要因(あり対なし)の2×2の参加者間計画で行った.結果,各指標について練習前後での変化量に条件間で差は見られなかった.練習中の不安の高さとプレゼン中の不安の減少量に正の相関が見られた.今後,スピーチ不安に対するVRETの効果の要因を明らかにするため,様々な練習環境や練習方法を比較検討する必要がある.
  • P-3-30
    NAN XIAO (立命館大学人間科学研究科)
    林  勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    Banakouら(2018)の研究ではVR空間におけるアバターへの印象が内的動機付けや課題の成績に影響を与えることが示されている。プロテウス効果に関する研究では科学者アバターが主に使用されているが、高次の認知情報処理課題のパフォーマンスへどのように影響することが解明されていない。本研究ではアバターがハノイの塔課題に取り組む際の印象評価と内的動機付けへの影響を検討した。その結果、アバターへの印象評価に関係なく成績が向上することが示された。
  • P-3-47
    金津 達也 (九州工業大学 大学院生命体工学研究科)
    吉田 香 (九州工業大学 大学院生命体工学研究科)
    古川 徹生 (九州工業大学 大学院生命体工学研究科)
    本研究におけるセレンディピティとは,予期せぬ情報を通じた新たな視点や世界の発見である.本研究では,このセレンディピティを促す情報探索システムを提案する.本システムは,内包的検索と外延的探索の組み合わせとユーザーによる積極的な探索によって,新たな情報に出会う環境を提供する.内包的検索では特定の条件を指定し,外延的探索では直感的に情報を探索する.2つの探索手段の交互利用によって,セレンディピティの促進を目指す.
  • P-3-60
    安陪 梨沙 (立命館大学人間科学研究科)
    服部 雅史 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では,特定のカテゴリに属するものを答える事例課題,一つの単語に関係する単語を列挙する放射状連想,連鎖的に単語をつなげる連鎖連想を使用し,実験前に連想を行うことが,後の概念合成課題の成績に影響するかを比較検討した.結果から,有意ではないものの,独創性得点において連鎖連想が関連度の低い単語対の概念合成を促すこと,カテゴリの切り替えを促すことで関連度の高い単語対の概念合成が促される傾向が示された.
  • P-3-61
    原田 悦子 (筑波大学,株式会社イデアラボ)
    安久 絵里子 (筑波大学)
    蚊取線香を対象としたユーザビリティテストを実施した処,若年成人において顕著な課題遂行の失敗,課題遂行時間の長延化,説明書への依存,怖がり反応など,これまで高齢者層における情報機器との相互作用に特異的と考えられていたものと類似した反応が観察された.高齢者層にとっての「情報」,若年成人にとっての「火,物理的操作」という極めて基盤的知識が,人の外界との相互作用において持つ意味・機能について考察を深める.
  • P-3-64
    前東 晃礼 (静岡大学)
    久保 賢太 (マツダ株式会社)
    近年AIを搭載した人工物が普及し,人間の日常生活を支える基盤になってきている.本研究では,人間に心地よさや安心感を与える和のおもてなしの所作を,人工物に行わせることを目指して,茶道のエキスパートの動作特徴の抽出を行った.その結果,エキスパートは,各動きの速度がノービスよりも速く,円滑に一連の動作を行うことが明らかとなった.さらに,その各動作の動き始め直後と,動き終わり直前には,緩やかな動きが行われることが示された.